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HEEP&QUEEN成分マシマシでELO成分減のCATS IN SPACE新作!

HEEP&QUEEN成分マシマシでELO成分減のCATS IN SPACE新作!_c0072376_16035065.jpgCATS IN SPACE 「Scarecrow」'17

前作でそのキャッチーでポップなノスタルジック・サウンドが話題になった、SWEET、AIRRACE、MORTIZ等のバンドで活動してきた古強者達によって結成された英国産6人組メロディアス・ロック・バンドの待望の2ndがリリースされた!

メンツは前作と変わりなく、
Paul Manzi(現ARENA 現RAW GLORY 元OLIVER WAKEMAN BAND 元Andy Scott's SWEET:Lead Vocal、G、Key)
Greg Hart(元MORTIZ 元IF ONLY:G、Key、Vo)
Dean Howard(元BAD COMPANY 元IAN GILLAN BAND 元再結成AIRRACE:G)
Jeff Brown(元Andy Scott's SWEET 元STATETROOPER:B、Vo)
Andy Stewart(元MORTIZ 元IF ONLY:Key、Vo)
Steevi Bacon(元ROBIN TROWER BAND:Ds)
という、名うてのベテラン・ミュージシャン等で構成されているので、そのクオリティに些かの不安もありません。

因みに30年以上行動を共にしているという Greg Hartと Andy Stewartは再結成MORTIZにも復帰しているので現メンバーとも言えます。

しかし、改めて見ると Paul Manziって懐メロHRからダーティなHM系、そしてシンフォ系にまで幅広く在籍するとは、かなり器用な歌唱スキルを持っている如何にも仕事人って感じのプロフェッショナルなヴォーカリストなのでしょうね。

Andy Scott's SWEETでベースとリードヴォーカルを担当していた Jeff Brownの歌声も個人的には好きだったので、CATS IN SPACEではバッキングとコーラス&ハーモニーのみでしかその歌声を聞けなくなってしまったのは少々残念ですけど…

で、注目は前作の借り物臭さがどう変化したのか、またその手の問題を払拭出来たかどうかという点が気になる新作ですが、ある意味で予想を裏切る良作となったように個人的には感じました。

一番大きく変わったと感じるのは、前作で聞けたシャレオツでポップなELO風な雰囲気は薄れ、逆にHEEP風&QUEEN風なキーボードとコーラス、そして Brian May風なギターの割合(それ以外にも、かなり露骨なQUEEN臭が…)が増えて全体的にレイドバックした雰囲気とうっすらプログレ・テイスト(ポンプやシンフォじゃないトコがミソ)が漂っている、80年代風ハードポップ色が薄れて70年代後期風HR色が強まった点でしょう。

売りのメロディアスでポップな分厚いハーモニーヴォーカルが如何にもUK風(HEEP風)になって前作のアメリカン・テイストな朗らかなフィーリングが弱まり、さらにサウンド全体のヘヴィさとパワフルさが増してググッと骨太でドラマティックな70年代後期HR寄りになった感触だ。

90年代初期のHEEPに近いサウンド(コーラスはこっちのが断然綺麗)にSUPERTARNPやSTYX、そしてQUEEN風のキャッチーな70年代ロック・テイストをまぶし、叙情的で哀愁溢れるウェットなユーロピアン・メロディを保ちつつ、現代的なサウンドへ磨きをかけてモダンな今風サウンドに仕上げたイメージと言えば伝わるだろうか?

もっとぶっちゃけると1枚だけLIVE作を残して一年足らずで解散した再結成SWEETのスタジオ新曲のサウンド(ドライなサウンドだったけど)にかなり近い感触に思えるのだが、例えがマイナー過ぎて誰も分からないか…(汗

未体験故に憧憬を隠さずまんま70年代サウンドへ傾倒する新人バンドは結構耳にするが、微妙に80年代テイストも加味して古臭いのに新しいサウンドをクリエイトする居そうで余り居ないキャッチーな懐メロモダンHRサウンド路線を彼等は狙っているようで、90年代からのグランジーの波に呑まれなかったらシーンのメインストリームサウンドはどうなっていたのか? という失われた過去を描いている風にも聞こえて大変興味深いですね。

まぁ、狙っているその路線は当時売れなかったサウンドな訳で危険な賭けにも思えますが、今の耳で聞くと不思議と新鮮な感触を覚えるので、意外にこのモダン・ノスタルジック路線は多くのミュージシャンが無視している忘れられた路線で実は大穴かもしれません。

ただどうしてもどこかで聞いたようなフレーズだったりアレンジ、サウンドだったりが耳に付く(実は意図的?)のは前作と変わりなく、完全に借り物臭さを払拭出来たとは言い難い点が、出来のいい作品だし個人的にも好みであるだけに余計に残念な点であります。

後は前作でのELO風味が好きだった方にはちょっとガッカリな方向へ進んだとも言えますけど、まぁ、ELOの後追いは本家の元メンツでさえ苦労しているので絶対失敗(Jeff Lynneは偉大だ!)するのが目に見えているのだから、今回の選択は正しかったのじゃないかと…(汗

次作こそはオリジナリティという点をもうちょい考慮してさらにサウンドに磨きをかけて欲しい、そんな80年代、70年代好きにお薦めな懐かし系ポップ・ロックバンドですので、まだ彼等のサウンドを耳にした事がない方は是非一度チェックして見て下さい。



by malilion | 2017-09-20 15:56 | 音楽 | Trackback
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