ルクセンブルグ大公国のシンフォ・バンドTNNEが待望の2ndをリリース!

c0072376_11252195.jpgTNNE(THE NO NAME EXPERIENCE) 「Wonderland」'17

西ヨーロッパの真ん中に位置するルクセンブルグ大公国唯一のシンフォ・バンドだったNO NAMEが二十三年に渡る活動に2011年2月にピリオドを打ち、元メンバーの Alex Rukavina(Key)と Patrick Kiefer(Vo)が新たに立ち上げた5人組シンフォ・バンドの待望の2ndが3年ぶりにリリースされたので即GET!

1stリリース時点ではNO NAMEがどうなったのか情報不足で事の次第が不明でしたが、どうやらTNNE立ち上げ前の時点で既に解散していた模様です。
3rdアルバムリリースの後にメンバーのプライベートな理由で活動を一時休止していたのが、結果的に解散への秒読みを早めたようですね…
再起動して06年にリリースした4thアルバム「4」がなかなかの出来だった(それ以前のアルバムは皆廃盤…)のでその後の停滞が気になっていましたが、一度消えかけた情熱の炎は二度と燃え上がらなかったのか…orz
まぁ、インディ活動長かったしブレイクしたってそうそう大金持ちになれるジャンルでもないニッチな市場の音楽だし…無理ないよね…(涙

さて、ファンタジックでありながらミステリアスでほんのりダークな雰囲気を漂わす、近年のARENAっぽいジャケに俄然期待が高まる新作ですが、前作では欧州各国のバンドのテイストを取り入れつつ、如何にもユーロ圏バンドな透明感があり軽やかで叙情味あふれるサウンドをベースに、新バンドらしく若々しくメタリックなGをフィーチャーしたHMテイストも加味したバランス重視な優等生的ユーロ・シンフォサウンドに仕上げていた訳だが、続く本作でも同一路線のモダンでシャープな音像のシンフォニック・ロックを展開していて、前作が気に入った方なら迷わず購入しても後悔する事ない良作だろう。

ただ、残念な事にメンバーチェンジが起こったようで、アルバム収録前にオリジナル・ギタリスト Michel Volkmannとベーシスト Claude Zeimesが抜け、
ベースに Michel Casadei Della Chiesaを新たに迎えたギターレスの4人編成にゲストギタリストでメキシカン・シンフォ界の首領 CASTのギタリスト Claudio Cordero(!)を迎えて本作は製作されていて、随所でそのテクニカルで切れ味鋭いリード・プレイを聴かせている。

さらに収録の補佐ギタリストで Cedric Gilisがエモーショナルなプレイを聞かせているが、現在は彼がそのまま後任ギタリストとしてメンバーに迎えられ、いつも通りの5人組編成に落ち着いたのでファンは安心して欲しい。

とまれインディ・バンドながら三十年のキャリアに裏打ちされた確かな実力の程はそのサウンドに如実に現れていて、Patrick Kieferのポンプ系に多いジェントリで穏やかな歌声がややもすると優しげな雰囲気を増してしまうメロディアスなサウンドを、ちょっと『UNION』時のYESっぽい多彩な音色を奏でるカラフルなキーボードとエモーショナルでテクニカルなギターが濃密に絡み合ってピリリと引き締め、プログHM的なハードさとシンフォロック的な壮大さを巧くミックスした、前作以上に爽快感あふれる叙情派ユーロ・モダン・シンフォサウンドへ昇華させている。

高密度の音の壁で塗り固めた作りモノ臭さは薄く、適度に隙間を活かした楽器の自然な鳴りを感じさせつつもしっかりと作り込まれたプロフェッショナルなサウンドで、北欧モノほどシャープでも硬質でもなく、USAモノほどドライでもヘヴィでもなく、UKモノほど湿り気を帯びたメロディでも鬱屈もしていない、けれど微かに80年代ポンプ風な残り香が漂うメロディアスで透明感ある独特なバランス重視の中庸サウンドが実にいい塩梅なのですよねぇ~(*´ω` *)

もっともギタリスト不在がもたらしただろう前作で感じたメタリックな感触の減退、もっと言うと才気走った様な焦燥感にも似た情熱と言うか新鮮な感触が本作では薄れて聞こえ、キーボーディストの Alex Rukavinaが楽曲創作の中心な為に旧来のポンプな香りを強く残すNO NAMEっぽさが強まってしまったのと相まって、新たに獲得したファンには所々古臭く聞こえる時があってちょっとガッカリする所があるサウンドかもしれません…

まぁ、微妙な差と言えば微妙な差異なので、気にならない方にとっては些細な問題でしょうけどね。

強烈な個性のあるバンドサウンドも無論素晴らしいんですが、彼等のように奇をてらわずスタンダードな今風モダン・サウンドながらも、ちょっと古めかしいポンプチックな雰囲気も漂わすクリアーなシンフォ・サウンドって個人的に嫌いじゃないんですけどね。ええ。

ヘヴィさもスピードも強烈ではなく、超絶なテクニックを見せつけるでなし、唸る程に上手いヴォーカリストが居る訳でもなく、破天荒な勢いや抑えきれぬパッションが迸ってる事もなく、ドポップでフックありまくりな売れ線サウンドという訳じゃありませんが、彼等の灰汁の無いストレートな叙情派ユーロ・シンフォサウンドを嫌いだと言うシンフォ好きは少ないんではないでしょうか?

ハートフルなヴォーカルがしっとり穏やかに歌い上げる、モダンでシャープなユーロ・シンフォロック好きな方なら一度チェックしてみても損はない一枚と言えるでしょう。



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by malilion | 2017-10-16 11:20 | 音楽 | Trackback
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