秋の夜長に、たまにはマッタリ癒やされる清らかなサウンドも悪くない。イタリアン古楽演奏グループGALINVERNA。

c0072376_00372367.jpgGALINVERNA 「Ladri arditi」'98

イタリア共和国北西部に位置するピエモンテ州で“樹氷”を意味するGalaverna(ガラヴェルナ)の方言、Galinvernaがバンド名だという中世音楽を中世楽器で再現する趣あるイタリアン・グループのアルバムをご紹介。

随分前に古楽器を用いた中世音楽を演奏するスタイルから出発し徐々にロック色を強めていった異色のUKクラシカル・プログレ・バンドGRYPHONが好きで、彼等が影響を受けたという中世音楽を聞き漁っている時に行き着けの輸入盤店で紹介されて入手したように覚えているのが本作です。

彼等はGRYPHONと違いアコースティック楽器のみの中世楽器で演奏し、楽曲はオリジナルではなくその多くが失われて完全に残っている訳ではない中世イタリア音楽の数々を研究の上でオリジナルに近い状態へ再現したり、古代の地中海音楽や古代中東や中世スペインの音楽、そして中世宗教音楽、イタリア各地方の訛りによる賛美歌であったり、巡礼者を題材にした中世音楽(中世の巡礼者が伝えたスペイン語の土地で使用される楽曲等)等やキリスト教お決まりの古代から中世のクリスマス関係の楽曲等を再現プレイしている。

バンド活動の範囲はイタリア、フランス中央と北部のみと狭く、オールアコースティック楽器での演奏と言う事もあってプレイしているのも古城だったりと通常のバンドが余りプレイしない趣ある場所等がメインなので、演奏している優美で感傷的、そして宗教色の強いその音楽と相まってお察しの通りここ日本での知名度は皆無と言ってもいい状況なのが少々残念であります…

これまでに1998年にデビュー作「Ladri arditi、2002年に「Ratones Gordos」、2004年に「Ogn'om canti novel canto」、2008年に「Congaudeant Catholici」、同年に「Gaudete! Christus est natus」リリースと十年で5枚しかアルバムをリリースしていないが、各メンバーは他アーティストとのコラボレーションやソロ作を多数リリースしているので多忙な模様だ。

またアルバム毎にメンツの変動が激しいが、メインの4人は固定でその都度アルバムコンセプトに合ったゲストプレイヤー(メインメンツも演奏してる楽器が変化してるのがややこしぃ…)を招いてアルバムを製作している為と思われる。

「Ladri arditi」'98------

Line-up:
Mauro Basilio : guitar, saz, bass
Paola Zambon : flutes
Marco Suppo : bass, hurdy-gurdy
Elisa Fighera : violin, viola

Marco Audano : percussions
Maurizio demichelis : vocals, bass, guitar


「Ratones Gordos」'02------

Line-up:
Mauro Basilio : guitar, saz, bass
Paola Zambon : flutes
Marco Suppo : hurdy-gurdy
Elisa Fighera : fiddle, viola

Barbara Scaringella : vocals


「Ogn'om canti novel canto」'04------

Line-up:
Mauro Basilio : oud, tenor fiddle, percussions
Paola Zambon : flutes, bombardes
Marco Suppo : hurdy-gurdy, nyckelharpa
Elisa Fighera : fiddle, percussions

Silvia Prot : vocals
Massimo Givonetti : flutes, bombardes
Sergio Pugnalin : luth, percussions, vocals
Elisa Chiaraviglio : vocals


「Congaudeant Catholici」'08-----

Line-up:
Mauro Basilio : luth, oud, tenor fiddle, percussions
Marco Suppo : hurdy-gurdy, nyckelharpa
Paola Zambon : flutes, bombardes
Elisa Fighera : fiddle, lyra, percussions

Silvia Prot : vocals
Maurizio Givonetti : flutes, bombardes, vocals
Claudio Poggi : vocals
Marcella Tessarin : vocals
Alessandra Vaglienti : vocals


「Gaudete! Christus est natus」'08-----

Line-up:
Mauro Basilio : luth, tenor fiddle, percussions
Marco Suppo : hurdy-gurdy, nyckelharpa
Paola Zambon : flutes, bombardes
Elisa Fighera : fiddle, lyra, percussions

中心人物の弦楽器奏者 Mauro Basilioは他にも多数ソロやコラボ作をリリースしているので興味が有る方はチェックしてみてもいいかもしれない。

“ろう者(聴覚障害者)の泥棒”と名付けられたこのデビュー作は、M.A.Pの制作のもとミラノで録音されている。
R製ながらちゃんとAssociated Musicians Productionsと刻印されており、Ethnoworldレーベルカタログにも掲載されているので、もし興味がある方はチェックしてみるといいだろう。

自身で“さまざまな伝統からスタイルや楽器を選別している泥棒たちが新しい混合主義を探している”と本作を紹介しているのを見るに、古楽器を用いて中世音楽を優美にしっとり演奏してはいるものの、資料の散逸やそもそもの記録が元より残っておらずに目指す中世楽曲の完全再現は叶わず、多くの中世音楽要素を継ぎ接ぎして“模造品”をデッチ上げた自分等を皮肉っているのだろう。

デビュー作である本作はヴォーカル曲が三曲しか収録されておらず、そのヴォーカルも余り上手くない男性が抑揚少なく語っているような歌(古語だから歌いにくいのかも?)であり、殆どがインスト曲のみで構成されているので、この手にお決まりの美声フィメール・ヴォーカルを期待した方には残念な一作となってしまっている。

まぁ、続く次作からは専任のフィメールヴォーカルが招かれて弱点だった歌も改善されているので、歌モノ要素が重要な方は次作から手を出すのがよろしいかと。

枯れた味わいのあるAnce(Ciaramella Ciaramello 古式オーボエの一種)の音色や、GRYPHONを思い起こさせるCornamuse(中世のバグパイプの一種:コーンマスズでは無い)のサウンドに、軽やかに舞うFlauti(中東由来の中世のフルート)とGhironde(ハーディ・ガーディ:機械仕掛けのバイオリン)の絡みが堪りません(*´ω` *)

楽器自体の人気があまりなくなってしまい今では殆ど聞く事が出来無くなってしまっているNyckelharpa(ニッケルハルパ:弓で演奏する中世の擦弦楽器)やOud(マンドリンに似た形の中世の弦楽器)、そしてVielle(ヴァイオリンに似た形の中世の弦楽器)も活躍しておりますので、古楽器好きな方は是非とも一度彼らのアルバムをチェックしてみて下さい。



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by malilion | 2017-10-25 00:31 | 音楽 | Trackback
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