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NWOBHM期英国HRバンドTORA TORAが改名し音楽性も変化させた短命AOR&ハードポップ・バンドTORAの未発売音源が初CD化!!

NWOBHM期英国HRバンドTORA TORAが改名し音楽性も変化させた短命AOR&ハードポップ・バンドTORAの未発売音源が初CD化!!_c0072376_20354432.jpg
TORA 「So Strong」'25

1989年と1992年にメジャーからアルバム・リリースしている米国Tennessee産HRバンドTORA TORAとは違う、こちらは1979年に結成された英国北西部の大都市Manchesterを拠点にNWOBHMムーブメント期に活躍し2枚のシングルとデモテープを数本リリースしたものの惜しくもブレイクを果たせず1990年に解散した短命HRバンドTORA TORAのメンバーが中心となって1987年に改名結成された、ギタリスト2人を中心に始動したキーボード入りツイン・ギター6人編成のAOR&ハードポップ・バンドTORAがレコード会社へのプロモーション用に数本だけプロフェッショナルな環境で制作した1988年録音のデモ・テープ音源『Tora』に1987~1990年に解散するまでの80年代後期に残されていた未発音源(1987年のTORA 7"シングル『De~Ja~Vu / She's History』は未収録)を追加したアーカイヴ音源集が英国 AOR Blvd Recordsの〝Collector Series”第8弾としてリマスター&初CD化で限定500枚リリースされたのを即GET!

TORA TORAはNWOBHM期に複数のバンドに関わり、後に数々のビッグネーム・バンドへ参加する事でその名をHR/HMシーンに馳せる事になる英国人ドラマー Simon Wright (A II Z、TYTAN、AC/DC、DIO、UFO、MSG、etc..)がキャリア最初期に在籍(ギタリスト2人と学生時代にTORA TORAの原型バンドを結成している)していた事で知られるNWOBHMバンドで、残念ながらTORAへはスライド参加していないがNWOBHMファンやTORA TORAファンにとっては今までその存在と名だけが知られていた幻のバンドと言え、今回そんな貴重音源を AOR Blvd Recordsがよくぞリマスター&初CD化してくれた、とマニア諸兄は欣喜雀躍状態な事でしょう! (゚∀゚)

時流の流れを察してか荒々しくラフな80年代英国NWOBHMサウンドから80年代にアメリカを中心に全世界を席巻したバブリーでゴ-ジャスなヘア・メタル・ムーブメントへ接近しメジャー・シーンで成功する事を目論んで結成されただけあって、TORAは当時のレビューでSAGAやCUTTING CREW等を思わすAORや産業ロック等の影響が大きいラジオフレンドリーで華やかな洗練された80年代米国メジャー・サウンドとの近似点が指摘(英国ジャーナリスト的な皮肉タップリに)されていたとの事で、GILLAN、GYPSY QUEEN、DARE、DOGS D'AMOUR、CELTIC FROST、THE HAPPY MONDAYS等の大物アーティストのサポートを務めながら懸命に契約を獲得しようと活動し結局は最後までレコード契約を交わせなかった、次なる時流の変化であるグランジー・ブームが到来して敢え無く解散してしまったのも頷ける、米国シーンを注視しながらもどうしょうもなく英国テイストが香るドポップに成り切れぬ英国らしい煮え切らぬキャッチー・サウンドが実に味わい深い一作となっている。

以前ここで紹介したSMOKIN' ROADIEも同じように米国での成功を求めてアメリカナイズされた80年代米国メインストリームに倣ったサウンドを鳴らすUKバンドでありましたが、やはりどうにも煮え切らぬヴォーカル・メロディと能天気で爽快なヴォーカル・ハーモニーを演出しようとしてるのに微妙にウェットな叙情感を漂わす突き抜け切れぬ翳り有るコーラスハーモニーがどうしょうもなく英国風味を感じさせ、SURVIVOR、JOURNEY、SAGA風なテイストを目指していた英国人がポップ&キャッチー・サウンドを奏でると何故かお洒落な80年代UKニューウェーブっぽさに接近してしまうという、その血に流れる誇り高き英国人としてのアイデンティティが底抜けに陽気でバカっぽいアメリカン・サウンドに成りきるのを拒否している様にも思えて実に興味深いですよね。

ツイン・ギターなのに弾き過ぎる事なく、クリーン・トーンでリズムにリフに軽やかなメロディ(妙に Steve Hackettっぽい所がグー!)を奏で、ガナったりシャウトせず滑らかに歌い上げるミドルレンジ主体の甘口ヴォーカルと華やかなシンセ・サウンドが大きくフィーチャーされたコンパクトでキャッチーなスムース・サウンド、そこかしこに英国風味ある叙情的美旋律が楽しめて今の耳で聴くと実に独特なサウンドに思え好印象なのだが、だからこそ80年代当時にその英国風味がスポイルしてメジャー・レコード会社が望む様なサウンドに成らなかったのは本人達的には不本意だったかもしれませんが、だからこそ今回こうして発掘音源が初CD化される事になった他の誰でもないあの時代特有な英国アメリカナイズ・ポップサウンドが時を超えてやっと楽しめる事に感謝しきりであります。

今になって思えば、もっと単純で陽気な、バカっぽく低俗なキャッチーさが感じられるストレートでシンプルなサウンドを時代は求めていたのに、妙に手の込んだアレンジや楽曲展開等が楽しめる、叙情感ある美旋律や控え目でお洒落なポップネスさ香る本作収録の楽曲の数々を耳にするに、彼等がミュージシャンとして優れていたからこそ下手っぴでまともに演奏も出来ぬ恰好ばかり派手な80年代米国メインストリームを賑わしたバンド達に成れなかったと分かるのですが、流石にそんなド外道ルートを選択しませんもんねぇ…普通は…(汗

とまれあの時代特有な米国での成功を目論む若き英国バンドからしか出てこないクールでスムース、キャッチーでポップに成り切れぬUKニューウェーブっぽさ香る80年代英国メロディアス・ハードポップ作ですので、SAGAやCUTTING CREW、そしてIT BITES等がお好きな方ならきっと気に入るだろう一作ですからご興味ある様なら一度チェックしてみて下さい。

Track List :
01. If This Is Love
02. What's Become Of You?
03. Insecurity
04. You And I
05. Climbing Up The Walls
06. Be So Strong
07. Nothing New
08. If I Ever Grow At All

TORA are :
Pete McGuckian : Lead Vocals
Nigel Blythe : Bass
Kev Branney : Keyboards
Paul Lucas : Drums & Programming
Pete North : Guitars
Paul Wheeldon : Guitars & Backing Vocals

Additional Backing Vocals THE TOURETTES

Produced by TORA


参考までにTORA TORAの初期メンバーも載せておきます。

TORA TORA are :
Nigel Blyth : Bass
Simon Wright : Drums
Paul Wheeldon : Guitars
Peter North : Guitars
Brenn : Vocals

# by malilion | 2025-12-11 20:35 | 音楽 | Trackback

北欧スウェーデンの新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDが未発曲を集めたデジタル・オンリーEPをボートラ追加でフィジカル盤リリース!

北欧スウェーデンの新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDが未発曲を集めたデジタル・オンリーEPをボートラ追加でフィジカル盤リリース!_c0072376_20111502.jpg
DEGREED 「The Leftovers - Volume 1」'25

Robin (Vo&B)と Mats (Ds)の Eriksson兄弟を中心とする北欧スウェーデン出身の4人組新世代ハイブリッドHRバンドが今年の夏頃にデジタル配信オンリーでリリースしたEPに新たにボーナストラックを3曲追加しFrontiers Musicからフィジカル盤がリリースされたのを即GET!

『残り物』という余りにもストレート過ぎるタイトルが示す様に、今までのアルバム制作時に録音されたものの陽の目を見なかった未発表トラック群から厳選された楽曲をリワーク、及び再構成し纏めたEPとなっている。

制作された時期はバラバラなれど何れの楽曲もDEGREEDらしい一筋縄でいかぬ創造的工夫の程や、テクニカルさとキャッチーさの際どい両立という現代メロディアス・ロック・シーンへの挑戦、そしてお約束の熱く迸る高揚感と圧倒的なエネルギーが貫かれた、洗練されたプロダクションと緻密なアレンジで構築されたスリリングでロマンチックな魅力に溢れており、同郷バンドECLIPSEに勝るとも劣らぬモダンなサウンド・センスの良さ、80年代後期から90年代初頭にかけメロディアス・ロックシーンで確固たる地位を築いたヒットメーカー・バンドであるHAREM SCAREMやDEF LEPPARDにも匹敵する絶妙なバランス感覚が垣間見える、単なるシングルB面曲集や未発曲集にとどまらぬ珠玉のコレクションと言えましょう。

残念なのは日本盤リリースの予定が無い事と、フィジカル盤リリースに合わせ追加された3曲の内2曲は既に日本盤ボーナストラックとして既発曲である点ですが、そもそも本来ならEPには収録されなかった楽曲なのでそこは仕方がないと諦めるしかありませんね (´~`)

本EP収録曲を耳にした方なら理解してもらえると思うが、90年代北欧HMや80年代AORの影響のみならず、その特異なサウンドの響き、透明感と広がり、深みと艶やかさ、それら全てを補完しつつフック満載なヴォーカル・ラインにポップでキャッチーなポピュラリティも巧みに合わせ持つコンパクトで洗練された美旋律の数々は、けれど決して惰弱な印象は無くメタリックなハードエッヂとパワフルな疾走感、そしてエネルギッシュなロックらしい生々しさもしっかり感じさせる、70年代から連綿と受け継がれるロック・スピリッツと現代的感覚が高次元で融合したDEGREEDならではのセンスや魅力が余す所なく詰め込まれた逸品だ!

初期の作風から思えばかなり丸くなり、難解さは薄れてキャッチーでポップなモダン・サウンドへ大接近したとは言え、未だに演奏はタイトでインスピレーションに満ち、サウンドには迸るエネルギーが溢れんばかりに脈打ち、リズミックなアレンジと一癖ある楽曲展開は変わらず鋭くスリリンングなままなのが実に頼もしい♪

モダン・テイストと80年代風サウンドを融合させ、再構築し洗練させた『This Is Love』シンセウェヴ・ヴァージョンや、少し Kate Bushを思わせる前衛的タッチも香る胸を引き裂くようなセンチメンタルな感情が渦巻く『Falling Down』アコースティック・ピアノ・ヴァージョンがフィジカル盤のみに追加された事でより本作収録曲のバラエティの幅が広がって好印象が増し、けれどコンパクトな曲ばかりが収録された事もあってアッという間にEPは終わってしまう事だけが難点だが、過去作の補完にして未来への序章とも言える本作は、2026年に予定されている8thアルバムへの期待を弥が上にも高めてくれます (*´∀`*)

また本作で忘れてならないのは、北欧フィンランドのメロデスの雄 CHILDREN OF BODOMを率い2020年に夭逝した Alexi Laihoへのオマージュを捧げたCHILDREN OF BODOM風なテイストを感じさせる楽曲『Wildchild』と本フィジカル盤EPにのみ収録のピアノ・バラード未発表曲『Hear Me Out』だろう。

とまれ彼等のファンは無論の事、北欧メロハー系サウンドをお好みの方や、モダンでハイセンスな北欧HM作がお好きな方なら是非一度チェックしてみて欲しい素晴らしい一作であります。

Tracklist :
01. If It Wasn't For Me
02. Good Enough
03. Love Your Enemy
04. Wildchild (Tribute To Alexi Laiho)
05. Get Up!!
06. Hard To Be Human
07. This Is Love (Synthwave Version)
08. Falling Down (Acoustic Version)
09. Hear Me Out (Previously Unreleased)

DEGREED are :
Robin Eriksson : Lead Vocals、Bass
Daniel Johansson : Guitars、Backing Vocals
Mikael Blanc : Keyboards、Backing Vocals、Programming
Mats Eriksson : Drums、Percussion、Backing Vocals、Programming


# by malilion | 2025-12-09 20:11 | 音楽 | Trackback

80年代に活躍したUSブルーズHRバンドCINDERELLAの最終作がリマスター&ボートラ追加でリイシュー!!

80年代に活躍したUSブルーズHRバンドCINDERELLAの最終作がリマスター&ボートラ追加でリイシュー!!_c0072376_11500618.jpg
CINDERELLA 「Still Climbing +3」'25

Jon Bon Joviに見いだされバブリーでゴージャスな80年代HM黄金期にデヴューした米国北東部Pennsylvania州出身でギター回し等のド派手なステージ・パフォーマンスで一世を風靡したHR&グラム・メタルバンドCINDERELLAが1994年にリリースした4thアルバムがリイシューでお馴染みのフランス BAD REPUTATION レーベルからボーナストラック3曲追加収録でリマスター再発されたのを即GET!

1992年ロック・コメディ映画『Wayne's World』提供曲"Hot And Bothered"を収録して少しだけ話題を呼んだ事もある彼等の4作目にしてスタジオ最終作で、リーダーでフロントマンの Tom Keiferの喉の不調やアルバム内容をレコード会社が気に入らずなかなかアルバムがリリース出来なかった事や、それが引き金でドラマー Fred Couryが脱退してしまったり時流が完全に暗黒のグランジー・ブームに飲み込まれた混乱期であった等々が影響したのか全米178位と全くヒットせず売り上げ惨敗作と認識される作品で、最近までフィジカル盤が廃盤状態な上にデジタル配信もされていなかった不遇な一作だ。

1994年11月にリリースされた本作、以降バンドは1995年に活動休止(実質的な解散)と1996年に再開(再結成)を繰り返すが、結局5枚目のスタジオ作が制作される事は無く(後に Tom Keiferが語る所によるとメンバー間の対立があり二度と再結成は不可能、との事…)2017年にその活動に終止符を打つ事になる。

既述の様に本作はパーマネントなドラマー不在で制作されたアルバムで、ドラム・パートは"Hot And Bothered"を除く全曲がセッションドラマーの手によって収録されている、が前々からそのドラム・スキルに疑問を呈されていた Fred Couryが抜けたお陰で彼等のアルバム中一、二を争うタイトさとグルーヴィさを誇っているのがなんとも皮肉めいている…2ndアルバム『Long Cold Winter』'88 では何故か〝渡り鳥”で超有名なHRドラマー Cozy Powellがゲスト参加して叩いてたりしたしなぁ…デヴュー前に在籍していたドラマーを下手だとクビにして迎えた Fred Couryもイマイチの腕前だったってのが如何にも見た目とパフォーマンス重視な当時のヘア・メタル・バンドらしいっちゃらしいけど…(汗

デヴュー作は如何にもキャッチーでポップな80年代王道ヘア・メタル・サウンドを鳴らしていた彼等、3rdアルバム『Heartbreak Station』'90 でメタリック感が減退してレイドバックしたルーツ・ロック路線と言えるブルーズ・フィール濃厚な泥臭くアーシー、そしてキャッチーさは影を潜めたが代りに色物バンドから脱却し本物のHRバンドへ一気に成長した感がありデヴュー当時の彼等に黄色い声援を送っていたファンを驚かせた訳ですが、続く本作では2ndアルバム『Long Cold Winter』と前作『Heartbreak Station』の要素を巧くMIXした折衷風サウンドをパワフルに鳴らしており、デヴュー当時のタフでハードな色合いとブルースベースのHR、メタリックな感触やハードドライヴィンな疾走感(何故かギター・プレイにミステリアスなRINBOW風味があって驚かされた)も加えたスケール感の増した新基軸HRサウンド、当時自分的には大変気に入っていただけに本作が失敗作の烙印を押されバンドが解散してしまったのが悲しかったですね…(´д⊂)

デヴュー当時の華やかでキャツチーなポップ寄りHMサウンドは好みだが、Tom Keiferのベシャっとツブれた様な特異なしゃがれ声に拒否反応を示す方も多いと思うがあの声だからこそ枯れたブルーズ・サウンドには実に良くマッチするんですよねぇ~♪

エモーショナルでブルージーなヴォーカルと乾いた味わい深いギター・サウンドが実に良くレイドバック・テイストも漂わす本作の楽曲に深みと説得力を与え、キャッチーなメロディとブルーズ・サウンドの絶妙なバランス具合が素晴らしく、懸念だったリズム隊の問題も解決してバンドの生み出すグルーヴ感も彼等のカタログ中随一と言え、聴く者の心揺さぶる入魂のアメリカンHRサウンドがドラマティックに展開される力作なのに未だに低評価が与えられ続けているアルバムなのが本当に悲しい…

さて、待望のリイシュー作である本作だが元々メジャー・リリース作で音が格別に劣悪な作品でもなかったので最新リマスターで劇的な音質改善が楽しめる類の作品ではありませんが、リマスター効果の定番であるボトムサウンドのアップと音のクリアーな抜けの良さが際立っており、特にシンプルな鳴りの楽曲ではその効果の程が分かるだろう。

注目のボーナス・トラックにはLIVE定番曲で3rd収録のキャッチーな『Shelter Me』、Tom Keiferのヴォーカル・スタイルに多大な影響を与えた Janis Joplinのカヴァー『Move Over』、そして1997年発売のBEST盤『Once Upon a ... Best of by Cinderella』に収録されていた当時の未発表新曲『War Stories』の3曲を追加収録している。

結果的に本作はCINDERELLAの集大成的な作品となってしまった訳だが、グランジーの影響でか仄暗いイメージのジャケット・デザインに惑わされずに初期のキャッチーな彼等の作風が好きだった方でも十分に楽しめる一作に仕上がっているので今回のリマスター&リイシューを契機に是非一度本作をチェックしてみて欲しいですね。

尚、2021年にギタリストの Jeff LaBar、及び長らくサポート・キーボーディストだった Gary Corbettも死去してしまったので本当の意味で彼等の完全再結成は不可能となってしまった…R.I.P.

Track List :
01. Bad Attitude Shuffle
02. All Comes Down
03. Talk is Cheap
04. Hard To Find The Words
05. Blood From A Stone
06. Still Climbing
07. Freewheelin
08. Through The Rain
09. Easy Come Easy Go
10. The Road's Still Long
11. Hot & Bothered

Bonus Tracks :
12. Shelter Me
13. Move Over
14. War Stories

CINDERELLA are :
Tom Keifer : Lead & Background Vocals、Electric、Acoustic、Slide & Lead Guitar、Piano、Co-producer
Jeff LaBar : Lead & Rhythm Guitar
Eric Brittingham : Bass

Additional Musicians :
Kenny Aronoff : All Drum Tracks、Except Track 11
Fred Coury : Drums on Track 11
Jay Davidson : Tenor & Baritone Saxophones (Tracks 2、9)
Steve Jankowski : Trumpet & Trombonium (Track 2)
Rosanna Mc Namara : Fiddle/Violin (Track 4)
Gary Corbett : Keyboards (Track 11)
Carla Benson & Evette Benton : Background Vocals (Track 11)
Luana Norman : Background Vocals (Track 10)
Annette Hardeman & Charlene Holloway: Background Vocals (Tracks 4 to 6)
John Purdell : Hammond B3、Piano、Percussion、Background Vocals

Produced、Recorded & Mixed by Duane Baron and John Purdell


# by malilion | 2025-12-02 11:50 | 音楽 | Trackback

90年代に活躍し30ぶりに奇跡の復活を果たしたイタリアン・シンフォ・バンドAUFKLARUNGが待望の2ndアルバムをリリース!!

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AUFKLARUNG 「Nell'Idea Di Un Tempo Che」'25

イタリア南東部Puglia州のAdriatico海沿岸に位置する都市Brindisiを拠点に活動するイタリア産シンフォ・バンドAUFKLARUNG(アウフクルング)がオリジナル・メンバーの2人を中心に再結成され実に30年ぶりに2ndアルバムをリリースしたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。

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1995年当時、彼等のデヴュー作『De La Tempesta...L'oscuro Piacere』は90年代初頭に全世界を熱狂させたDREAM THEATERの大成功が起爆剤となってメジャー、インディ問わずプログレHMブームが巻き起こった余波を受けたのかセールス的に大成功を収め、プログレ・マニアのみならず世界的にも非常に高評価を得た為、今でも1990年代イタリアン・ニュー・プログレの画期的なアルバムの一枚に数えられており、実際2021年4月には180g重量盤アナログLP&カラー・ヴィニール仕様、及びリデザインされた新ジャケットで限定リイシューされるなど未だにマニアに愛され続けるその人気の程が伺い知れるだろう。

その昔イタリアのレコード会社 Vinyl Magic Records内のプログレ専用レーベル VINYL MAGIC New Prog'90所属のIL CASTELLO DI ATLANTEやSYNDONE、CALLIOPE、EMPIRE、ROMANTIC WARRIORS、等々の70年代にイタリアで芸術性の極致へと至った古典プログレの流れを汲む新世代バンド達と共に、同様に古典プログレをベースにしつつもポンプやHM等からの影響も取り入れたモダン・プログレ・バンド達の多くが所属したイタリア新興レーベルのPick Up Recordsから、LABYRINTHやEPICA、MIDIAN、DUNWICH、ATHENA等のレーベルメイト達と殆ど同時期にデヴュー作をリリースしたAUFKLARUNGだが、30年ぶりとなる本作は残念ながら別イタリアン・レーベル&ディストリビューター Ma.Ra.Cash Recordsからのリリース(Vinyl Magic及び Pick Up Records自体は今も健在)であるが内容の方は久しぶりに復活も納得なデヴュー作同様に文句無しにイタリアン・プログレ&シンフォ・ファンにお薦めな一作となっている。

イヤー、当時先行きが楽しみな新バンドのデヴュー作を矢継ぎ早にリリースし、グランジー・ブームの煽りでプログレ・シーンが消え失せた90年代英米メジャー・シーン(アンダーグラウンド・シーンでもポンプ総本山 SI Musicが1995年頃に消滅…)に絶望していたメロディアス系ロック・ファンやプログレ&ポンプ・ファン達にとってVINYL MAGIC New Prog'90とPick Up Recordsは希望の灯とも言える二大新興レーベルでありました…まさか2025年にもなって再び彼等の新作を手にする事が出来るとは感慨も一入であります (゚∀゚)

因みに30年前のデヴュー作、2ndリリースに合わせレーベル倉庫に眠っていたデッドストックが発見され掘り起こされたのか今でもオリジナルのPick Up Records盤が少量流通している模様なので本作を聴いて彼等のサウンドが気に入った方は『30年前じゃもう入手不可能かぁ…』と諦めず新品CDを入手出来るか輸入盤等をチェックしてみると良いかもしれない。

まずは30年ぶりとなる新譜を紹介する前に彼等の事を今回の2ndアルバムで初めて知ったという方の為に簡単なこれまでの歴史をば。

80年代末期にBrindisiで活動していたローカル・バンドTHE ECLIPSEが別の地元バンドと合体、改名する形で1990年にAUFKLARUNGは結成され、数年間の音楽的実験と幾度かのメンバーチェンジを経て、Fabio Guadalupi (Acoustic、Classic & Electric Guitars)、Marco Mancarella (Keyboards)、Michele Martello (Acoustic、Classic & Electric Guitars)、Massimo Migini (Drums)、Luciano Rubini (Bass)、Edoardo Lecci (Lead Vocal、Concert Flute)というツイン・ギター&キーボード入り6人編成に固まると、1992年から1993年にかけてリハーサル室に籠り後にデヴュー作に収録される5曲を完成させ各レコード会社にデモCDを送ると Vinyl Magic、WMMS、Pick Up、Cygnus Records等のレコード会社が直ぐにコンタクトしてくる。

デモは好感触を得るもののフロントマン Edoardo Lecciが兵役でバンド活動を継続する事が出来ぬ問題の為に結局メジャー・レーベルとの契約は成立せず、止む無くイタリア各地から続々と登場する新人ニュー・プログレ&プログHMバンド達と契約を結びアルバムをリリース及びディストリビュートしていたイタリアのインディ・レーベル Pick Up Recordsと契約を結ぶと、デヴュー・アルバムを可能な限り早くリリースするよう主張した Pick Up Recordsのボスの指示で、当時アルバム・デヴュー前だった同郷のネオ・プログレ・バンド ASGARDのフロントマン Francesco "Chicco" Grossoを急遽代役シンガーに招き1994年3月29日から4月16日にかけて記念すべきデヴュー・アルバム『De La Tempesta...L'oscuro Piacere』は制作され1995年にリリースされた。

GENESIS、EL&P、PINK FLOYD等の英国プログレに加え、PFMやBANCOなど70年代直系の叙情派イタリアン・ロックに80年代ポンプ・ロックやネオ・プログレからの影響をダイレクトに落とし込んだ英国風とイタリア式が混ざり合った特異なサウンドと創造的アプローチの探求を巧みに配し、英詞ヴォーカルによる鮮明でメロディアスな音楽性が持ち味な90年代イタリアン・ニュー・プログレのシンボルとなったデヴュー作の好評を受け兵役を終えたシンガー兼フルート奏者の Edoardo Lecciはバンドへ復帰するかに思えたが、デヴュー作に辛うじてフルート・パートでしか関われなかった事や Francesco "Chicco" Grossoとの歌唱力を比較されたのが原因なのか兵役中にバンドメンバーとの意識にズレ(仲間がレコード会社側について自身を待たずに代役を立てた事への不満?)が生じたのか、バンドとの関係を絶ってしまう。

しばしの後、ギタリスト Fabio Guadalupiもバンドを脱退すると2人は行動を共にする事に。

残されたメンバー4人、Michele Martello (G)、Marco Mancarella (Key)、Luciano Rubini (B)、Massimo Migini (Ds)は活動を共にし、Dante Di Giorgioをセカンド・ギタリストとして新たにバンドへ加えると、Michele Martelloがヴォーカル兼ギタリストとしてバンドを続行させるが次第に活動は滞っていく…

1997年から1998年にかけてバンドは再びオリジナル曲の作曲を再開し、後に本作で使用されるアイデアを含むデモ・テープを録音するがその音源は未発表に終わっている。

その後の数年間は、Michele Martelloが活動拠点を地元 Brindisiからイタリア北部の都市 Bolognaへ移し、更にバンド・ラインナップの変更も起こり、結局2013年にAUFKLARUNGは正式に解散してしまう。

バンドは取り返しのつかぬ終わりを迎えたかのように思われたが、2020年になると運命の悪戯かCOVID-19が世界中を席巻しショー・ビジネス界が完全に停止する悪夢に見舞われ、世のミュージシャン達に自身の創作活動を顧みさせる切っ掛けを生む事に。

Michele Martelloと Marco Mancarellaはバンドの再結成を決意すると元メンバーの Luciano Rubini、Massimo Migini、Dante Di Giorgio を巻き込んで再始動を目論むも Dante Di Giorgioだけがリユニオンに馳せ参じ、リズム隊の2人は不参加のまま編成が完成するのを待たず見切り発進でバンド活動は再開される。

1997~1998年に録音された古い音楽的アイデアの掘り起こしから始まり、1990~1991年にかけて作曲された極めてプログレッシヴな古典的スタイルのバンド最初期の未完成組曲を含む様々なアイディアを元に長い月日をかけ徐々に洗練され磨き抜かれただけでなく、新たに迎え入れられた新シンガー Michele De Lucaの堂々としたイタリア語ヴォーカルによる歌いっぷりや、イタリアらしい強烈な切り返しによって劇的に場面転換してゆく大作をはじめクライマックスで顔を出す優美なギター・ソロと華麗なシンセ・ソロにポンプ・テイストを感じさせるなど、北欧風の幻想的に翳るメロトロン、リリカルなフルートと繊細なハケット系アコースティックギターによるアコースティカル・パート、痛烈なアコースティック・オーケストレーション、ジャージィでドラマティックな演出のピアノ、暴走するダイナミックなハモンド・オルガン等々のヴィンテージでパワフルな音色をタップリとフィーチャーした、より間口の広いアプローチと緻密で劇的なアレンジが魅せる、イタリア然としたテイストを増強した長年の経験と音楽的成熟ぶりが活かされた本格派イタリアン・ヘヴィ・シンフォ路線へと別格の進化を果たしており、キャリア30年超えのベテランらしからぬ迸るエネルギッシュさとメンバー間の強い絆から生み出される鉄壁のアンサンブルが堪能出来る会心の傑作だ!

古典的なイタリアン・プログレッシヴ・スタイルのサウンドのみならず、メロディアスな瞬間とダークでハードなロック・パッセージを織り交ぜたり、サイケデリック・タッチや多彩な音楽要素も垣間見え、作曲とアレンジの面でもプログレらしい複雑で奥行きある楽曲をベースに、様々な雰囲気、リズム、ダイナミクスを何度も展開、変化させ彼等の紡ぐイタリア人バンドならではのコッテリ濃厚な美旋律を際立たせており、今も活動中のSYNDONEやCALLIOPE、IL CASTELLO DI ATLANTE等が70年代古典プログレに大きく傾いた作品をリリースしているのに対し、AUFKLARUNGは出発点にポンプやHMがあったのが伺える影響や毛色の違いが本作でも感じ取れそれがモダン・テイストやスタイリッシュさを生み出す重要な要因になっているのが実に感慨深いですね。

デチュー作の出来が決して悪かった訳ではないが、とは言えやはりイタリアン・プログレ・バンドはイタリア語で熱烈に歌い上げて欲しいし、又その方が劇的で荘厳な密度の濃い美旋律の数々にマッチするのは紛れもない事実で、デヴュー作との大きな違いであるイタリア人によるイタリアらしい熱くクリアなイタリア語ヴォーカルとエモーショナルで深みある感情表現の差異が楽しめ、新シンガー Michele De Lucaの詳細な情報が未確認な為これまでどういった経歴の持ち主なのか判然としない(本職はオペラ系ヴォーカル?)が新たな音楽的方向性にアジャストしたその澄み切った見事に抑揚の効いた感情が滴るような歌声は驚異的で、完成度が高く細部へ拘りまくった本作収録の賑やかな大仰さとロマンチックな静けさの対比が魅力的な楽曲に内在する可能性を十分に引き出せる実力派ヴォーカリストなのは間違いなく、イタリアン・プログレ&シンフォ・シーンでは無名ながら実に有能で歌唱力あるフロントマンを良く探し出し迎え入れられたものだなぁ、と数々の紆余曲折を経て前作を超える素晴らしい作品を世に送り出せた彼等の強運と揺るぎない信念に感心してしまいます。

本作『Nell'Idea Di Un Tempo Che』収録の4トラックは、リスナーを人間の経験における様々な心情への旅へと誘う一種のコンセプトを形成したアルバムとなっており、サウンドのルーツは明らかに伝統的な70年代イタリアン・プログレッシヴ・ロックを彷彿とさせつつ再結成当時のパンデミックが世界中で蔓延する不安と恐怖を捉えていて、それは暗い歌詞にもよく反映されていると言えるだろう。

Michele De Lucaの荒涼とした歌声に込められた情熱と苦痛は圧倒的な美しさを放ち、Dante Di Giorgioの刻む力強いベースは軽やかにウネり続け、Marco Mancarellaの操る古典主義の域に迫る揺らめくキーボード・オーケストレーションの中で深い情感は満ち溢れ、Michele Martelloの弾く万華鏡のような感覚で紡がれるエモーショナルな変幻自在のギターは正に輝く様で、絶え間なく変化する流れる川のように流動的な美旋律の数々の素晴らしさは間違いなく長らく待たされた期待に応える以上のものを提供しており、どこを切り取っても全く隙を感じさせぬイタリア産シンフォ作らしい優美で特濃な非常に満足度の高い内容に仕上がっている♪ (*´ω`*)

Track List :
01. Respiro Numero Uno
02. Urlo
03. Apnea
04. Ansia

AUFKLARUNG are :
Michele De Luca : Vocals
Dante Di Giorgio : Bass & Guitars
Marco Mancarella : Keyboards
Michele Martello : Guitars

with :
Doriana De Luca : Flute
Riccardo D'Errico : Drums


# by malilion | 2025-11-29 17:09 | 音楽 | Trackback

暗黒の90年代初頭に儚く輝いたオランダ産ハードポップ・バンドZINATRAの2ndアルバムがオフィシャル・リイシュー!!

暗黒の90年代初頭に儚く輝いたオランダ産ハードポップ・バンドZINATRAの2ndアルバムがオフィシャル・リイシュー!!_c0072376_15365624.jpg
ZINATRA 「The Great Escape + 4」'25

〝オランダの貴公子”こと Robby Valentineがソロ・デヴューして大活躍する前に在籍していた1987年結成のオランダ産5人組メロディアスHRバンドが1990年にリリースした2ndアルバムがリイシューでお馴染みのフランス Bad Reputationレーベルより最新リマスター&ボートラ追加で待望のオフィシャル・リイシューが成されたのを即GET!

1988年リリースのセルフタイトルのデヴュー・アルバム時はツイン・ギター5人編成であったが2ndアルバム・リリース前に健康上の問題から脱退したギタリスト Sabastian Florisに代わって元1st AVENUEのキーボーディスト Robby Valentineが1989年末に加入しバンド編成が改まると、Robby Valentineが積極的に作曲に参加す他にも〝ジェネリック BON JOVI”とか言われデヴュー当時某B誌でコキ降ろされ(個人的にはデヴュー時から大好きです!)ていた米国人ソロ・シンガーで後にUSメロディアスHMバンド DANGER DANGERのフロントマンへ抜擢される Paul Laine (THE DEFIANTS、DARKHORSE、SHUGAAZER、ソロ、etc...)も楽曲を提供と、シンプルでストレートな歯切れ良いキャッチーなHRサウンドだったデヴュー時から如何にも80年代メインストリーム風の高らかに鳴り響く煌びやかなシンセと分厚くキャッチーなコーラスを大きくフィーチャーした、明らかに売れ線狙いの80年代イメージ色濃いバブリー&ゴージャスな雰囲気へと様変わりし華やかでフック満載なコンパクト・サウンドと前作以上にハードさ際立つ楽曲の完成度も格段にグレードアップした2ndアルバムを1990年初頭にリリースする。

ただ世界中のトレンドがグランジ&オルタナティブ・ロックの闇に飲み込まれつつあった当時、彼等の如何にも80年代といった艶やかでキャッチーなサウンドは市場で全く受けず、デヴュー作のシングルカット曲がチャート18位を記録したのに2ndアルバムからのシングルはオランダ国内チャートで48位、アルバムは72位と苦戦を強いられ、世界的にも惨敗という当時のメロディアス系バンド皆が涙を呑んだのと同様に無残な結果に終わり、David Lee Rothや Steve Vai のオープニングアクトを務めるなどして欧州やアジア圏で健闘するものの1992年に Robby Valentineが脱退し、程なくしてシンガーの Joss Mennenもバンドを離れ新バンドMENNENを結成と、DEF LEPPARDの Phil Collenがデヴュー作で一曲ギターを披露したりアルバム収録曲の殆どが外部の手による事を見ても分かる様に元々デンマークのソングライターの楽曲をレコーディングする為に集められたミュージシャン達によるスタジオ・プロジェクトとしてスタートし、後にレコード会社主導のバンドへと変わった生い立ち為か呆気なくZINATRAは解散してしまう…

本作ブックレットのメンバー・フォトの爆発したみたいに何倍にも大きく膨らんだ(笑) Robby Valentineのヘアスタイルだけでも1990年でコレは少々厳しいよなぁ、と即察せるくらい時代遅れな見た目をしてるんで、グランジー・ブームは置くとしてもGUNS N' ROSESをはじめ生々しいサウンドとラフな出で立ちのストリート系ロックが支持を集めていた当時にレコード会社が望む結果は難しかったんじゃないでしょうかねぇ…(´~`)

因みにそのQUEENナイズされた華麗なサウンドでここ日本で注目を集めた Robby Valentineが1993年に華々しくソロ・デヴューした当時、まだ本作の国内盤は購入出来ましたので彼の素晴らしいデヴュー・アルバムや続く2nd、シングルと矢継ぎ早に繰り出される音源に心ときめきいて慌てて本作を買い求めた諸兄も多かった事でしょう。

実際、Robby Valentineが大活躍したお陰で1st AVENUEのアルバムの国内盤のみならず関連人脈の音源までリリースされ、そもそも欧米で吹き荒れるグランジー旋風と相容れぬ日本市場だからこそ持て囃された初期QUEENを思わすナルシスティックで妖しく華やかな70~80年代と地続きな音楽性であった事や当時のQUEENファンからの賛否両論巻き込んだ〝オランダの貴公子”のインパクト、今からじゃ信じられないくらいな絶大でありました(汗

その注目の Robby Valentineのプレイについてですが、あくまでバンドの一員という立場(新入りだし当然だが)でプレイを心掛けている模様で、楽曲の構成上派手なソロ・パート等は無いものの縦横無尽に弾き倒す只者でないシンセ・ワークを既に魅せており、この時点で既に後のソロ・デヴュー後の音楽性が垣間見える瞬間が多々あるのが本作の面白い聴き所と言えるのではないでしょうか?

後のソロ活動で聴ける Robby Valentineのプレイはややもすると楽曲のバランスを壊してしまう自己中心的で洗練やスタイリッシュとは程遠い、けれどそこが初期QUEEN(と、言うか Freddie Mercuryか)を彷彿とさせ実に魅力的なのですが、ビブラート全開な繊細さと不安定が紙一重なヴォーカルと相まって大仰で華麗過ぎてクドく感じる瞬間が無いとは言い切れないのが玉に瑕で、本作での一歩引いた演奏スタイルの方が好みだ、という方もいらっしゃるかもしれませんね。

さて、待望のリイシューが成された本作のサウンドですが既述の通りデヴュー作より更に売れる事を狙った楽曲とサウンドで構成されており、ハードロック、AOR、シンフォニック要素を巧みに融合させキャッチーでコンパクトなラジオフレンドリー丸出しの80年代王道USメインストリーム・サウンドに倣ったハードさとドライさを加味しつつ仄かにアメリカン・テイストあるユーロ・ハードポップ・サウンドはかなりの完成度で、もしもグランジー・ブームが無ければ間違いなく良好なチャートアクションを記録したであろう隙無い仕上がり具合の一作となっているのが実に惜しい。

とは言え、優れた演奏技術とインスピレーションに満ち溢れた朗らかでパワフルなサウンドを聴かせはするものの音楽的には特に目新しい試みや先進性がある訳でもない、90年代当時のシーンの流れから完全に取り残された感が否めぬ80年代的音楽性の良く出来た軽めなサウンドのユーロ・コーポレート・ロック、又はユーロ・ハードポップ作でしかなく、ミドルレンジ主体で歌い上げる Joss Mennenはなかなかの歌いっぷりとは言えAORやコーポレート・ロック界隈に置いては別段特筆する程のヴォーカル・スキルを発揮している訳でもない、オランダ産HRバンドにしては上手い方なヴォーカル・レベルでしかなく、その辺りは彼が後に自身のリーダー・バンドMENNENを率いて活動したものの大ブレイクを果たせなかった事からも伺えるだろう。

ボーナスの4曲もアルバムと同一方向性のサウンドで、デモ音源等のどうでも良い発掘オマケ音源等ではない、寧ろアルバム収録曲より活きが良くワイルドなギターが大活躍するハードドライヴィンしている所謂HRらしい勢いある楽曲(露骨にL.A.メタル過ぎる気はするが)なのでコレ目当てに古いオリジナル・アルバムをお持ちお方も手をだしてみても決して損にはならないと思いますよ?

とまれ初期BON JOVI、DANGER DANGER、Paul Laine、BLUE TEARS等のキャッチーでコンパクトなキーボードがフィーチャーされた80年代USロック&ハード・ポップがお好きな方なら激ダサなジャケットからは目を逸らして(笑)一聴してみる価値は間違いなくある、今の若いメロハー・ファンにも是非一度チェックしてみて欲しい美旋律愛好家にとって暗黒時代であった90年代に一瞬だけ輝きを放った、まるで荒涼とした砂漠に一時だけ姿を現した幻のオアシスの様であったオランダ産メロディアス作の一枚であります。

Track List :
01. The Great Escape
02. Take It To The Top
03. Two Sides Of Love
04. There She Was
05. Love Never Dies
06. Unknown Skies
07. Too Blind To See
08. Candyman
09. Hold On
10. Only Your Heart
11. Jekyll And Hyde
12. The Roaring Silence

[Bonus Track]
13. Let It Go
14. You Only Live Once
15. Gone With The Wind
16. Heat Of The Moment (Live)

ZINATRA are :
Joss Mennen : Lead & Backing Vocals
Gino Rerimassie : Guitars & Backing Vocals
Ron Lieberton : Bass & Backing Vocals
Robbie Valentine : Keyboards & Backing Vocals
Eddie Rokx : Drums & Backing Vocals


# by malilion | 2025-11-14 15:37 | 音楽 | Trackback