人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ベルギーのハードポップ・バンドALL I KNOWのデヴュー作がボートラを大量追加でリイシュー!!

ベルギーのハードポップ・バンドALL I KNOWのデヴュー作がボートラを大量追加でリイシュー!!_c0072376_15540990.jpgALL I KNOW 「Vanity Kills +10 ~Deluxe Edition~」'22

08年にオリジナル盤を自主制作でリリースし、完売好評を受けて同年9月に500枚限定でセルフ・リイシューして再び即完売した、本国でスマッシュ・ヒットを記録したベルギー産ツインギター4人組ハードポップ・バンドのデヴュー作が2022年Delux Editionとしてボーナス・トラックを10曲も大量に追加収録して再び1000枚限定リマスター&リイシューされたのを即GET!

Melodic Rock Recordsと契約し10年に再び1000枚限定(Beau Hillの手によりリミックスを施された音源を1曲差し替えで収録)でリイシューしたが、またまた完売しこれまで廃盤扱いで入手困難であった本作が12年ぶりに再び大量の音源を追加されてリマスター&リイシュ-されるとは、正直全く予想外でありました。

オリジナルのジャケットは白っぽいボケたビジュアル・イメージでしたが、真っ赤なルージュのキスマークがトレードマークとなっている現在の彼等のイメージに合わせ、黒めなジャケットデザインに、ショッキングピンクの文字をあしらったちょっとグラム・ロックっぽいいかがわしさを漂わすデザインへアルバム・ジャケットは変更されている。

幾度もリイシューを繰り返してきた経緯を見れば予想付くと思うのですが、80年代USアリーナ・ロック風のゴージャスでキャッチーなメロディアス・ハードポップ・サウンドは現在巷を騒がしている欧米のメロハー・バンドよりヴォーカル・オリエンテッドなスタイルなものの、若いバンドだけあってモダンなタッチやデジタリーな音像手法も躊躇なく取り込んだ、煌びやかでエッジあるギターと北欧勢にも通じるキラキラしたキーボードとウェットなヴォーカルラインが冴え渡るコンパクトな楽曲は、レンジは狭いもののカッチリと造り込まれたサウンドを鳴らしており、DEF LEPPARD、BON JOVI、POISON、WARRANT、WHITE LION、TYKETTO、Bryan Adams、REO Speedwagon等の80年代のメジャー・シーンを賑わしたアーティスト達からの影響が随所で伺え、とてもデヴュー作と思えぬ完成度の高さだ♪ (*´∀`*)

勿論、まだまだデヴュー作収録時点では歌唱力や表現力の幅の少なさや、少しアッサリし過ぎに思える楽曲アレンジ、時に音の深みが薄く安っぽく聴こえたりと、欧米シーンを賑わすメロハー・バンド等と比べて満足出来ぬポイントが散見するのですが、元はインディの自主盤であった事を考えると破格の仕上がり具合と言え、それらの危うい未完成な部分も含めて彼等の魅力になっているとも言えましょう。

ともかくアルバム本編が瞬く間に終わってしまう、怒涛の勢いと爽快感だけ残して颯爽と走り去っていく様は、新人バンドならではの潔さというか歯切れ良さで、実に気持ち良いですネ。

フレッシュな感覚の歌メロと爽快なコーラス、エネルギッシュなバックの演奏、屈託なくビートに乗って疾走するグランジーなど知らぬ存ぜぬとばかりに80年代クラッシック・ロック・フォーマットに倣ったクリアーでクリスプなサウンドは、けれど新人バンドらしく華やかでヒット性の高いポテンシャルを秘めており、そしてユーロ圏バンドらしいリリカルさやメランコリックな音使い、さらにセンチメンタルでロマンチックな美旋律もしっかりと聴かせ、単なる80年代USロックの焼き直しやパロディに成り下がらない確かなオリジナリティも感じさせる、こんなに素晴らしい音楽性なのに足掛け15年以上にもなる活動で何度かシングルをリリースしたりコンピレーション盤に新曲を提供してはいるもののフル・アルバムは本作のみというのが非常に勿体ないバンドであります。

バンドはデヴュー作リリースの後にメンバーチェンジが起き、10年頃にはキーボーディストを含むトリプルギター編成の6人組バンド(オリジナルメンバーの3人以外サポート扱いだったかも)となっていたが、現在はオリジナル・ドラマー Karel De Backerが抜け新たなドラマーに Joeri Dekyvereが迎えられ、キーボード奏者 David Poltrockとトリプル・ギターの一人 Dave Martijnが抜けてオリジナル編成当時のツインギター編成4人組となっている。

今回追加収録されたコンピ盤に提供された楽曲やアウトテイク、デモ音源等を聴くに、彼等は本来もっとシンプルでパンクっぽいストレートなビートロックを身上としているように思えるが、そこに美麗なコーラスやキーボード、そして上質なプロダクションが加わる事でカドが取れてキャッチーなハードポップっぽいサウンド化する効果が生まれるのだな、というのが本作のボートラを聴いて初めて分った事実で、ひょっとしたらLIVEではもっと勢い任せで破天荒なビートロックを日夜披露しているのかもしれませんね。

因みに自主制作オリジナル盤と10年リイシューのMelodic Rock Records盤は曲順(曲数は同じ)が変わっておりますので、オリジナル盤をお持ちの方はジャケを含めて価値ある一枚となっております。

とまれ、既述したバンドやキャッチーな80年代USアリーナ・ロックがいお好きな方なら気に入る事間違いなしなリマスター&リイシュー作でありますので、もしご興味あるようでしたらお早目に入手されることをお薦めします。

Track List:
2010 Reissue Album Ver
01. All Night Long
02. Bad Boy
03. Asphyxia
04. Rain (2010 Beau Hill Remix)
05. Turn Back Time
06. I Need You
07. Into Your Heart
08. I Wanna Rock You
09. Sweet 17
10. Teenage Queen
11. All The Way
12. Hope And Dreams

2022 Delux Edition Bonus Tracks
13. Only You (Compilation Track)
14. Consume Me (Compilation Track)
15. Running Away (Compilation Track)
16. My Time (2008 Outtake)
17. All Night Long (2007 Demo)
18. I Need You (2007 Demo)
19. Sweet 17 (Summer 2007 Demo)
20. Asphyxia (Summer 2007 Demo)
21. Make Belief (June 2007 Demo)
22. And Nothing But The Truth (June 2007 Demo)
23. Rain (2008 Original Mix)

ALL I KNOW Line-up:
Ward Dufraimont   (Lead Vocals、Guitars)
Michael Neyt     (Guitars、Backing Vocals)
Amely Mondy     (Bass)
Karel De Backer   (Drums)

Mixed By Staf Verbeeck
Recorded By Michael Neyt
Remastered By Staf Verbeeck


# by malilion | 2022-05-15 15:54 | 音楽 | Trackback

STYXファンは注目な幻の米国メロディアスHRバンドGALLEYBOYZのカセット・アルバムが、リマスター&リミックスで初CD化&限定発売!!

STYXファンは注目な幻の米国メロディアスHRバンドGALLEYBOYZのカセット・アルバムが、リマスター&リミックスで初CD化&限定発売!!_c0072376_18063592.jpgGALLEYBOYZ 「Same」'22

米国ペンシルベニア州で結成され、89年に150~300本程リリースされた数本のデモテープと90年リリースのカセット・アルバム一枚のみを残して極短期間で解散したUSメロディアスHRバンドの音源が、カセットテープのオリジナル音源に加え、リマスター音源、アルバム・セッションやバンド解散後の未発表曲やデモ、さらにボーナス・ディスクとしてアルバム収録曲の別ヴァージョンORIGINAL REFERENCE MIXも収録された豪華二枚組仕様の初CD化&限定盤でリリースされたのを即GET!

ORIGINAL REFERENCE MIXと仰々しい呼び名でクレジットされていますが、要はREFERENCEは“最適化”と言う意味で使われていると思われるので、最新のREMIX&REMASTEREDヴァージョンを格好良く言い表してるだけだと思います(汗

本バンドを語る上で避けて通れぬ人物がおりまして、CMソングやソロ・ロック・シンガーとしての活動だけでなく、ブロードウェイで上演された『Beatlemania』で Paul McCartney役で出演した Glen Burtnikは、現在もBEATLESトリビュートバンドLVERPOOLでの活動も継続中な多彩な才能を持つ米国人ソロ・アーティストで、89年頃に Glen Burtnikが再結成したアメリカン・プログレハード・バンドSTYXへフロントマン Tommy Shawの後任として加入した事が発端でGALLEYBOYZは誕生する。

80年代末、A&Mレコード所属アーティストであった Glen Burtnikのソロ・ツアーのバックバンド・メンバーだった Michael Baranski(Guitars、Backing Vocals)と Steve Schuffert(Guitars、Backing Vocals)は、Glen BurtnikがSTYXへ加入して仕事にあぶれた元マネージャーに声をかけられ新バンドを結成する事になり、Michael Baranskiと以前別のバンドで活動を共にしていた John Rongo(Guitars)と Larry Paoletta(Drums)が誘われ、専任ベーシストが居ない状態でGALLEYBOYZが結成された。

フロントマンを務める事になった Michael Baranski主導で楽曲が制作され、まずデモテープを制作した後にスタジオ入りし、当然の流れで Glen Burtnikをプロデューサーに迎え、往年のポップミュージシャン Donnie Irisが全てのアルバムを録音していたペンシルベニア州ニューブライトンのジェリーズ・レコード・スタジオでレコーディングを行うとレコード会社Carl MaduriのOceana Recordsと契約し、BMGとディストリビューション契約を交わすなど、有能マネージャーに率いられた新人バンドとして望む通りに順調な滑り出しでその後の活動は眩い希望に満ち溢れていた事だろう。

実際、1990年9月にカセット・オンリーではあるがリリースされた彼等のデヴュー・アルバムは ビルボード誌で好評を博した…までは良かったのだが、その後のバンドの方向性や、シングルカットする楽曲についてバンド結成の仕掛け人でる Glen Burtnikの元マネージャーと意見の相違が起き、両者の関係は修復不能なまでにこじれ、結果として結成から僅か数カ月でアッサリとGALLEYBOYZは解散(!?)してしまう。

メンバー3人の分厚いバッキングコーラスもタップリとフィーチャーされた、華やかな80年代路線を継承する薄っすらキーボードも導入されたコンパクトでキャッチーな楽曲は如何にも当時のヒットチャート狙いなドライン・サウンドのアメリカンHR作で、当時の新人バンド達が共通で備えていた要素をしっかり保持しつつDANGER DANGERやTRIXTERを彷彿とさせる躍動感とフレッシュな息吹に満ちており、メジャー・クラスのA級バンド作と貼り合える高品質サウンドなどと決して言えないが、デヴュー作にして充実した仕上がり具合はさすが Glen Burtnikの後ろで活動していたミュージシャン達が結成した新バンドといった所で、やはりバブリーなサウンドの80年代からグランジーの闇に覆われた90年代というシーンの節目にデヴューが重なってしまったのがマネージャーとの意見の相違を引き起こしただろう原因でしょうし、仮にマネージャーと揉めていなかったとしても恐らくデヴュー時の音楽性では長続きは困難だったでしょうから、メインストリームの変節と言うのが避けられぬ彼等の不幸だったのではないでしょうか…(´A`)

GALLEYBOYZ消滅後、Michael BaranskiはSTYXの James Youngのソロ活動バンド James Young Groupに加入して活動を共にしたり、90年代にはサポートバックアップ・シンガーとしてSTYXのツアーに参加した他にも、本作には Dennis De Young参加の未発表音源を収録するなど、Glen BurtnikだけでないSTYXメンバー達と関係の深いミュージシャンが在籍していた、STYXファンならば見逃せない幻のバンド、それがGALLEYBOYZと言えるだろう。

Michael Baranskiの相棒 Steve Schuffertは自身のバンド Steve Schuffert Bandを結成して90年代後半から00年代後半まで、毎年定期的にヨーロッパ圏をツアーしていたので、彼は彼で決してメジャー・アクト級とは言い難いがインディー活動なれどもソロ・プロジェクトを成功させたと言っていいのではないだろうか?

さて、本作のオリジナル音源である Glen Burtnikの手によるプロデュースのカッセット音源はDisc 1に収められているが、高額なバジェッドをかけて制作されたアルバムではないやテープ・フォーマットな事もあって、正直、当時流行りであったオーバー・プロデュース気味なハイクオリティ・サウンドとは言い難いものの、適度に隙間を活かした楽器の自然な鳴りとナチュラルなフィーリングが楽しめる上々のデヴュー作でありますが、やはり目玉はDisc 2に収められている最近引っ張りダコな JK Northrup(ex:KING KOBRA)が施したリマスター音源と未発音源の方でしょう。

で、リマスター音源ことORIGINAL REFERENCE MIXを施された楽曲ですが、明らかにボトムの音圧が今の耳で聴くのに耐える仕様へアップしヘヴィさが増しているのと、オリジナル盤ではミックスで後ろへ引っ込められ音量も落とされていたキーボード・サウンドがググッとアップして前に出てきており、ギター・サウンドもクリアーでクリスプに磨き直されてラウドに響き渡っている、より80年代風味の増した華やかでタイトな演奏が楽しめる音の分離が向上したサウンドへとお色直しが施された、オリジナルのテープ・フォーマットなアルバムをお持ちの方も本作を買い直しても決して損はしない豪華二枚組なのは間違いありません! ('(゚∀゚∩

まぁ、STYX関連というゲタを外して本作のサウンドに改めて耳を傾けてみると、Michael Baranskiの素直で伸びやかなヴォーカルは妙な癖もなく歌唱力も優れており大変聴き易いのですが『コレ!』というような突き抜けた個性も感じさせませんし、80年代風のアメリカンHRサウンドも特に個性的と言う訳もなく当時の華やかなシーンの中にあっては埋没してしまうだろう強力な武器を持たぬオーソドックス過ぎるキャッチーなUSロックサウンドと断じてしまえるので、STYX人脈に興味のない方やSTYXファンでない方には余り訴求しない、短期間で消えたのもむべなるかなな90年代初頭の悪くないけど特にメチャ良くもないB級アメリカンHRバンド作という評価に落ち着くかと思います…

デモ音源のクレジットを見るに92年頃まではメンバーは活動を共にしていた模様で、バンド解散後のセッション(再結成を画策したのか、別名義バンドかは謎)には有名バンドに参加していたミュージシャン達も参加しており、クレジットに目を通して興味を惹かれた方は本作のサウンドを一度チェックしてもいいかもしれない。

個人的にはバンド解散後の楽曲の方がキャッチーでスリリングだし Michael Baranskiの歌唱スタイルも力強さやワイルドさが増しており、デヴュー作で聴けた行儀が良過ぎて没個性な歌声になっていないので、グランジーの逆風に挫けず2ndアルバムを制作してくれていたならば、今頃名盤としてメロハー・マニアが血眼になって探し回っていたかもしれませんね…(´д⊂)

限定盤との事なので、未発音源等の掘り出し物マニアやSTYXファン、そして90年代初頭のキャッチーなアメリカンHR好きな方は早目にGETしておきましょう。

Track List:
Disc 1:
01. You Get What You Pay For
02. Nothin' To Lose
03. One Step Up
04. Fear For Your Life
05. Stand Up Fall Down
06. Rock & Roll Ain't All So Bad
07. Desperate Man
08. I Can't Live Without Your Love
09. I'll Be Alright
10. Tired of Rappin'

Disc 2:
01. You Get What You Pay For (Reference Mix)
02. Nothing To Lose (Reference Mix)
03. One Step Up (Reference Mix)
04. Fear For Your Life (Reference Mix)
05. Stand Up Fall Down (Reference Mix)
06. Rock & Roll Ain't All So Bad (Reference Mix)
07. Desperate Man (Reference Mix)
08. I'll Be Alright (Reference Mix)
09. Tired Of Rappin' (Reference Mix)

10. Fame (Previously Unreleased: Feat. Dennis De Young on Keyboards)
11. Give It What You Got (Previously Unreleased: Feat Jon Brant on Bass)
12. It's My Dream (Previously Unreleased)
13. Hungry (1992 Home Demo)
14. Goodbye, Love (1992 Home Demo)
15. What's This World Comin' To (1992 Home Demo)
16. Out Of The Cage (1992 Home Demo)
17. Standing On The Edge (1993 Studio Demo)
18. Without You, Without Me (2003 Unreleased Track)
19. Let's Get it Started (2011 Studio Demo)

GALLEYBOYZ Line-up:
Michael Baranski  (Lead Vocals、Guitars、Backing Vocals)
Steve Schuffert  (Guitars、Slide Guitar、Backing Vocals、Lead Vocals on I Can't Live Without Your Love)
John Rongo    (Guitars、Backing Vocals、Co-Lead Vocal on One Step Up)
Larry Paoletta   (Drums、Keyboards & Sound Effects on Tired Of Rappin')

with:
James Byers   /Bass
Kevin Mazey   /Keyboards
Jim Moran    /Keyboards

Extra Musicians:
“Give It What You Got”
Michael Baranski       (Lead Vocals、Guitars、Backing Vocals)
Jon Brant:from CHEEP TRICK (Bass)
Jimmy Clark:from Joan Jett  (Drums)

“Fame & It's My Dream”
Michael Baranski       (Lead Vocals、Guitars、Backing Vocals)
Bob Lizik:from Brian Wilson  (Bass)
Jim Hines           (Drums)
Dennis De Young:from STYX (Keyboards on Fame)

Home Demo:
Michael Baranski       (Lead Vocals、Guitars、Bass、Drum Programming、Backing Vocals)
Steve Schuffert        (Guitars、Backing Vocals)


# by malilion | 2022-05-14 18:06 | 音楽 | Trackback

元KANSAS&CCM系米国人シンガー John Elefanteが久々に5thソロアルバムをリリース!!

元KANSAS&CCM系米国人シンガー John Elefanteが久々に5thソロアルバムをリリース!!_c0072376_18103524.jpg

JOHN ELEFANTE 「The Amazing Grace」'22

元KANSASの二代目ヴォーカリスト John Elefanteが9年振り5枚目となるソロアルバムをリリースしたのをご紹介。

1981年に Steve Walshの後任シンガーとしてUSプログレ・ハードの雄 KANSASに加入し『Vinyl Confessions』'82『Drastic Neasures』'83 の2枚のアルバムに参加した後、バンド解散後はCCM系アーティストとしてのソロ活動と平行して兄 Dino Elefanteとタッグを組んだクリスチャン・メロハー・スタジオプロジェクトMASTEDONでアルバムを発表する傍ら、数多くのクリスチャン系アーティストの作品やCCM系プロジェクトに参加したりCCM系新人バンドの発掘やサントラ作品への参加、作詞作曲及びプロデュース等を手掛けたりと、KANSAS以降は主に兄弟でCCM系の裏方メインに多面的な活動をしていた彼ですが、David Ragsdaleと Rich WilliamsのKANSASメンバーやCCM系アーティストを多数ゲストに迎えた前作『On My Way To The Sun』'13 以来となる本作でも、引き続き Dino Elefanteと組まず(もう高齢だしネ)にアルバムを制作している。

本作のジャケット・デザインを見てまず驚かされたのが、まるで今流行りのシンセウェイブ・アーティストの一連のアルバムのように80年代を強く意識したレトロなデジタル風デザインだったので『まさか John Elefanteがシンセウェイブ作を!? いやいや、CCM系ミュージシャンは売れてるジャンルのサウンドならなんでも取り込むから、もしかして…』と、一抹の不安と期待を胸に新譜のサウンドに耳を傾けましたが、蓋を開けてみればなんの事は無いこれまでと同じく彼の素晴らしいヴォーカルをメインに据えた楽曲が堪能出来るアルバムで一安心だ(゚∀゚)

常に爽快で甘く伸びやかな歌声と美麗なハーモニー・コーラスを披露して来た John Elefante、意図的にそれまで封じていた自身が在籍していた頃の80年代KANSAS風サウンドを要所で聴かせて往年のファンを前作で歓喜させた訳だが、久しぶりとなる本作でも従来通りたヴォーカル・オリエンテッドな作風を基軸にしつつ80年代フレーバー香るAOR&USメロディアスHRサウンドっぽさも匂わせながら、期待通りに本作でもウェットなリリシズムが融合したロマンティックなKANSASを彷彿とさせるメロディや音使いを随所に散りばめ、且つキャッチーで華やかなこれまでのCCM系スタイルも踏襲した、その長く確かなキャリアに相応しい幅広く深い音楽的要素を感じさせる穏やかでメロディアスな美旋律の数々に彩られた楽曲が最初っから最後までタップリと堪能出来る素晴らしい一作であります。

ヴァイオリンをフィーチャーした楽曲は完全に“狙ってる”KANSASサウンドなので、80年代KANSASファンなら間違いなく本作を入手しておきましょう、ホントにこっちが聴かせて欲しいと思う往年のKANSASサウンドをそのまま届けてくれて、感謝感激雨アラレなんですわぁ♪

彼のヴォーカル・スキルが如何に優れているのか、卓越した多彩な表現力を今更語る必要もあるまいが、KANSASやMASTEDON、そして一連のCCM系での仕事やソロ活動で培った豊かな音楽性が、高品質なプロダクションと気の利いたアレンジメント、そして歌詞と表現力によって綴られ、前作同様に初期のソロ作よりもAORやクリスチャン・ロック色を幾らか控え目にした楽曲は、コンパクトでキャッチーなUSメロディアス・ロックや80年代KANSASを感じさせるメランコリックでリリカルな美旋律を交えて構成されており、この手のジャンルでよく聴けるありふれたソングライティングや陳腐なAOR作のような定型化した楽曲は見当たらぬ、John Elefanteのミュージシャンとしての揺るがぬ信念と素晴らしい才能がハッキリと示されている作品と言えましょう。

英国メロハー・レーベルとして有名なESCAPE MUSIC移籍第1弾となる本作は、MASTEDONのメンバーでもある元WHITE HEATの Anthony Sallee(Bass)の他、テネシー州ナッシュビルを中心に活動するクリスチャン・セッション・ミュージシャンでカントリー、ポップ、ロックと幅広い作品にその名を見る事が出来るベテラン・ギタリストでギター・クリニックも手掛ける Dave Cleveland(Guitars)、Michael McDonald、Kenny Loggins、Amy Grant、The Neville Brothers、Nick Jonas等々の有名アーティスト作のレコーディングに参加している凄腕セッション・ドラマー Dan Needham(Drums)、そして無名ながら John Elefanteと本作で数多くの楽曲を共作しているギタリストの Frank Boxberger(Guitars)の4人を基本として楽曲により関連人脈ゲストを迎え制作されており、CCM系レーベルからのリリースではない事からも察せられるように『ジーザス、ジーザス』一辺倒な典型的なCCM系ソングが詰まったアルバムではないのでその手が苦手な方にも訴求するだろう所謂普通のポップでキャッチーなメロディアス・ロック作でありますから、歌の上手くしっかりとしたプロダクションの施されたヴォーカル・オリエンテッドなアルバムがお好みな方は是非一度本作をチェックしてみて下さい。

まぁ、確かに他の一般作と比べれば宗教臭いしジーザスと直接表現してないだけで、CCM系な表現はかなり目につくけど普段と比べて幾らか表現が弱まっていて一般作に近づいてる、って意味で一辺倒じゃないから…(汗

因みにアメリカ・オリジナル盤は手書きナンバリングのポストカード付き、1000枚限定のLimited Editionが存在しますので、彼のダイハードなファンの方はそちらの方のチェックもお忘れなく。

Track List:
01. City Of Grace
02. Stronger Now
03. The Amazing Grace
04. Time Machine
05. Won't Fade Away
06. Not alone
07. Falling Into Place
08. We will Be Fine
09. Little Brown Book
10. And When I'm Gone
11. City Of Grace (Long Version)
12. Not Alone (Acoustic Version)

Musiciens:
John Elefante    (Lead & Background Vocals、Guitars、Keyboards)
Dave Cleveland   (Guitars、Acoustic Guitars)
Anthony Sallee   (Bass)
Dan Needham   (Drums)
Frank Boxberger   (Guitars、Executive Producer)

Guest Musiciens:
Jimmy Nichols   (Piano)
Chris Carmichael  (Strings & String Arrangements)

Produced & Engineered By John Elefante


# by malilion | 2022-05-13 18:10 | 音楽 | Trackback

長らくB級に甘んじたベテラン北欧メロパワ・バンドDREAMTALEが、遂にA級への足がかりを得て大躍進作をリリース!!

長らくB級に甘んじたベテラン北欧メロパワ・バンドDREAMTALEが、遂にA級への足がかりを得て大躍進作をリリース!!_c0072376_17535007.jpgDREAMTALE 「Everlasting Flame」'22

HELLOWEENを源流に北欧で発展してきたSTRATOVARIUS & SONATA ARCTICA直系バンドである北欧フィンランド産メロパワ・バンドが前作『Seventhian... Memories Of Time』'16 から6年ぶりとなる通算8枚目のフル・アルバムを久々にリリースしたのを少々遅れてご紹介。

ちょっと待って見たのですが本自主制作盤は未だに国内盤リリースのインフォを見かけず、とうとうSONATA ARCTICA直系バンドという北欧メロパワ・カテゴリーな神通力が切れて(本家SONATAの人気が凋落してはネ…)しまったのか、デヴュー以来長らく国内盤がリリースされて来たが遂にその記録も途切れてしまった模様だ…前作でも危惧していたけれど現実になると悲しいですね…orz

1999年に結成され Rami Keranenががヴォーカルも兼ねていたデモCDの頃から数えて23年以上のキャリアを持つ彼等は、デビュ作ーから4thまで毎作シンガーが異なるなどアルバム毎に顔触れが変わるメンバーチェンジの激し過ぎたバンドだったものの前作までは比較的メンツが安定した布陣で順調な活動が続いていたが、長いインターバルを経てリリースされた本作は案の定と言うか又なのかと溜息が漏れると言うか、リーダーでギタリストの Rami Keranenと4th『PHOENIX』から加入のキーボーディスト Akseli Kaasalainenのみが残留で、その他のパートを総入れ替え(涙)した男女ツイン・ヴォーカル7人編成へ大幅に姿を変え本作は制作されている。

Erkki Seppanenに代わって加入の注目の新フロントマンだが、Taage Laiho率いる北欧フィンランド産メロパワ・バンドMAD HATTER'S DENにその Taage Laihoの後任として加入した Jarno Vitri(MAD HATTER'S DENではVocalとBassを兼任)と、初期BATTLE BEASTのフィメール・シンガー Nitte Valo嬢の男女ツイン・フロントマン体制となっており、Jarno Vitriの声質は2ndアルバム『Ocean's Heart』のシンガー Tomi Viiltolaに似た歌声なので違和感が無く、前任者 Rami Keranenとも良く似た歌声を披露(ヴォーカル・スキルはさすがに及ばず、ちょっと素人臭い)していて、従来のDREAMTALEの世界観にアジャストする線の細いハイトーンが得意という如何にもなB級感を醸し出しており、言われなければフロントマンがチェンジした事に気づかない人も居るかもしれない。

さて、大幅なメンバーチェンジを経てリリースされた本作のサウンドは、前作と同一路線の北欧バンドならではの叙情性と疾走感を湛えたメロディアスでノスタルジックな美旋律がシンフォニックに鳴り響くユーロピアンHMサウンドを余すところなく披露していて、デジタリーでモダンなキーボードの音色、インスピレーションに満ちたヴァイキング風の勇壮な雰囲気、そして伝統的なパワー・メタルの源流であるジャーマン系HM的なスピードとタイトでヘヴィなサウンドがバランス良くMIXされた楽曲は、デビュー以来変わらぬマイナーな臭気を放ちまくるB級メロパワ・サウンドな音楽的方向性をベースにしつつも遂にマイナー路線を脱却し、男女ツイン・ヴォーカルを大々的にフィーチャー…いや、正直ヴォーカル・スキルは Jarno Vitriに勝っているし声の種類の多彩さや通り具合的に Tomi Viiltola嬢のフィーチャー具合の方が大きく感じられる初期DARK MOORやNIGHTWISHへ大接近した壮大なスケール感を感じさせるシンフォニックHMサウンドへと大きく様変わりしていて驚かされました。

B級マイナーの壁を打ち破る方法としてNIGHTWISH化するのが最近のマイナー・メロパワ・バンドの流行りなのか、CARDIANTに続いてまさかDREAMTALEも同じ道を辿るとは驚きですが、それだけユーロ圏でNIGHTWISH形態の男女ツイン・ヴォーカルHMバンドがウケているからなのでしょうね……遂にB級の壁を打ち破ったはいいものの、代償に没個性化してしまうとは痛し痒しですが、バンドがこのままマイナーの闇に沈んで消えてしまうよりは没個性化してでも生き残って欲しい、というのがファンの偽らざる心境でありましょう…でもなぁ…(´д⊂)

これぞまさにメロ・パワという高速ダブルドラム、スリリングでトリッキーなギター・リフ、ブンブン唸るベースが刻むタイトなリズム進行、キャッチーな高鳴るサビは大合唱必至、煌びやかでシンフォニックなシンセワークは充実の一言、いつも通り身を捩る程(笑)に大好きな大仰に盛り上がり畳みかけ疾走する楽曲、とデヴュー以来DREAMTALEを構成する要素はそのままに、相変わらずHELLOWEENやGAMMA RAYっぽいフレーズや歌メロ、STRATOVARIUSっぽいコーラス、SONATA ARCTICAっぽいキーボードとギターのユニゾンや高速ソロなど散見するものの見事に全てを自分のカラーに染め上げているので妙なフォロワー臭さが無いのはさすがはベテランのアレンジ力と言え、疾走するツーバス・ドコドコをトレードマークに何もかもを北欧メロディック・パワーメタル・サウンドへと昇華せしめているのは見事の一言に尽きるだろう。

アルバムの構成も見事で、スピーディなメロ・パワ曲は当然の事として、ポップでキャッチーな歌メロやオペラティックなシンフォニック・パートも素晴らしく、ダークで勇壮なケルティック・フレーズ、フォーク調で繊細なアコースティック・パートと次々に現れるサウンドは本当に幅広い表情を持ち、バラエティ豊かなテンポとメロディで彩られたエネルギッシュに奏でられる楽曲の数々は、ベテランならではのソングライティング力が隅々に活かされており、十四曲という多目な曲数のアルバムにも関わらず何度も繰り返し聴きたくなる、それでも少しも飽きが来ない、という素晴らしい仕上がり具合のアルバムだ。

キーボーディスト Akseli Kaasalainenも頑張ってあの手この手で耳に残る魅力的なメロディを奏で、リフにメロディにソロにと Rami Keranenも頑張ってギターを掻きむしっているが、どうしたって華やかな男女ツイン・ヴォーカルの分厚いコーラスや爽快なハーモニーに隠れてしまって、今までよりバックの演奏の印象が薄まったように思えるのがちょっと意外でしたが、そこはさすがに何を今回押し出すべきか、リスナーが何に一番注目しているか、を考慮してのバランス取りをしたのでしょう。きっと。

その男女ツイン・ヴォーカルもまだ練度不足なのか、ヴォーカル・レンジがお互いかなりの音域でかぶっているからか、もう一つ差異を巧く活かしきれていないように思える箇所もあるもののコレは時間が何れ解決してくれると信じております。次作でも同じバンド編成なら、ね…(汗

以前から問題に上げていたプロダクションも今回は大きな問題は無く、BATTLE BEASTやBEAST IN BLACK、初期DARK MOORやNIGHTWISHのようなバンドを好む主流派リスナーだけでなく、HELLOWEENやGAMMA RAY等の伝統的なパワー・メタルのファンや、STRATOVARIUSやSONATA ARCTICA等の北欧メロディアスHMを好むファンにも間違いなく訴求するだろう本作は、惜しむらくは没個性化してしまった事と『コレ!』というキラー・チューンが収録されていない(涙)のを除けばケチのつけ所がないA級未満な極上のB級HMアルバムと言えるだろう。

お約束の典型的なメロ・パワ曲やシンフォニックでスピーディな曲以外にも、珍しい所ではフィンランド語の歌詞がついたKORPIKLAANI風の『Tanhupullo』や『Lady Dragon』は『Phoenix』'09 に収録された佳曲で、本作ではバラードへとアレンジし直されて収録されており、さらに19年に最新ラインナップが発表され先行シングルとしてリリースされた『Sleeping Beauty』の改訂版も収録と、それ以外にも Tomi Viiltola嬢のハードなだけでなくドリーミィで透明感ある女性的な美声もフィーチャーした楽曲も数多く収録されている充実作なので、これまでB級マイナーでイマイチぱっとしない凡庸なメタル・バンドだとDREAMTALEを評していた方にこそ、本作を一度チェックして欲しいですね。

没個性ではあるけれど、こんなに完成度の高いアルバムがどうして国内盤未発売なのか…古臭いと言えば古臭い要素はあるけれど、ヘッポコ新人メロハー・バンドを青田買いするくらいなら本作のような充実作をリリースして欲しいものです…(´A`)

Track list
01. King Of Kings
02. Blood Of The Morning Star
03. Last Goodbyes
04. Ghostride
05. Immortal Souls
06. No Shadows Goes Too Far
07. Summer Rose
08. The Glory
09. Eye For An Eye
10. Lady Dragon (2022 Version)
11. Silent Scream
12. Tanhupullo
13. Sleeping Beauty (2022 Version)
14. Pirates' lullaby

DREAMTALE Line-up:
Rami Keranen     (Guitars)
Akseli Kaasalainen  (Keyboards)
Jarno Vitri       (Vocals)
Nitte Valo       (Vocals)
Zsolt Szilagyi     (Guitars)
Mikko Hepo-Oja    (Bass)
Arto Pitkanen     (Drums)


# by malilion | 2022-05-06 17:53 | 音楽 | Trackback

フュージョン寄りなアメリカン・プログ・バンドVAST CONDUITのデヴュー作がリリース!

フュージョン寄りなアメリカン・プログ・バンドVAST CONDUITのデヴュー作がリリース!_c0072376_17033283.jpgVAST CONDUIT 「Always Be There」'22

USシンフォ・メタル・バンドENCHANTやUSプログ・メタル・バンドTHOUGHT CHAMBERのキーボーディスト Bill Jenkinsが新たに立ち上げたヴァイオリン入り6人組USカリフォルニア産新プログ・フュージョン・バンドのデヴュー作をご紹介。

そもそもこのバンド、当初はEPプロジェクトとしてスタートし、フィメール・ヴォーカルをフィーチャーした3曲のデモ・ヴォーカルのレコーディングを数年前に開始したのが事の起こりであったらしい。

ご存じのように全世界をパンデミックが襲い、ショービジネスに携わる人達に予想外の空白期間と休止時期が訪れ、その結果として当初のEP予定がフルアルバムのバンド作へと発展する事になった模様だ。

バンドはリーダーでキーボーディストの Bill Jenkins (ENCHANT、THOUGHT CHAMBER)を中心に、ギタリストに Michael Harris(ARCH RIVAL、THOUGHT CHAMBER、DARKOLOGY、Michael Harris TRANZ-FUSION、etc...)、ベーシストにベテラン Jeff Plant(THOUGHT CHAMBER、etc...)、ドラマーにトリップホップ系の Will Jenkins(GHOST AND THE CITY、GREAT WALL)、バイオリニストにJAZZ、フュージョン系の Jim Hurley(BLACKMORE'S NIGHTのサポートメンバー、NIGHT HAVEST、ANCIENT FUTURE)、そして無名ながら透明感があり多彩な感情を表現するヴォーカリオスト Frielという才能あふれるメンバー達で構成されており、ゲストに Bert Lams(CALIFORNIA GUITAR TRIO)がアコースティツク・ギターで、Bill Jenkinsの弟の Tom Abrairaがトランペットでそれぞれ参加し、Manon Roem女史(オリジナル・デモのヴォーカル)と Betsy Walter女史がバッキング・ヴォーカルで参加している。

メンツだけ見るとTHOUGHT CHAMBERの派生バンドのように思えるが、本作のサウンドにはメタル要素は薄く、所謂シンフォ系やプログレ系とも大きく隔たりのあるJAZZ&フュージョン系サウンドなので、本体バンドENCHANTやTHOUGHT CHAMBERのサウンドを予想してプログHMファンな方が本作をお求めになるのは避けた方が宜しいだろう。

逆にTHOUGHT CHAMBERの2ndで聴けたJAZZっぽいフィーリングやモダンでフリーフォームなキーボードの音使いが気に入った方などは、本作ではその方向性が大きくクローズアップされていると言えるので是非一度本作をチェックしてみて欲しい。

構成メンツを見ても一筋縄でいかぬハイレベルなサウンドを構築するだろう事は容易く予想がつくと思うが、ギタリスト Michael Harrisが本作のサウンドを指して『Smooth Progressive Rock』と呼称しており、おおよそ一般的に言われるプログレ・サウンドとは隔たりのあるジャズ&フュージョン要素を持つ精緻でストレートアヘッドなタッチが楽しめる複合形態音楽で、FLOWER KINGSやSPOCK'S BEARD風のキーボード主導なプログレッシヴ・ロック的要素もあるが決してメインではなく、JAZZやフュージョン、ファンク、そしてTOTOを思わすAOR風のアーバンテイストも垣間見せつつ、リズミックでシャープなギターと艶やかで甘美なヴァイオリンの音色、そしてJAZZ&ファンクをベースに安定したボトムを築くリズム隊と各プレイヤーの技巧を重点に置いたハード・フュージョン風なサウンドが楽しめる非常にインテリジェンス香るスムースでモダンなアルバムだ。

Bill Jenkinsの軽やかなシンセを中心とした煌びやかなオーケストレーションやクラシカルで気品あるピアノなど美しく且つ技巧の凝らされた鍵盤サウンドを主軸に、Jeff Plantとのファンキーで図太いフレットレス・ベースと手数が多くグルーヴィな Will Jenkinsのドラムがソリッドなリズムとテクニカルな変拍子を難なくこなして自然なフィールでボトムを固め、時に繊細で時に壮大な音色を紡ぐ Michael Harrisのギターと Jim Hurleyの優美で華麗なヴァイオリンをフィーチャーしながら、巧みにJAZZ&フュージョン要素や Frielとフィメール・シンガー達のクリアーで軽やかなコーラスも織り交ぜつつ、ニューヨークのモダン・プログレ・バンド IZZを彷彿とさせるポップさも匂わせ、最新アップデートされたMAHAVISHNU ORCHESTRAの様に美しいアンサンブルを響かせながら一気に駆け抜けていく様は痛快で、正直 Bill Jenkinsが新たに立ち上げたUSフュージョン・バンドというインフォにそんなに期待していなかっただけにコレは完全に予想外の素晴らしい出来映えで驚かされました。

音楽形態的にヴォーカル・パートが少ないのは致し方が無いのだが、甘い声質でクリアーで伸びやかな歌声を聴かせる Frielのパフォーマンスをもう少しフィーチャーしてもよかったのではないか、と勿体なく思えてしまう、そんな点しか不満点が見当たらない完成度の高い一作であります。

Bill Jenkinsが語る所によると『本作のメイン・コンセプトは全ての親子関係についてで、死、離婚、病気、自己中心的な考えなど、様々な状況における苦しみがあるが、それらは幸福にとって非常に重要な要素であり、互いを支え合い、より良い人生を送るための一瞬一瞬が貴重なのだ、という事を本作では訴えかけている』

『本作の発売日が自身の父親が亡くなってから四十年目の記念日であり、その事が本作中の楽曲で表現されている人生と哲学の道筋を動かす切っ掛けとなり、本作の楽曲の殆どの基本的アイディアは何年も前から存在していて、今回遂にそれを実現した』という事らしい。

親子関係以外にも現代社会の生き方や、世界を襲ったパンデミック、厄介な時代に人々が何をするかについても語っており、この辺りの内省的な歌詞のテーマは典型的なプログレ系アーティストならではだろう。

既に次作に向けて作曲作業は進んでおり、セカンド・アルバムをリリースしたらフォローアップのツアーも予定しているとの事なので続報を待ちたい。

JAZZ&フュージョン系のプログ・サウンドと聞くと取っつきにくく感じるだろうが、思いの他にキャッチーで音数も少なくすんなり耳に入ってくるサウンドは美しく華麗な響きに満ちており、ENCHANTやTHOUGHT CHAMBERの名に釣られて来た典型的プログレ系サウンド好きな方にとっては“当てが外れた”アルバムかもしれないが、意外に味わい深く心地よい聴き易いサウンドなのでご興味あるようなら是非一度チェックしてみて欲しいですね。

Tracks Listing
01. Barrier
02. Soul Tuck
03. Always Be There
04. Endless Days
05. Too Busy
06. Odessa
07. 500 Miles
08. Philly Etymology
09. Early Eclipse
10. Of A Feather
11. Wesley Save Us

VAST CONDUIT Line-Up:
Bill Jenkins    (Keyboards:NCHANT、THOUGHT CHAMBER、etc...)
Will Jenkins    (Drums:HOST AND THE CITY、GREAT WALL)
Michael Harris   (Guitars:ARCH RIVAL、THOUGHT CHAMBER、DARKOLOGY、Michael Harris TRANZ-FUSION、etc...)
Jeff Plant     (Bass:THOUGHT CHAMBER、etc...)
Friel        (Vocals)
Jim Hurley     (Violin:NIGHT HAVEST、ANCIENT FUTURE、etc...)

With:
Tom Abraira     Trumpet on Track 08
Bert Lams      Acoustic Guitar on Track 09
Manon Roem     Vocals on Track 01
Betsy Walter     Vocals on track 09




# by malilion | 2022-04-29 17:04 | 音楽 | Trackback