英国産バンドCATHEDRALE 幻の音源リリース!

c0072376_00410347.jpgCATHEDRALE 「J2=B2」'17

70年代UKプログレシーンに燦然とその名を残すRENAISSNCEの黄金期を支えたベーシスト Jon Campが、80年代末期に現LIFESINGSのキーボーディスト John Young、元MONEYのドラマー Tony Bodene等と共に結成した幻のバンドの、89年~91年に録音されていた未発表音源が初めて発掘CD化されたのを遅れて今頃GET!

CATHEDRALEというと70年代末期に活躍した米国産インディ・プログバンドが有名ですが、本作のCATHEDRALEは80年代のメジャーレーベル、この場合はWarnersと当時出版契約を交わした多くのバンドの1つで、米国のATLANTIC社とレコード契約を結び、ATLANTICレーベルからアルバムをリリースするべくデモ音源を作成していたが、レーベルの政治的思惑(John Young曰く、88年の「New Jergey」の大成功を見てか、WarnersはイギリスのBON JOVIになるよう圧力をかけてきたらしい…)に翻弄され、結局交渉は決裂してデビューが叶わなかった歴史の闇に消えたバンドだ。

そんな幻のデモ音源が26年の時を経て今回発掘再発レーベルからリリースされた訳ですから、Jon Campや John Youngのファンのみならず、80年代末期のプログレ・ファンやLIFESINGSのファンは興味津々な事でしょう。

結論から言ってしまうと、本作はプログレ・ファンにとって余り面白い音源とは言えません…('A`)

まぁ、時代が時代でしたし、メジャーからのリリースを狙っていたという事もあって、時流を多分に意識した当時世間を席巻していたニュー・ウェーヴ&ブリット・ポップスを色濃く反映したシャレオツでデジタリーなハードポップスを本デモでは披露しています。

ASIAのデビュー作が82年、YESの「90125」が83年、Steve HoweとSteve HackettのGTRデビューが86年、Keith EmersonとCarl Palmer、そしてRobert Berryの「3」が88年にデビューしていた当時、プログレ系ミュージシャンはこぞって米国受けする華やかでコンパクト、そしてキャッチーな売れ線サウンドへ傾倒していた時代ですから、彼等も同じ方向を目指していたとしてもなんら不思議ではありませんよね…

第2期RENAISSNCEのベーシストとしてバンド消滅の80年代後半まで在籍し、再結成RENAISSNCE作にも参加したJon Camp(B&Vo)はRENAISSANCE脱退後、Robin Georgeと彼のバンドDANGEROUS MUSICと一緒に仕事をしていた。
ツアーに出る際、新たにそのバンドに加入したキーボーディストが、再結成GREENSLADEに加入していた元ASIA&元Bonnie Tylerの John Young(Key)で、ツアーが終了した後に二人は新バンドCATHEDRALEを立ち上げる。

Line-up:
Jon Camp(B、Acoustic G、Moog Taurus、Vo)
John Young(Key、Vo)
Brett Wilde(E&Acoustic G、Backing Vo)
Tony Bodene(Ds、Percussion,、Backing Vo)
Mark Goddard-Parker(Lead Vocals)

本作に12曲収録されているデモ前半の7曲目まで、Jon Campと John Youngがそれぞれリードヴォーカルをとったりツインヴォーカルを披露したりしているが、お世辞にも上手い歌とは言えず、カラフルで派手なキーボードが活躍するアーバンでモダンな雰囲気漂うポップでキャッチーな楽曲の出来は良いもののヴォーカルの不味さが全体をスポイルしてしまい、デモ用ならば許されるその仮歌レベルには閉口させられる。

で、そのヴォーカルのレベルの低さが契約を難航させたと考えたマネージメントの提言に従い、新たに専任ヴォーカリスト Mark Goddard-Parkerを迎えて製作された後半5曲の出来はなかなかのモノで、GTRや90125YESと同系統のシンセサウンドに重点を置いた煌びやかなサウンド・メイキングに、一貫してコンパクトでシャープかつスタイリッシュな80年代UKポップサウンドで固めつつ、70年代末期から80年代初期のRENAISSANCEで披露した Jon Campのメロディアスなソングライティングが活かされた Mark Goddard-Parkerのウェットン系(John Payneの歌声に似てる?)な中音域メインのマイルド・ヴォイスが実によく映える楽曲で、このデモ音源が完成させられて当時アルバムデビュー出来ていたならば一体どういった評価を受けたのか、世間の音楽の流れはどう変化したのだろうか、と妄想は尽きません。

結局、メジャーからレコードデビューする事が叶わずバンドは Jon Campと John Youngを残すのみとなってしまい、二人は再起を賭けてGTRのヴォーカリスト Max Baconとのセッションを行い幾つかの楽曲を録音(残念な事に、全て失われてしまったらしい…)したが、最終的にバンド活動は上手く行かず音源をリリースすることなくCATHEDRALEは消滅してしまう…orz

プログレ好きな方にはお薦め出来無いのは既にお伝えしたが、その他にも色々と問題があって、発掘デモ音源なんだから当然っちゃ当然なんですが、本作はかなり音質が悪く、各パートのバランスも妙だし、音ヨレや雑音、テープヒス等々の劣悪な状況が刻まれた音源だと言う事が残念でなりません。

RENAISSNCEやLIFESINGSファンにとてもお薦め出来かねる音源ではありますが、ここで表現されている様々なセッションや試行錯誤を繰り返したアプローチは非常に興味深く、もし懐具合に余裕がある方や今は有名なミュージシャンの売れる前の仕事ぶりに興味がある方ならちょっと手を出してみるのも良いかもしれません。

それでは叶うことのなかった夢の欠片の煌めきを、ポップに傾倒したプログ・ミュージシャンの果敢な挑戦の跡を、一人でも多くの方が耳にする事を祈って…


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by malilion | 2017-10-18 00:32 | 音楽 | Trackback
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