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当時はポンプバンドのポップ化問題はインディ、メジャー問わず世界中に蔓延してたんですよ…

c0072376_01384025.jpgWINGS OF STEEL 「Face The Truth」'95

ポンプ系にしては珍しい専任キーボーディストが居ないオランダ産3ピース・ポンプバンドの最終作をご紹介。

地道にアンダーグランドで長年活動を続けてアルバムデビューを果たすバンドが多いポンプ系には珍しく、彼等の活動期間は非常に短くて、2枚のアルバムと1枚のEP、そしてポンプバンドのコンピアルバム2枚に1曲提供するのみの公式音源しかリリースしていない。

当初からドラムスがヴォーカルを兼任する3ピースバンドとして Peter van de Ven(G&Key)、Roland Kok(B&Key)はオランダの中心部をベースに活動し、最後に Jan van Heumen(Ds&Vo)が加わってバンドラインナップが固まり、92年に「Homesick」で当時ポンプ総本山であったオランダSIレーベルからデビューした。

奇しくも92年というとDREAM THEATERがプログレHM屈指の最高傑作アルバム「Images & Words」をリリースし、以降全世界が夢劇場症候群バンドであふれかえる訳だから彼等のサウンドは当時のリスナーに余計に古臭く聞こえた事でしょうね…(涙

デビュー前はRUSH系のサウンド(DEMOテープのみ存在)だったようだが徐々にポンプ系へ傾倒し、最終作である本作2ndではベースを Roland Kokから Olando Van Swaay(B&Key&Vo)へチェンジし、サウンドも洗練されたAOR&ポップロックへ近づくという、なかなか一筋縄でいかぬサウンドの変化を見せてくれたバンドでした。

そのせいでか海外でも似ているバンドに上げられているサウンドの方向性が遊離していて、NOVEMBER、PTS、RUSH、MARILLION、SPLINTERが好きならお薦め、とか80代前半のようなポップなロックバンドで、POLICEやBAD COMPANY好きにお薦め、なんてレビューまであったりする(汗

そんな訳でこの2ndは初期からのファンにはすこぶる不評なのだが、デビュー作より売れ線に、よりポップでメロディアスに、というのは売り上げ不振に苦しむ(元々、好事家向けニッチ音楽だけど…)当時のポンプ&ネオプログレ界だけでなくロック界全ジャンルも含めて世界共通でよく見る流れなので、このバンドのみを責める事は出来無いでしょう。

ただ、1stの時点で既にポンプ系としては歌メロはかなりポップだし、バンドサウンドのベースはプログレッシヴロック(初期RUSH臭さがそこかしこに!)だが多くの楽曲から既にAORの影響を感じる事が出来るし、本作についてもハードなギターサウンドやリフ、バックのサウンドのグロプレ的なテクニカル要素だったりアレンジやアンサンブルだったりは減っていない、寧ろ増えているくらいなのだが、アコギメインのシンプルで美しい楽曲が増え、さらにヴォーカル・ハーモニーが増えたのと歌メロのキャッチーさが上がった為か“ポップ化”に非常に否定的なグロプレ系ファンに『惰弱になった』と、誤って捉えられてしまっただけのようにも思える。

そもそものバンドサウンドの基本が Peter van de Ven(G&Key)のリフとメロディアスなリードパートで、キーボードはバッキングかごく短時間だけ前面に出てくるだけだし、キーボードがリードパートを奏でる時はオーケストラ・テクスチャーとより派手な動きのあるバンドサウンドの表情と音の厚みを豊かにする活用(地味にセンスがいい!)をされている訳だから、一般的なポンプ系サウンドをこのバンドに求めるのが間違いなのかもしれない。

と、言うかこの2ndの不評は、SIからデビューし、引き続きSIからリリースだったからこその不幸だったようにも今なら思えます…(つд`)

個人的には Jan van Heumenのウェットン系ながらちょいハスキーな甘い声質と、パワフルではないが情熱的に歌い上げるフックあるメロディアスな歌メロはポップさが増したコンパクトな楽曲に実に良くマッチ(Olando Van Swaayとのヴォーカルハーモニーもタップリとフィーチャー!)していて、本作のヒットポテンシャルの高いサウンドを久しぶりに耳にしたが、このまま彼等が堅実に活動を続けてくれていたならばひょっとして今頃メジャーシーンで活躍していたかも…などと思わずにはいられません。

なんて褒めておいて最後に言うのもなんだが、ドラムスがヴォーカルを兼ねている為かリズムパートがどうしても単調だったりパワフルさに欠けて聞こえると言う、A級バンドへ昇格するには大きな障害にして最大の弱点をバンドの構造上デビュー時から抱えていたので活動期間が短かったのもやむなしなのかもしれませんね。

個人的にはこのまま活動を続行し、専任ドラムスを迎えて Jan van Heumenの歌声をメインに据えたポップロックバンド化してくれた方が嬉しかったが、もしかしたらリーダーの Peter van de Venがあくまでポンプ系路線にこだわって、専任キーボーディストを迎え入れて世界中で流行している夢劇場系のインストパート多目なプログHMサウンドへ接近していたかもしれないなぁ、なーんて尽きぬ妄想をしてしまいます…



by malilion | 2017-05-26 01:32 | 音楽 | Trackback
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