W.E.T. 「Earthrage」'18
ご存じメロハー・レーベルFRONTIER RECORDSが音頭を取り、Jeff Scott Soto(Vo TALISMAN,etc...)、Erik Martensson(G,B,Key,Vo ECLIPSE)、Robert Sall(G,Key WORK OF ART)という北欧HM好きならずともその筋では実力者として知られる彼等が組んだ北欧メロハー・プロジェクト・バンドによる、前作『Rise Up』から約5年振り(14年にLIVE作『One Live-in Stockholm』をリリース済み)となる3rdアルバムをちょい遅れて今頃GET! 例によって例の如く、彼等の事だから慌てて購入せずとも当然良作をリリースするさ、と楽観視して他のバンドのアルバムをチェックしていた訳ですが、この新譜…なんか巷の評判が宜しくないっぽい…(マジスカー 北欧らしい透明感ある甘口のメロディアスさ、そしてエモーショナルなプレイとAOR風味バッチリな整合性ある高品質でキャッチーな楽曲、全編に配されたフックに富む湿り気ある北欧メロハーの極上チューンが隙無く詰め込まれたデビュー作の出来が余りにも素晴らしかったが為か、彼等のこれまで所属していたバンドのキャリアやそれぞれクリエイトしてきたアルバムのクオリティを思えばどうしたって期待値が高めに設定されてしまうのは分かっていましたが、今回も2nd『RISE UP』同様ファースト作の衝撃を超えられなかった、だとか、ECLIPSEの曲を Jeff Scott Sotoが歌っているだけ、とか、3人プロジェクトなハズなのに Robert Sallが作曲で全く関わっていない『W』抜き残念作、等々の散々な酷評の嵐でちょっと手を出すのが躊躇われてしまいました('A`) まぁ、Jeff Scott Sotoは念願叶って、ドラムにMike Portnoy、キーボードにDerek Sherinianという元DREAM THEATER組に加え、ギターに元GUNS N' ROSESの Ron "Bumblefoot" Thal、ベースに Billy Sheehan(MR.BIG)という、泣く子も黙るスーパー・プレイヤー達が集結したUSプログHMバンドSONS OF APOLLOのフロントマンに収まった事もあってインディ同然な北欧HM系プロジェクトをもう重要視する必要も無く(涙)創作意欲高くなかったんかなぁ、とか、散々FRONTIER RECORDSの圧力で色々な所へ引っ張り出されてワーカホリック気味な Erik Martenssonの作曲能力も流石にもうネタ切れかな、とか、Robert Sall(WORK OF ARTは現在新作の準備中!('(゚∀゚∩ヤター)は米国AOR系へ楽曲提供がメインへ移行してこのプロジェクトにもう情熱注いでくれなくなったんかなぁ、とか色々ネガティヴな情報多くてアルバムを聞く前に勝手に納得してしまいがちだった訳ですが、実際アルバムのサウンドに耳を傾けてみると『え? コレ、そんなに酷評する程に駄作か!?』って、のが第一印象の良質なメロディアス・ハード作でした(笑 本作にキーボードプレイや少々のヴォーカルで僅かに加わるだけの Robert Sallが語る所によると1stと2ndの中間のような音楽的方向性を目指したらしい本作ですが、確かに酷評が溢れかえる巷の評価通り、北欧バンドらしい叙情的な美旋律のメロディアスな楽曲、というポイントは満たしているもののイマイチ楽曲が持つフックが乏しく感じたり、北欧独特の透明感の減退や、全体のAOR風味が強まった為かHMというよりHRカラーが強く感じられ、適度なメタリック度はあるものの総じて楽曲は非常に聴き易く、彼等の作品としては最も万人受けする作品と言えるかもしれないが、ソレが没個性に繋がってしまいファンが期待している彼等が放つ独特の北欧HM風味というか“臭み”のようなものが薄れて感じる一作とは言えるだろう。 要は1st路線の再現を強く望むファンにとっては、ポピュラー寄りになった少々お洒落に成りすぎたサウンド、って事なのかもしれない。 まぁ、個人的にも2ndで聞こえた力み過ぎの空回り感はいただけないと思っていたので、1st路線を当然自分も期待していた口ですけどね。 本作で感じる“アクの弱さ”の最大の要因は、勝手な想像だがソロバンドだったりソロアルバムだったりで硬柔使い分けて必死に売り上げを求めてあがいていた Jeff Scott SotoがSONS OF APOLLOという安住の地を得た結果、W.E.T.のアルバムの完成度をスポイルしがちだったインプットが減退し、只の歌い手という存在(汗)に落ち着いた(実際は作詞でこれまで以上に参加しているが、サウンド的なスポイルはなかったという事?)為と、多くの方が指摘しているように Robert Sallが1st、2ndのように Erik Martenssonとがっつりコラボレートしなくなったのが大きく影響しているように感じます。 Jeff Scott Sotoの放つソウルフルな要素や Robert Sallの磨き抜かれたAOR的職人芸のコンポーズ能力が消え、Erik Martenssonの持つ要素ばかりが目立つアルバムと言うとW.E.T.ならではの3人による濃密なコラボレーションを期待していた方々には少々3人が生み出すマジックやエネルギッシュさが不足して感じるのも十分に理解出来るが、そういったマイナス要素を踏まえてさえ本作が良質なメロディアス・アルバムである事には些かの疑いもないと言える。 これまでの Jeff Scott Sotoの発言や Robert Sallの本作への関わりようを見ると、本プロジェクトが次なる新作をリリースしてくれるのか少々疑問に感じるものの、駄作と評されるのは明らかに間違いな本作が最終作となるような悲しい顛末だけは避けて欲しいですね。
by malilion
| 2018-05-13 11:47
| 音楽
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