生まれ変わった豪快アメリカンHMバンドSTEELHEART

c0072376_01203147.jpgSTEELHEART 「Through Worlds of Stardust」'17

アメリカはコネチカット州出身のHMバンドの、復活第一弾作となった『GOOD 2B ALIVE』以来、9年ぶりの新作となる通算5作目が去年夏頃に出ていたのを今頃にGETしたのでご紹介。

例によって例の如く、どうにも巷の評判がイマイチっぽいので購入を後回しにしていたのです…(スマヌ

HMファンなら良くご存じだろうがメンバー全員が新人バンドらしからぬ凄腕ミュージシャン揃いな上、その中でも飛び抜けて個性的な驚異のハイトーンヴォーカルを誇る Miljenko Matijevic(旧名マイケル・マティアヴィッチ Michael Matijevic)の歌声が話題をさらい、まさに鳴り物入りでデビューしたSTEELHEARTであったが、2ndアルバムリリースに伴う1992年のツアー中に舞台事故が起き、看板だった Miljenkoが大怪我を負った為にバンドは活動休止に追い込まれ、時を同じくして全米で吹き荒れたグランジ旋風の為にいつしか彼等の活躍する場はなくなってしまう…

人気バンドが解散し、その後に復活した際リリースする作品は大抵2パターンで、解散前のイメージなままの作風か、新しい今の時代に合わせた作風な訳だが、彼等が選んだのは後者だった。

で、プライドの為か集金目的の懐メロバンドじゃねぇぞ! という気概でかチャレンジングな後者を選択するベテラン勢は実際かなり多い訳だが、まぁ、大抵の場合は届けられた新譜によって熱心に復活を待ち望んでいた古参ファン達が失望のドン底へ突き落とされるんスよね('A`)

復活と言っても彼等の場合はリユニオンではなく、残念な事に今や完全にメンツの違う Miljenko Matijevic(Lead Vocals、Acoustic Guitar、Guitars、Ebow Guitars)率いるSTEELHEARTというソロ・プロジェクトという態なのが実際のところなのが少々寂しい限りではあります。

まぁ、08年リリースの再々始動作である『GOOD 2B ALIVE』より前の96年リリースの再始動作である3rdアルバム『Wait』時点で既にメンバーは Miljenko Matijevic以外全く変わっていた訳だし、その内容自体もグランジー風味な、1st、2ndで聞かせたタフで豪快なアメリカンHMというサウンドから大きく様変わりしたZEPPELIN臭のするダークで内省的なモノだった事を考えれば、本作においては幾分か初期の作風を感じさせてくれるのは嬉しいポイントと言えるだろう。

で、本作だが Uros Raskovski(Guitars)、James "Rev" Jones(Bass)、Sigve Sjursen(Bass)、Mike Humbert(Drums)は前作『GOOD 2B ALIVE』から引き続き参加し、本作から Jesse Stern(Bass)、Randy Cooke(Drums)が新たに制作に加わっている。

また前作でもゲスト参加したキーボーディスト Edward Harris Rothが、新たに加わったキーボーディスト Daniel Foucheと一緒にピアノとシンセをプレイし目立たないながらもしっかりとアルバムを盛り立てている。

再々始動作である『GOOD 2B ALIVE』は『Wait』の後遺症か、ダークなグランシジー路線を引きずったままのZEPPELIN臭がするヘヴィ&ドライ・サウンドだった訳だが、本作においてはヘヴィさはそれ以上に、けれど幾分かウェットなメロディを感じさせつつ、より骨太でグルーヴィ、そしてハードエッジなサウンドがタフにマッチョにひたすら突き進む、初期のストレートなアメリカンHMサウンドを望んでいるファンには前作同様に少々キツい内容かもしれないが個人的には十分に豪快なアメリカンHMの快作と言えると思う。

特に注目したいのは、以前は太く高く良く伸びる力強い歌声と強靱なハイトーンシャウトばかり取り沙汰され、けれど少々一本調子になりがちだった Miljenko Matijevicの歌唱力も本作に至っては、低い唸りや囁き、ダーティーなロートンや一転優しげで儚く甘い呟き等々と、まさに変幻自在に七色の歌声を操り、アルバムの方も初期のキャッチーなものの圧し一辺倒気味でメタリックだったサウンドから一層にLED ZEPPELIN化を強め、その為か幅広く様々な音楽性を感じさせる深みあるサウンドへと進化を遂げていて、衰えを全く感じさぬ Miljenkoのマルチオクターブの歌声を遺憾なく発揮するに相応しいサウンドへ生まれ変わっているのが良く分かるだろう。

今やSTEELHEART=Miljenko Matijevicな訳で、メジャーデビュー前からLED ZEPPELINの楽曲をカヴァーしていたと言う話だから、『Wait』から『GOOD 2B ALIVE』でまたメンツが総入れ替えされたのに未だにZEPPELIN風味なサウンドがアルバムで聞けるという事は、つまり全て Miljenkoの嗜好という事になるんでしょうね。

個人的にはZEPPELIN風味は隠し味的な扱いだった初期サウンドの方が断然好みではありますが、もう時代が当時とかなり違いますし、かえってこのZEPPELIN風味なサウンドを漂わせる方がオリジナリティ(ZEPクローンって、もう古臭い部類に入るか?)を感じさせて今となってはいいのかもしれません…

そう言えば、最近は何故か韓国(!?)での活動がお盛んらしい Miljenko Matijevicですが、去年久しぶりの来日を果たしたものの旧譜のリイシュー等はなかったのが少々寂しい限りであります…

国内発売はあったものの弱小インディ扱いで殆どプロモーションしてもらえなかった『Wait』や国内盤未発の自主製作盤『GOOD 2B ALIVE』を今こそ国内リイシューしてもいい頃合いなんじゃないんですかねぇ?

そうそう、アルバムタイトルの『星屑の世界を通って』と美しい夜景のジャケをひっかけたアイディアは、大人の魅力を加味して深みと渋みの増した今のSTEELHEARTサウンドのイメージにピッタリあっていて、以前の無骨でストレート過ぎるアルバムジャケを思うとなかなかモダンでお洒落で宜しいと思います。

初期の彼等のサウンドを求める人は手を出すのは間違いなく危険なアルバムだが、より逞しく幅広い嗜好のサウンドを表現出来る驚異の音域を誇る抜群に上手いヴォーカリストの歌声を求めている方にはもってこいの一作ではないでしょうか?


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by malilion | 2018-03-20 01:12 | 音楽 | Trackback
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