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この時期TV放送が多いので、思い出して…オランダのポンプバンドMARATHONの最終作。

c0072376_18441560.jpgMARATHON 「Marathon Live」'98

オランダの5人組ポンプ・バンドの最終作にして唯一のLIVE作をご紹介。

イタリアとドイツに同名同ジャンルの2バンドが存在(なんでこんなバンド名が人気なの?)するが、こちらはオランダのバンドなので混同されぬようご注意を。

94年にデビュー作『The First Run』をリリースし、96年に2nd『Norm』をリリース、そして最終作の本作をリリースする前にバンドは解散してまった、じわじわ生き長らえるポンプ系バンドが多い中たった4年で消えた短命バンドだ。

デビュー作は一聴して即カナダのプログレ・ポップバンドSAGA(特にギタリストの Erik Ten Bosが Ian Crichtonのプレイやフレーズの影響をモロ受け)の影響が分かり、さらにRUSHのフレーバーを全体にまぶしつつポンプ特有の柔和なキーボードサウンドで煌びやかに飾り立て、ここぞという所でMARILLIONの Steve Rothery張りな泣きのロングトーン・ギターが哀愁を漂わせる、というなかなかポンプ系好みな爽快感も併せ持つUK産ポンプとUSA産プログレのいいトコ取りしたようなキャッチーなクリアー・サウンドであった(*´ω` *)

続く2ndでは自主製作からドイツのSPVレーベルからのリリースとなった影響でか、ドラムスを Willem van der Horstから Ferry Bultへチェンジした影響か、SAGA風味が薄れてオリジナリティを感じさせる比重とサウンドのヘヴィさが増したものの、その反動でかメロディの質やキャッチーさ、楽曲のフック等が軒並み後退してまい、デビュー作でも感じられた楽曲の出来のバラつきもという問題も解決出来ぬままの惜しい一作に終わってしまう…

ただ、それでもこのバンドを有象無象なポンプバンドより好ましく思わせるのは、当時のポンプ系に多かった楽器兼任ヴォーカリストや専任ヴォーカリストなのにヘッポコな歌声を聞かせてサウンドをブチ壊してバンドをC級クラスへ貶めて辟易させるような事がなく、PALLASの Alan Reed っぽい歌声を聴かせる Erik ten Bosの癖のない声質と力強く歌い上げるキャッチーな歌メロやバンドコーラスが優れていた点が大きいだろう。

その他にはポンプ系にしては楽曲がコンパクトに纏まってスタイリッシュなサウンドだったのと、Tony ten Woldeが奏でるキーボードが控え目で幾分かハード寄りなサウンドだったのも、その他の70年代プログレの焼き直しが多いポンプ系サウンドとの差別化を大きくしたかもしれない。

まぁ、この辺りは大抵のポンプ系がお手本にする70年代ブリティッシュ・バンド達でなかったという出発点の違いによって意識せずとも生み出された差異かもしれないけれど…(汗

そして最終作である本作だが、2枚のアルバムから適切にチョイスされた楽曲で構成された、ある意味でBEST的な楽曲構成のアルバムとも言え、アコギアレンジした楽曲をしっとり聴かせたり、LIVEならではのラウンドさとラフさを十分に表現しつつ、堅実なバンドアンサンブルと優れたミュージシャンシップを感じさせる優等生的な創りとなっている。

デビュー作と程よくシャッフルされて構成された楽曲の並びのせいか、LIVEで試行錯誤を重ねてよりブラッシュアップされた成果か、実はスタジオでは上手くサウンドを表現出来無ていなかったのではないかと思うくらい良く2ndの楽曲が1stの楽曲に馴染んでいて、欠けていたポップなフィーリングやクリアーな感覚が本作では十分表現されているのは嬉しい驚きだろう。

聴衆の歓声や手拍子等が余り聞き取れぬ点は少々残念な点ではありますが、スタジオアルバムでは余り自己主張しない Ferry Bult(Ds)と Jacques Suurmond(B)のリズム隊のタイトな激しいプレイや、バランスを重視して抑え気味で控えめなプレイの Tony ten Woldeが思う存分派手にキーボード鳴らしまくっているのが聞ける(コーラス再現も頑張ってる!)点など、LIVE作ならではの聞き所も多い一枚と言えましょう。

海外では、SAGA、WINGS OF STEEL、FOR ABSENT FRIENDS、EGDON HEATH等のファン向けと紹介されているが、幾分かAORっぽいキャッチーさとメロディアスさも加味した彼等のメインストリーム寄りなポンプ・サウンドは、実際はもっとより広い層に受け入れてもらえるポテンシャルを十分に秘めていたように思える。

惜しむらく短命に終わったのは、ポンプ系というカテゴライズとインディな活動がメインであった為、そしてバンドが進もうとする方向性故に必要であったシングルヒットするようなキラーチューンが創れなかったのが大きな要因ではなかったかと予想します…(つд`)

ポンプの隆盛から来る次のシンフォ・ブームの間に生まれ、ネクストウェーブが来る前に消えてしまったバンドではありますが、もし短命に終わらずあのまま次のシンフォサウンドへの流れへ乗っていたなら一体どんなスタイリッシュでキャッチーなサウンドを届けてくれたのだろうか、と遂想像してしまう、そんなバンドの1つでありました。




by malilion | 2018-02-26 18:37 | 音楽 | Trackback
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