EVENT 「Scratching at the Surface」'03 アメリカは東海岸ボストンに拠点を置くバークリー音楽院出身のミュージシャン達が結成したテクノ、ジャズ、フュージョン、プログレ、そしてメタルをMIXしたPROG METAL系バンド(だった)の3rdにして、2003年に解散してしまった彼等の最終作をひっぱり出して聞いておりました。 1st「Electci Sky」'98 アルバムの時点ではジャズ&フュージョン寄りのハッタリ・インタープレイ過多な頭でっかちシアター系プログメタルで、残念ながら歌メロがダメダメで楽曲全体の魅力が乏しくプレイヤーのオナニー度が過ぎて、個人的にはアルバムを聞き通すのが辛かった訳ですが、夢劇場等のPROG METAL系が好きな方々からはなかなか好評を博したようで、新人大型テクニカルPROG METALバンドとしてシーンに名を轟かせたんですよね、確か。 なのに続く2nd「Human Condition」'01 で、当時その他多くの世界中のメロディアス系HMバンド等にも見受けられ、日本では絶賛大不評な所謂ヌーメタル的ノイジー&ダークなモダン・ヘヴィネス病が発病して突如ガラリと技巧的プレイを聴かせるサウンドスタイルを捨て去った為、“完全にコレ別バンドじゃん。退屈なオルタナバンド('A`)”と、1st路線を期待した方々は失望(故に日本盤発売なんぞ不可能)し、大批判を喰らった彼等。 個人的には只のオルタナバンドらしからぬ一筋縄でない事を色々やってたりして面白く感じたものの、まぁPROG METAL系じゃないわな、ってな音だと思いましたね。 で、続く最終作のこの3rdですが、2nd時点で感じられた実験的な試みだったりは綺麗に姿を消し、完全にオルタナ系の音に成り代わってしまいました。 このアルバムの音は、もうどこをどう聞いてもPROG METAL系なんて言葉は出てきませんね。 海外でも『Nickelbackや Green Dayに通じるインディ・ポップロックにサウンドが変化した』と評されてましたが、正にそんな感じな当時USAシーンで大流行したヘヴィでモダンなポスト・オルタナ・ロックってな音です。 アルバムタイトルが「上っ面を撫でる=Scratching at the Surface」って、いうのはPROG METALバンド的なスタンスからの当時のシーンへの皮肉のつもりなんですかねぇ?(汗 PROG METAL的な実験アプローチを捨て去り、トレンドに乗っかったオルタナ・ロックを奏ってるだけあって、前作で聞けたような居心地の悪さや歪みは楽曲に見当たらず、すんなりグルーヴィでダーク、モダンでヘヴィな楽曲を聞き流せます。 が、だったらこのサウンドを出すもっといいバンドは他に腐る程居るわけでして、相変わらずギターやアンサンブル面などテクニック的にレベルが高いし、ボーカリストの歌唱力も十分な上に良い声質の持ち主ではありますが、彼等じゃなくても良くなったアルバムをリリースした(ひょっとしてレーベルからのプレッシャーだった可能性も有りますけど…)時点でこのユニットの存在価値は消え失せました。 その事に彼等自身も気づいていたのか、3rdリリース後すぐに解散しています。 ていうか、寧ろこんな時流に乗っかっただけの駄作リリースして欲しくなかったなぁ(ツд`) とはいえ、元々流行の夢劇場フォロワーから始まった彼等だし、確固たる信念と目的をもって活動し始めた訳でもなかった彼等がトレンドのオルタナ・ロックへ様変わりしたのも当然の流れだったのかも…… 以降、プログレ系で彼等の名を聞いてませんし、オルタナ・シーンには興味無いので、この後メンバーがどうなったのか不明です。 もしかしたらフュージョン系のバンドやセッションマンとして今も活躍してるのかもしれませんね……
by malilion
| 2014-10-18 15:25
| 音楽
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