ドイツはダークでハードなプログレHMバンド多いけど、今回は変わり種を


SOUL CAGES 「Same」'94

c0072376_0292975.jpg近年活動を再開した6人組ドイツ産シンフォ寄りプログレ・HMバンドをご紹介。

6人組自体は珍しくないものの、このバンドの場合はちょっと違っていまして、楽器演奏者4人 Jorg Nitschke(Ds)、Knut Nitschke(G)、Thorsten Staroske(Vo、G、Key)、Stephan Tigges(B、backing vo)に加えて、男女2人のバッキング・ヴォーカリスト Beate Kuhbier(backing vo)、Patricia Trautmann(backing vo)が専任メンバーとして在籍しているのです。

このバンド構成を見るとかなりヴォーカルハーモニーにこだわっているように思えそうですが、THERIONのように終始オペラチックに分厚いコーラスで合唱する訳ではなく、通常はリードヴォーカリストが歌い上げ、ここぞと言うポイントで分厚いコーラスハーモニーを披露したり、フィメールヴォーカルのソロパートがあったりするという、HM系にしては変わり種でした。

彼等のサウンドをプログレHM目線で乱暴に例えるなら、夢劇場の“静”部分のみ抽出してメロウに再構築したような音楽と言いましょうか…

今のジャンルやカテゴライズ表現に近いサウンドをあえて言うなら、美声のフィメールヴォーカルがソロで歌い上げるパートがある事もあって、北欧フィメール・シンフォHM系やゴス系に近い感触と言えば伝わるだろうか?
当時からハード寄りのダークでメタリックなプログレメタル・バンドが多いドイツ系として見ても、かなり彼等のサウンドは特異なのは間違いないでしょう。

所謂一般的なプログレHMサウンドとイメージが異り、本家James LaBrieが抑えた歌声の時によく似た歌声のヴォーカルはシャウトする事もなく朗々と歌い上げ、楽曲もミッドテンポ中心でアコギを爪弾く繊細な調べが穏やかに蕩々と流れていく、と言うHM系として捉えるなら余り刺激的でない優美さに重きを置いた一風変わったサウンドなのです。

当時から疑問だったのが、お約束の変拍子もそう顔をださないし、多少ザクザク刻むリフやツーバスドコドコがあるにしても、テンション高めのインタープレイがある訳でもなし、HM系から見るとシンフォニックで柔和な彼等のサウンドを、どうしてプログレ・メタルとカテゴライズして売りだそうとしてるのか契約してるメタルレーベルも含めて不思議でした。


1992年の春、4曲入りデモテープをリリースし、12月にMassacre Records(!?)とのディールを獲得してデビューアルバム制作にとりかかる。

94年、Beate Kuhbier、Patricia Trautmannnの男女バッキング・ヴォーカリストを加入させセルフタイトルアルバムで゙デビュー。

96年、2nd製作中に売りだったはずの男女バッキング・ヴォーカリストの Patricia嬢があっさり脱退(でもインナーのメンバー写真にはちゃっかり収まっている…)し、メンツ補充せぬまま5人組となり2nd「Moments」をリリース。
尤も以降も、Patricia嬢はヘルプでアルバム製作には随時参加するんですけど…

新譜製作にあたって専任キーボーディスト Enrique Foedtkeを加入させ再び6人組となり、99年に3rd「Craft」をリリース。

キーボーディスト加入の成果か、これまでで一番大仰に盛り上がるパートがあったりして“引き”と“押し”の差が顕著になって、ヴォ-カルハーモニーやフィメールヴォーカルの活躍の場も増え、爽快さも増して一層にドラマチックなサウンドになった。
所謂、一般的なHM的サウンドに近づいたイメージはあるものの、それでも大人しめなサウンドなのに変わりはない…

ここまで徐々に完成度を上げつつもデビュー当初からの方向性に変化がないのは、変化や革新を求めるプログレ系としては珍しいかもしれません。
ぶっちゃけ、元からして彼等はプログレ系じゃないと思うんです(汗

2000年7月にMassacre Recordsをドロップアウトし、新たなレーベルを求めて新作の準備に取りかかっているという情報を最後に、彼等の活動情報は何も聞こえてこなくなった。
恐らく世を覆ったグランジーの暗い影が少なからず影響したのだろう。

バンドサイトによるとレーベルを物色中、01年にキーボーディスト Enrique Foedtkeがバンドを去り、02年にベーシスト Stephan Tiggesも去った。
03年から新ベーシスト Jorg Bodeが加入し、新作の製作にとりかかったものの一向に新譜は完成せず、新レーベルも見つかず…

活動休止期間中、12年に音楽的意見の相違からJorg Bodeがバンドを去り、後任にIngo Vietenが迎え入れられた。
そして、前作から14年ぶりに自主制作盤4th「Moon」が13年にリリースされ、現在に至るという感じですかね。

最新作からこれまでバッキング・ヴォーカルだけだった Beate Kuhbierが Enrique Foedtkeの抜けた穴を埋めるかの如くキーボードもプレイするようになったのが興味深いです。

さすがにこれだけインターバルが開いたのと、既に世の流行が様変わりしてしまった影響でか、以前の三作で聞かれたようなゆったり飄々とした穏やかな雰囲気はサウンドから消え失せ、所謂ドイツのバンドに良く居るダークでヘヴィなHM的な鈍色サウンドを基本にして、Thorsten Staroskeが力強くフックある歌メロを歌い上げる風にヴォーカルアプローチも変化し、フィメール・ヴォーカルもたっぷりフューチャーするゴス的雰囲気も加味したサウンド(スピードは相変わらずミッドテンポ中心)に様変わりしております。

なんて言うか、もうプログレHMというカテゴライズは彼等のサウンドには全く似つかわしくなくなってしまいましたね…
まぁ、本人的にも少しもそんな風に自身のサウンドを捉えていないんでしょうけど(w

しかし、バンドサイトの現メンバーフォトに、2nd製作に少ししか関われなくて抜けたはずの現在も正式メンバーでない Patricia嬢がちゃっかり収まっているのが謎です…
未だにバッキングヴォーカルのヘルプをしてはいるんでしょうけど…いいんだろうか…(汗


RACHEL'S BIRTHDAY 「An Invitation To Rachel's Birthday」'96

c0072376_0295418.jpgドイツ産プログレ繋がりで、こちらのドイツ産プログレHMバンドもご紹介。

当時、未だに世界中で流行し一向に鎮まらぬ夢劇場症候群の熱に煽られるように、ドイツのStuttgartを拠点としたキーボード入り5人組バンドで、プログレHMをベースに、ニューウェーブやシンフォニック・プログレ、ネオプログレ、そしてフォーク等をクロスオーヴァーにミックスしたエキセントリックなサウンドで独自性を確立しようと登場した、ドイツのインディ・プログレHMレーベル Music Is Intelligenceからデビューした気鋭の新人(でした)。

多様なジャンルのサウンドをミックスさせようという試みは面白いものの、そう簡単に魅力的なサウンドが創作出来るはずもなく、又プレイヤーの力量的にもそれを軽々に可能たらしめる訳もなく、少々素っ頓狂な(シアトリカルでフィッシュっぽい?)歌メロもイマイチだし、バックの奏でるメロディアスさは今一歩だし、楽曲のフックやキャッチーさも今一つ、白熱のインタープレイがある訳でもなく、優美で流暢なキーボードが聞き所の、リズムアプローチが少し奇妙かな、というくらいのちょい毛色の変わったプログレHM、というのが当時の印象でしょうか。

残念ながら、そのプログレ・マインドの多くを担っていた作曲の中心人物であるキーボーディストの Alfred Muellerとベーシストの Michael Sixが程なく脱退してしまい、バンドは失速してしまう。

その後すぐ、2000年から Alfred Muellerはワンマン・プロジェクト・バンド SONIQ THEATERで活動を開始し、2016年現在まで16枚ほどの自主製作アルバムをリリースしている。
よりプログレ系へ傾倒したクロスオーヴァー・サウンドを披露しているので、その系統がお好みの方はチェックしてみるのもいいかもしれない。

バンドの方は99年にベースとキーボーディスト不在のまま、新たにギター&マンドリン奏者を加入させツインギター編成4人組になって「The English Rose」なるEPを自主盤でリリース(現物未確認)。

中心人物を失った影響は大きかったようで、一気にサウンドがひなびたフォーク系へ傾倒し、3分~4分程度のコンパクトな小曲ばかりをこじんまりと披露するような方向へ音楽性が大幅に変化してしまった。
まぁ、マンドリン奏者が加入って時点でお察しですが、もうここまで来ると完全に別バンドですね(汗

その後、04年に「Strange Little Creatures」なるEPを同一メンツでリリース(現物未確認)して以降、音源発表がないので、既にバンドは存在していないのでしょう。

プログレ系が好きなリスナー的な目線で言えば、現在もSONIQ THEATERで活躍する Alfred Muellerが若かりし頃に短期間だけ在籍していたプログレHMバンド、という捉え方になるんでしょうね…
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by malilion | 2016-09-28 00:20 | 音楽 | Trackback
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