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イタリアン・プログHMの雄 DGMが自ら頂点を極めたと豪語する11thアルバムをリリース!!

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DGM 「Life」'23

今やイタリアを代表するプログレッシヴHMバンドと言っても過言ではない、活動歴27年を超えるキーボード入り5人組ベテラン・バンド DGMの前作『Tragic Separation』'20 以来約3年ぶりに去年末にリリースされた、Frontiers Music Srl 移籍後3作目で通算11枚目(EP、LIVE含まず)となるフルアルバムを少々遅れてGETしたのでご紹介。

1994年にイタリアのローマで結成され、4曲入りデヴューEP『Random Access Zone』を1996年に自主制作盤でリリースした当時はDREAM THEATERの2nd当時の音楽性にイングヴィ風なネオクラ早弾きギターが絡むマイナーで垢抜けぬユーロ・プログHMを演っていた彼等だが、アルバム枚数を重ねる毎に進化を加速させ、同時に度重なるメンバーチェンジも繰り返し、遂にはオリジナル・メンバーが誰一人として居なくなった新生DGM(バンド名はオリジナル・メンバーの名前の頭文字だった)へと成るに至っては、デヴュー当時の音楽性から遥か彼方な数段上のレベルへと到達し、キャッチーでフックあるメロディアスさとプログレらしいテクニカルさ、そしてインテリジェンスの全てを兼ね添え高次元で融合した、抜群のポテンシャルを誇るイタリア最高峰であるだけでなくワールドワイドなプログレッシヴHMシーンにおいても屈指の実力派へと生まれ変わっていたのはファンなら良くご存じな事と思う。

事前情報で本作収録曲は、パンデミックのロックダウン中に新生DGMの中心人物でギタリストのみならず今やプロデューサーやエンジニアとして同郷バンドのアルバム制作への協力をはじめ多方面で活躍する奇才 Simone Mularoniが約2年間かけ書き上げた膨大なマテリアルの中から厳選を重ね選ばれた楽曲で、当初は1枚はヘヴィ、もう1枚はメロディアスな作風曲を集めた2枚組アルバムになる構想もあったがレーベルと協議の結果ヘヴィ寄りな曲を中心に集めたアルバムが本作『Life』と伝わっていた訳だが、蓋を開けてみると従来作で聴けたサウンド以上に殊更にヘヴィと言う事もなく、プログレッシヴ・マインドを保ちつつもパワー・メタルのみならずAORやメロハー要素など幅広い音楽性も加味した、メタリックなオーガニック・サウンドな上に十分バランスも考慮されたキャッチーで美旋律満載な楽曲の隅々までコンポーズが行き届いた高品質アルバムで、インフォを見て感じていた不安が杞憂に終って何よりでありました。

本作の作曲からプロデュース、ミックス、マスタリングに至るまで八面六臂の活躍を見せている Simone Mularoniが語る所によると『このニュー・アルバムは、正にDGMの音楽を形成してきたあらゆる要素の集合体だ。我々は何年もの間、従来のプログ・メタルのテクニカルな部分よりも楽曲のクオリティに益々フォーカスし、各曲のアレンジに全力を注ぎ込み、その細部にまで気を配って来た。このアルバムは、我々のソングライティングのピークであると強く信じている』

また『私達は同じパターンを繰り返すのにウンザリしている。『life』というアルバムで、インスピレーションという意味では一先ず終わりを迎えたと実感している』とも語っていて、今までの路線のサウンドは本作までで、次回作からは大きく趣を変えた、アプローチの変化した斬新なサウンドを披露してくれそうで期待が高まります。

尚、収録されなかったメロディアス寄りな楽曲も殆ど完成している模様で、本作収録の『Eve』なるインストゥルメンタル・ソングが『次作ではこういうスタイルになるだろうというヒントだ』とも述べている事から、思いの他に次なるアルバムは早く届けられる事になるかも?

さて、ソングライティングのピークと言わしめる本作の仕上がり具合ですが、デヴュー以来メンバーチェンジが絶えなかった彼等がフロントマンを Titta Tani (ex:ABSTRACTA、ex:GLORY HUNTER)から Marco Basile (前作まで Mark Basile名義。ex:B.R.E.A.K、ex:MINDE KEY)へ7th『frame』'09 でチェンジしてからは安定期に入ったのかそれまでが嘘のように5枚同じメンツでアルバム制作に及ぶなど、14年に及ぶ固定メンバーでの活動が鉄壁のアンサンブルやステージでの絶妙な〝阿吽の呼吸”を生み出しているのは想像に難くなく、メロディアスさとインテリジェンスを兼ね備えたユーロ・プログHMらしい技巧的で緊張感漲るフレットワークが織り成す印象的なテクニカル・パッセージ、エモーショナルでフックある魅惑的なヴォーカルと爽快で高揚感あるアンセミックなコーラス等、これまで築き上げて来た〝彼等のアルバムに期待されるDGMのトレードマーク”をほぼ全てキッチリと踏襲し、さらに磨きを掛けてモダンにコンパクトに洗練された圧巻のイタリアン・プログレッシヴ・メタル・サウンドが耳を捕らえて放さない!

前作『Tragic Separation』'20 の紹介の時にも述べましたが、テクニカルでメロディアスでヘヴィでグルーヴィでコンパクト、オマケに歌メロもキャッチーというトンでもない欲張り構成な攻守隙無い殆ど完璧に近いモダン・ユーロ・プログHMサウンドを既に具現化していた彼等、『流石にもうこれ以上は無理なんじゃないか、次作では路線変更かな?』という勝手な予想を覆す、同一路線ながらもプロダクション・バリューの向上と楽曲の洗練により更なる高みへ昇り詰めリスナーを歓喜させるハイクオリティな楽曲満載の大傑作をこうして届けてくれるとは、本当に感無量であります (゚∀゚) ♪

表に裏に巧みに華麗な音色を響かせキーボードを操る Emanuele Casaliと時に火花散らすスリリングなデュエルを演じ、電光石火の高速ユニゾンを奏でる Simone Mularoniの変幻自在なギター・ワークは唖然とする程に抜群で、耳を惹く官能的なイントロ、グルーヴィで魅力的なリフ、狂気のメロディック・シュレッドが楽曲に多彩な表情を与え、上から下まで良く動くメロディアスでタイトなベースを刻む Andrea Arcangeliと Fabio Costantinoが豊かな表現力とソリッドなドラミングで屋台骨をしっかり支え、お得意の変拍子や高速バスドラも交えて熱烈に楽曲をキックし、そんな緻密なソングライティングとテクニカルな表現も相まって際立った楽曲展開と絶妙なアレンジ、そして高揚させるメッセージや感情がふんだんに盛り込まれた熟練のミュージシャン達が奏でるパワフルなインストゥルメンタル・セクションを嵐の夜の操舵手が如く完全に掌握し支配するのはシンガー Marco Basileのクリーンでありながらパワフル、上から下まで全てカヴァーする圧倒的な表現力と伸びやかでソウルフルな歌声で、彼の傑出した高らかに歌い上げるヴォーカル・パフォーマンス無くして極上のメロディとハーモニーを織り成すDGMの美旋律が強烈に煌めく楽曲の数々は完成しえないだろう。

世界を見渡せば他にも彼等と同じ様に、パワー・メタル、プログレッシヴ・メタル、メロハー、AOR等の様々な音楽要素を組み合わせ、高い技術力とアーティスティックな感性、そして素晴らしい音楽性を体現したバンドが、インディ、メジャー問わず数多く存在するが、DGMの楽曲はプログレの命題でありカジュアルなリスナーに拒否反応を生みかねないテクニカルさやインテリジェンスを垣間見せつつも決して複雑さや小難しさが鼻に付かず、圧倒的に判り易く、ポジティブで親しみ易いのは、バンドを率いる Simone Mularoniのセンスの高さは無論の事、やはり何を置いても Marco Basileの巧みで印象的な歌メロがリスナーの耳を容易く捉えるのと、終始キャッチーでメロディアスさを重視したコンパクトな楽曲と複雑に入り組んだサウンドをサラリと聴かせてしまえる高いアレンジ力、そして並外れた構成力故に他ならず、今でもプログレ・ジャンルでカテゴライズされていると思えぬ聴き易さ抜群なその洗練されたサウンドには不思議な魅力が溢れていて、こんなに素晴らしい作品をリリースし続けている彼等が未だにマイナー・バンド扱いなのが納得いきません (#・ω・)

只、彼等はとっくの昔に自主制作盤をリリースし自由気ままに活動していれば良いインディ・バンドを卒業し、ワールドワイド・クラスでの成功を目論んでいるプロフェッショナルな音楽集団でありますので、新作『Life』をリリースしたばかりにも関わらずSpotifyの月間リスナー数の上限である2万人を下回ってしまった現実(涙)をしっかりと受け止め、直視し、何が更なる視聴者の拡大に必要なファクターであるのか、自身に何が欠けているのかを思案し、次なる展開を見据え、真剣に己が音楽を見つめ直さなければならぬ分水嶺に差し掛かっているのは確かでしょう…

EP時代から彼等を追いかけファンをしている自分からすると本作は手放しで絶賛したい作品ではありますが、売り上げや知名度の更なる拡大を考えると、どうしても音数や展開を減らした平坦な3分代のラジオフレンドリーな一般曹向けのシングルヒットが必要になってくるのかもしれませんね…

メンツが安定してから14年間、同一路線の音楽の精度と完成度を高めて来たし、本作の収録曲の大半も彼等のトレードマークである定型を踏襲しており、それがこのバンドの魅力ではあるものの進化、変化するのが存在理由の一つでもあるプログレ・バンドとして考えると、確かに新鮮な驚きという点では少々物足りなさを感じさせ若いリスナーを呼び寄せる刺激に欠けているかもとは思えますが、パワフルで堂々としたヴォーカル、高揚感抜群な大合唱の爽快コーラス、変拍子の上でテクニカルなギターとキーボ-ドがシュレッドの応酬を繰り広げる等DGMはそれらの技巧がとにかく素晴らしく、目を見張るようなモダンで完成度高い音楽性を披露している点は確実にHMファンにも訴求するポイントであり、各曲に印象的なフックをいくつも詰め込んでいる点も実に見事で、それら自分達らしいアイデンティティとアプローチを捨ててまでカジュアル層へアピールせねばならないのか、旧来のファンを切り捨てる覚悟でリスキーな賭けに挑む必要が果たしてあるのか、次なるアルバムで Simone Mularoniがその答えを示してくれるのを待ちたいと思います。

所でジャケット・デザインが近作はミステリアスな近未来的イメージを感じさせていたのに、本作では70年代古典イタリアン・プログレの巨匠達、PREMIATA FORNERIA MARCONIやBANCO DEL MUTUO SOCCORSOを彷彿とさせる物語性を連想させる洒落たデザインとなっておりちょっと驚かされたのと、遂に彼等がその内で沸き起こる変化を匂わせ始めたか、とか勝手な予想をしたりして個人的には妙に嬉しかったですね (*´ω`*)

Tracks Listing:
01. Unravel The Sorrow
02. To The Core
03. The Calling
04. Second Chance
05. Find Your Way
06. Dominate
07. Eve
08. Journey To Nowhere
09. Leave All Behind
10. Neuromancer
11. Unravel The Sorrow(Acoustic Version)

DGM Line-up:
Marco Basile    (Vocals)
Simone Mularoni  (Guitars)
Andrea Arcangeli  (Bass)
Fabio Costantino  (Drums)
Emanuele Casali  (Keyboards)

Produced by Simone Mularoni
Recorded、Mixed 、Mastered by Simone Mularoni


# by malilion | 2024-03-17 21:36 | 音楽 | Trackback

UKシンフォのベテラン PALLASにシンガー Alan Reedが復帰して9年ぶりの新作をリリース!

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PALLAS 「The Messenger - Limited Mediabook Edition -」'23

英国スコットランド北東部の都市アバディーンで1974年にRAINBOWとして結成されたが1975年にPALLAS ATHENEへ改名し、1979年頃にPALLASに成った、MARILLIONに次いでIQ、TWELFTH NIGHT、PENDRAGON等と共に英国80年代ポンプロック・ムーヴメントを代表するバンドの一つが、前スタジオ・アルバム『Wearewhoweare』'14 より9年振りとなる待望の新譜を自主リリースしたのをちょい遅れてGET!

旧音源のリマスター&新録&コンピレーション・リイシュー作である『The Edge of Time』'20、『An Alternative Arrive Alive』'21、『Fragments of The Sun』'21 や『No Sleep 'til Rotherham』'23 などのLIVE音源も含めると定期的に音源がリリースされて来たのでそんなに間隔が空いている意識は無かったが、スタジオ作となると随分久方ぶりとなる通算8枚目のアルバムを36pブックレット付のメディアブック仕様限定盤で入手したのでご紹介。

PALLASは、MARILLIONとのジョイントLIVE活動で人気を博してEMIレコードと契約を交わしたメジャー・デヴュー前後の80年代初期、2ndアルバム『The Wedge』'86 リリース後にレコード会社の内部問題に巻き込まれメジャーからドロップし殆ど解散と同じ開店休業状態になった90年代中期、古株メンバーのベーシスト Graeme Murrayとドラマー Derek Formanを中心に旧譜音源やLIVE音源等をリリースしつつ存続を維持し、長い空白期間を経てメジャー時代のメンバーでリユニオン(ドラムだけ新メンバー)して1998年に13年ぶりとなるカムバック・アルバム『Beat the Drum』をリリースした90年代後半、途中フロントマンを Alan Reedから Paul Mackieへチェンジし順調に活動を続けた00年代、RAINBOW結成当時から唯一のオリジナル・メンバーである Graeme Murrayが突如として長い沈黙期間の訪れをFacebookアカウントから伝えバンド活動が暗雲に包まれ殆ど仮死状態になった2018年、さらに全世界をパンデミックが襲い追い打ちをかけた2020年以降、そして前作から9年振りとなる復活作と、音楽性やファンの人気とは全く関係ない所で彼等はその長い活動期間と裏腹に、しばらく姿を消し、後になって復活する常に断続的なインターバル期間を挟んで紆余曲折ありながら今日までバンドを存続させて来た特異な英国バンドであります。

本作最大のトピックはなんと言っても存続が危ぶまれた中での9年振りとなる復活作な事と、80年代から2010年の脱退まで長きに渡りバンドの顔としてリードシンガーを務めてきた Alan Reedが、スタジオ作としては『The Dreams Of Men』'05 以来18年振り(!)に復帰(過去に2度脱退、3度目の再々々加入)してのスタジオ作である事だろう。

その為か東西冷戦への懸念を投げかけたメジャー・デヴュー作の『The Sentinel』'84 を意識したかの様な作風となっており、これまでもプログレ定番の幻想世界へ現実逃避する事なくシリアスで示唆に富むテーマやコンセプトの作品を一環して披露してきた彼等らしく、環境問題から再び熱を帯びた冷戦までを織り交ぜ、炎に油を注ぐ事しか成さぬ無能な指導者達が形作る現在の政治が抱える問題点などなど、現代社会の様々な問題を取り上げ我々が置かれている歪み狂った世界に対する実存的な恐怖を訴えるコンセプチュアルな作品となっており、物悲しく暗澹たる気分にさせられ絶望的な未来ばかりを予感させるアルバムなのは間違いないが、世界に何らかの脅威が迫る時、人類の破滅を警告する使者や前触れの存在を示唆する、暗闇の中で光が全て失われた訳ではない、と僅かばかりの楽観主義と微かな希望を与える聖書的な終わり方をしており、特に歌詞と音楽の両方で『XXV』'11 を強く思い起させる一作となっている。

また Alan Reedの復帰は嬉しいものの00年代直前から断続的な休止期間を挟んで長らくバンドを支えて来たドラマーの Colin Fraserが本作には参加しておらず、ドラム・パートは全てギタリストの Niall Mathewsonとキーボーディスト Ronnie Brownの手による巧みで精緻なプログラムで賄われているものの、現在のPALLASはドラムレスの4人組バンドと言う事になっているのが少々残念であります。

シンガー Paul Mackie在籍期のナイーブな叙情性も受け継ぎつつも全体的に初期作に近しい感触な事もあってここ数作で顕著だったメタリックなサウンド・テイストは弱まり、YESやPINK FLOYDを彷彿とさせる古典的シンフォ・タッチとエッヂの効いたエネルギッシュなHRタッチを巧みに組み合わせ、翳りを帯びたエモーショナルな叙情性と、ダークでドラマチックな音使い、英国らしい優美なストリングスやアコギ、ピアノのアコースティカルな音色、パワフルなロック・サウンドと内省的でクラシカルな美旋律が融合し、様々な感情を包み込むかの様な深い陰影と驚嘆に満ちたシネマティックな幻想美が絶妙なバランスで配されたPALLAS流モダン・シンフォへ回帰しており、その分厚く重ねられたギターとデジタリーなエレクトロ・サウンドが奏でるソリッドなハード・シンフォ・サウンドには往年のファン程に喜ぶだろう会心の傑作へと仕上がっている。

テーマがテーマなので聴き易く気軽に聴けるアルバムでも無いし即効性のある作品でもなく万人にお薦め出来る作風でもないが、そのイマジネイティヴで印象的なアートワークから没入感が強く、ダークでありながら高揚感があり、ロックでありながら優しさと驚きの瞬間が途切れず、非常に思慮深く雰囲気がある印象的な音楽性と素晴らしく知的で真摯なソングライティングが抜群の表現力とエモーショナルで力強い Alan Reedのヴォーカルと相まって、ベテラン・メンバー一丸となった鉄壁のアンサンブルは勿論の事、その紡がれる一音一音に心を奪われるような豊かな表現力が非常に際立った音楽ドラマを作り上げており、まるで長編映画のサントラを思わせる充実ぶりだ。

もっと分かり易いキャッチーさやコンパクトさ、プログレ系定番の派手なインタープレイなどが有ればより〝売れる”一般層にも訴求するアルバムになっただろうに、解散に瀕した事や直近で遭遇したパンデミックの悲惨さ、そしてショービジネスの脆さ儚さ、更にメジャー・デヴュー当時より確実に世界情勢が悪化の一途を辿っているのが影響し、恐らく残り少ないのを自覚している活動時間を鑑みて商業的プレッシャーから解放されている自主制作環境も合わさって本当に自分達が伝えたかった題材と表現方法を選択した故の本作のダークで陰鬱なシリアス過ぎる内容なのだろう…

忠実に彼等を支え続けて来たファンは無論の事、00年代以降のモダン・UKシンフォ作がお好みの方や、ダークでミステリアスなUKハード・シンフォ作がお好みの方なんかにも是非一度チェックしてみて欲しい、エモーショナルで伸びやかなヴォーカル、重厚でシネマチックなキーボード、印象的でメロディアスなギター、絶妙なアンサンブルと打ち込みとは思えぬ多彩でソリッドなリズム・セクションが織り成すサウンド・タペストリーは見事の一言に尽き、バンドの長い歴史とその名に違わず聴く者の心を惹きつけざるを得ないモダン・シンフォ・ファンが求めるモノを全て備えた彼等のキャリアの中でも最高のアルバムなのは間違いない。

Tracks Listing:
01.Sign Of The Times
02.The Great Attractor
03.Fever Pitch
04.Heavy Air
05.The Nine
06.The Messenger

PALLAS Line-up:
Alan Reed     (Lead & Backing Vocals)
Graeme Murray   (Bass、Taurus Bass Pedals、12 String Guitar、Vocals)
Niall Mathewson  (Guitars、Programming、Vocals)
Ronnie Brown    (Keyboards、Programming、Vocals)




# by malilion | 2024-03-05 17:33 | 音楽 | Trackback

米プログレッシヴ・ロックバンド KANSASのドラマーでリーダーの Phil Ehartが重度の心臓発作でツアー離脱!


アメリカン・プログレッシヴ・ロックの重鎮バンド KANSASのオリジナル・ドラマーでありリーダーでもある Phil Ehartが重度の心臓発作を起こした。

幸い命に別状はなく、現在は静養しているが当面の間はツアー活動から離脱する事に。

Phil Ehartはバンドのマネージャーでもありその役割は継続するという。

代役は以前ヘルプで叩いた事のある Eric Holmquistで、彼は20年以上に渡って Phil Ehartのドラム・テックを務めていた人物。

ここの所、色々と訃報が飛び込んで来ていただけに一瞬ドキッ、としましたが無事で何よりでありました。

とは言え、Phil Ehartはもうかなりの高齢なので、いつ何があってもおかしくないのは周囲も承知している事でしょうから、そろそろ一線を退く潮時なのかもしれませんね…悲しいな…

KANSAS 50th Anniversary Tourは、2024年3月1日のヴァージニア州リッチモンドから以前の告知通り開催される予定。


# by malilion | 2024-02-25 17:37 | 音楽 | Trackback

ネオクラHMバンドARTENSIONで知られるウクライナ人キーボーディスト Vitalij Kuprijが死去。


ARTENSION、RING OF FIRE、TRANS-SIBERIAN ORCHESTRA等やクラッシック音楽のソロ奏者としても活躍していたウクライナ出身のクラシックピアニストであり、ロックバンドのキーボーディストである Vitalij Kuprijが死去。

死因は明らかにされていないが、彼の長年の友人であるフィンランド人ギタリストでソングライター、プロデューサー、そしてLion Musicを運営する Lars Eric "Lasse" MattssonがSNSで訃報を伝えた。49歳だった。

まだ若かったのに…もう彼のダイナミックで華麗な鍵盤捌きを聴くことは叶わない…

RIP...Vitalij Kuprij...


# by malilion | 2024-02-22 21:40 | 音楽 | Trackback

幻のクリスチャンHMバンドCATALYSTが1990年に遺した唯一のフル・アルバムがオフィシャル・リイシュー!!

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CATALYST 「Paradise」'90

サーファーご用達ブランドと同じ名前で混乱させられるが、彼等は1987年に米国中西部Ohio州Summit郡の都市 Cuyahoga Fallsでシンガーの Walt Wiseを中心に結成された4人組クリスチャン・メタル・バンドCATALYST (カタリスト)で、1990年に自主制作盤でリリースされたマイナー米国CCMバンドが遺した唯一のフル・アルバムが、以前ここでも紹介したスイスの幻のバンドOXIDOの唯一作をリイシューした事で注目を集めたイタリアのMinotauro レーベルからオリジナル通りの12曲入りスリップケース付き仕様でオフィシャル・リイシューされたのを即GET!

大剣を持ったマッチョ野郎がアルバム・ジャケにあしらわれており『暑苦しいエピック路線のパワー・メタル・バンド?』という予想に反し、清楚で爽快、キャッチーでフック満載なクリスチャン・メタル(笑)が飛び出してきて驚かされるが、90年代初頭リリースの自主制作盤な上にCCM系とUSオブスキュア・バンドの条件を見事に満たしており、そもそもプレス数が少ない為にカセット・テープ共々デヴュー作のオリジナルCDは現在なかなか手の出ぬ高値で取り引きされているカルトなレア盤をリイシューするとは、流石は目の付け所が鋭いイタリアのMinotauro レーベルと納得しきりだ。

因みにCATALYSTとは罪なる体を清める事を提唱する中世のキリスト教宗派に属する信者の事で『純粋』を意味するギリシャ語『katharos』に由来している。

本作リリース前の1987年に4曲入りカセットEP『Catalytic Conversion』を自主リリースしており、フルアルバム『Paradise』制作前にオリジナル・ドラマー Tony Rinellaが抜け、新たなドラマーとして Matt Stevensが加入。

80年代末期に活動していたCCM系バンド、OXIDOやFLORENCE 99という幻のメロディアス作の待望のリイシューを果たしたMinotauro レーベル・リリース、な情報で予想はつくと思いますが、80年代USバンドに相応しいフックある爽快なメロディアスHMチューン目白押しで、CCM系お得意のクリアーなハイトーン・リードヴォーカルと分厚く爽快なハーモニー・ヴォーカル、メンバー複数がSTYX張りにリード・ヴォーカルを執ったり、更にリーダー Walt Wiseが操るピアノとサックスもフィーチュアしたムーディーで美しいバラードも当然の様に収録と、要所でハードエッヂなギターもフィーチャーしつつ煌びやかなキーボードも薄っすらバックで聴こえ、ソリッドなリズムワークもしっかりとしたコンパクトでラジオフレンドリーなシングル志向の楽曲満載な80年代USメロディアスHMアルバムの教科書的構成作となっており、メロハー・ファンにもお薦め出来る掘り出し物的一品だ。

実際、彼等は本作リリースの後、即座にスプリング・アーバー・ディストリビューターズとワールドワイド・ディストリビューション契約を結び、Atlantic RecordsやOcean Recordsを含む複数のレーベルから興味を持たれる中で全米ツアーを敢行、『Paradise』完成直後にドラマーを1983年からアルバムをリリースし既に活動していたCCM系アメリカン・メロディアスHMバンドBRIDEの元オリジナル・ドラマー Stephan Rolandへ再びチェンジするなど、Contemporary Christian Music Magazine、White Throne Magazine、Heaven's Metal Magazine等から絶賛された事からも分る様に無名の新人インディ・バンドとしてはCCM界周囲から大きな期待を寄せられていたのが察せられるが、折り悪くメジャー・シーンの時流が変り全世界がグランジーの闇に呑み込まれてつつあった90年代初頭、特殊なカテゴリーとは言えやはり米国シーンの影響をCCMチャートも受けないハズもなく、素晴らしい音楽性とは無関係に80年代直系のブライトでハッピー、キャッチーで爽快なCATALYSTのサウンドが受け入れられぬままに、結局は1991年に解散してしまう。

この顛末に納得行かなかったのかバンドの中心人物でシンガーであった Walt Wiseは1994年に殆ど単独で楽器全てを演奏し、エンジニアリングやプロデュースも全てこなして完成させた実質的ソロ作な全メンツを新たにしたCATALYSTを再始動させ3曲入りカセットEP『The Mystery』をリリースするも、暗黒のグランジーに塗り潰された米国シーンで活動の場は無く、敢え無く再び解散する事に…

その後の各メンバーの行方は定かでないが、Walt Wiseはサックス・プレイヤーとしてレゲエ・ポップ・バンドのアルバム制作に参加したりプロデュース業を始めるなどプレイヤーから裏方へ回ったようだ。

まぁ、グランジー・ブームが勃発していなくとも他で聴けぬ強烈な個性的サウンドを演奏していた訳でもなく、HMと言うには軽めなサウンドでCCM系定番のキリスト賛歌を身上としている音楽を演り続けている限りメジャー・シーンでの大きな成功は望めなかったでしょうから、シンガー Walt Wiseが器用に様々な楽器を演奏できる点は特異なポイントではありますが遅かれ早かれな展開であったかもしれませんね…

毎度の事だがMinotauro レーベルからのリイシュー作はどこにもデジタル・リマスターの文言が見当たらないので、OXIDOやFLORENCE 99のリイシュー作と同じく音圧を上げただけのお手軽リマスター作なのかもしれません、現に音の抜けがイマイチだし、音の粒子の荒さが目立つ上に少々篭り気味で些かシャープさに欠けるデモ・テープよりちょい上くらいのサウンド(ちょこちょこノイズも聴こえる…)なのですが、それでもこうして幻の音源をオフィシャル・リイシューしてくれた事に感謝しかありません。

80年代メジャー・シーンやCCM系ロックの定義に倣ったサウンドなので滅茶苦茶に個性的という事はありませんが、キャッチーでブライトならCCM系ロックでもいける方や80年代ラジオフレンドリーなメジャー・サウンドがお好みな方なら間違いなく気に入るだろう一作でありますので、ご興味ある様でしたら一度自身の耳で確かめてみて下さい。

Tracks Listing:
01. Crackdown / Breakdown
02. Dropout Loser
03. I Wanna Live
04. Break My Heart Again
05. You Can't Please Everybody
06. Time
07. Fire In Her Eyes
08. Shelter Of Your Heart
09. Hold On To Love
10. Paradise
11. Burning In The Fire
12. Trash Before You Crash

CATALYST Line-up:
Walt Wise   (Lead Vocals、Lead & Rhythm & Acoustic Guitars、Piano、Keyboards、Alto & Soprano Saxophone)
Alan Newman (Lead Guitars、Backing & Lead Vocal on Track 10)
Paul Soos   (Bass、Backing & Lead Vocal on Tracks 03、12)
Matt Stevens  (Drums)

Produced by George Payne & CATALYST


# by malilion | 2024-02-20 14:29 | 音楽 | Trackback