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イタリア産ハードポップ・バンドFLORENCE 99の唯一作が待望のオフィシャル・リイシュー!!

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FLORENCE 99 「Same」'90

1990年にイタリアのレーベルCGDより唯一作がリリースされたキーボード入り3人組イタリア産メロディアス・ハードポップ・バンドで、オリジナルCDは滅多に市場に出回らず世界中のメロディアスHRコレクターのウォント・リストに常に登場する激レア盤がイタリアのMinotauroレーベルから初のオフィシャル・リイシュー盤がリリースされたので即GET!(゚∀゚)

OXIDOという激レア盤もリイシューしたMinotauroレーベルですが、同時発売の本作も念願のリイシューを果たしてくれ感無量なものの、OXIDO同様に未発音源等は追加収録されていないし、デジタル・リマスター等のクレジットも見当たらず、元メンバーの回顧録的なライナーノーツも追加されていないオリジナル通りの9曲収録のリイシュー盤となっている点は少々寂しいですね。

ほぼイタリアのみでの活動だったと予想される事やメジャー・シーンがグランジーの闇に呑まれる際でデヴューしたのが不運だったのか、世界各地で同時期にデヴューした80年代風のキャッチーで華やかなメロディアス・サウンドを演奏する他のバンド達と同様にとんでもないアゲンストに置かれる立場での活動を余儀なくされ、結果的に極短期間の活動で姿を消したと思われる為か、殆どその活動模様や元メンバーのその後などの情報も皆無なのが残念でなりません。

データとしては本作と Laura Braniganの名曲“Gloria”のカヴァー曲が7インチ・シングル盤でリリースされたのみとなっております。

バンドと言ってもドラマーはセッション・マンを招いた Manuel Manzaniがギターとキーボードを兼任する3ピースのユニットで、イタリア産バンドと思えぬ80年代USメジャー・ミュージック寄りの華やかなシンセとキャッチーなコーラスが活かされた、仄かに北欧バンドを思わせる透明感あるウェットな美旋律が香るのがユーロ圏バンドらしい隠し味の、メロディアスで親しみやすい雰囲気とブライトでフックある歌モノ寄りバランスの魅力的なハードポップ作だ。

わざわざデジタル録音をして作成した、と明記している所や、軽めのエレ・ドラっぽいドラムサウンドや添え物的なパーカッション類の使われ方を見るに、レーベル的にはイケメン(?)が売れ筋のラジオフレンドリーでコマーシャルなポップ・サウンドを演る3ピース・バンドとしてアイドルっぽく売り出そうとでも考えたのかもしれないが、意外にメインコンポーザーの Manuel Manzaniがギターにキーボードに八面六臂の大活躍を果たし、レーベルの想定以上にハイ・クオリティなハードポップ・サウンド作が出来上がったんじゃないのでしょうか?

90年代に活躍したスウェーデンのメロハー・バンドBALTIMOREを率いるシンガー Bjorn Lodinに似た少し濁り気味な歌声で、シャウトしたり唸ったりもしない、ロック風な歌唱だけどワイルドでラフなスタイルまで崩れてはいない Jay Woodの伸びやかでブライトなヴォーカルや分厚く朗らかな弾むバッキングコーラスの入れ方、そしてミッドテンポ主体でヴォーカルのバランスが大き目で前に出ているミックスを聴くまでもなくロック作という感触は弱く、けれどバブリーでゴーシャスな80年代風ヘア・メタルやDEF LEPPARD、CHICAGO等の影響が伺える米国メジャー要素とシャレオツな80年代UKポップスの影響を感じさせる楽曲や音使いには単なるイタリア産ポップスと片付けられぬ様々な音楽要素が巧みに取り入れられており、制作に協力した裏方の趣味やプロデューサーのお遊び等々のインプットも影響して、只のアイドル・バンド作とは一味違うハードポップな佳曲が詰まった面白い一枚に仕上がったように思えます。

実際、軽めなハードポップ作にしては Manuel Manzaniがアーミング、タッピング、スウィーブ等を駆使するハードエッヂでワイルドなギター(DEF LEPPARDっぽいリフ等も聴ける!)をミックスで後ろへ下げられ控え目にされている(涙)が頑張って弾いているし、キーボードも煌びやかなシンセだけでなくジャージーなタッチのグルーヴィなハモンドオルガン等もフィーチャーしている所など、単なるアイドル・バンド作では聴けないちょっとした工夫が随所で施されていて非常に面白いですね。

隠しようもなく、八、九割りは欧米メジャー・シーンのサウンドに倣っているものの単なる劣化コピー・サウンドでなく、しっかりユーロ圏バンドらしいセンチメンタルでウェットなメロディなんかも垣間見える所なども当時のUSバンド群の作品では聴けぬ毛色の違いを感じさせ、強かに自己主張したサウンドになっているのが実に心憎い。

また、本リイシュー盤の音の方だが、元々デジタル録音を成されていた事やバンドのサウンドが所謂ロック系の生音の響きを大事にするタイプでなく、そもそもが人工的で加工されたサウンドを鳴らしていた事もあってか、音圧と音量を上げただけのお手軽リマスターだったとしても実にクリーンに聴こえるサウンドとなっているのは嬉しいですね。

まぁ、90年代から長らくシーンを席捲する事になるダークでヘヴィな流行のグランジー・サウンドと思い切り真逆な、軽く、華やかで、キャッチーでポップなサウンドのアルバムですので、損切りの速いレーベルに即切り捨てられてしまったのでしょうねぇ…間違いなく、こういうポップで軽やかな作品に仕上げるよう指示したのはレーベル・サイドでしょうに…

月並みな表現しか出来ず申し訳ないのですが、本当に時代の巡り合わせが悪かったとしか思えない、本作のみを残して消える理由が見当たらない、音だけ聴いたらイタリア産バンドの作品と思えぬ非常にキャッチーでポップな出来の良い彼等の幻の音源を、メロハー・マニアならずとも90年代メロディアス・ポップ作がお好きな方も是非お早目にお求めになってください。

Track List:
01. Rock'N'Roll (I Feel So)
02. Gimme Money
03. Bloody Mission
04. Stones And Stars (And Guitar)
05. Gloria
06. Gotta Lotta Love
07. What About
08. Don't You Tease Me, Girl
09. Monkey Lady

FLORENCE 99 Line-up:
Manuel Manzani  (Guitars、Keyboards、Hammond C3、Background Vocals)
Jay Wood     (Lead & Background Vocals)
Andy Corsella   (Bass、Background Vocals)

with:
Joe Metti     (Drums)
Max Pacciani    (Additional Percussion)




# by malilion | 2023-02-08 07:03 | 音楽 | Trackback

メロトロンを果てなくフィーチャーしたスパニッッシュ・シンフォ・ユニット SCALADEIが待望の2ndアルバムをリリース!

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SCALADEI 「School Of Pure Soul」'23

スペインはカタルーニャ州タラゴナ県のムニシピオ(基礎自治体)を拠点に活動する、HARNAKISとDOCTOR NOの元メンバーが新たに立ち上げた3人組シンフォニック・ユニット SCALADEI (スカラデイ)が前作『The Swing Of Things』から3年ぶりとなる2ndアルバムを200枚限定、見開き紙ジャケット仕様でアンダルシアのレーベル 5Lunas Produccionesからリリースしたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

前作と同じく既にデジタル先行で楽曲は幾つか公開されており、アルバムも現物が遅れてリリースされるのも同じく前作と同様な流れで、非英語圏のさらにプログレというニッチな市場でしか売れないアンダーグラウンドな音楽スタイル故仕方がないが、このリリース方式が本バンドの基本的なスタイルなのだろう。

因みに本バンドのヴォーカルは英詞で歌っており、スペイン語(カタルーニャ語)で歌う別名義バンドEL MAR DE LOS METALESも活動中であります。

またインディ・レーベル 5Lunas Produccionesと出版契約しディストリビュート等を担当してもらっているハズなのだが、資金的に脆弱なレーベルなのか本作も前作と同じくCD‐R製でのリリースとなっている…orz

ただ、自主盤よりは幾分か資金的援助は得られたのか、CD‐R製ではあるもののPS1のゲームROM盤のような音源データ盤面が真っ黒な特殊仕様のアナログレコードを模したデザインのRでのリリースとなっており、前作の如何にも手造り感は薄れていて多少はマシな体裁となっているのがせめてもの救いか(汗

まぁ、プレスCDはマスタリングやらにお金かかりますし、デジタルなら流通費用も掛かりませんからバジェットに余裕の無い弱小インディ・シンフォ・バンドには最適なリリース方式なのは間違いないですよね…現物主義な音源マニアにはキツく悲しい世の中ですが…(´д⊂)

前作と同じユニット・メンバー3名によって本作は録音されており、新メンバーの加入などはなかった模様だが、恐らくLIVE等ではヘルプ要員を招いているのだろう。

さて、前作は美しいメランコリックなメロディと多くのネオ・プログレッシヴ・バンド群からの影響を取り入れた叙事感あるシンフォニック・サウンドで、これでもかと徹頭徹尾メロトロン&ストリングスを大々的にフィーチャーし、初期MARILLION風なダークでファンタジックな雰囲気とドイツのプログレ・バンドELOYを彷彿とさせる壮大なスペクタクルを感をMIXさせ、HARNAKISやDOCTOR NOの頃の安っぽさは完全に払拭されたパワーとメロディに満ちた演奏を堂々と繰り広げていたが、本作ではさらにサウンドのスケール感が増しており、GENESISやCAMELを思わす英国風味ある儚く淡いロマンチックなメロディと哀愁漂う叙情的な音使いで、メロトロンとストリングスをこれでもかと濃密にフィーチャーしながら切々と美旋律を紡いでいく様には、情熱のスペイン産バンド特有な臭みや定番の癖の強さ等は殆ど感じられず驚かされる。

レーベル・インフォによると本作は『70年代プログレッシヴ・サウンドに新しいアイデアとタッチを加えたコンセプト作』という事らしく、ジャケットやインナーのイラスト、そして楽曲タイトルを見るに、東洋的なモチーフ、甲冑鎧、兜と、侍をイメージしたと思しきコンセプト作らしいのだが、如何せん詳しい情報が無いので仔細は良く分からないが、サウンドにはベタな東洋風なフレーズも聴こえず(ラストの17分超えの大作のイントロで多少歌舞伎要素が聴けるのみ)東洋を思わす音色や東洋楽器の露骨な使用もされていないので、どうコンセプトと東洋的な要素が関係しているのか判断出来ない(汗

コンセプト云々は置くとして、YES、GENESIS、CAMEL、PINK FLOYD等の、70年代の英国クラシック・プログレを深く愛しているというリーダーの Enric Pascualの言葉通り、サウンドの方は古典的プログレを思わす複雑で流動的な構造と展開を見せるシンフォニックなサウンドと言え、キーボードサウンドは少々鳴り過ぎなきらいがあるものの、概ねバランスの取れたパッセージと非常に美しく温かみのあるテーマが精巧に表現されており、陰鬱とした翳りと不穏さもそこはかと感じさせる非スパニッシュ風(重要!)の独特な叙情感漂うスタイルは前作から引き続き継承しているが、前作で感じた北欧系を思わせる冷ややかな爽快感は薄れて、逆に今回はイタリアン・プログレっぽい濃密過ぎるクラシカルな美旋律が紡がれる場面やミステリアスな雰囲気を醸し出すダークな音使いも見受けられ、相変わらず隠し切れぬ不器用さと野暮ったさが露呈している為か他の欧米や北欧で活躍するスタイリッシュでモダンな最先端のシンフォ系バンドのサウンドと大きく隔たりを感じさせ、結果的に一味違う他で聴けぬ独特な色合いのユーロ・シンフォ・サウンドとなっている点は、前作同様に本シンフォ・ユニットの強みであり味であり、メジャーなシーンで決して成功出来ぬ最大の弱点でもあるだろう。

リーダーの Enric Pascualが語る所によると『本作の一番のトピックは[Nothing Can Take You]の中間パートで、部分的にだが完全にシンフォニックでオーケストラ的な小節を作曲したのは今回が初めてである事を申し上げたい。 2つの楽章に分かれていて、片方は完全な管弦楽曲なのです』との事で、これだけ見てもSCALADEIは妙な売れ筋への色気や商業的な成功など微塵も気にしておらず、唯々、音楽に対する真正性と愛情を余す事なく集約し、演奏する事にのみ心血を注いでいる、真にアーティスティックな音楽ユニットなのが分かると言うものだ。

Enric Pascualのヴォーカルが音域も狭く歌心もイマサンでC級なヴォーカル・スキルが残念な点や、本職はドラマーなのに Enric Pascualの叩くドラムの音が軽くて貧弱な鳴りをしているとか、前作でもヤバ目だったけど今回の繊細なアコギを爪弾くパートもハラハラさせられる Santi Caleroのつたないギター・プレイ等々、問題的を指摘し出したらキリがないが、それらの欠点を補って余りあるメロトロンとストリングスをこれでもかとフィーチャーした他では滅多に聴く事の叶わぬ、朴訥で不器用な独特のユーロ・シンフォ・サウンドを直向きに真摯に鳴らしている姿には妙に心打たれるものがありますね…

なんて言うかテクとか派手にメロトロン鳴らすとか、そういう目立つポイント以上に妙な味わいのある英国風ユーロ・シンフォを真似た事で意図せず予想外な科学変化の起きたスパニッシュ・シンフォに独特な魅力を感じる事が出来る、と言えば本作のなんとも言葉にしずらい不思議な魅力が少しでも伝わるでしょうか?(ウーン…

尚、同時期に別名義バンドEL MAR DE LOS METALESも2ndアルバムをリリースしており、どうやら英語とスペイン語で歌う2つのバンドを今後も平行させ活動していく模様だ。

スペイン産バンドと思えぬ英国風味香るリリカルでウェットなメロディと、これでもかとメロトロンとストリングスをフィーチャーした古典的ユーロ・プログレ・スタイルな独特な音色を響かせるシンフォ・バンドがお好きな方や、スタイリッシュさやテクニカルさはイマイチでヴォーカルもダメダメなC級に片足突っ込んだB級シンフォなれどその他がピュアな美旋律に満ち満ちている変わり種プログレ・バンドでもイケる好事家な方なんかにお薦めなマニアックな一作であります。

Track listing:
01. Tall And Proud
02. Yama Uba
03. Taking Blows
04. Nothing Can Take You
05. Reach The Top
06. Gleaming Way
07. Midnight
08. Don't Want Dream It Over
09. Sakura Essence
10. School Of Pure Soul

SCALADEI Line-up:
Enric Pascual   (Vocals、Drums、Keyboards、Mellotron)
Santi Calero    (Electric、Rythm & Acoustic Guitars)
Samuel Calero  (Bass)






# by malilion | 2023-02-07 00:14 | 音楽 | Trackback

北欧メロディアスHRの新星、REMEDYがデヴュー作を自主制作盤でリリース!!

北欧メロディアスHRの新星、REMEDYがデヴュー作を自主制作盤でリリース!!_c0072376_16181879.jpg

REMEDY 「Something That Your Eyes Won't See」'22

同名バンドが英米問わずここ日本にさえ(!?)数多く存在する世界中で大人気なバンド名なので“どのREMEDYだよ!?”と少々混乱される方も居るかもしれませんが、既に去年12月にリリースされ話題になっていた北欧スウェーデン産キーボード入り5人組メロディアスHRバンドの自主デヴュー盤を少々遅れて入手出来たのでご紹介。

2022年に北欧スウェーデンのストックホルムで、それまで主にセッションやツアー・メンバーとして活動していたギタリスト Roland "Rolli" Forsmanが中心となり、同郷スウェーデンのAORバンドWORK OF ARTのアルバム等に参加した事もあるキーボーディスト Jonas Oijvall等が結成したばかりの期待の新星で、本人達はソフィスティケイテッド&モダン・メロディック・ロック・バンドと自称しているが、80年代リスペクトな北欧メロディアス・ロックと聴いて連想する“まんま”なリリカルでウェットなメロディとキャッチーでフックあるコンパクトな楽曲が目白押しな爽快ロック・サウンドで、AOR HEAVEN亡き今、Frontiers RecordsかEscape Music辺りと契約を交わしそうな北欧バンドと言えばメロハー・ファンの諸兄なら即ご理解戴ける事と思う、そんな80年代リスペクトな北欧メロディアスHRサウンドを鳴らす新人バンドであります♪(*´∀`*)

既に各方面から本作を絶賛する声が相次いでおりますが、ズバリ言って80年代に活躍し近年再結成し今も活動中な同郷スウェーデンの大先輩HMバンドTREATのサウンドに洗練された現代風のモダン感覚を足して、TREATがデヴュー以降どんどんアメリカナイズされヘア・メタル路線へ進んだのに対して『もしあのままウェットで叙情香るマイナー調でダークなメロディとフックあるキャッチーな北欧メロハー路線を突き進んでいたならば?』というIF風サウンドで、エネルギッシュでハードエッヂなギターとミドルレンジ主体で伸びやかにフックあるメロディを歌い上げるキャッチーなヴーカルを主軸に据え、北欧お約束のキラキラしたキーボード・アレンジがまぶされた80年代を思わすレトロ風味と現代的モダン風味をブレンドした心に残るセンチメンタルなメロディが心地よい北欧メロディアスHRロックを演っていて、メロハーと言うには幾分かメタリック成分が控え目ながらソコがよりレトロタッチを際立たせており、巷にギンギンにキャッチーでポップなサウンドを響かせる北欧メロハー新人バンドが溢れる今現在に置いて逆に新鮮に聴こえるメロディアス・サウンドと言えましょう。

無論、彼等はTREATフォロワーではないので定番の分厚いハーモニー・ヴォーカルや派手なバッキング・コーラスは控え目だし、ガッチリと造り込まれた高密度メロハー・サウンドではない事もあって各楽器の鳴りに隙間がある、80年代北欧ハードポップな感触もありつつ現代メロハーなタゥチもそこかしこで感じられ、TREATでは余り聴けぬ甘いストリングスがさり気なく活かされたアレンジや意外な宗教音楽風味もチラリと顔を出したりする、シンプルに聴こえてその実、欧米ポピュラー・ミュージック、メジャー・ロック、北欧HM等の要素を巧妙にブレンドした複雑な味わいの隠された、歌、演奏、楽曲、と良質なHRバンドに必要なモノを何一つ欠いていない、古くて新しい新世代北欧メロディアスHR作だ。

ヴォーカルをあくまで聴かせる事に注力している演奏スタイルなので特別テクニカルなパートやアグレッシヴなプレイが耳につくわけでもなく、どちらかと言えばミッドテンポ中心のオーソドックスな演奏スタイルなれど、過度にドラマチックになる訳でもなく、けれどメッセージはしっかりと伝わってくる、堅実にボトムを支えるリズム隊の仕事の上で軽やかに涼やかに北欧メロディアス・サウンドが紡がれ、楽曲第一で弾かれるソツなくエッジある活きの良いギター・プレイと絶妙なキーボードのアレンジ具合が思いの他に楽曲に深みと美しさを与えていて、無名の新人バンドの自主デヴュー作と思えぬ堂々とした王道メロディアス・サウンドと落ち着きっぷりに驚かされます。

ベテラン顔負けなバランス感覚の活かされた高いコンポーズ能力が示されたコンパクトな楽曲ばかりな事と、リードヴォーカルの Robert Van der Zwanは北欧お約束の線の細いハイトーンでない太くエモーショナルで甘い歌声な事や、80年代お約束の分厚くブライトなハーモニー・コーラスを多用しない事でTREAT路線サウンドを演ってもそう聴こえないのが大きなポイントで、聴き込む程にディープな北欧メロハー・ファンや80年代北欧メロディアスHMをこよなく愛する古参ファンは、彼等が真摯に情熱を込めて奏でる心の琴線を震わすリリカルでウェットな美旋律の数々に聴き惚れる事請け合いだ(*´ω`*)

その辺りが同業ミュージシャン達の心を掴んだのか、まだインディ・レーベルと契約もしていない新人バンドの自主デヴュー作にも関わらずミックス&マスターは同郷スウェーデンのメロハー・バンドECLIPSEを率いる Erik Martenssonが手掛け、CRY OF DAWN、FIND ME、ISSA等々の北欧アーティストのみならず多岐に渡るミュージシャンに楽曲を提供する Soren Kronqvistも本作の楽曲制作に絡んでいて、それだけを見ても彼等に対する周囲の注目度の高さが伺えます。

H.E.A.TやECLIPSE等の北欧メロハー・ファンなら迷わずお薦めなのは間違いなく、TREAT等の80年代北欧メロディアスHM好きな方にも是非チェックして欲しい、まだまだ粗削りな所もあるのが逆に未完の大器を思わせる、そんな注目度大な活きの良い期待の新人メロディアスHRバンドが北欧から登場だ!(゚∀゚)

Track listing:
01. Living On The Edge
02. I Wanna Have It All
03. Marilyn
04. Scream In Silence
05. Sunday At Nine
06. Stranger
07. Thunder In The Dark
08. My Devil Within
09. Sinners And Saints
10. Lifeline

REMEDY Line-up:
Robert Van der Zwan   (Lead Vocals、Guitars)
Roland "Rolli" Forsman   (Lead Guitars、Backing Vocals)
Jonas Oijvall        (Keyboards)
Andreas Passmark     (Bass)
Georg harnsten Egg     (Drums)

with:
Additional Keybords  Soren Kronqvist on track 01、02、04、06、08、09、10
Additional Keybords  Roland Forsman on track 03、05、07
Additional Keybords  Sven Wannas on track 04

P.S.
アルバムのメンバーフォトに4人しか映っていない事やヘルプでキーボーディストを複数招いて本作の演奏を任せている所を見るにアルバム制作時には4人組で、周囲の助言か本人達も必要性を強く感じたのか、アルバム完成後に鍵盤奏者が必須なバンドサウンドである事からキーボーディスト Jonas Oijvallが加入した、という流れではないかと予想します。

またヘルプでキーボードを弾いた3名は複数の楽曲のプロデュースも担っている事を見ると、楽曲制作にも協力する Soren Kronqvistも含めてハウスエンジニアかスタジオ専属のセッション・ミュージシャン達がバンドの自主制作デヴュー作録音時に色々と協力した、という事なのでしょう。

# by malilion | 2023-02-06 16:20 | 音楽 | Trackback

幻のスイス・メロディアスHRバンドOXIDOの90年リリースな唯一作が遂にリイシュー!!

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OXIDO 「Breaking Down The Walls」'90

1990年にメジャー・レーベルのItalia Mercury/ Polygramより唯一作がリリースされた事でイタリアン・バンドと間違われる事が多いが OXIDO (オキシドー)はスイスのキーボード入り5人組メロディアスHRバンドで、メロディアスHRコレクターの間で激レア盤として知られるオリジナルCDはこれまでン万円(!?)で取り引きされて来たが、遂にイタリアのMinotauroレーベルから初のオフィシャル・リイシュー盤がリリースされたので即GET!(゚∀゚)

OXIDOは、後にスイスのビッグネーム GOTTHARDのフロントマンになる Steve Leeとギタリストの Leo Leoniが在籍していた事で知られる88年に唯一作を残したスイスのメロハー・バンドFORSALEの元ギタリスト Tank Palmerこと Tancredi Palamaraを中心に結成され、本作のシンガー John Lukeは後にあのLong Island Recordsより95年に唯一作をリリースしたスイスの産業ロック&メロハー・バンドGUNSHYのフロントマンとして活躍する事になる人物で、これまでスイスのメロディアス・バンドを語る時に“今有名なバンドのメンバーが以前在籍していたバンド”として名前だけは度々上がっていたスイス・ロックシーンの人脈的にも重要なバンドOXIDOの幻の音源が、今回こうして無事安価で入手し易くなってスイスのメロディアス・ロックファンのみならずユーロ・メロディアス・ロックファンは歓喜している事でしょう。

念願の激レア盤リイシューというだけで嬉しいのは違い無いのですが、ちょっと残念なのは未発音源等は追加収録されていないし、元メンバーの回顧録的なライナーノーツも追加されていないオリジナル通りの9曲収録のリイシュー盤となっている点は少し寂しいですね。

さて本作の内容ですが、高値で長年CDが取引されてきた事を見てもお分かりのように、メロディアスな正統派HRチューンや、キレある縦ノリUPチューン、アコースティカルなタッチのチューン、アコギやピアノ主導のドラマティックなバラード等々、80年代メジャー・シーンを賑わしたバブリーでゴージャスなUSアリーナ・ロック作のお約束(深めのリヴァーブ処理されたサウンドがもぉ!)を守りつつ、煌びやかなシンセがアクセントに活かされた北欧HMバンドを思わすウェットな美旋律とスイスらしい透明感あるサウンドをブレンドした粒揃いなピュア・メロディアスHRサウンドが詰まった、FOREIGNER、JOURNEY等のキャッチーな80年代USメジャー・アクト達や産業ロック・バンド群がお好みな方にもお薦め出来るコンパクトにまとまったメロディアスでフックある佳曲が目白押しな一枚であります。

恐らく本人達はUSアリーナ・ロックやUS産業ロックを再現しようと試みたのでしょうが、ユーロ圏ミュージシャン故のウェットなメロディの感性とスイス人だからなのか奏でるサウンドにブルーズ臭さも弱く、英米の音楽要素が上手い具合にブレンドされて妙な臭みや癖の無い、キャッチーでクリアーな後味スッキリの洗練されたメジャー寄り80年代風AOR&メロディアスHRサウンドという奇跡的なバランスが保たれた本作のサウンドに仕上がったのだろう。

まぁ、悪く言えばお行儀が良過ぎて軽いサウンドには個性が弱く、少々洗練され過ぎてHR特有な暴力的な熱さや荒々しい抑えきれぬ勢いのような感触は薄めの小奇麗なメロディアス・サウンドに纏まっているが、その手のサウンドを演るバンドは当時から欧米インディ・シーンは言うに及ばずメジャー・シーンにも掃いて捨てる程居た訳だし、わざわざ本バンドの幻のアルバムに求めるような事でもないでしょうから、そーいう向きはそもそも本作に手を出すべきではありませんね。

John Lukeのちょっと濁りがある伸びやかなヴォーカルと分厚く爽快な抜群のコーラス・ハーモニーが織り成すキャッチーな歌メロを主軸に、クリスプなドライヴするギターとシャレオツでデジタリーな音色を軽やかに奏でるキーボード、そしてバランスを重視しつつもしっかりグルーヴするリズム隊が一丸となって甘くセンチメンタルな美旋律と瑞々しいメロディを弾ませながら駆け抜けていく、90年代初頭までユーロ圏でも持て囃されていた売れ筋のメロディアスハード・サウンドを完璧に体現しており、どうして本作のみを残して短命にバンドが終ったのか不思議でなりません。

勿論、90年代初頭に勃発したグランジーの大波がメジャーシーンを席捲し、全世界を暗黒が覆っていくのは歴史的事実なのですが、これだけメジャー寄りでポピュラリティもあり完成度も高い『コレが売れないなら何が売れるの?』ってなサウンドを鳴らすバンドが、まだバブリーな残り香がそこかしこに残る90年代初頭から、たった3、4年ももたずに解散してしまうとは…改めて流行って恐ろしい…orz

OXIDO亡き後、GUNSHYで流行に逆らうように再び華やかでキャッチーなメロディアス作を演った John Lukeは、きっとOXIDOで示した完成度高いメロディアス・サウンドが売れなかったのに納得いかなかったのか、もしくは80年代風USブライト・サウンドが本当に好きだったんでしょうねぇ…(T~T)

この手の幻の音源リイシューに付き物な事の多い板起こし音源でもありませんし、元々プロダクションもメジャー・レーベルからのリリース作品ですので高品質なのはとても有難いのですが、恐らく23年度リマスターが施されているものと思われるもののどこにもクレジットが見当たらず、もしかしたら音圧だけ上げたお手軽リマスターなのかもしれない(サウンドのハイの部分でちょっと音が濁ってる? 汗)ですが、実際本作の音に耳を傾ければクリアでシャープな今の耳で聴いても十分に耐えうるレベル(他のデジタル・リマスター作に比べ音圧は控え目だけど…)へブラッシュアップされて聴こえるので、彼等を今まで知らずに居たメロディアス愛好家な方は激レア盤である本作を是非ともチェックして欲しいですね。

爛熟の80年代黄金期が最期に放つ眩い輝きの如く、ガッチリとプロデュースされコンポーズの行き届いたブライト・サウンドと洗練された楽曲満載な、極上のメロディアスHRチューンが怒涛の如く押し寄せる本作、これだけの素晴らしい内容とあってはメロディアス・ロック愛好家は何をさて置いても入手せねばなりませんゾ♪(*´ω`*)

Tracks Listing:
01.Alley Ways
02.Lonely Winter Nights
03.Junkie
04.Long Way
05.Bad News
06.Say Goodbye
07.Baby This Night
08.Lost Love
09.Tears Fall Down

OXIDO Line-up:
John Luke   (Lead & Backing Vocals)
Tank Palmer  (Lead & Rhythm Guitars)
Pat Reilly    (Piano & Keyboards)
Mark Levin   (Bass)
Eve Roxx    (Drums & Percussion)




# by malilion | 2023-02-05 15:55 | 音楽 | Trackback

華麗なるヴァイオリン・シンフォサウンド再び!('(゚∀゚∩ SOLSTICEが新生第二弾をリリース!

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SOLSTICE 「Light Up」'23

80年代当時から高い評価を得て活動するベテランで、2020年に結成40周年を迎えた英国ネオ・プログレ&シンフォ・バンドSOLSTICEが、新編成となって初リリース作となる『Sia』'20 に続く第二弾作で7枚目のスタジオ・アルバムを3年ぶりにをリリースしたのをちょい遅れてGETしたのでご紹介。

このバンドはアルバム毎のインターバルが長く常にメンバーが流動的で、97年の3rdアルバム『Circles』から長らくフロントを務めて来た Emma Brown嬢に代わって新たに4代目フロントマンに Jess Holland嬢が前作から迎えられており、本作は珍しく(汗)前作と変わりないリーダーでギタリストの Andy Glassを筆頭にヴァイオリニスト、キーボーディストを含むいつもの6人編成な同一メンツでの制作となった模様だ。

ネオ・プログレ&シンフォ系バンドに一応カテゴライズされている本バンドだが、エモーショナルなギターを主軸に据えたエレクトリック編成のバンドが奏でるサウンドに加え、フィドルやヴィオラが奏でる優雅で甘美なストリングスの音色をフィーチャーしつつ、メランコリックな英国フォーク&ドラッド色もブレンドした軽快でアコースティカルな味わいの、YES+RENAISSANCE風な華麗にしてドラマティックなケルティック・シンフォ・ロックサウンドをアルバム毎に赴きを変えつつ響かせるスタイルをデヴュー以来堅持してきたが、本作でもソレは変っていない。

結成から40年以上経過したベテラン・バンドの鳴らすサウンドとは思えぬ程に爽快な感触と瑞々しさに輝いており、英国バンドらしい幻想的なメロディとタイトなリズム・セクションが構築する妙なテクニカルさは控えめでシンプルなバンド・アンサンブルの上を、北欧ポップスを思わせる朗らかさと透明感、そしてちょっと甘ったるい口調と朴訥でピュアな印象を感じさせる Jess Holland嬢の艶やかで清涼感ある美声が、舞い踊るように軽やかに、華やかに、伸び伸びと印象的なメロディを歌い上げ、英国バンド特有な気品ある繊細な叙情を帯びたモダンでスタイリッシュなサウンドを、その他のシンフォニック系バンドやフォーク&ドラッド系バンドと一味も二味も違う、親しみやすい雰囲気とオリジナリティ溢れる別格なレベルへと導いていて、Jess Holland嬢の歌声がバンドの新たな黄金期への扉を押し開いたのは間違いないだろう(*´ω`*)

トラッドやアコースティカルに成り過ぎる事なく、プログレらしいアグレッシブな楽曲展開やジャージィなテイストも織り込みつつ、シンプルなアレンジと静謐で美しいコーラスが描き出す美旋律の数々は正に言葉に成らぬ荘厳な美しさに溢れており、パッと聴き特に難しい事も斬新な事もしている様に聴こえぬのにも関わらず、新鮮な印象と眩い輝きを感じさせるそのセンチメンタルでエモーショナルな息吹に満ちたサウンドは、さすがかはベテランバンドの風格と英国人らしいプライドかヒシヒシと感じられ、伊達に40年以上もバンド活動を続けていないと納得させられる事しきりだ。

シンプルでメロディを第一に考えた演奏アプローチを保ちつつ、ケルティック・トラッド、ニューエイジ、フォーク、JAZZ、ポンプ、ブルーズ、カンタベリー、民族音楽、シンフォ要素等を内包した穏やかなアコースティック・サウンドと可憐なフィメール・ヴォーカル、そして控えめなキーボードが非常にメロウなサウンドを紡ぎ、艶やかなヴァイオリンの音色が絶妙な味わいと色合いを楽曲に加え、アルバム全体に引きの叙情感と仄かな寂寞感、そして木漏れ日が波打つ水面に跳ねるかの如き煌めきと瑞々しい感性、さらに絶妙なハーモニーが散りばめられ、それら全てが見事に溶け合って極上の美旋律を奏でている様は本当に優美で華麗で筆舌に尽くし難く、何故彼等が長きに渡って活動してこれたのかを雄弁に語っていると言えよう。

数多の音楽要素を意図的に奇妙に複雑に組み合わせて個性を生もうとしたり、最新のテクノロジーを活用してモダン・サウンドを構築しなくとも、特に技巧的でも真新しい楽器を導入したり聴き慣れぬ古楽器を鳴らさずとも、ミュージシャンのセンスと鍛え抜かれたアンサンブルのみで、シンプルでストレートなプレイでもここまで独創的で他で聴けぬ美旋律を奏でる事が可能なのだと彼等が証明してみせているのは本当に素晴らしいの一言だ(*´∀`*)

上品で静かな美しさを感じさせるジャケット・デザインも彼等のサウンドを上手く伝えていて実にナイスです♪ やっぱりジャケにはこだわって欲しいもんねぇ~

前作以上の美旋律の数々と Jess Holland嬢の瑞々しい軽やかな美声に本当にメロメロ(汗)でベタ褒めな始末ですが、英国的リリシズムと艶やかなヴァイオリンの音色がお好きな英国トラッド・ファンの方や、幻想的でメロディアスな英国シンフォ・サウンドがお好きな方に文句なくお薦めしたい一作であります。

Tracks Listing:
01. Light Up
02. Wongle No.9
03. Mount Ephraim
04. Run
05. Home
06. Bulbul Tarang

SOLSTICE Line-up:
Andy Glass     (Guitars、Vocals)
Jess Holland     (Vocals)
Steven McDaniel  (Keyboards)
Jenny Newman   (Fiddle、Viola)
Robin Phillips     (Bass)
Pete Hemsley   (Drums)



# by malilion | 2023-02-03 16:18 | 音楽 | Trackback