THE NEAL MORSE BAND 「The Similitude Of A Dream ~Special Edition~」'16 ![]() 元SPOCK'S BEARD、現TRANSATLANTICメンバーである Neal Morse率いるバンド名義での2ndアルバムが1年ぶりにリリースされたので、お馴染みの限定盤(2枚組CD&DVD付キ3枚組!)をGET! これまでにCCM系のソロ作も含め山程作品をリリースしている彼だが、ソロ活動以降の自身が主導するプログレッシヴ・ロック系のバンド作品としては前作「The Grand Experiment」'15 に続く2作目だ。 SPOCK'S BEARDから突如脱退して宗教活動に傾倒した彼らしく、英国の伝道師John Bunyan(1628年~1688)による宗教寓意物語『THE PILGRIM'S PROGRESS(天路歴程)』と言う、『破壊の都』から救済の場所である『天の都』に辿り着くまでの旅の記録という体裁を取っている、死闘や様々な困難をくぐり抜けて旅する主人公の精神的な旅を描いた物語にインスパイアされた壮大なコンセプト・アルバムとなっている。 メンツは前作と変わりなく、Neal Morse(G、key、Vo)、Mike Portnoy(Ds、Vo)、Randy George(B)、Bill Hubauer(Key、Vo)、Eric Gillette(G、Vo)の5人による製作で、楽曲の方向性も前作と同系統の古典寄りなサウンドながらしっかりと今風のモダンなアップデートが成されているナチュラルなフィーリングを重視した80年代的USプログレハード・サウンドな、STYXばりな分厚いコーラスやメロディアスな叙情美とキャッチーな歌メロも健在で、往年のアメリカン・プログレハード好きはニヤリとさせられる作品だろう。 加えて新しい要素としては、コンセプトがそもそも宗教色ドップリな訳だから当然と言えば当然だが、生のストリングスやブラス・セクションも導入した如何にも宗教音楽的な荘厳でドラマチックなシンフォニック・サウンドの雰囲気が楽曲のそこかしこで聞かれ、さらに70年代の有名UKバンドのオマージュ的要素も交えつつ、アメリカン・テイストなテクニカル・プレイをダイナミックにメロディックに迫力満点に展開している。 コンセプトに引っ張られたのか、前作にあったメタリックなサウンドが幾分影を潜めているのが個人的には少々残念だが、USAバンドにありがちなドライさや粗暴なパワー押しな要素は少なく、人生において経験する葛藤や苦難、そして理想的なクリスチャンの姿へと近づいていくその過程を寓意した『THE PILGRIM'S PROGRESS』をコンセプトにしたのに相応しい、しっとり優雅な気品とウェットな叙情がサウンドに漂っているのも嬉しい限りだ。 無論、ユーロバンドに比べればこのアルバムの音の方がドライで叙情感では劣るかもしれないが、複雑な技巧とサウンドを際立たせる陰影のメリハリ、そしてモダンなサウンドの仕上がりでは決して劣ることない、Neal Morseがこれまでに紡いできた音楽の魅力が余すこと無く詰め込まれ、磨き上げられた入魂の一作と言えよう。 Mike Portnoy曰く、自らが関わったコンセプト・アルバムの中でも最高傑作(自分を追い出した夢劇場への皮肉も多少あるんかなぁ…)と断言している会心の出来かどうかは、後は皆さんの耳でお確かめ下さい。 個人的には、宗教系のネタはソロ限定でお願いしたいトコだが、まぁしょうがないか… Neal Morseの故郷テネシー州のナッシュビルから、2017年1月15日よりツアーがスタートするとの事なので、近い将来にまたLIVEアルバムが届けられる事だろう。 ボーナスDVDには、レコーディングのメイキング映像(約70分)を収録しているので、マニアはこのスペシャル盤を迷わず購入しましょう。
by malilion
| 2016-12-14 00:57
| 音楽
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