EL&PとGENTLE GIANTへの壮大なオマージュ? いいえ、商業主義へ走らなかった70年代プログレの幻影。それがRT FACTです。

c0072376_16195574.jpgRT FACT 「Life Is Good」'17

米国在住のロシア人コンポーザー Yuri Volodarsky指揮による米国人ミュージシャン等とのシンフォニック・ロック・プロジェクトのデビュー作がリリースされたので即GET!

まずネット上でシングル「Artifact - Life Is Good」がデジタル音源でリリースされ、次に8月にフルアルバムがデジタル音源でリリース、9月にCDで現物がリリース、そして10月にはアナログLPで音源がリリースされる予定だという。
この辺の多数のメディアで順次音源がリリース(マニアックだなぁ)される一連の流れが、如何にも“今”のバンドである事を象徴してますね。

まもなく新たなソロアルバムをリリースする予定の、Yngwie Malmsteen BandやJOURNEY(涙)、幻のSOUL SIRKUS(涙)、そしてTALISMANや各種メロハー・プロジェクト等でその抜群の歌唱力を披露してきた Jeff Scott Sotoが参加(自身のリーダーバンドは??)していると言う事でこの新プロジェクト・バンドの新譜が目についたのですが、全く予想外の傑作アルバムに出会えて大変ラッキーでした。

現在は米国へ身を置く Yuri Volodarskyだが、若かりし頃の彼が育ったソビエト連邦(懐かしい…)では西側諸国のロック音楽への接触が制限されていた為、僅かに入ってくる情報や有名バンドのLPを元に想像力を羽ばたかせるしかなく、その逆境と渇望が音楽への情熱を高め続けさせた故か流行と無関係なシーンで創作活動を続けた為か、今の時代のサウンドとは隔絶した“もしかしたら西側諸国のバンド達が進んでいたかもしれぬ並行世界のサウンド”を育んで来た異色のアーティストだ。

情報統制が厳しくなる前の70年代初期のロック要素を元に、ロシアお得意のオーケストラ音楽要素を加えてオリジナルなサウンドを構築したのでしょうが、ソレが今の耳で聞くと70年代直系サウンドに今風なモダン・アレンジを加えられ、若干現代風になって聞こえるのが妙に新鮮な感触を与えてくれ、ロシア人とアメリカ人のコラボレーションなのに聞こえてくるサウンドはブリティッシュサウンドって所も非常に面白い。

しょっぱなのSPOCK'S BEARD風の複雑なコーラスが炸裂するサウンドにまず驚かされるが、Yuri Volodarskyの音楽的バックボーンは明らかに初期ブリティシュ・プログレシッヴロック、もっとハッキリ言えばEL&PとGENTLE GIANTなのは明白で、その二つのバンドの持つ雄大なクラッシク要素と複雑な多重ヴォーカル要素をミックスさせ、オーケストラや管弦楽のソリストも加えて本格的なクラシカルさを配し、さらに様々な音楽的要素を加味して新人らしからぬ圧倒的スケールでもって荘厳で幻想的な一大叙事詩を描ききっている点は見事の一言。

その他にもオーケストレーションと相性抜群なイタリアン・プログレ要素もチラホラ散見されるし、時には牧歌的だったり、ジャジーなテイストだったりと、複雑でテクニカルなだけでなく初期プログレッシヴ・ロックが持っていた遊び心あるユーモラスな雰囲気も多分に感じさせ、その点で言うと“叙事詩”にはマイナス要素かもしれないが、そんな楽曲の数々は非常に創造的な上に緻密で豊かなメロディーで最初から最後まで彩られていて、アルバムを貫く流動的でエネルギーに満ちた大きな流れの妨げにはなっていない。

決して先鋭的な最先端のサウンドではないけれど、レトロテイストな温かみある70年代クラシック・ロックのような安心感に満ちているのと、通常ならば直接的な音楽的影響が露呈する事はマイナス要素なのだが、巧みに楽曲を構成する単なる一要素として注意深く細工され、非常に抑止的な楽器セグメントで構成されている為に全くフォロワー的なサウンドに聞こえぬ上に、オペラチックなコーラスや壮大なクラシカルさだけでなくゲスト・アメリカ人ヴォーカリスト達のキャッチーな歌メロでコンテンポラリーさも感じさせるコンポジションの妙は、Yuri Volodarskyの類い希なる才能と手腕によるものだろう。

唯一の不満点と言えば、本作は約45分しかないので、このバラエティ豊かな音楽要素で彩られた魅力的なアルバムは飛ぶように終わってしまい、そこだけは次作で解消して欲しい不満点と言えましょう(*´ω` *)

Line-up:
Jeff Scott Soto (ex:JOURNEY、ex:Yngwie Malmsteen Band) Vocals
Nad Sylvan (ex:Steve Hackett Band、AGENTS OF MERCY、ex:UNIFAUN) Vocals
Will Champlin(CHICAGOのBill Champlinの息子!) Vocals

Oz Noy solo Guitar
Jeff Kollman (COSMOSQUAD) solo Guitar
Rafael Moreira Guitar
Josh Smith Guitar
Gary Meek (ex:Brian Bromberg、ex:Flora Purim) Flute、Sax
Edward Tsiselsky Keyboards
Dmitry Ilugdin Synthesizers
Eugene Sharikov Bass
Joel Taylor(ex:Brian Bromberg、ex:Jeff Richman) Drums


Yuri Volodarskyは今回はプレイヤーとしては本作に参加していないので、是非とも次作ではその腕前を是非披露して欲しいですね。

あと、4曲目中にデカいノイズがあるのが残念です…('A`)




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by malilion | 2017-10-30 16:12 | 音楽 | Trackback
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