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KANSAS+RUSH+YES×モダン・プログレ、なUSシンフォ・バンド AFTER THE FALLが13年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_19145665.jpgAFTER THE FALL 「Early Light」'18

86年に米国コネチカット州で結成されたキーボード入り4人組USシンフォニック・バンドの、前作『Knowledge』'05以来13年振りの通算6作目となるアルバムがリリースされたので即GET!

Mark Alden Benson(Vocals、Electric & Acoustic Guitars、Percussion)と Ken Archer(Keyboards、Backing Vocals)を中心に結成され、デビュー・アルバム『The Last Hero』と2nd『Light and Shadows』は、それぞれ88年と91年にリリースされたが、残念ながらこの二作はカセット・オンリーでのリリースで現在までフルCD化されおらず、二作のカセット作から数曲ずつをチョイスしてデジタルリマスターを施した音源を収録したコンピレーション盤『BEFORE...』のみが97年にCDリリースされている。

カセット音源時代から3rdアルバム『In A Safe Place』'97 リリース時でメンツ変動があったがそれ以降バンドメンツは不動の4人 Mark Alden Benson、Ken Archer、Jeff Brewer(Bass、Bass Pedals、Acoustic Guitar、Percussion、Vocals)、Rich Kornacki(Drums、Percussion)で、前作リリース後も精力的な活動を続け、各種プログレ・フェスティバルに参加したり、ニュージャージーでの公演でTHE FLOWER KINGSとステージ共演を果たすなど長く地道なLIVE活動を続けたが、なかなか活動が報われぬのが引き金になったのか結成当時からのオリジナル・ドラマー Rich Kornackiが脱退し、バンドは12年から活動休止状態になっていた模様だ。

久しぶりの再起動作である本作では新ドラマー Marc Dupuisが迎えられているが、Rich Kornackiも二曲でドラムを叩いている所を見ると、脱退は円満に行われたのだろう。

また、折角の再起動作なものの、活動休止を挟んだ事が原因でかオリジナル・ベーシスト Jeff Brewerの姿は本作に無く、Jim Rosatiなるベーシストがゲストで一曲プレイし、残りは最初期のメンバー Jon Quinnが再び復帰してベースをプレイしている。

因みにカセット音源時のフロントマン Jon Quinnは、脱退後もバンドと交流を続け、前作『Knowledge』ではAdditional Vocalsをはじめ、Guitars、Samples Electronics等での客演のみならず、ジャケットデザイン等でも協力して来たが、本作では再びバンドに再加入し、Bass、Keyboards、Additional Guitarsをプレイするだけでなくアルバムのプロデュースまでも手がけている八面六臂の活躍で、なにげにバンドにとっての長年の影の功労者と言えよう。

ベーシスト Jeff Brewerが脱退したのでバンドの売りだった Mark Alden Bensonとの爽やかなツイン・ヴォーカルはもう聞けないのかと落胆した方も、代わりに初代フロントマン Jon Quinnがベーシスト兼任で復帰と言うことなのでその点の懸念は心配御無用だ。

さて本作についてだが、4th『The Living Drum』までは正直ピンとこないユルユルな自己満三流マイナーUSグレ・バンドだった訳だが、前作『Knowledge』からKANSASとRUSH風味を隠し味に、シャープなヴォーカル&コーラスとEL&P張りのシンフォニックなキーボードが大活躍する長尺曲ばかりながら助長な所が無くしっかり構成された、タイトにテクニカルに攻めまくりなUSシンフォ・サウンドへ急成長し、マイナーなインディ・バンドながら一気に大化けして期待のUSシンフォ・バンド最右翼へと躍り出て驚かされたが、待ち望んでいたファンの期待を裏切らぬ前作で示した方向性のままな会心の一作を届けてくれた('(゚∀゚∩

KANSAS、RUSH、YESという古典的プログレ系に始まり、JAZZハーモニー、奇妙なメロディー、その他の実験的な試みも敬遠せず、キャッチーでメロディアスなHR要素だけでなく様々な現代音楽のサブジャンルからの影響も貪欲にブレンドし、シンフォニックとプログHMの色合も兼ね添えたサウンドを意識しつつ、爽快なコーラスとシャープなヴォーカルは朗らかに歌い上げ、エッジあるギターはテクニカルにリフを刻み、オルガン、アナログ・シンセ等のビンテージ・キーボードは重厚華麗な音の壁を築き、繊細なベース・プレイとソリッドでタイトなドラムが複雑で軽快なリズムを交差させ、非常に独創的なモダン・プログレッシヴ・サウンドを奏でている。

アナログ・シンセ等の重厚で図太い音色は如何にも70年代風といった趣を感じさせ古典プログレ好きに訴求するサウンドながら、決して懐古主義と言う訳で無いRUSHっぽいデジタル加工を施したサウンドも隠し味的に随所で顔を見せてモダンさを感じさせつつ、チラリチラリとKANSASっぽいメロディやヴァイオリンのサンプリング・ストリング、そしてオルガンのヘヴィな音色を弾ませ、アメリカならではの抜けの良いYES系シンフォ・サウンドと爽快さ、そして熱気溢れるパワー圧しの畳みかけと強烈なアンサンブルが駆け抜ける、上手い具合に各要素をスポイルさせる事無く組み合わせ自分のカラーにしたバンドサウンドが実に魅力的だ。

70年代初期からUSインディ・グレ系はJAZZっぽいサウンドや、サイケっぽいサウンド要素を取り入れるバンドが多かったが、本作でも以前は余り聞かれなかったムーディーなJAZZフレイバー香るピアノやギター、ベースがセンス良くシャレオツな音色を聞かせ、時折ファンキーなギターのリフも朗らかに絡ませつつ、パワフル且つドラマティックな大作志向の楽曲をテクニカルに、スリリングに、前作よりかなりインスト重視なスタイルで堂々と鳴り響かせている。

前作で爽快なヴォーカルを聞かせてくれ一気にUS系らしいキャッチーさが増したと喜んだのだが、本作では再び各楽器パートが長尺で如何にもプログレ系というサウンド形態なアルバムとなったのがちょっと残念なものの、決して助長さは感じさせぬしっかり構成された手の込んだ楽曲は時間をかけて緻密に編み上げられたのが伝わってくる力作なので、今回はポップでキャッチーな要素は少々控え目にして、長い間にグツグツと溜まりに溜まって熱を帯びた各プレイヤーの迸る創作意欲と演奏欲を満たした結果なのだろう。

KANSAS、RUSH、YESファンや、70年代風な香り漂うモダン・USシンフォ・サウンドがお好みの方に是非一度チェックして欲しいバンドであります。

因みに同名のバンドが複数存在しておりますので、マイナーなシンフォ系バンドの本バンドは上記のアルバムタイトルしかリリースしていませんので、間違って購入されないようご注意下さい。





# by malilion | 2019-06-12 19:10 | 音楽 | Trackback

元ANGRAのヴォーカリスト、Andre Matosが死去…


元ANGRAのヴォーカリスト、Andre Matosが6月8日に死去した模様だ。

『…え!? なんのジョーク?』って、いう驚きがこの情報を耳にした最初の反応だった。

だって、彼はまだまだ若いはず…47歳じゃないか? と…

予測出来ぬ交通事故にでも巻き込まれたかと思ったが、なんと心臓発作を起こしたらしい…

しかも、6月2日にブラジルのサンパウロでTOBIAS SAMMET'S AVANTASIAのLIVEにゲスト参加していたのに…

その5日後に、この世を去るなんて、誰が予想できようか。

ともかく、これでオリジナルANGRAが再結成する事は永遠になくなってしまった……orz

今夜はANGRAのデビューアルバムでも聞くかな…

Andre Matosよ、安らかに眠れ…R.I.P



# by malilion | 2019-06-09 20:42 | 音楽 | Trackback

40年の歴史に幕を降ろしたカナダのSAGA…最終LIVE作をご紹介。

c0072376_19225693.jpgSAGA 「So Good So Far - Live At Rock Of Ages」'18

このアルバムだけは、正直聞きたくなかった…

もう随分前に本作のリリース情報を知り、ちょい遅れて入手していましたが、どうにも本作を聞く気になれなかったのです…orz

勿論、内容どうこう文句があるわけでなく、大好きなバンドの最終作、しかも活動終了というある意味で解散以上に悲しくも潔い結末を迎えた最後の勇姿が記録されているから…

本作は結成40周年を迎える2017年に“最終章”のLIVEツアーが行われ、18年のプログレ・クルージング・フェス“Cruise To The Edge”で行う特別な一回限りのパフォーマンスを最後に活動を終了(最終公演は18年10月12日プエルトリコ公演)した、カナダが誇るプログレ・ポップバンドSAGAの最終作であり二枚組CD+DVD LIVEアルバムだ。

17年ドイツのSeebronnで開催された『Rock Of Ages Festival』でのパフォーマンスを収録しており、夕刻から定評のある1時間半のセットを、数千人のフェスティバル参加者の前で披露した様子が納められた本作には、CD二枚組盤の他、アナログLP二枚組盤や、DVD盤、Blu-ray盤等のメディア違いのパッケージが多数用意され、有終の美に華を添えている。

『Rock Of Ages』フェスティバルの06年初開催時にSAGAが招聘されLIVEを披露して以来、毎年のように同地を訪れて人気を博し続けていた事から、常にSAGAにとって重要なLIVE会場先であった場に再び戻ってきてのLIVEを記録に納めるのは、ある意味で必然だったのかもしれません…

ここ日本での知名度や人気は信じられないくらい低い彼等ですが、結成以来、フロントマンの Michael Sadler(Vocals、Keyboards、Guitar、Bass)と、Ian Crichton(Guitars、Synthaxe、Banjo)と Jim Crichton(Bass、Keyboards、Moog synthesizer、Guitar、Synthaxe)のCrichton兄弟が中心なバンドで、そのトリプル・キーボードを活かした軽快でキャッチーなサウンドが、本国を始め北米、そしてユーロ圏、特にドイツでは昔から絶大な人気を誇るバンドでありました。

ですが、オルタナ&グランジーの影響か90年代末期から流行に日和った路線のアルバムを数作リリースして旧来からのファンの不興を買ったり、結成以来バンドの顔であったフロントマンの Michael Sadlerの脱退、そして一作だけ同郷のメロハーシンガー Rob Morattiを迎えてアルバムを制作した後すぐさま Rob Moratti脱退、電撃的に Michael Sadler復帰と、近年はゴタゴタ続きでイマイチ活動が軌道に乗れていなかった模様なものの、12年にはしっかり21作目となる新譜をリリースしてくれて、まだまだ素晴らしいアルバムを届けてくれるものとばかり思っていたのに…゚・(ノД`)・゚・

まぁ、Jim Crichtonは70歳になったし、他のメンバーも高齢なので流石にLIVE活動をこれ以上続けるのは辛くなったのだろうとは予想つきますけど、主要メンツを欠いてもメンバー補充して半ば懐メロバンド状態に陥りながらもDEEP PURPLEはまだ活動続けてるし、Ozzy Osbourneなんて引退、復帰、引退を何度繰り返してるんだかだし、KISSなんて引退ツアーを何年やってんだ、ってな金になるなら反吐の出るようなド汚い不義理がまかり通るショービジネス界に身を置き、そんな中で潔く活動終了を宣言した彼等には拍手を送るべきでしょう。

これまでも未発音源集やらアーカイヴ作は積極的にリリースしてきてくれた彼等なので、恐らく今後もなんらかの音源はリリースされるものと思われますが、ともかく活動中のバンドとしての音源はもう本作で最後と言うことになりますね…悲しい…orz

さて、本作についてですが、流石にベテランの最終作だけあって、全ての楽器のバランスはしっかり調整されており、各楽器は聞き取り易くバンドは実にタイトで、華麗なキーボードとテクニカルなギターのアンサンブルが活躍するポップなバンドサウンドに相応しくクリーンなサウンドに纏め上げられている。

99年以来、数多くのLIVEアルバムをリリースして来たが、幾枚かは本当にポップでクリアーな良いサウンドだったり、また幾枚かはダークでヘヴィな荒れたサウンドであったが、本作のプレイは最終作『Sagacity』から加入した新ドラマーの Mike Thorne(バンド史上最高のドラマーと称されている)のお陰もあってか非常にヘビィでソリッドで、そんなドラムに背中を押されるように各プレイヤーの演奏にも熱がこもり、トレードマークの螺旋を描くように上昇するギターフレーズで Ian Crichtonが魔術師のように聴衆を魅了し、さらにSAGAを特徴づける Michael Sadlerと Jim Crichton、そしてキーボーディスト Jim Gilmourらによるトリプルキーボードの分厚い音の壁がスリリングに迫り、キャッチーでファンタジック、そしてポップでコンパクトな楽曲を Jim Gilmourが操る華麗なシンセワークがまるで目の前で軽やかに跳ね踊るように繰り広げられ、馴染み深い名曲の数々をカラフルに彩っていく。

ドイツでのLIVEという事もあってか Michael Sadlerがドイツ語で聴衆に呼びかけたり、煽ったりしていてちょっと奇妙に感じるし、LIVE作にしては少々聴衆の声が聞き取りにくいように思えるものの、その事がLIVE作自体の質を決して落としている訳ではないのでご安心を。

これまでリリースしてきたアルバム枚数も多く、楽曲はさらに数多いので、さすがにまんべんなく全ての時代の代表曲を演奏する事は現実的に不可能だし、本作の殆どの人気曲は他のLIVEアルバムにも全て収録されているものの、『Help Me Out』『Will It Be you?』の二曲は非常に希にしか演奏されぬ楽曲なので、本作の目玉収録曲で聞き所と言えるかもしれない。


全SAGAファンにとって本作は『必需品』であり、まだファンではない方にとっては、名曲の数々が納められた本作はSAGA世界への完璧な紹介作と言える一枚と言えましょう。


# by malilion | 2019-06-07 19:17 | 音楽 | Trackback

70年代イタリアン・プログレの雄 BANCOが新フロントマンを迎えまさかの復活!

c0072376_17391114.jpgBANCO DEL MUTUO SOCCORSO 「Transiberiana ~Limited Mediabook~」'19

スタジオアルバム・リリースは97年のアンプラグドアルバム『Nudo』以来で、オリジナル曲で構成されたスタジオ・アルバムのリリースは94年の『Il 13』以来と、実に25年振り(!!)となる新作17thが遂にリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

70年代からPFMやLE ORMEと肩を並べるイタリアン・プログレ・レジェンドバンドのカリスマ的フロントマンで、ヒゲモジャのデブな禿げオヤジ(字面だけ見るとホンットに酷いなw)という特異なそのキャラクターとオペラティックな美声がメジャーデビュー以来“バンドの顔”そのものであったヴォーカリストの Francesco Di Giacomoを14年に交通事故で亡くし(涙)、てっきりバンドは解散したものとばかり思っていましたが、まさかの新ヴォーカリスト Tony D'Alessioを迎えた6人編成で活動を再開し、リーダーの Vittorio Nocenzi(Piano、Keyboards、Vocals)のみ残してメンツを総入れ替えしたツインギーター&キーボード入り新編成となって初のスタジオ・アルバム(ボーナストラックとして18年のLIVE2曲と44ページの綴じ込みブックレット&ハードカヴァー仕様の限定盤)が遂にお披露目された。

正直、Francesco Di Giacomo亡き後に誰を加入させようとも、もう以前のような懐かしの古典的イタリアン・プログレを奏でるBANCOサウンドを聞く事は叶うまいと確信していたので本作に手を出すのを少々躊躇っていたが、不遇の80年代末期からバンドに加入し、前作では時代を意識したメタリックでエッジある派手なギター・サウンドを聞かせた Rodolfo Maltese(15年に逝去…R.I.P)に代わり90年代以降バンドに参加している Filippo Marcheggianiがリード・ギターへ昇格し、12年から参加している Nicola Di Giaがリズム・ギター、そしてベーシストに元IL BALLETTO DI BRONZOの Marco Capozi、ドラムスにMETAMORFOSIの Fabio Morescoを迎えたという情報を耳にし、なかなか強力なリズム隊を従えたんだな、とちょっと興味をそそられ、LOST INNOCENCE、GUERNICA、POZZO DI SAN PATRIZIO等のバンドに参加し、イタリアン・プログHMバンドSCENARIOを率いる実力と十分なキャリアを持ったフロントマン Tony D'Alessioが加入というダメ押し情報で、遂には好奇心に負け(笑)本作を購入してしまいました。

前作のメタリックでドライヴィンな幾分かプログHMを意識しただろう(夢劇場の2ndは92年リリース)ハードサウンドでありつつ過去作もしっかりフォローする Vittorioの躍動的で煌びやかなシンセ大活躍な作風が個人的に大好きだった訳だが、既に新人バンドがデビューして解散してしまうくらいの年数が前作から経過している事実を見るまでも無く当然サウンドは前作と全く違っているものと予想していたが、本作は初期の重厚な70年代風イタリアン・プログレ・サウンドと、より現代的なHRサウンドをMIXさせた絶妙なバランスのサウンドがベースになっており、モダン・プログレからアバンギャルドな作風だけでなく、AORやJAZZ風な要素まで多種多様に取り入れたその恐れを知らぬ挑戦的サウンドは、70年代の黄金期を想わせる名盤サウンドを継承しつつも、新たな要素を貪欲に加えてモダンサウンドへ進化を遂げた、まるで新人バンドのような新鮮な活気と情熱に満ちた極上のイタリアン・シンフォサウンドが息づくアルバムで本当に驚かされた。

勿論、メンツが殆ど違うので同じサウンドなはずないのは当然だが、どうやらこのサウンド進化の一番の要因は、本作の作曲を Vittorio Nocenziが『まるで自分が作曲したかのようで驚かされた』と言う、彼の息子でありピアニストでドラマーの Michelangelo Nocenziのインプット(当人達が見失いがちなBANCOらしいサウンドを外部の若い感性を持つ目を通して再構築されたか?)を得た事が大きいようで、作詞は70年代以来バンドに度々力を貸している脚本家の Paolo Logliの協力を得て完成させられている点も見逃せないだろう。

“Trans-Siberian”は非常にパーソナルで複雑なコンセプト・アルバムで、シベリア鉄道をモチーフにした地球上で最長となる遙かな旅路が綴られており、何年にも渡って経験し現在までに味わった喪失感(バンドメイトとの死別や Vittorioの病の事を指して?)や、さらには希望の復活を伝える人生の比喩的な物語(壮大な風景、事故、狼との闘い、荒廃した遺跡、美しい降雪、そして最終的には海に到着するまでのアジアを横断する架空の旅)は、困難、夢、希望、期待、驚き、そして世の不思議について語られ、それらの比喩話には商業的成功を求めての失敗(80年代の愚かなポップ路線変更で金を稼ごうとしたのを指して)から学び、再びやり直すアクシデント等が赤裸々に描かれていて、全てをさらけ出して再び自らのアーティスティックな未来を定義づけると共に、その長いキャリアを音楽的にも歌詞的にも自伝的物語の態をとって総括した渾身の復活作となっている。

また、Vittorio Nocenziが語る所によると、シベリア鉄道をモチーフにした理由は『シベリアは極端な土地で、それは我々が経験する極端な時代、環境の大惨事の深刻さ、そして知性を破壊するグローバリゼーションの為の隠喩でもあり、無知で思いやりのある原理主義的狂信者によって支配される現代生活の衰退に対する警告でもり、全ての芸術家がそれらの問題に対して倫理的な緊張を与えなければならないと信じているから』と言う事らしい……

時代が時代なので70年代のような壮大で長尺な楽曲の姿は無く、本作の最長トラックは6分半程度となっているが、バンド創設時から作曲を務める Vittorio Nocenziと息子 Michelangeloによる楽曲群やアレンジメントの妙は冴え渡っており、キャッチーなビートに、パーカッシブなキーボードサウンド(図太いシーケンサー・サウンドが最高♪)、渦巻くようなソリッドなリズムセクション、浮遊する金物を活躍させるアバンギャルドな面を覗かせつつ変拍子が随所で顔を出すHR的畳みかけや、エッジ鋭いギターが強調された攻撃性と、これぞBANCO!と、いう情熱を再燃させる古典的でジャジーなタッチとモダン・ロックがMIXされた重厚なサウンドに、アートロック風の艶やかなアコースティック・パートを導入した古典的イタリアン・プログレらしいメロディアスでフックある展開は、結成1969年というキャリア50年を誇るイタリアン・プログレ大御所バンドの面目躍如な、優れたミュージシャンシップと未だ衰えぬエネルギー、そして独創的な静寂と荘厳なムードできめ細かく装飾されており、まるで煌びやかな宝石のように眩い輝きを放つその楽の調べは素晴らしいの一言だ(*´ω` *)

そして、本作における最大の注目点と言えば、新たに伝統あるバンドのフロントマンの座に就いた Tony D'Alessioについてだが、IL BALLETTO DI BRONZO、OSANNA、PFM、AREA、そしてBANCOの熱烈なファンだったと言う事で生前の Francesco Di Giacomoと交流があり、奇しくも“もし自分が歌えなくなったならば後任には是非 Tonyを”と Giacomoからお墨付きをもらう程の歌唱力で、同郷バンドMETAMORFOSI、LE ORME、MUSEO ROSENBACH等でも耳に出来る、喜怒哀楽の感情表現で巧みに声を使い分ける技量や、オペラチックに憂いある声色を震わせたり、弾けるような朗らかな歌声を轟かす、非常に情熱的なイタリアン・ヴォーカルスタイルで、勿論 Giacomoの唯一無二の美声を再現は出来ないが、可能な限り似せた歌唱を聴かせたり、自身のスタイルであるシャープで伸びやかな歌唱やHM畑で培ってきた強靱でパワフルな喉を披露したりと、ステージに出る度に Giacomoと絶えず比較される過酷な立場ながら、勇気、技術、そして持てる情熱の全てを捧げたその堂々たる歌いっぷりは、新たなる時代へ向けてBANCOサウンドが進化する足がかりとなっているのは間違いないと言えよう。

古典的イタリアン・プログレサウンドが色濃く思える本作だが、じっくり耳を傾けてみるとそこかしこにモザイク画のように雑多な要素が散りばめられており、80年代のKANSASのようにハモンドとロックギターでキャッチーに攻めるパートや、IL BALLETTO DI BRONZOのような“Jazz Meets Rock & Avantgarde”といった美しいアコースティック・ギターが光るパート、持ち味のクラシカルなピアノが活きる艶やかなパートや壮観なシンセサイザーが大活躍するパートや、情熱的なヴォーカルとソフトなピアノが夢のように艶やかなGENESIS風のパートや、80年代CRIMSON風の硬質なギターが繰り返し響くパート等々、実験的な音楽要素を複合させたりサウンドにデジタル処理を施してみたりと、果敢に新基軸を構築しようと手探りで新たなモダン・プログレサウンドを構築するべく挑戦しているのが分かり、その飽くなき探究心と情熱の証を追いかけるだけで、もうお腹一杯になってしまうくらい濃密な内容の一作だ。

ジャケットはお馴染みのテラコッタの壺形貯金箱があしらわれたデザインになっていて、昔ながらのファンならずともニヤリ、としてしまいますね。

古典的イタリアン・プログレ・ファンは勿論のこと、高品質なユーロ・モダン・シンフォ作をお求めな方や、参加メンバーが元居たバンドのファン、そしてベテランの妙技と味わい深い熟練のプレイの数々を楽しみたい方にもお薦めな、安心安定の会心作となっておりますので、ご興味あるようでしたら是非一度チェックしてみて下さい。


# by malilion | 2019-06-05 17:31 | 音楽 | Trackback

男女混声ヴォーカルが大活躍♪ USシンフォ IZZが4年ぶりにハイセンスでモダンな新譜をリリース!

c0072376_21171062.jpgIZZ 「Don't Panic」'19

96年に New Yorkで結成され米国東海岸を拠点に活動する Tom(Keyboards、Vocals、Production & Mixing)と John(Bass、Electric & Acoustic Guitars、Ukulele, keyboards、Vocals)の Galgano兄弟率いる、ツインドラムにツイン・フィメールヴォーカルという特異な編成の7人組US産シンフォ・バンドが前スタジオ作から4年ぶりとなる9thアルバム(アーカイヴ作を含む)をリリースしたのでご紹介。

テクニカルでスタイリッシュ且つモダンなシンフォサウンドを以前から奏でている彼らだが、本作は今まで以上にスッキリとシンプルな楽曲構成な為か所謂普通のシンフォ作のように一聴して聞こえ、特に Anmarie Byrnes嬢と Laura Meade嬢のツイン・フィメールヴォーカルとそこに絡む Galgano兄弟の四声男女ヴォ-カルが織り成す分厚くキャッチー、それでいてリリカルな歌メロはまるでコンテンポラリーなポップスのようにメロディアスな楽曲を鮮やかに彩っており、シンフォ系というカテゴリーにくくっていいのか迷ってしまうくらい美しくて絶品だ♪('(゚∀゚∩

ここ数作、ちょっとダーク気味で重厚なシンフォ・サウンドを提示していただけに、このYES風コーラスを活かした華麗なるポップ風メロディアス・シンフォへ突き抜けた変化は、正直予想外でした。

ただ、Galgano兄弟主導による未発音源集のアーカイヴ作『Ampersand, Volume 2』'16で聞けた、ピアノとアコギだけが繊細な音色を紡ぐアコースティカルで瑞々しいクラシカルな作風やポップなヴォーカル小曲の片鱗が本作で垣間見え、なるほど本作の予兆は既に示されていたのか、と勝手に納得しきり。

勿論、男女混声ヴォーカルをメロディアスに織り交ぜた甘くキャッチーな歌メロが乗っかる軽やかな楽曲だけでなく、近年提示し続けて来た硬質でダークでヘヴィなテクニカル・シンフォや、切れ味鋭く構築美を響かせYESばりに複雑怪奇に音が飛び交うスリリングなインタープレイの応酬も決して技巧に走った難解さを感じさせぬ、ある種カタルシスを伴った爽快感さえ感じさせる叙情的なフレーズと柔和で煌びやかなキーボードの音色で包み込んだセンチメンタルで物憂げな淡い美しさが光るモダン・シンフォサウンドもタップリとフィーチャーされているので、以前からのUSモダン・シンフォサウンドが好きだと言う方もご安心あれ。

今まで以上に華麗なコーラスと軽やかなキーボード(クラシカル風味満載なピアノの調べが堪らん!)が活躍している(ブリブリのトリッキーなベースもメチャ目立ってる!)ように思える本作だが、YES張りな技巧性とSPOCK'S BEARD風の優美なメロディアスさをMIXしたUS産らしいクリアーでタイトな音像の中、G・G風のリズムや、JAZZっぽいタッチのサウンド運び、米国東海岸拠点バンドと思えぬGENESIS、CRIMSON風なユーロ・テイスト漂うモダン・シンフォニック・ロックを、時にキャッチーに、時にシットリ艶やかに、と緩急の効いた押し引きの間合いも絶妙に、縦横無尽に心惹かれるフレーズとソリッドでダイナミックなリズムで紡ぐ、技巧派テクとキャッチーな美旋律のバランスが本当に見事な一作だ。

総じて今まで以上に複雑で凝った楽曲構成なのに、今まで以上にスタイリッシュに聞こえ、US産の抜けの良いキャッチーさとユーロ系の艶っぽさや叙情感のどちらも堪能出来る、無駄なくコンパクトに纏め上げられた本作は、耳の肥えたグロプレ・ファンのみならずグロプレ初心者な方や男女混声ヴォーカルが大活躍するポップロック好きな方にもお薦め出来る傑作となっております(*´ω` *)




# by malilion | 2019-06-01 21:11 | 音楽 | Trackback

継続は力なり! ベテランHRバンド LUCIFER'S FRIENDの新作!('(゚∀゚∩

c0072376_08453417.jpgLUCIFER'S FRIEND 「Black Moon」'19

今やブリティッシュHRの生き字引とも言える URIAH HEEPの二代目ヴォーカリスト John Lawtonが元在籍したバンドとしても有名なドイツの古参HRバンドの再々結成第三弾、前作から3年ぶりとなる新作をちょい遅れてGET!

いつ活動停止になってもおかしくないご老体ばかりなバンド(SCORPIONSより先にデビューしてる!)だけに新作が届けられた事が素直に嬉しいのですが、なんとバンドメンツに変化が起こってしまった模様で、前作から加入して地味ながら楽曲の輝きが増す小技を繰り広げていた新人キーボーディスト Jogi Wichmannが早くも脱退してしまい、本作は再々結成時のBEST盤リリースと同じ John Lawton(Vo)、Peter Hesslein(G、Key)、Dieter Horns(B)のオリジナル3人に、新加入の Stephan Eggert(Ds)の4名体制へ戻ってしまっている。

前作は新加入メンツが化学変化の起爆剤だったのか、意外な程に(失礼!)充実した内容で、適度にハードでありつつ、キャッチー且つコンパクトでフック満載な古典HRのメロディアス・チューンがズラリと並ぶなかなかの力作でありましたが、続く本作では解散前の中期頃に聞かせたような拡散方向へ音楽性が変化(先祖返り?)した模様で、トランペットやコンガが大活躍する楽曲や、ムーディーなJAZZっぽい楽曲、スリリングなヴァイオリンが活躍するリズミカルな楽曲に、初期風なダークでミステリアス、それでいてパワフルなちょっとHEEPっぽさ漂う70年代風HRな楽曲等々があったりと盛り沢山な内容となっており、専任キーボーディストが不在ながらオルガンをはじめシンセ等の鍵盤系サウンド大活躍な楽曲もタップリとフィーチャーされていて、全てが彼等がこれまで聞かせてくれた幅広い音楽性の範疇内に収まる別段目新しい事をしてる訳でもないものの、その70年代風味漂う骨太な極上のB級HRが安心安定で実に心地よいんだなぁ~♪('(゚∀゚∩

Jogi Wichmannが聞かせてくれた小技の効いた絶妙なアレンジやカラフルな華やかさは影を潜めてしまったけれど、音楽性が拡散方向へ向いているのでストレートでシンプルなアレンジの楽曲が多くても単調さや淡泊さは感じ難くなっており、その辺りは流石ベテランミュージシャンにして長らくLUCIFER'S FRIENDを率いていた Peter Hessleinの面目躍如といった所でしょうか。

手の込んだ構成の楽曲は少なくともメロディアス度やキャッチーさは解散前の輝きを取り戻しつつあるように思うのだが、如何せん経年の為に John Lawtonの超絶なハイトーンがもう聞けないのが悲しい……が、それにも増してミドルからロウトーンの絶品な深みある艶声が本作でも眩い輝きを放っており、そこらの若さが売りの小僧ヴォーカリストには太刀打ち出来ぬ円熟味滴るような堂々たる歌唱は流石の一言だ。

じっくり聞き込むとオーソドックスな展開の楽曲のそこかしこに顔をだす味あるアレンジや、アダルトな魅力プンプンな John Lawtonの歌唱をタップリとフィーチャーしたAOR風味な楽曲以上に耳を惹くのは、ちょっとレイドバックした“泣き”のギタープレイや、軽やかなJAZZっぽいギターソロ、不意に斬り込んでくるアコースティカルなギター等と、本作は前作以上に多種多彩な音色とプレイを聞かせる Peter Hessleinのギターが所狭しと大活躍(早弾にも挑戦!)しているアルバムと言えるだろう。

さらに楽曲全体から漂う“今っぽさ”を意識したサウンド創りや、前作では聞けなかったファストでスピーディな楽曲の存在に、パワフルさを押しだした楽曲が収録されているのを聞くにつけ、『ベテランだからと言って容易く懐メロバンドには決して成り下がらんぞ!』という Peter Hessleinの現役プロミュージシャンとしての意地と気概がビンビン伝わってきて実に小気味良いのです(*´ω` *)

昨今のハードでファストなサウンドを聞き慣れている諸兄には少々刺激が足りぬ音かもしれないが、歯切れ良く骨太でグルーヴィな70年代直系HRサウンドを、ここまで堂々とストレートに“今”繰り広げられてしまうと『つまらん戯れ言なぞどうでもいいんじゃ! ガタガタ言わずにコレを聞け!』と老害丸出しな爺さんみたいに叫び出したくなるんですよ(w

あ~~~~~っ、ヤッパ70年代HRは最高やぁ~~~~~~~~っ♪

これが最終作と言われても驚かぬベテラン勢な彼等ですが、出来る事ならもう少し活動を続けて再び快作を届けて欲しい、そう願わずにはおれないのであります。



# by malilion | 2019-05-28 08:35 | 音楽 | Trackback

L.A.の人気セッションギタリスト Michael Thompsonのメロハー・プロジェクト CULVER KINGZをご紹介。

c0072376_21010640.jpgCULVER KINGZ 「This Time」'16

先月 Michael Thompson Bandの3rdアルバムが海外で無事リリースされ、国内盤の情報を揉み手しつつ待っている所で Michael Thompson Band周辺のラックを漁っていたら見付けた本作を今頃ご紹介。

確か17年頃には既に輸入盤店で購入出来た本作だが、L.A.の人気セッションギタリストである Michael Thompsonが組んだメロハー・プロジェクトでESCAPE Musicリリースなのに何故かソレ系のお店等でも話題になっておらず、未だに本作の存在を知らぬ方も多いのではないだろうか?

まぁ、Michael Thompsonファンと言うとAOR系好きな方が多いだろうから『メロハーに寄ったサウンドは守備範囲じゃない』って事でAOR系からソッポ向かれ、メロハー系からは『Michael ThompsonっていうとAOR系だろ?』って事でソッポ向かれたのかもしれない。

本作は Micheal Thompsonとヴォーカルの Billy Trudelだけによるデュオ・プロジェクトで、参加プレイヤーのクレジット等が見当たらない所を見るとギターをはじめ殆どバックのサウンドは打ち込みサウンドも含め Micheal Thompsonの手によるものと思われる。

ハード且つキャッチーでメロディアスなブライト・サウンドにピッタリとマッチする上から下まで伸びやかな歌声を聞かせる甘い声質の Billy Trudelは以前 Micheal Thompsonと一緒にバンド活動をしていた旧知の仲で、 Michael Thompson Bandのバッキングコーラスにも実は参加していたりする実力派セッション・ヴォーカリストらしく、ポピュラー・ミュージックシーンの大物達のアルバムにも多数参加していると言う。

どうしてその2人がパーマネントなバンドを組まずにいるのかは謎だが、まぁお互い有名セッションマンとして引っ張りダコな訳だから、裏方作業の方が稼ぎが安定して良いので妙な冒険はしない、っていう安定思考な活動スタンスなのかも……

さて、本作のサウンドだが、名うてのセッション・ミュージシャンが創り上げただけあって、売れ線バッチリなポップさとキャッチーさ、そしてAOR系にも訴求するアダルトなメロディとソツなくコンパクトに纏められたモダンでコンテンポラリー寄りな楽曲は如何にもプロの仕事と言う隙無い仕上がりで、打ち込みサウンドなのが全く気にならない程だ。

アルバムに納められている楽曲は総じてソフト目な印象ながら、Michael Thompsonのギターは思いの外にハードでエッジが立っており、メロハー系に相応しくHR張りのテクニカルなギター・プレイを縦横無尽に弾きまくるものの、そこは流石に勢いだけのメタルヘッドな駆け出しミュージシャンとは違って敏腕セッションマンらしく抑制の効いたプレイを心得ており、Billy Trudelのキャッチーで爽快な歌メロ(ちょっとSteve Perryっポイとこアリ)を阻害する事の無い曲の全体像をしっかりと捉えた、楽曲に相応しくコンポーズされたギターワークを披露している。

レベルの高いモダンサウンドな仕上がりのAOR風味なメロハー・アルバムながら、逆に言えば大きな破綻や勢い任せな所もなく新鮮な驚きも無い、有名セッションマンが主導したプロジェクトという点以外にコレと言って大きく注目するようなポイント(元々そんなに個性のキツいギタリストでもない優等生セッション・ミュージシャンってのが、また…)も少ない、宣伝する立場としては少々困りものな平均的に高レベルな仕上がりのキャッチーでメロディアスな“良く出来た”作品でもあるかもしれない…(汗

メロハー系にキンキンのドポップな勢い有るキャッチーでアップテンポな楽曲ばかりを求める向きには本作はAOR風味が強すぎる作風ながら、Michael Thompsonのファンや、質の高いアダルトなポップロックを許容出来る方ならば本作はきっとスルメのように長く味わい深い作品となるに違い無い。


# by malilion | 2019-05-27 20:54 | 音楽 | Trackback

北欧シンフォ BRIGHTEYE BRISONが8年ぶりに5thをリリース!


c0072376_20430452.jpgBRIGHTEYE BRISON 「V」'19

北欧スウェーデン産ツイン・キーボード5人組な新世代シンフォ・バンドの久しぶりとなる新譜がリリースされたので即GET!

BRIGHTEYE BRISONの新譜情報が無い中、まさかのリーダー Linus Kase(Grand Piano、Rhodes、Clavinet、Riha Adagio、Synths、Percussion、Saxophones、Backing Vocals)が14年に北欧ヴィンテージ・プログレ復興の旗印バンドANGLAGARD(!)へ電撃加入してファンをヤキモキさせたが、前作『The Magican Chronicles Part I』から8年ぶりとなる新譜のメンツに変化(Linus KaseはANGLAGARDと兼任)はなくファンは一安心といった所だろう。

前作タイトルが“Part I”であっただけに続く新譜タイトルが“Part Ⅱ”となるかと思いきやシンプルに『V』となっているものの、前作から既に23分越えの楽曲をアルバム冒頭にもってくるなど大作指向が見え隠れしていたが Linus KaseがANGLAGARDへ加入した事も影響したのか本作で一気に大作指向が加速した模様で、大作三曲のみ収録の本作三曲目タイトルが『The Magican Chronicles Part Ⅱ』となっており、ちゃんと続編の事も忘れていなかった模様だ(*´ω` *)

フック満載の屈折した美旋律に爽快なヴォーカル・ハーモニーを乗せ、キャッチーで抜けの良いYES風テクニカル・シンフォサウンドに同郷THE FLOWER KINGS張りの変拍子とSPOCK'S BEARD風の複雑なコーラスワークとスリリングなキメを多用してグイグイと力任せに駆け抜けるサウンドが小気味良かった彼等ですが、今まで以上にメロトロンやシンセ等が多用されて北欧バンドらしいダークな幽玄さと寒々しい寂寞感が醸し出されるのと共に、ドラマチックでエモーショナルなサウンド全体を靄のように柔らかく軽やかなキーボードの音色が包み込み、バンドがさらなる高みへ駆け上がったのかANGLAGARDから Linus Kaseが持ち込んだ音楽性が活かされたのか、サウンドのスケール感がググッと増したのに合わせて妖しくも神秘的な叙情が深く感じられるサウンドへ進化している。

シンフォ系お約束の派手なメロトロン等の鍵盤モノの活用は勿論のこと、複雑で立体的な曲構成のメリハリを生かすスピードの緩急の付け方やアンサンブルの妙に以前から目を見張るものがあった彼等だが、ヴィンテージ懐古プログレ系のように変に重々しく暗くなる事なくお得意のトリプル・ヴォーカルによる軽やかなコーラスワークを交差させて北欧特有のウェットな美メロとキャッチーな歌メロを保ちつつ、アグレッシブなパワフルさをHMやHRへ安直に近寄らずに密度の高いテクニカル・シンフォサウンドで表現し、70年代エミュレートでない他の誰とも似ていないオリジナリティあふれる北欧新世代シンフォ・サウンドを堂々と奏でている様は見事の一言。

細かなコーラスの使い方や、後ろで軽やかに刻まれるギターのカッティングだけ聞くとまるでポップスグループのようだが、壮大で高らかに鳴り響くシンセやタイトでヘヴィなオルガンを交えた激しいインタープレイの応酬や、各パートの複雑でありつつ歌を邪魔しないセンスあるアンサンブル、テクニカルでソリッド、それでいて芯の図太いリズム運びは、正しくモダン・プログレサウンドのそれだ。

17分、17分、36分と長尺三曲のみしか収録されていない如何にもプログレなアルバムにも関わらず、カッチリとコンパクトにまとめ練り揚げられた楽曲には助長な箇所は皆無で、アッという間にアルバムが終わってしまうのに驚かされ、改めて彼等の楽曲構成力の高さとアレンジ能力の素晴らしさ(お約束のサックスがいい味だしてる♪)には脱帽です。

全然似てないのに、所々でENGLANDっポク(ここ重要)聞こえるパートがあったりして、独りで大喜びしていたのは内緒だ('(゚∀゚∩

ポップでキャッチーながらテクニカルでモダン、そしてハイセンスな正統派北欧シンフォ・サウンドがお好みの方は、是非に一度彼等のアルバムをチェックしてみて下さい。決して損はさせませんよ!




# by malilion | 2019-05-25 20:28 | 音楽 | Trackback

宇宙飛行士スタシスの冒険が遂に完結! LONELY ROBOTが3rdアルバムをリリース!

c0072376_09383299.jpgLONELY ROBOT 「Under Stars ~Limited Edition Digipack~」'19

IT BITES、FROST*、ARENA、KINO等での活躍のみならず、グレ系大御所のツアーサポート、レコーディングエンジニアやプロデューサーとしてアルバム製作に関わるなど、'90年代以降のUKプログレシーンで大活躍する英国マルチ・ミュージシャン John Christian Mitchell(Vo,G,B,Key)によるソロ・プロジェクト作の3rdアルバムにして宇宙飛行士スタシスの冒険三部作の最終作が2年ぶりにリリースされたので、ボートラ3曲追加のデジパック仕様スペシャル・エディションをちょい遅れてGET!

デビュー作こそ多数のゲストを迎えて製作されていたが、次作2ndではググッとゲストの数が減り、本作に至っては Fishのベーシスト Steve Vantsisが数曲でベースをプレイする他は、ほぼ John Mitchellが独りで創り上げていて、前作に引き続き Craig Blundell(FROST*、PENDRAGON、Steven Wilson)をドラムに迎えている以外は、ギターを筆頭に自身で楽器をマルチにプレイし、作詞作曲プロデュース、そしてミックスとマスタリングまでも全てを一人で手がけるワンマン体制に変化はない。

ファーストアルバム『Please Come Home』は、人間はエイリアンから生まれた可能性が有るというSF的発想を元にした、星空を旅するようなスペイシーで煌びやかなポップサウンドが展開され、セカンド『The Big Dream』は、宇宙飛行士の極低温睡眠からの目覚めに関する『真夏の夜の夢』風のファンタジックな物語が、哲学的な黙想と現実と夢の狭間の混乱も絡めてキャッチーなポップサウンドで綴られ、続く最終章である本作では、若者、ミレニアム世代、そしてテクノロジーへドップリと依存している現代人のソーシャルメディア依存、そしてデジタル主導の世界からの決別について、哲学的見解を提示し、ソーシャルメディア生活の非現実性に対する猛烈な否定を宇宙旅行のテーマに結び付け、明らかに意図的な80年代風の音色やトリックを取り入れたシンフォニックでデジタリーなポップサウンドをノスタルジックな叙情詩的に、ミステリアスなサウンドも交えてオーガニックに展開していく。

アルバムのテーマや最終章と言う事もあってか、宇宙飛行士の目を通して見た様々な宇宙体験(トピックのテーマ別のプレゼンテーション)というスタイルに変化は無いものの、幾分スペースファンタジーな物語の部分は少なくなっており、前二作と比べると明らかに楽曲のキャッチーさやポップ度が後退しているが、その代わりと言ってはなんだこれまで以上にエモーショナルでセンチメンタル、そして心に突き刺さる“泣き”の絶妙なトーンが冴え渡る John Mitchellのギターが絶品なのと、意図的に前二作では彼がこれまで関わってきたキャリアのプログレ、ポンプ、シンフォ系サウンドから距離を置いた歌モノポップ・サウンドが本作では本職のシンフォ系サウンドに近づいたサウンドに感じられ、シンフォ系リスナーにとっては John Mitchellに期待する通りの美旋律満載なサウンドと言えるが、前二作のキャッチーでメロゥなポップサウンドが気に入っていた方からするとやや不満な形のスペースオデッセイ最終作となるかもしれない。

とは言え、ポップさやキャッチーさでは劣るかもしれないが、本作は前二作よりも独特の旋律的な雰囲気を持ち、サウンドとプロダクションの壮大さ、そして何よりもリリカルでメロディアスな、現代的テーマに合ったSFサウンドと豊かで静かな歌詞を巧みにミックスしたプログレッシヴ・ミュージックだと言えよう。

映画的なサウンドスケープや、不吉な感触を与えるサウンドトリック、80年代風シンセポップフィーリングを備える旋律的な楽曲に加え、心奪われるエモーショナルなギターソロの他にも、分厚く暖かなコーラス、隙の無いプロフェッショナルな作曲、心憎い細かなアレンジ、そして抜群に巧い John Mitchellのヴォーカルと、80年代のシンセポップと2019年の John Mitchellのプログレ的実験サウンドを組み合わせた音楽は、明と暗、消失と発見、それら多くの物事を対比させ、星々の狭間を漂う孤独な宇宙飛行士を彷彿とさせるホロ苦い悲しみと甘さを漂わせ、まばゆいほどの感動を響かせながら、栄光の旅の明るく平和な結末を暗示するように、ファーストアルバムに収録され、セカンドアルバムで再び姿を現す“Please Come Home Lonely Robot”が再びリフレインしながら、星々の彼方へ楕円軌道を描いて消えていく……うーん、美しい。実に美しい大団円だ(*´ω` *)

John Mitchellが語る本作のメインテーマでもある『私達人間は、私達の周りの美しさに気づかずに余りにも多くの時間を費やし、技術に繋がれてあまりにも多くの時間を費やしているのでは?』という考えに由来した本作の思考させられるサウンド、決して嫌いじゃありません。

しかし、最初から三部作と言うことで制作されたLONELY ROBOTのアルバムですし、本職バンドがお休みの暇つぶしポップソロ作とも言える訳ですが、ここまで素晴らしいアルバムを聞かされると、このまま終わっちゃうのは勿体ないなぁ、ってファンならずとも考えてしまいますよねぇ?

どうせ本隊バンドはそうそう動かないんだし、もっとLONELY ROBOTのアルバム創ってもいいんじゃない? ねぇ?

John Mitchellと聞いてシンフォ&プログレ系サウンドを求める向きに大推薦とは言えないけれど、ファンタジックなゆったり美しいUK産ヴォーカル・アルバムを楽しめる方や、物憂げでセンチメンタル、そしてメロディアスなデリケート・サウンドがお好きな方になら是非お薦めしたい、美旋律が満載なコンパクトで完成度の高いアルバムです(*´ω` *)



# by malilion | 2019-05-24 09:29 | 音楽 | Trackback

DREAM THEATERフォロワーなフランス産プログHMバンドORENDAが、キャッチーに大躍進したシンフォ・サウンドの2ndをリリース!

c0072376_16293352.jpgORENDA 「Next」'18

フランスはルーアンで結成されたキーボード入り5人組モダン・プログレッシヴHMバンドの2ndアルバムが、去年末に10年ぶり(!!)にリリースされていたのを、今頃ご紹介。

98年にルーアン大学でDREAM THEATERのカバーバンドとして創設された、という出発点は明らかにDREAM THEATERフォロワーの1バンドであった。

ただ、彼等が『Images & Words』'92 リリース後に世界中であふれかえったコピー・バンド群と大きく違ったのは、彼等が『Images & Words』リリース後数年してから活動開始した世代差のあるバンドであり、『Images & Words』時点“まで”の音楽性のコピーであった雨後の筍の如く出現したDREAM THEATER症候群バンド(サックス入りのバラード調曲は定番)と違い『Images & Words』以降の音楽性の変化を取り込んでいる点と、当然の如くDREAM THEATER以外からの音楽的影響も色濃く自身のサウンドに現れてモダンでスムースなオリジナリティあるサウンド構築に活かされている点が上げられるだろう。

デビュー・アルバム『A Tale of a Tortured Soul』'08 時点では、ヴォーカルの声質や歌唱スタイルは言うに及ばず、ギターリフやフレーズ、リズムチェンジにキーボード・サンプリング等までに隠しようもなくDREAM THEATERフォロワー臭が漂うプログHMサウンドであったが、ユーロ圏のバンドらしいダークなアルバム・コンセプトと、ウェットなメロディや歌メロを主軸に据えた楽曲構成は、複雑な楽曲構成やインタープレイの応酬、そしてハイテク・ソロプレイ等を見せつける事の多いフォロワー系バンドの中では、所謂ポピュラーでキャッチーにまとめられたスタンダードなHM(時期的に考えて、もっとダークでヘヴィな鈍色プログHMサウンドでも当然なのに、その選択をしなかったのが素晴らしい!)に近似したバンドサウンドであったと言える。

夢劇場フォロワー系バンドのデビュー作は、ややもすると若さあふれる才気走った無駄なテクの応酬、長尺のインタープレイ・パート等が多くウンザリさせらる事が多いのが常だが、彼等はコンセプトアルバムであった点や、前世代のモロ『Images & Words』コピーなフォロワー・バンド群のサウンドを聴いていた事も影響してか、あくまでコンセプトを伝える歌メロを主軸に据えたコンパクトな楽曲構成であった事もあってオリジナリティという点ではまだまだなものの一連のフォロワー群の劣化コピー・アルバムより聞きやすかったのを覚えています。

とは言え、この時点ではDREAM THEATER、SYMPHONY X、SHADOW GALLERY等のサウンドと類似点の多いテクニカルなギターとキーボードプレイが売りのマイナー・ユーロ・プログレッシヴHMバンドの一つで、PAIN OF SALVATION風のダークな世界観も垣間見せている所がちょっと毛色の違いを感じさせる程度の存在でした。

今から考えるとこの時点で既にコーラス主体(ベーシストを除くメンバー全員バッキングヴォーカルのクレジットがある)なキャッチーな歌メロの片鱗や、サンバやサルサ等のDREAM THEATERでは聴く事の出来ないダンサンブルなフレーズや軽やかで美しいメロディの楽曲展開等が垣間見えていたのが面白いですね(*´ω` *)

普通ならデビューの勢いそのままに2ndの制作へ雪崩れ込むのがバンドの常なのですが彼等の場合は少々違い、リーダーの Stephane Coubray(Keyboards、Piano、Vocals、Percussions)が複数バンドを掛け持ちしていたのも関係してか、次なる音源は彼の関わるバンドを中心に多数のバンドに在籍するメンツや有名セッションミュージシャン、そしてテクニカルな音楽大院生を招くなど総勢14名の参加ミュージシャン達の手によるオペラ形式の壮大なダブル・コンセプトアルバム『New Day for Heaven』'13 を制作する事になる。

以下、『New Day for Heaven』プロジェクト参加メンバー。

Stephane Coubray(ORENDA、PLATINUM PLATYPUS、TRACES D'ILLUSIONS:Keyboards、Guitars、Bass、Vocals)
『New Day for Heaven』プロジェクトの作曲、アレンジ、プロデューサー、エンジニアを担当。物語ではナレーションの音声も担当。

Yann Martin(PIG:Guitars)
ギタリストで作曲家。
『New Day for Heaven』プロジェクトのスタジオ作業、及び公式ウェブサイトのデザイナー。物語では父親役の音声も担当。

Alexis David Tocqueville(PIG:Vocals)
『New Day for Heaven』プロジェクトの作詞と物語の脚本を担当。
ヴォーカル・メロディーの大部分と、キャラクターDARK HEAVEN役の音声も担当。

Anthony Lefebvre(ORENDA:Vocals)
物語の主人公HEAVEN役の音声を担当、そしてリード・ヴォーカリストでもある。ヴォーカル・メロディーと、ヴォーカルアレンジを担当。
『New Day for Heaven』CDカヴァーとアルバム付属の小冊子デザインも担当。

Julien Esteve(ORENDA:Bass) 新たにORENDAに加入したベーシスト。
Cedrick Saulnier(ORENDA、COVERSLAVE:Guitars)
Solene Leroy嬢(PLATINUM PLATYPUS:Vocals) 物語でEVE役の音声を担当。主人公の恋人役。
Salima Pichou嬢(COLLIN THOMAS:Vocals) 物語で主人公の母親役の音声を担当。
Alexis Damien(PIN UP WENT DOWN:Drums)
Guillaume Lefebvre(Drums) ルーアン音楽大学院生。ORENDAメンツの後輩。
Sylvain Fassio(PIG、ROSAPARKS:Guitars)
Laurent Terri(TRACES D'ILLUSIONS:Flute) 有名フルート奏者。
David Andrews(ANDREWS:Bass) 有名ベテラン・ベーシスト。
Damien Train(PLATINUM PLATYPUS、PIG、SUPER SCREAM:Drums)

と、言う事で Stephane Coubrayを中心に『New Day for Heaven』プロジェクトのミュージシャン達が集まったのが分かるだろう。

『New Day for Heaven』のサウンドトラックの殆どはORENDAバンドメンツの手によるもので、その意味で言えば『New Day for Heaven』をORENDAの2ndと捉える事も出来るかもしれないが、フルメンツによる制作でないのと複数バンドとのコラボによる創作状況を見るとやはり純然たるORENDA作と言えぬのが実際の所だ。

コンセプト・アルバムのサウンドは、男女複数ヴォーカルの効果やストーリー重視のオペラチックな楽曲構成な為にAYREON風の美しく艶やかなサウンドで、あくまで物語を綴るヴォーカル達が中心な楽曲は聴き心地の良さに重きを置かれている為か、参加メンツの経歴を考えるとテクニカルさだったりハードさだったりには注力されておらず、また伝えたいストーリーにリスナーを集中させる為か音楽的革新性等も目論まれていない(場面展開の妙やスリリングな楽曲展開等は目白押しだけど)ので、プログレ的要素を求める向きにはお薦め出来ないサウンドと言えます。

結果的に次なるORENDAのアルバムは18年発表になるので、1stリリース後にメンバーチェンジが勃発した為に『New Day for Heaven』プロジェクトへ Stephane Coubrayが手を出した訳だから、『New Day for Heaven』がバンド活動停滞の引き金になったのは間違いない。

因みに『New Day for Heaven』の物語の内容はと言うと、ジャケに描かれている蝶が象徴的(蝶になる夢は、華麗に変身したり、大きく成長したいという願望を暗示)なSFストーリーで、善意と優雅さに満ちた牧歌的な、天国の如く満たされた世界で17歳の少年が暮らしていた。
優れた科学者の父と優しい母の両親も、彼の完璧な精神性の偶像的存在だ。
しかし、恋人EVEと友人JAREDが登場する事で、物語の主人公である少年の完璧な人生がバラバラになっていく。
JAREDとの友情、助言を否定し、EVEとの関係を深めていく少年。
JAREDは、あらゆるモノを掌中に収める必要性のある少年の為にEVEを殺害し、少年は怒りにまみれJAREDを殺人罪で告発する。
突然、画像が目の前で回転し、悪意ある声が遠くのエコーのように共鳴し、天国のような世界は消え去る。
頭蓋骨にリベット止めされたセンサーとコードまみれで無菌室に横たわる自分を発見する。
実験器具は心拍を刻んで轟き、メインコンピューターの制御画面と、そこに表示されたデータを注意深く見ている40代の男が傍らに居る。
悪夢を完全に消し去った牧歌的な満ち足りた生活は、再構築され少年のまぶたの奥へ注入された夢だったのだ…

という、愛と友情、父と息子の関係、天国の安らぎと悪夢の誘惑が絡み合い善から悪への心情変化等、如何にもなダブル・コンセプト作になっているので、ご興味あるようならチェックされるとよろしいでしょう。

『New Day for Heaven』の為に休業状態だったORENDAだが、『New Day for Heaven』参加の Guillaume Lefebvreを新たなドラマーに迎え、長いインターバルの為か Cedrick Saulnierが脱退し Stephane Vaillantなる新ギタリストに迎え、2ndの制作に取りかかる。

前作からの長い長いインターバルや、Stephane Coubray(既に彼にとってORENDAは数ある音楽ユニットの一つに過ぎないっポイ…)や他メンバーのバンド外活動、そしてコラボレート活動した成果が活かされたのか、久しぶりとなる2nd『Next』のサウンドはこれまで以上に複合的な音楽要素で構成され大きくハイレベルに発展した、フロントマンとキーボーディストだけが同一とは言え、一聴しただけでは以前のORENDAサウンドを思い出すのが困難な程の傑作アルバムとなっている('(゚∀゚∩

以前よりサウンドのメタリックさ加減が幾分か薄れてよりユーロ・グレHMなモダンサウンドに近づいたのと、新メンバーを含め各パートの演奏技術も当然向上しているのもあるが、より楽曲がメロディアスでキャッチー、そしてコンパクトに纏め上げられており、さらに分厚く美しいヴォーカル・ハーモニーがまるでポップスバンドのように全編でフィーチャーされ、ここぞとばかりに斬り込んでくるスリリングなギターとヴィンテージ感を増した鍵盤系サウンド、特にシンセサイザーのサンプルや用法が夢劇場の影響から脱してユーロ・シンフォ系へ様変わりし、楽曲を華やかにする相互作用が一段と切れ味鋭くなった点がバンドサウンドを大きく飛躍させた要因になっているように思う。

未だに確かにそこここにDREAM THEATERっぽさは感じるものの、本家がダークでメタリック、そしてヘヴィな路線へ進んでしまった今となっては、彼等の“推し”と“引き”を絶妙な具合で楽曲に刻み、陰影と艶を生み出すドラマチックな手法は、今の夢劇場に望むべくもないリリカルで艶やかなモダン・ユーロ・グレHMサウンドなので、『Images & Words』当時のメロディアスでテクニカル、それでいてキャッチーという奇跡のバランスのさらに先へ進んだ、モダンでたっぷりのヴォーカルハーモニー(ちょいちょいQEENっポイ)によるポップネスさが加味された極上のグレHMサウンドを聴くに、『New Day for Heaven』プロジェクトでの遠回りや多数のバンドとの交流が決して無駄でなかったのだと分かる。

フロントマンの Anthony Lefebvreの歌いっぷりもさらに自信とパワフルさを増しており、既にJames LaBrieの影響から完全に脱して独自の深みある伸びやかな歌声や物語を紡ぐくぐもった語り口調など新境地を披露し、ORENDAサウンドの格を上げるのに一役買っているのも本作のサウンドレベルが格段に上がって聞こえる要因の一つなのは間違いない。

また、デビュー作でも幾分か感じられたダンサンブルで軽やかなメロディ運びが本作で本格的に楽曲に導入されてオリジナリティを大きく感じさせるようになった点も見逃せぬ点で、ソリッドでタイトなリズム隊に挑むような強力なフック有るギターリフや、楽曲を包み込むような美麗で煌びやかなシンセワークだけでなく、不意に訪れる素晴らしいアコースティック・シーケンスが渾然となって紡ぐ繊細にして荘厳なメロディは、ただひたすらにキャッチーで美しいのです(*´ω` *)

DREAM THEATERをはじめ、SHADOW GALLERY等のモダン・テクニカルHMがお好みな方や、ちょっとUSA寄りながらヘヴィさは控え目でしっかりモダン・ユーロ・グレHMサウンドがお好きな方に、彼等の新作は是非にお薦めしたい一品と言えましょう。

キーボーディストの Stephane Coubrayがボスなのもあって、シンセ、ピアノ等の鍵盤系の煌びやか、そしてセンチメンタルで透明感ある繊細な音色が実に美しく、キーボードが大活躍するユーロ・グレHM好きな方にもお薦めです。

最後に、ORENDAとは北アメリカの先住民族ヒューロン族の言葉で、運命や宿命の力とは対極にある力の事を指すのだそうです。
自らの環境を変化させる、運命を変える人間の意志の力“ORENDA”をバンド名にするなんて、なんとも中二心を擽られるネーミングセンスですよね(*´ω` *)



# by malilion | 2019-05-10 16:25 | 音楽 | Trackback

最初期GLASS HAMMERの歌姫 Michelle Young嬢のソロデビュー作をご紹介。


c0072376_16371268.jpgMICHELLE YOUNG 「Song of the Siren」'96

今や大ベテランとなったUSA産シンフォ・バンドGLASS HAMMERの1st、2nd、そして最初期のレア音源&LIVE作『Live and Revisited』で、ブライトで愛らしい歌声を聴かせていた Michelle Young嬢のデビュー・ソロ作を今頃入手出来たのでご紹介。

いやー、GLASS HAMMERの Fred Schendelと Steve Babbが全面的に協力している事もあってか、なんかプレミア価格でとんでもない値段でしか中古盤で出回ってなかったので今まで指を咥えて恨めしく眺めているしかなかった盤がヒョッコリ流れてきたのを上手いこと拾えて何よりでした(*´ω` *)

恐らく私が購入出来たのは、02年に Karl Groomの手によってデジタル・リマスターされリイシュー(ジャケが若干変更されている)された本作も購入し、レコードラックが手狭になって古い音のオリジナル盤を放出でもした方が居たからじゃないのかな、とか勝手な想像をしております。

c0072376_16374073.jpgそっちのリイシュー盤も欲しいけど、オリジナル盤と同じく未だにとんでもないプレミア価格なんですよね…('A`)
マイナーなフィメール・ヴォーカリストの自主制作アルバムなので、広大なアメリカでは殆ど注目されていない事やプレス数が希少なのが響いてるなぁ…

さて、その Michelle Young嬢ですが、GLASS HAMMER参加前はチャタヌーガのテネシー大学で音楽を専攻し、合唱団で歌ったり、数年のボーカルレッスン(教会でアルトパートを好んで歌い、ソプラノパートは未熟な若い頃には非常に困難な高いキーだったのと、練習嫌いで学業は不真面目だった模様)を受けつつ、ソロ・ピアノやヴォーカル、或いはヴォーカル・グループとしてバンドで演奏するタレントショー等に参加し、世に踊り出るチャンスを伺っていたらしい。

面白いのが Michelle嬢がどういう経緯でGLASS HAMMERへ参加する事になったかと言うと、GLASS HAMMERがデビュー・アルバム『Journey Of The Dunadan』'93 の作業中、Steve Babb(Synthesizer、Bass、Taurus Pedals、Medieval Guitar、Percussion、Lead & Backing vocals)と David Carter(Electric Guitar)の2人がレストランにてアルバム制作の話をしているのを盗み聞き(!)し、2人がミュージシャンだと分かったので自分からアプローチした、という超行動派なエピソードだろう。

結局、既にヴォーカル・パートの作業は殆ど終わっていたので、アルバムのメンバー写真を撮影する為に Michelle嬢は雇われ、けれど彼女の声を気に入ったGLASS HAMMERの中心人物 Steve Babbと Fred Schendel(Organ、Keyboards、Acoustic Guitar、Recorder、Drums、Lead & Backing Vocals)2人の提案によってバッキングヴォーカルとして数曲にその歌声を残す事になり、そのままメンバーとして加入しLIVE活動をしつつ、次のアルバム『Perelandra』では堂々とGLASS HAMMERのフロントマンとしての座を勝ち取り、本格的にミュージックシーンへデビューを果たしたのでした。

『Live and Revisited』'97 では美声を披露しつつ、サポート・キーボードを弾いたりしていた Michelle嬢ですが、彼女は97年にフルタイムでソロキャリアを追求する為にやっと手に入れたGLASS HAMMERのフロントマンの座を捨て、あっさりとバンドを脱退する事になる。

これは彼女の加入の経緯を考えれば超ハングリーな Michelle嬢が、決してGLASS HAMMERでは主導的な立場になれぬ脇役にいつまでも甘んじる訳もなく、遠くない将来訪れるだろう未来だったと言えるでしょう。

でも…ちょっと Michelle嬢は気が早いと思いますけどね…(汗

GLASS HAMMER在籍中に本作『Song of the Siren』のレコーディングは開始されており、Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作された経緯もあって、当然の如く2人はGLASS HAMMERのアルバムをリリースしている自身のレーベルARIONからのリリースを招待(メンバーのソロ作をファミリー的にリリースって定番だもんね)したものの、Michelle嬢は2人に頼り切りになる愚を犯す事なく自身でNaosha Recordsを設立(しっかりしてるなぁ…)し、デビュー・ソロアルバムをリリースする決定を下す。

今となってはな話だが、この時ARIONレーベルからソロ作をリリースする選択をしてくれていれば、普通に定価で Michelle Youngのソロアルバムを今でも簡単に購入出来ただろうに、と思ってしまいます…orz

本作は Steve Babbと Fred Schendel両名の全面的バックアップで制作されてはいるものの、それは演奏パートだけで Fred Schendelとの共著曲を除いて、ほぼ全ての楽曲は Michelle嬢のペンにより、プログレ系フィメール・ヴォーカリストのソロ作にありがちな歌姫は歌唱パートを提供するだけで楽曲は殆ど所属バンドメンツが創作しているパターンではなく、素晴らしいリードヴォーカルに加えて、Keyboards、Guitar、Bass、Bamboo Flute、Silver Flute、Chimes、Ocarina、Double Barrel(両手に持ってシェイクし音を出すパーカッション)をプレイするなど、確かに本作は彼女の手によって創作された作品である“印”がしっかりとそのサウンドに刻みつけられている(*´ω` *)

GLASS HAMMERでの Michelle嬢の歌声を知る方ならば既にご存じでしょうが、Michelle嬢と Kate Bushの歌声の類似性(そもそも Kate Bushに影響されて歌い始めたんだから当然だ)は隠しようもなく、Kate Bushのアルバムに期待される要素の多くを本作も兼ね添えていると言えるが、個人的にはMichelleの声の方が透明感があって音域も幅広く、朗らかで力強くてよりポピュラー・ミュージック寄りな彼女の音楽の方が好みではありますね。

勿論、創作意欲旺盛で挑戦的な Michelle嬢が Kate Bushの劣化コピー的な存在で満足する訳もなく、続く2ndソロアルバムではライブミュージカル等を見て自分の音楽に演劇的な感覚を形作る事に成功し、より自身の“声”を表現出来るようになってオリジナリティを確立していく事になるのですが…

プログレ&シンフォ系ファン的には参加メンツが地味な本作より、Clive Nolanと Oliver Wakemanと親しくなった後に制作された2ndソロ作の参加メンツの方がポンプ系シンフォ系の有名所が参加している為に注目度は高いかもしれないので、ご興味あるようでしたら一度チェックしてみても損はないですよ。

尚、本作に収録されている楽曲スタイルは、所謂今日の市場における女性ヴォーカル・アルバムの大多数に見られる傾向な楽曲、ポップス、ソフトバラード、JAZZ風ナンバー、以外にもミステリアスなプログレッシヴ・インストゥルメンタル、民族音楽的インストナンバー、そして典型的な Kate Bush風の官能的女性ボーカルトラックが収録されており、ハッキリ言って Kate Bushの作品のいくつかを彷彿とさせる楽曲が多く耳につくのは紛れもない事実で、この時点ではオリジナリティという点で少々弱いといわざるお得ないだろう。

現在までに Michelle嬢は一枚だけソロ作『Marked for Madness』'01 をリリースするに留まり、以降はブルースロックバンドを始め、フランスのフォーク作など幅広いジャンルの他アーティスト達とのコラボ作やプロジェクト等に参加し、今も活発に活動を継続中な模様だ。

最後に彼女の音楽的ルーツであり、お気に入りアーティスト達を記しておくと、THE BOOMTOWN RATS、THE COCTEAU TWINS、William Orbit、Laurie Anderson、Kate Bush、KING CRIMSON、Adrian Belew、Steve Hackett、KANSAS、THRWAD、FERNANDEL、Nanci Griffith、FISHBONE、Tori Amos、Marco Flores、LANDMARQ、HAPPY RHODES、ARENA、SHADOWLAND、PENDRAGON、UNDER THE SUN、 Mozart、Beethoven、Mischa Elman、QUEEN、Ella Fitzgerald with Louis Armstrong、Paul Revere & THE RAIDERS、Basil Poledouris、THE STYLE COUNCIL、Rick Springfield、THE JAM、SUPERTRAMP、Sarah McLachlan....と、本当に幅広い音楽を聴くのが好きなようですね。



# by malilion | 2019-05-08 16:29 | 音楽 | Trackback

期待の新人USA産プログレッシヴ・デユオ FAINT SIGNALの2ndがリリース!

c0072376_00461197.jpgFAINT SIGNAL 「Formula」'18

2人のマルチ・ミュージシャンを中心としたUSA産プログレッシヴ・デユオの2ndがリリースされたので即GET!

USAオハイオ州南西端に位置する都市シンシナティで結成されたプログレッシヴ・デユオ(現在、シンシナティで唯一のプログバンドらしい…)で、シンシナティで活動するカントリー風味なパワー・ポップバンドSCREAMING MIMESのメンバーである Randy Campbell(Backing Vocals、Keyboards)と Henri Eisenbaum(Vocals、Guitars、Bass、Keyboards、Vocals、Drum、Percussion、Sequencing)の2人によって12年頃に結成された。

発起人は Randy Campbellで、自身のルーツであるプログレ・ミュージックをプログレが死に絶えたシンシナティで復活させたい、という想いから活動が始まった模様で、全楽曲の歌詞や楽曲の多くを相方の Henri Eisenbaumが手がけるのに対して Randy Campbellは10年以上SCREAMING MIMESのメンバーとして活動してきた人脈を活かし地元シンシナティのベテラン・ミュージシャンを幾人か招いて協力を乞い、14年に無事デビュー作『Faint Signal』が自主制作盤でリリースされる事となる。

デビュー作はUSA産プログレらしくSFチックでスペイシーなシンセがフィーチャーされたちょっとPINK FLOYDっぽいダークサウンドで、ソリッドでメタリックなギターと、オルガンやストリングス系に加えピアノの軽やかな音色も美しく、煌びやかなキーボードが大活躍するモダン・サウンドのヘヴィなUSテクニカル・シンフォといった趣の音であった。

2人がかりの多重録音なので無機質な打ち込みドラムも相まって全体的にドライサウンドながらそれはUSA系シンフォに共通点なので驚くに値しないのだが、サウンドのスケール感は色々工夫はしているが結局こぢんまりしてしまっているのが少々残念で、それでも自主制作レベルとしては十分なレベルであったものの、如何せんリードヴォーカルがC級クラスの音域の狭い穏やかなオッサン声(良く言えばウェットン系、というか Greg Lake風か)でキャッチーな歌メロ創りが上手いUSA系にも関わらずヴォーカル・パートがイマサンな為、トータルで見るとどうしてもC級に片足突っ込んだB級シンフォ物と言わざるを得ないアルバムだろう。

ただ、さすがにプロキャリアを積んできた Randy Campbellの手腕や知識が活かされ、そしてベテラン・ミュージシャンのヘルプもあってか、インディの多重録音モノとしてはとても良くプロデュースされたアルバムで、その点もあってギリギリB級シンフォものという聞こえ方をしているとも言える。

後は、最終曲のノリノリなスピーディでインタープレイを吹っ切れたように垂れ流す、脳汁タレまくりんぐな好き放題プレイを繰り広げるギターとキーボードの大暴れする楽曲を聴いた時、初期GLASS HAMMERを連想したので、もしかすると変にヴォーカル入りの楽曲にこだわるより、インスト系で攻めた方が彼等には向いているんじゃないかと思いましたね。

歌詞の内容も、プログレ系らしく社会的および政治的問題や、人々の意識、内なる意識と将来への楽観主義を扱ったりと、メジャーから外れた方向性な事や、地元にプログレ・シーン(パンク系では有名なのね…)が存在していなかったのも関係してか、彼等のデビュー作が大きな話題になる事はなかった模様だ。

実際、それらの問題点は2人共理解していた模様で、その後も各パートのプレイヤーを地元のミュージシャン達から募集していたらしい。

そして待望の新作の発表となった訳だが、前回の失敗を踏まえてか中心の2人はそのままにサックス奏者やヴァイオリン奏者、そして女性ヴォーカリストなどゲストを多数迎えて総勢9名(!)での制作となっている。

打ち込みでない専任ドラマー Kevin Hartnellを迎えた事でリズムの無機質さは解消され、ヴァイオリンとヴィオラを演奏する JulieAnn Martin Bernard嬢は二曲に参加し、サックス奏者のDenny Allenは一曲のみの参加ではあるが、ドライ気味だったサウンドに明らかに華やかで複雑な音の厚みと艶を生み出されているので、キーボードのサンプリングで誤魔化さずに管楽器とストリングスの生音を加える事でバンドサウンドのスケールと完成度を上げる今回のゲストを迎え入れる作戦は大成功と言えるだろう。

また致命的な弱点だったヴォーカルパートは、総勢3名の男女ゲストヴォーカルを迎え、それぞれ Mark SzaboとWhitney Barricklow Szabo嬢の男女ツインヴォーカル(夫婦?)が一曲でその歌声を披露し、Katja Loeb嬢は二曲でその美声を披露する事で全体の歌唱パートのレベルの底上げを実現している。

なにより Randy Campbellと Henri Eisenbaumのコーラスも今回は控え目ながら実に心地よいハモり具合なので、かなりヴォーカルパートに気を遣ったのが分かります(*´ω` *)

またリードギタリストとして Rob Fettersを迎えて全編でその流暢でテクニカルなプレイをバンドサウンドに取り込んだ事はサウンドに劇的な変化をもたらし、インストパートのさらなる完成度アップと楽曲の奥行きが増したのが一聴して即分かるレベルだ('(゚∀゚∩

メンバー的な補強によるプラス効果が創作意欲に火を点けたのか、楽曲の完成度も前回と比べものにならないくらい高く、前回の幾分メリハリに欠ける鈍色USヘヴィ・シンフォサウンドが、一気に緻密に計算された凝った展開で聞く者の耳を惹きつけるカラフルでドラマチックな正統派シンフォ・サウンドへ一気にクラスチェンジしていて、正直ここまで良くなるとは全く予想しておりませんでした。

テクニカルでメロディアスなギターはハード一辺倒だった前作と打って変わって繊細な叙情感を醸し出す美しく艶やな音色も紡ぎ、軽やかで煌びやか、そして幾分ミステリアスさを漂わすちょっとフュージョンっぽいタッチ(HAPPY THE MANっぽい!)のシンセはテクニカルでシャープなプレイを垣間見せつつ楽曲の壮大なスケール感を演出したりと、前作で足りなかった“引き”の美しさを感じさせるサウンドの魅力が大幅にアップしている点が大きな違いと言えるだろう。

勿論、前作同様ハードに切り込んで来るメタリックでスリリングなエッジあるギタープレイやオルガン系のワイルドでジャージィな渦巻くような鍵盤捌きやめくるめくシンセの長尺リードパートもしっかりとフィーチャーされているので、惰弱に感じる要素ばかりが強まった訳ではなく、本来あるべき足りなかった要素がバンドサウンドの中核へ加味された結果の、サウンドの陰影と音の深みと艶やかさが増した本作の楽曲とサウンドは一味も二味も違って聞こえ、B級も危ういマイナー・USシンフォから極上のB級USインディ・シンフォ・バンドに生まれ変わったように思えます(*´ω` *)

叙情感や音の艶やかさが増したからか、前作より一段とユーロ・シンフォに近づいたサウンドに聞こえ、けれど要所要所でUSバンドらしい明るい音の“抜け”とパワー圧しな部分も垣間見えて、それが彼等を単なるフォロワー・サウンドに貶めない助けになっているようで実に面白い。

PINK FLOYD、LIFESIGNS、PORCUPINE TREE、RUSH、QUEENSRYCHE、TRANSATLANTIC、THE FLOWER KINGS、SOUND OF CONTACT、MARILLION、SPOCK'S BEARD、STEVE HACKETT'S GENESIS REVISITED、そしてBLUE OYSTER CULT等の影響が窺えるヘビィ・プログレへの近代的アプローチなサウンドだった彼等に、GENESIS、YES、EL&P等の所謂定番の70年代プログレサウンドのエミュレート要素が加わり、良い意味で大衆受けするサウンドへ接近したように感じるのは、そもそもが、曲作り、楽曲アレンジ、アルバム構成などインディ・ユニットとは思えない高いプロデュース能力とスタジオ作業力を有していた2人が、前作に足りなかった要素を冷静に分析し、妙なプライドに縛られず弱点を補完する為に外部の有力な助けを借り、遂に思い描いていたサウンドを具現化した、そういったクレバーな行動の結果もたらされた二次的な要因ではなかったのでしょうか?

総じて本作は、テクニカルで壮大、そして煌びやかで軽やかなキーボードパートがかなりフィーチャーされている楽曲(Randy Campbellと Henri Eisenbaumの中心人物2人が目一杯キーボードプレイしてるトコなんかも初期GLASS HAMMERっぽいよなぁ…)がタンマリ詰め込まれていますので、モダンなキーボードプレイメインなシンフォサウンドがお好みな方は是非にチェックして欲しい、有望な無名新人USシンフォ・バンドと言えましょう。

ゲストプレイヤーの操る楽器以外のサウンド、フルートなんかの音も聞こえるものの、恐らくそれらは全てキーボードのサンプリングでしょうから、今回はサックス奏者やヴァイオリン奏者をゲストに迎えた事だし、続く次作ではその辺りの奏者も実際に招いて制作して欲しいですね。

このままの方向で進化し続ければ、妙なポップスやゴス要素へ色気を出して迷走した挙げ句、初期とは似ても似つぬ路線へ様変わりしてしまったGLASS HAMMERが本当なら聞かせてくれたかもしれない、壮大でシンフォニックな00年代モダン・プログレのその先のサウンドを彼等が届けてくれそうな気がして今から期待が膨らみます(*´ω` *)

出来ることなら次作ではしっかりとメンツを固め、さらなる創作の飛躍を期待したい、そんな期待の持てる有望な新人USシンフォバンドが登場してきました♪


# by malilion | 2019-05-03 00:39 | 音楽 | Trackback

“カナダのMARILLION”ことRED SANDがダークなテーマの8thアルバムをリリース!

c0072376_00120452.jpgRED SAND 「Forsaken」'19

“カナダのMARILLION”ことカナダはケベックのネオプログレ・バンドRED SANDの、前作から3年ぶりとなる8thがリリースされたので即GET!

13年作からリーダーでギタリストの Simon Caronの娘 Pennsylia Caron嬢がキーボーディストとして参加してからメンツは比較的安定していたが、マイナー・シンフォ系につきもののメンバーチェンジが再び勃発した模様で、前作から参加していたベーシスト Andre Godboutが脱退し、現在はパーマネントなベーシスト不在の4人体制での制作(ユーロ圏でのLIVE紹介のメンバーフォトで5人並んで居る画があるので、現在はサポートベーシストを迎えた? もしくは新ベーシストが加入?)となった模様だ。

薄明かりにほんのり構造物が浮かぶアルバムジャケや『見捨てられた』というアルバムタイトルからも窺えるように、全般的にダークで絶望的な印象のサウンドで満たされたこの新作は、初期MARILLION風なシニカルさも漂わせ、サイケデリックなテイストもあるサウンドが醸し出す悲観的な雰囲気が色濃いダークでミステリアスな不穏感を煽るデジタリーなイントロの導入を聞くと、まるで東欧か北欧の凍てつくような重厚なシンフォ・サウンドへ路線変更か?!と、驚かせるが、テーマがシニカルでダークな悲壮へ向いているだけで、紡がれる音楽は前作同様にテクニックやスピードに頼らぬ、ただただ美しい旋律を丁寧に紡ぎ続け、儚い哀愁へと淡い幻想色に楽曲を染め上げる、MARILLIONのメロゥな部分だけ抽出して煮詰めたかのような“泣き”とメロディアスさのみを追求した木訥で真摯なプレイとサウンドは甘美の一言に尽きる。

Steff Dorvalのヴォーカル・アプローチが所謂シアトリカル系の芝居がかった歌唱法な事や、バックのサウンドがMARILLION系、特に Simon Caronのギタープレイが、モロにMARILLIONのSteve Rothery風なのを筆頭に、所々でPENDRAGONの Nick Barret風だったり、JADISの Gary Chandler風だったりするだけでなく、Pennsylia Caron嬢が操るキーボードの音選びやプレイまでもがClive Nolan風(これは親の影響だろうなぁ…)とあって、作曲スタイルや、ブレイクと雰囲気を指摘するまでもなくモロに80年代後期UK~90年代風UKポンプ風味が漂うサウンドだし、アルバムテーマのダークな方向性も今となっては何一つ目新しさなど無いが、Pennsylia Caron嬢が可憐なフィメール声のバッキングヴォーカルを重ねる事でポップでクリアーな美しい歌メロのイメージが加わってMARILLIONフォロワー臭が幾分か薄れたのと、シンセ、オルガン、ピアノ、メロトロン系などヴィンテージ感を醸し出す鍵盤系サウンドや、徹底的に美しさにこだわったエモーショナルで官能的なギターの音色、そしてゆったりしたテンポで構成された繊細でハートフルなフレーズが尽きること無い洪水状態で、それらは今や完全に彼等の専売特許なレベルまで昇り詰めていると言っていいだろう(*´ω` *)

いささかロック的なハードエッジとパワーや攻撃性に欠けるが、心情表現にのみ注力した入魂のギター・プレイと、そんな魅惑的なギターに寄り添うように、華やかさを演出するピアノと煌びやかなシンセ、そして全てを優しく包み込むメロトロン系サウンドを操るキーボードとデジタリーなSE等、それら全てが絶妙のバランスで混ざり合って、キャッチーなメロディー、そしてシアトリカルなヴォーカルを際立たせる役割となっており、何か一つ欠けても彼等のリリカルで美麗な音楽は表現出来ぬに違い無い。

また、表だって目立つリード楽器のギターとキーボードがスピードやテクニカルなプレイで魅せるタイプでない代わりと言ってはなんだが、地味にリズムパートは非常にテクニカルなプレイを見せており、本バンドの描き出す情景や劇的な場面変化をしっかりと支える役割を見せているのも見逃せないポイントだ。

徹頭徹尾メロゥなサウンドが実にRED SANDらしい本作だが、それまで淡々とまったり美しく穏やかで柔和な叙情サウンドを紡いでいるバンドが、最終曲では突如として予想外のペース変化(キーボードもソロパートをここぞとばかりに延々とプレイ!)を見せ、シアトリカルで斜に構えた歌唱を見せていた Steff Dorvalが入魂の熱唱を聴かせる山有り谷有りの展開へ雪崩れ込んでいく様は、コンパクトに纏められているもののこれまで抑えに抑えて来たプログレ系バンドお約束な大仰な楽曲構成となっており、それまでのマッタリ感を吹き飛ばす程に痛快で、出来ればこのスリリングな展開の楽曲を最初に一曲配して欲しかったのと、もうちょい長尺で聞かせて欲しかったと無い物ねだりしてしまう。

毎度の事ながら、美メロなシンフォ系がお好みな方や初期MARILLION、PENDRAGON、ARENA、SHADOWLAND等がお好みな方はチェックしておくべきバンドと言えるだろう。



# by malilion | 2019-05-02 00:04 | 音楽 | Trackback

哀愁と優美な美メロをアコースティカルに響かせるポーランド人ギタリスト Mirek Gilのソロ・デビュー作がリマスター+ボーナスでリイシュー!

c0072376_10234947.jpgMR GIL 「Alone 20th Anni Edition + Light And Sound」'19

元COLLAGEにして現COLLAGEの、そしてCOLLAGE崩壊後に分派して誕生したSATELLITEとBELIEVEに在籍し、今はBELIEVEを率いつつ、ソロアルバムもコンスタントにリリースするポーランド人ギタリスト Mirek Gilのデビュー・ソロ作リリース20周年を記念し、98年デビュー作と11年3rdソロ作の全曲Remasterd+ボーナストラック4曲追加した2枚組2019年限定盤がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

BELIEVEバンド本体の方もポーランド産シンフォ・バンドらしい、淡い物悲しさが漂う、仄暗く叙情的でたっぷりの美旋律が詰め込まれたシンフォニック・ロック作をリリースしている Mirek Gilだが、ソロ作ではよりゆったりアンニュイな感覚を漂わせつつ、リリカルなストリングスをフィーチャーした美しいアンサンブルで彩られた、どこか物悲しい冷たさも感じさせるものの心地よいメロディが安眠を誘うようなアルバムを届けてくれている訳だが、こうして再びデビュー・ソロ作に耳を傾けると、近年のようにハッキリとBELIEVEサウンドとソロ作のサウンドが明確に差別化されておらず、この時点ではまだまだBELIEVEやSATELLITE、そしてCOLLAGEの影が色濃く感じられるサウンドだったのだなぁ、と再認識させられました。

デリケートで優美なギターの音色に導かれ、しっとり幾重にも折り重なったキーボードや、甘口なヴォーカルがゆったりと混ざり合い、甘く切ないサウンドがアコースティカルに紡がれていく様は実に美しく華やかで、改めて今聴き直してみてもデビュー・ソロ作『Alone』は実にセンチメンタルなメロディが詰め込まれていて、その後のソロ作と比べてみても出色の出来栄えと言えるだろう。

元々、そんなに音が悪いアルバムではなかったのでRemaster効果が絶大、ってな事はないが、それでも音の分離は良くなって聞こえるような気がしますね。

もう一枚の3rdアルバム『Light And Sound』の方は、デビュー作と比べてググッと落ち着いた穏やかなサウンドに変化しており、ピアノ、アコギ、チェロ、ヴァイオリン、に少々メロトロン系も加えたアコースティカルで優雅、そしてシンプルな響きが実に心に染みる珠玉のサウンドを聞かせている(*´ω` *)

ボーナスの4曲は、それぞれ同じ方向性なものの幾分楽曲の完成度が低めに感じられ、アルバムに収録されなくても問題ないかな、というレベルの佳曲のように思えますが、そもそもがオマケなのでそう文句はありませぬ(*´ω` *)

ロバート・フリップに捧げられたボーナス曲は、ちょっとギターがソレっぽいのはご愛敬だ(w

デビュー・ソロ作も3rdも総じて甘く切ないヴォーカルも相まって心地よい美メロが胸に迫るアコースティカルなシンフォ作と言えるので、メロディアスな作品の愛好家なら絶対押さえておいて損はない一品と言えるだろう。




# by malilion | 2019-05-01 10:16 | 音楽 | Trackback

淡く優美な叙情派イタリアン・フォーキー・サウンドのERIS PLUVIAのデビュー作がREMASTER盤+ボーナス6曲入りでリイシュー!

c0072376_18574107.pngERIS PLUVIA & ANCIENT VEIL 「1991/1995 Rings Of Earthly Light And Other Songs」'19

近年になって再結成を果たし、以降活発な活動を続けるイタリアン・フォーキー・シンフォバンドの91年デビュー作がオリジナル・マスターからのRemaster&6曲のボーナス入りでリイシューされたので即GET!

サックス入り編成5人組(現在は女性フルート奏者をメンバーに含む4人組)でデビューした当時の彼等(オリジナル・キーボーディストの Paolo Racitiは既に鬼籍。RIP)が放ったイタリア物としては異色なサウンドは、一般的なユーロ・ポンプ作でもイタリアン・シンフォ作でもなく、プログレ定番のキーボードが活躍しない、メロディアスで繊細なアコギを筆頭に、涼やかなフルート、リコーダー、ソプラノ・サックスらの管楽器を全面的にフィーチャーした、アコースティカルで穏やかな、けれどしっとり艶やかな叙情感と透明感あるメロディが堪能出来るフォーキー・サウンド系だった為かリスナーの反応はイマイチだった模様で、間もなく解散してしまった。

本作はそんな1st『Rings Of Earthly Light』のリマスタード音源と、バンド解散後に主要メンバー Alessandro Serri(G&Vo)とEdmondo Romano(Sax)によるTHE ANCIENT VEIL名義のデュオの音源がセットになった変則的なアルバムとなっており、注目の6曲のボートラはそのTHE ANCIENT VEILの音源で、内3曲が未発音源となっている。

初期ERIS PLUVIAの未発音源収録でない(デビュー前の4曲入りデモテープ『Pushing together』'90の楽曲は1stに収録済)のは少々残念だが、内省的で民族音楽やジャズ、そしてクラッシック要素多目なアコースティカルで軽やかな、余りにも繊細で美しく儚げな珠玉の楽曲の数々が納められた、GRYPHON好きなら一発で虜になる事間違いなしなTHE ANCIENT VEILのアルバムが大好物なので、その未発音源がこうして今回初めて陽の目を見れたのは大歓迎だ(*´ω` *)

ERIS PLUVIAのデビュー作のリマスターサウンドについては、元々音圧高めで音数で攻め立てるタイプでない自然な響きを大事に活かしたバンドサウンドな為か、音のクリアーさや響き、音の艶が増した印象が大きく、オリジナル盤をお持ちの方でも改めてより磨かれ輝きを増した本作を購入しても決して損ではないと思う次第であります。

THE ANCIENT VEILの未発音源の方は、意外な事に木訥なヴォーカルもので、インスト曲ばかりだったTHE ANCIENT VEILのアルバムに当時この楽曲が納められていたならば、完成度の高い艶やかで優雅な美麗インスト・サウンドだけが詰め込まれた至極なアルバムのレベルを一つ下げる事になっていただろう、そういう穏やかなヴォーカル入り楽曲で、出来は悪くない(ヴァイオリンやオーボエの絡みが、マジで堪りません♪)もののヴォーカルのレベル的に言うとアルバム収録を見送って正解だった、そんな小曲だ。

こちらの方もリマスター効果はバッチリで、艶やかな音の響きやブライトな音の抜け等、しっかりとサウンドの質が上がっているのが本当に最高過ぎで、こんな不完全な形でなく今度は是非ともTHE ANCIENT VEILのデビュー作をリマスター盤で出して欲しいものです。



# by malilion | 2019-04-30 18:49 | 音楽 | Trackback

MARILLIONフォロワーが出発点なイタリアン・ネオプログレバンドSILVER KEYが、新フロントマンを迎えて3rdをリリース!

c0072376_22052230.jpgSILVER KEY 「Third」'19

MARILLIONとFishのカバーバンドとして始まった、イタリアのミラノ出身なネオ・プログレバンドが前作から4年振りとなる3作目をリリースしたのでご紹介。

久しぶりの新作だが、残念な事に恒例のメンバーチェンジが勃発した模様で、唯一バンド創設時から在籍しバンドのリーダー格であったフロントマン&アコギの Yuri Abiettiが17年7月にまさかの脱退(!?)し、新たなフロントマンに Dino Procopioなる無名のヴォーカリストを迎え、さらにドラムス Viviano Crimellaも脱退(本作のドラムはゲストプレイヤーのプレイと一部打ち込みと思われる)し、結局1st以降で残留しているのはキーボーディストの Davide Manaraのみ(新たなバンマスに就任か…)という4人体制で本作は制作されている。

前作のSFチックなコンセプト・アルバムに引き続き、新加入の Dino Procopioが歌詞を手がける本作は、様々な学者、思想家、文筆家に影響を与え『意志と表象としての世界』で著名なドイツ人哲学者 Arthur Schopenhauerの思想をベースに、互いにリンクした5つのストーリーを含む重厚な物語が紡がれたコンセプトアルバムだ。

母子家庭で育った少年が民兵となり母を護る為に闘う物語、欲望まみれのVR世界で神の如き少年と出会う男の話、最新テクノロジーの商品を強迫観念に囚われたように病的に求める人々の物語、社会的なタブーである殺人を正当化する男の物語、小女との恋に狂い墜ちていく恥ずかしがり屋で厄介な14歳の少年は永遠を誓うが、結局その願いは叶うことはない物語、というそれぞれが独立した物語になっているが、5つの物語の登場人物は互いの人生の重要な登場人物となってそれぞれの物語に干渉するという、複雑に絡み合った人間模様が悲劇的で陰惨な物語を織り成すコンセプトストーリーは、最終章で恥ずかしがり屋で厄介な14歳の少年が成長して科学者となり、逸脱した精神病者達を癒す為の治療法の発見を科学界全体に発表するが、結局彼も犠牲者であり、精神科の患者となって悲劇は幕を閉じる、という余り救いの無いお話となっている……

本作でまず注目なのは新ヴォーカリストの Dino Procopioについてで、前任者より荒くダーティな声質と灰汁の強いガナリが特徴な歌唱スタイルと前任者よりもFish風な芝居がかった歌唱が耳につくが、これは重厚なコンセプト作のストーリーを表現せんが為とも取れるので、実際LIVEでの歌いっぷりや普通に歌い上げた印象はどうなのかはまだ分からない。

前任の Yuri Abiettiより Dino Procopioはパワフルな歌声で前任者同様イタリア臭さは薄くUK系に近い歌唱スタイルで、よりモダンでソリッドな方向へバンドサウンドが進化している事を考えるとマッチしているとも言えるが、ポンプやネオプログレ系にはマッチしにくい苦汁声なのは確かなので、シンフォやポンプを好むリスナーの受けが良いかどうかは少々疑問が残るかなぁ…(汗

ヴォ-カリストについてはそれぞれ好みがあるだろうが、バンドサウンドの方は確実に完成度と深みを増しているのは確かで、デビュー作からして80年代UKポンプを憧憬しつつ新世代らしさを感じさせるモダン・サウンドだった訳だが、本作では前作から加入した Roberto Buchicchioがハードにテクニカルにエモーショナルなギタープレイを披露して物語を紡ぐのに大活躍するだけでなく、Davide Manaraの操るキーボードはクラシカルなオーケストレーションでストーリーの陰影を一層に際立たせ、時折ハッとするリリカルで艶やかなピアノで物憂げさを演出してみせたり、不穏感を煽る残響音や銃声等のSEや美声の女性バッキングヴォーカリストを導入してドラマチックで重厚な物語のイメージを強めつつ煌びやかで軽やかなシンセの音色が初期からのポンプ風味を漂わせたりと、随所でデジタリーなプログラミングサウンドを巧みに交差させたミステリアスなサウンドにイタリアモノ特有のバタ臭さは皆無で、スタイリッシュな00年代ユーロ・シンフォサウンドにダークでアンニュイな独特の風味を加えたUK風シアトリカル・サウンドとなっている。

前任ヴォーカリストの Yuri Abiettiは、お約束な芝居がかった語り系の歌唱法は用いず普通に歌い上げていたので、安っぽいGENESIS系フォロワーやMARILLIONの亜流のように聞こえなかったのと、この手のバンドが最初から放棄しているオリジナリティや音楽形態の焼き直しに対する新鮮味の欠如を巧みにカバーせんとする気概のようなものが感じられた訳だが、本作の Dino Procopioのシアトリカルなヴォーカル・アプローチは如何にもなFish系なので、先祖帰りして初期MARILLION風に聞こえない事もない点は少々残念と言えるが、歌唱スキルの低さ(汗)や声質が全く違うのと、灰汁の強いHR的なパワフル・ヴォーカルが幸いして、まんまフォロワーとなっていない点は救いだろう。

新世代バンドらしく旧来のポンプ勢とは音の厚みが違い、今風にアップデートされた複雑でテクニカルなモダン・シンフォサウンドは少しも古くささを感じさせ無いものの、難解なコンセプト故か歌メロのキャッチーさや楽曲のメロディがすんなり耳に残らないというマイナス・ポイントはこれまでよりも一層強く感じられてしまい、そろそろコンセプト作でないアルバムとシンプルで美しいメロディでのみで勝負してみて欲しいと言うのが、次作についての個人的な要望ですかね…

渦巻くようなロマンチックな響きのトラックや、魅力的で官能的なギターソロ、そしてエレクトロニックでシンフォニックなサウンドは、MARILLIONにインスパイアされたサウンドと言うかデジタリー要素が加わって寧ろGALAHADサウンドに近いと言えるかもしれないが、随所で確かな進歩性と独創性、そしてイタリアンバンドらしく拘りの美意識を強く感じさせる期待の持てるサウンドを奏でる新人バンドなのは確かなので、続く次作でどういった方向へさらなる飛躍を見せるのか、今から大変楽しみであります(*´ω` *)


# by malilion | 2019-04-22 21:56 | 音楽 | Trackback

AnderStein Musicが閉店…(つд`)


マイナーなメロハー・バンドのみならず良質な新人バンドやAOR系のマイナー所も多数紹介してくれていたお店が閉店してしまった…

単に輸入盤を紹介するだけでなく、国内盤までリリースしてくれたマイナー・メロハーバンド好きにとって有り難い存在だっただけに残念です…orz

合わせて今後リリース予定だったアルバムも発売中止となった模様で、恐らくこれまでリリースしてきた国内盤も廃盤となる流れでしょう…

なんていうか、かってゼロコーが消えた時と似た大きな消失感に襲われてますね、今…

店主様の個人的な理由故に致し方が無いのですが、是非とも元気になって一日も早く復帰される事をお祈り申し上げますm(_ _)m



# by malilion | 2019-04-21 17:41 | 音楽 | Trackback

ヴァイオリンをフィーチャーしたロシアン・バカテクバンド LOST WORLD BANDが遂に本格バンドとなって新譜をリリース!

c0072376_16503483.jpgLOST WORLD BAND 「Spheres Aligned」'19

ロシアのバカテク暴走列車 LOST WORLD BANDの、3年ぶりとなる待望の新作6thがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

デビュー当初はキーボーティストやギタリストも擁していたものの、4thからリーダーの Andy Didorenkoがギター、キーボード、ヴァイオリン、そしてヴォーカルまで担当するという完全にワンマンバンド化してちょっとガッカリだった訳だが、予想に反して本作から各パートにパーマネントなメンバーを迎え、遂に本格的に5人組バンドとして活動を開始した模様だ('(゚∀゚∩

引き続き Vassili Soloviev(flute)と Konstantin Shtirlitz(Ds)も参加し、クラシック畑でも活躍するリーダー Andy Didorenko(Violin、Guiter、Vocal)を含めオリジナルメンツの3人組は盤石なままに、Yuliya Basis(Keyboards)なる女性キーボーディストと Evgeny Kuznetsov(Bass)を迎えた新体制となっている。

前作でパーカッショニストとして呼び戻された Alexander Akimov(2nd時のキーボーディストだった)は残念ながら本作で演奏は披露していないが、Andy Didorenkoと連名で本作をプロデュースしているので、どうやらバンドの裏方に回った模様だ。

で、期待の新作の内容はと言うと、これまでの彼等のサウンドは大まかにはロシア人ヴィオリニスト Andy Didorenko率いる硬派シンフォニック・ロック・バンド作と言えたのだろうが、これまでギターとヴァイオリンの激しい演奏のせめぎ合いが炸裂し、叙情的で涼やかなフルートも一転してエキセントリックなプレイを叩きつけるように切れ味鋭く暴れ回る超絶テクニックと複雑なアレンジが見事に融合した、トンでもなくインパクト絶大なエキセントリックで凶暴なまでにテンション高い、東欧クラシック・ルーツのスリリング且つダイナミックな屈折した硬質な暴走ダークシンフォ・サウンドを展開したり、よりリリカルで艶やかさを活かすフルートとヴァイオリンの優雅なアンサンブルを中心にしたアーティスティックなサウンド構成へ変化したり、ほんわかした牧歌風な歌声で、静かに感情を抑えて淡々と語りかけるような歌声を英語で聞かせる新境地を垣間見せたりと、バランスを度外視してまで振り幅広く音楽性のキャパを拡げる試行錯誤を挑み続けて来た訳だが、本作ではより一般的なテクニカル・シンフォバンドっぽいサウンドを聞かせ、ややもすると難解でとっつき難いサウンドだった彼等の音楽が、相変わらずインストパートの比重が多いものの、それでもかなり聞きやすくなったヴォーカル入りのシンフォ・ロックサウンドに寄ったという印象を持ちました。

2017年11月から2018年12月の間にニューヨークとモスクワの両方で作曲され、録音された本作のサウンドは、以前のようなKING CRIMSONやAFTER CRYING風味のヒステリックな狂気のハイテンション漲るアグレッシヴで躍動感ある“押し”パートは控え目になり、どちらかと言うとコーラス等を活かしたYES風の優雅な叙情性や技巧が光るフォーキーでアコースティックな静けさ薫る繊細な“引き”パートの美しさが耳を惹き、前作よりもシャープなフュージョン風味が抑えられ、所謂一般的なプログレ系シンフォ度が上がった(フルートの涼やかな音色とピアノの艶やかで美しい調べは、ホント絶品ですわぁ♪)事もあってか、以前よりもバランスを重視しつつメリハリが一層に強く感じられる、極めて高度な技巧と緻密な構成の楽曲に彩られた硬質なモダン・シンフォ作と言えよう。

初期からのKING CRIMSON、GENTLE GIANT、EL&P、U.K.、PFM、JETHRO TULL等の影響を感じさせるパートもありつつ、前々作で披露したちょっとRUSHの Geddy Leeっぽい穏やかな低音ヴォーカル(ぶっちゃけ歌唱スキルはオマケ程度だが…)が音楽を邪魔しない程度に歌詞を歌い上げ、リリカルなフルートとピアノやアコギが紡ぐフォーキーで牧歌的な雰囲気の軽やかで穏やかなサウンドと、不意に斬り込んでくるヘヴィでソリッドな疾走感を押し出した畳みかける怒濤のパートは相変わらずの暴走っぷりでパワーとテクニックが炸裂し、せめぎ合う様は正に圧巻なもののしっかりと楽曲がメロディアスに纏め上げられているのは、やはり Andy Didorenkoのバックボーンがロシアン人であり、クラシック畑での活動もそうだろうが、所謂70年代のプログレの巨人達のサウンドが血肉になってきた結果だろう。

後はやはり専任プレイヤーが加入したのはデカイでしょうね。
特にキーボードが本作では全編に渡って大活躍しており、以前のようなヴァイオリンのヒステリックなサウンドばかりがグイグイと楽曲を引っ張っていくような事はなくなりましたから。

これまでややもすると存在感の薄かったリズム・セクションが本作ではしっかりソリッドなボトムを構築し、刺激的で複雑なセクションを垣間見せてはその存在を強く自己主張したり、ギターやキーボード、そしてヴァイオリンのメロディを奏でるパートと一体となって畳みかけ、そして優美なサウンドを奏でる変幻自な様は、正にこまでの彼等の作品中で最高の出来と言える会心作と言えるのだが、インストパートが充実すればする程に、リーダー Andy Didorenkoの貧弱で音域の狭い、イマイチ情感を伝え切れていない淡泊でスキル不足なヴォーカルが覆いようもない弱点として大きくサウンドから浮かび上がってしまい、次なる新作では是非とも専任ヴォーカリストを迎え入れて完全無欠な傑作アルバムを創って欲しいものだと願わずにおれません…(つд`)

暴れ回るハイテンションなヴァイオリンの調べと絡まる重厚にして叙情感タップリなシンフォサウンドがお好みの方は、買わずに済ます訳にはいかない必聴盤でありますよ! m9(`Д´)


# by malilion | 2019-04-19 16:43 | 音楽 | Trackback

パンク到来前夜の古き良きUKハードプログバンドTIMEの唯一作が国内初となるCDリイシュー!

c0072376_20295790.jpgTIME 「Same」'75

12年にPROG TEMPLEなる海外レーベルから一度リマスターでCD化されリリースされていた事(ブートレッグの類いは数知れず)のある知る人ぞ知る4人組英国プログレ作が、最新デジタルリマスターと紙ジャケ、そしてSHM-CD仕様になって国内初リリースされたので、そそくさとGET!

本作はSPONTANEOUS COMBUSTIONのMargetts兄弟が新たに結成したUKプログレ・バンドで、当時ENIDのファースト等をリリースしていたBUKから75年に発売された唯一作となっており、本リイシュー盤には再発モノに定番なボートラや未発音源等は追加収録されていない。

マイナー・プログレ系ファンからすると本バンドのメンツで注目なのは、後に幻のUKプログバンドENGLANDへ参加する Joe Dolly(Ds)が在籍していた事だろうか?

プロデュースはKRAFTWERK等の仕事で知られるドイツ人 Conny Plankに手によるもので、他にもプログレ寄りHRを展開するドイツHRバンドLUCIFER'S FRIENDや今や大物なSCORPIONSのデビュー作も手がけていた人物なだけあって、YES(特にベースが)やRUSHを引き合いに出されて語られる事の多い、万華鏡のように複雑にメロディアスに展開するテクニカルでハードな彼等のデビュー・サウンドを見事に捉えている。

12年リマスター作と聞き比べてみたが、既に当時にしてかなりクリアなサウンドに仕上げられていたし、7年ぶりのリイシューとは言え本盤で劇的に音が変化(そもそもオリジナルが隙間を活かした比較的シンプルなサウンド創りなのでリマスター効果にも限界がある…)している訳ではないので、12年PROG TEMPLE盤をお持ちの方は無理して購入(まさかの同一デジタルリマスター音源? それくらい変化無…って思ったら、音の抜けが向上してた)しなくてもいいかもしれない。

久しぶりに本作に耳を傾けてみたが、ビード系バンドのようなリフが散りばめられたハードドライヴィンに疾走するHRサウンドにシンフォニック系の華やかなキーボードが絡み、プログレ的テンポチェンジの怒濤の連続とテクニカルで一筋縄ではいかぬ複雑な展開がサウンドの立体感と重厚感を演出しつつ、それらの巧妙なプレイヤースキルを披露する楽曲は、ポップなコーラスやYESばりなハイトーンのメインヴォーカルがしっかりフィーチャーされコンパクトに纏め上げられた歌モノ的な感触でサラリと聞けてしまえるキャッチーさも兼ね添えているハイスペックなサウンドで、今聞いても驚かされる箇所が多々あるのが凄い。

パンクの脅威(76年からなんだよなぁ…)が到来しなければ、間違いなく次作でさらなる高みへ駆け上っただろう有望な新人バンドだっただけに、時代が悪かったとは言えこれ一作しか残せなかったのが残念で仕方が無い(つд`)

リヴァーブの深くかかった癖の強いギターソロやYESチックなリズム展開はビート系っぽかったり、ビブラフォンとアコースティックギターのデュエットはエレガントなプログレっぽく、GENTLE GIANTっぽいコーラスやSquire張りな図太くワイルドなベース、EL&PやYESのようなめくるめくシンセサイザーのソロ、そしてKING CRIMSON的なヘヴィーなギター展開等、多くの先輩UKプログバンド達のサウンドピースが垣間見えるものの決してフォロワーではなく、独自のサウンドを確立しつつあるバンドであった事は間違いなく、活動期間も短いマイナーバンドのアルバムなれどこうして幾度もリイシューされているのは、本作が魅力的な作品である事の証明と言えるだろう。

ENGLANDファンは勿論のこと、パンク到来以前の古き良きUKハードプログ作がお好きな方ならチェックしておいて損はない好盤なので、ご興味あるようでしたら是非に!



# by malilion | 2019-04-05 20:20 | 音楽 | Trackback

日本が誇るHMバンドANTHEMの、待望の全編英語による再録BESTがリリース!!

c0072376_18191238.jpgANTHEM 「Nucleus」'19

日本を代表する正統派HMバンドANTHEMがドイツを拠点とするHMレーベ『Nuclear Blast』と正式契約し、遂に世界進出盤をリリース!

リリース第一弾となるのは全曲英詞による新録BESTアルバムで、ミックスとマスタリングをスウェーデンの名プロデューサー兼エンジニアの Jens Bogrenが担当し、数多くのバンドとの仕事振りで発揮されてきた彼ならではのファットな重低音を効かせた図太く逞しいサウンドによってANTHEMの宝玉の楽曲を磨き上げ、ANTHEMサウンドは元よりワールドワイドクラス、世界水準においてもトップクラスの存在だと証明する見事な作品に仕上げている(*´ω` *)

ANTHEMのアルバムのプロデュースと言うと真っ先に思い浮かぶのが今は亡き Chris Tsangaridesだが、その他にもRoy Z等の手によるプロデュースが施されたアルバムのサウンドと比べてみても Jens Bogrenの緻密な仕事ぶりはそれらを上回る素晴らしさで、正に『現代世界基準』の硬質でキレ味鋭いMサウンドに仕上がっていて、文句無しにANTHEMファンにお薦めな一枚と言えよう。

いや~、ホント感無量ですね。遂にあのANTHEMがワールドワイドにデビュー(ヨーロッパ圏は『Nuclear Blast』北米、オーストラリア、ニュージーランドは『Golden Robot Records』日本、アジア圏は『Ward Records』)を果たしたんですから! ホント、長かった…(ツд`)

演奏も歌も、楽曲も、全てが最高なのが分かっている本作に置いて、最大の注目点である森川による英語ヴォーカルパートだが、全曲英詞ながら元曲の歌メロを損なう事なく、似た語感の言葉をチョイスして英詞化されているのでオリジナルの歌メロと違和感なく聞く事が出来き、世界進出盤では旧来の歌メロを多少変えて楽曲アレンジも変えてくるかな? と予想していたらそんな事は一切無く、元々の完成度が高かった楽曲をさらに磨き上げた、という手堅くも安心な古くから彼等を応援しているファンにもニッコリな出来だ。

また、収録された13曲のうち『Venom Strike』を除く12曲が01年に再結成して以降の楽曲で固められており、懐メロじみた過去の代表曲に頼る事ない現在を生きる“現役バンド”であるという自負や、再結成以降常に“常に前進する現在進行形のANTHEM”を証明し続けてきたリーダー柴田サタンの主張を強く実感出来て、今回の再録BEST盤の選曲も当然の結果と頷ける。

でも第二弾では、昔のブリティッシュHRの臭いプンプンな超絶名曲の数々を今風にアレンジしたリメイクとかも聴いてみたかったりするんで、その辺も柴田サタン様お願いしますデス(゚∀゚)♪

海外での本作の評価を見ると、ANTHEMはクラシックスタイルなHMをメインでプレイし、古典的ながら強力にメロディアスな楽曲に、多様だが常にパワフルなリズム・パッセージを効果的にMIXして表現しており、ある瞬間は疾走感あるメロディックHR、またある時は繊細なメロディが光るネオ・クラHM、そしてタフでダーティな近代的パワーメタル・サウンドが交差する楽曲のレベルは非常に高く、35年間HMをプレイし続けて来た経験がしっかりと活かされている、等の評価を得ており、かなり好意的なのが窺え嬉しい事この上ない!('(゚∀゚∩

森川のヴォーカルは、予想通り Graham Bonnetっぽいという評価や、面白い所でDOKKENの Don Dokkenっぽい(!?)歌声だ、とかIRON MAIDENの Bruce Dickinsonっぽい歌声(!?)に聞こえる、とかいう謎な批評(笑)もあって、海外の人にはそういう風に聞こえるのかと驚かされますね。

ダークで鈍色な轟音アングリー・サウンドでシーンが席巻されっぱなしだった反動でか、ユーロ圏では華やかでポップな80年代風サウンドの再評価の機運が高まりつつあるようですが、そうした最近のシーンの動きに融合した80年代当時の旧曲を再録したBEST盤を出すのではなく、比較的近年の曲中心に固めたBEST盤をリリースした柴田サタン率いるANTHEMに、現行の欧米マーケットへ殴り込みをかける硬派な男気と熱い意気込みをビンビン感じます(*´ω` *)

次なる活動はユーロ圏でのLIVE活動になる模様なので、ファンは勿論のことメロディアスHMファンもANTHEMの動向に刮目して注意せよ! m9(`Д´)




# by malilion | 2019-03-31 18:13 | 音楽 | Trackback

イタリアン古典シンフォ派なIL CASTELLO DI ATLANTEが発売25年記念盤としてデビュー作をリ・レコーデイングしてリリース!

c0072376_20582938.jpgIL CASTELLO DI ATLANTE 「Siamo Noi I Signori Delle Terre A Nord」'19

大昔からお気に入りのイタリア・インディレーベル VINYL MAGIC New Prog'90から、70年代から活動していたにも関わらず92年にようやくデビューを果たした、ヴァイオリンをフィーチャーした6人組イタリア産シンフォニック・ツインキーボード・バンドの、3年ぶり7枚目(LIVE2枚含むと9枚目)となるオリジナル・スタジオアルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

久しぶりの新作は、92年のデビュー作『Sono Io Il Signore Delle Terre A Nord』のリリース25周年記念として現在のメンバーで新録されたニュー・レコーディング・ヴァージョンで、収録曲を曲順にニュー・アレンジで再録しているが、内1曲(オリジナル・アルバムでは7曲目『Estate』)のみカットし、代わりにボーナストラックとして新曲を1曲を収録しており、オリジナル・アルバムを持っている方も無視出来無い内容となっている。

デビュー当時はヴァイオリニストをメンバーに含む5人組で、ドラマーがキーボードも演奏する変則的なツインキーボード体制だったが、現在はちゃんとキーボーディスト2人、ヴァイオリニストも擁する6人組体制となっており、既にオリジナルメンバーは Aldo Bergamini(Guitar、Vocals)と Dino Fiore(Bass)、そして Paolo Ferrarotti(Keyboards、Vocals、Drums)のみとなっているのでメンツの半分が違う編成でデビュー作を単にリメイクするだけでも雰囲気が違ってくるのは簡単に予想出来る訳だが、初めて彼等のアルバムを聴いた時、小雨の情景が浮かぶシットリした情緒が香るものの70年代プログレの影響から抜けきれぬマイナー・バンド特有なイマイチ垢抜けないサウンドなれど、妙に心に残る儚くも美しい繊細なメロディを聞かせてくれたのを今も良く覚えており、そんなウェットで穏やか、そして柔和なサウンドだった印象がどのように変化したのか、に注目しつつアルバムの音に耳を傾けてみました(*´ω` *)

25年の時間の経過によって当然、メンバーのテクニックやミュージシャンとしての質、そして録音技術も向上しているのでオリジナル盤よりクリアで密度の高く艶やかな輝きあるサウンドに仕上げられているのは無論の事、PFMやQUELLA VECCHIA LOCANDAに近い、流麗でドラマチックなイタリアン・シンフォの伝統をアナログキーボードを多用して表現する事に拘りを持つバンドらしい、クラシカルなヴァイオリンや軽やかなピアノの音色をアクセントに華やかでメロディアスなアコースティック・アンサンブルを組み合わせ、リリカルな美しいメロディやナチュラルな楽器の響きに70年代古典イタリアン・プログレ直系バンドならではの気品が色濃く漂い、さらにデビュー当時の90年代ネオ・プログレ・バンド達からの影響(ポンプチックなシンセが堪ら~ん♪)もうっすら感じ取れる点が、今の耳で聞くと古臭いのに新しい要素が混ざり合ってサウンドに面白い効果を生み、絶妙にして繊細な陰影を楽曲に浮き立たせているのがなんとも新鮮に思えてしまう。

ただ、オリジナル盤にあったギターによる爽やか系のラテン・ポップスやフォークなどの要素も感じさせるシンフォニック・ロック、といった軽目のサウンドな印象はすっかり本リメイク盤では払拭されて、イタ公ならではの暑苦しさがサウンドにかなり濃厚に漂っているので、オリジナル盤にあった小雨の情景が浮かぶシットリした情緒が香る、といった濃厚プログレサウンドが専売特許なイタリアン・バンドらしからぬ弱々しく繊細なイメージはかなり後退しているのがちょっと残念ではありますが、デビュー当時のマイナーB級イタリアン・シンフォバンドまんまといった脆弱なイメージのサウンドより、本作のしっかりプロダクションされ磨き上げられた艶やかで深みある響きのサウンドな方が、同じインディ作と言えどより大衆受けする音なのは間違いなく、コレはコレで彼等の進歩を体現するサウンドなので、後はリスナーの好みの問題と言えましょう。

あれこれ妄想しても無駄なのは百も承知ながら、デビュー当時はインディリリースだった事もあって劣悪なサウンド(特にボトムが…)でこじんまりした音のアルバムであった訳だが、本作での美しく艶やかなヴァイオリンや軽やかなピアノ、そしてアコギの木訥ながらシンプルな響きが絡み合い、芳醇な香りを放つワインのように様々な味わいを放って拡がっていく調べの数々を聞くに、デビュー当時ちゃんとしたメジャーレーベルのバックアップや資金的援助が有ったならば、間違いなく『90年代初頭に蘇った70年代古典イタリアン・プログレ直系バンド!』とか『QUELLA VECCHIA LOCANDAの後継バンド現る!』みたいに、もっとシーンにその名を華々しく轟かせていたのだろうに『惜しい!』と勝手に悔しがってしまうくらいこの発売25周年記念盤の出来は良く、是非懐かしの70年代イタリアン・プログレ好きな方や古典イタリアン・シンフォサウンドがお好みの方々には一度本作をチェックしてみて欲しいですね。



# by malilion | 2019-03-28 20:52 | 音楽 | Trackback

USAアホメタルのZEBRAHEADがレーベル移籍後、初アルバムをリリース!!

c0072376_20394744.jpgZEBRAHEAD 「Brain Invaders」'19

脳天気お馬鹿キャラ丸出しで世界に野郎共の合唱と笑顔を撒き散らしハイ・エナジーにロックしまくるUSA産ミクスチャー・パーティー・ロックバンド ZEBRAHEADが、なんとエイベックス(!?)へ移籍し、3年5ヶ月ぶり通算9枚目のオリジナル・アルバムを世界に先駆け日本先行リリースしたのを、ちょい遅れてGET!

サウンドは相変わらずの、ポップでキャッチーなフック満載の弾けるハードドライヴィンなメタリック・サウンドと歯切れ良いパンク・ロック・グルーヴが交差し、ツイン・ヴォーカルが熱く、五月蠅く、鬱陶しいくらい脳天気(w)に、高らかにパーティー・ロックを煽り立て、バンドも負けじとラウドにスピーディーにサウンドを鳴り響かせている(*´ω` *)

エロくてお馬鹿なキャラを陽気に演じ、ストレートに熱い歌詞を熱唱するのはいつもの事なのだが、今回はいつになく“友情”“仲間”を意識したメッセージ・ソングっぽい曲が目立つのですが、これが今回のアルバム・コンセプトなのかな? まぁ、スピーカーから飛び出してくる陽気なカルフォルニアン・アホメタル(褒め言葉)に些かの翳りもブレも無いのでファンは安心して即買いなのデス♪

元より常々日本がお気に入りな事を語ってきた彼等だが、今回はレーベル移籍した事もあってか日本限定ボーナス・トラックとして、E-girlsが12年にリリースしたシングル『Follow Me』を英語歌詞ではなく、なんと日本語でカバー(!?)してくれるサービスっぷりには脱帽だ! ('(゚∀゚∩

しかし、アルバムに貼り付けてある宣伝ステッカーの文句が『聴くな、感じろ!』ってwwww

『どこのブルース・リーだよ!』って、突っ込む事請け合いなんだけど、彼等のエネルギッシュでエキサイトな心躍るサウンドをバッチリ言い表してるナイスな宣伝文句だと思いました(w

311程ヒップでモダンサウンドへ傾倒してない彼等のサウンドが個人的に嬉しいのですが、本作は前作よりちょいハードでヘヴィ目でドライなサウンドなのと、ファンキーでダンサンブルな楽曲にデジタリー処理された打ち込みやループサウンドを挿入するのはいつもの定番ながら、ちょっとダークでメロゥなフレーズが裏で鳴っているパートがあったり、ブラスを大々的に導入した楽曲があったりと、前作でのオリエンタルな雰囲気を導入した楽曲といい、同じ事の繰り返しではない音楽性の幅を拡げる試みを絶えず行っている模様で、バンドが健全な証拠だと安心しております。

聴いてる最中、ちょっとシリアス風な出だしの楽曲に驚かされたりして、でも結局はニヤニヤしっぱなしの、駆け抜ける怒濤のパーティー・ロックサウンドへ雪崩れ込んでいくっていう、う~ん、ホント最高デッス♪

やっぱ、ZEBRAHEADは小難しい理屈抜きに楽しくてイイなぁ~♪(゚∀゚)




# by malilion | 2019-03-27 20:33 | 音楽 | Trackback

闇鍋チートスパーティ再び! スペイン産ミクスチャー系プログ・ポップバンドCHEETO'S MAGAZINEが3rdアルバムをリリース!

c0072376_10360822.jpgCHEETO'S MAGAZINE 「Amazingous」'19

スペインはバルセロナのツインキーボード5人組ミクスチャー系プログ・ポップバンド Cheeto's Magazineが前作『Tasty Old Snacks』から2年ぶりとなる新譜をリリースしたのでご紹介。

デビュー作から一貫してふざけたポップ感満載なジャケットデザインな彼等だが、本作もその美麗にしてポップ、そしてキャッチーでドメロディアスな爽快感炸裂ポップサウンドなのが一切伺い知れない酷いセンス全開なジャケットデザインなのは変わりない…っていうか、いいんかソレで(汗

まぁ、メンバーフォトでゴレンジャーかファイアーバレーかってな五色の色鮮やかなピッチリスーツにメンバーが身を包んだニヤケ顔を晒してる時点で、真面目に何かを語るのは意味を成さないと悟るんだけど(w

デビュー当時から音楽的な方向性は一切変化なく、ドポップでキャッチーな美麗コーラスと分厚いハーモニー・ヴォーカルでサビをポップスバンドのように高らかに歌い上げ、フック満載な楽曲の後ろでテクニカルなプレイをサラリと見せつつ、プログレ的なシンフォニックなキーボードと軽やかで煌びやかなシンセが弾けるように飛び交い、そこへ不意打ちのようにメタリックなギターやヘヴィなリフで畳みかけ、意表を突くようにふざけたSEやディストーションサウンドで動物の鳴き声を再現したりと、度肝を抜かれて戸惑うリスナーを嘲笑うかのように爽快さだけを残して駆け抜けていく闇鍋スタイルのままだ(*´ω` *)

当初、フェバリット・バンドは QUEEN、SPOCK'S BEARD、TRANSATLANTIC、DREAM THEATER、IT BITES、KINO、FROST*等の名前を挙げていたが、既にそういったバンド群からの模倣というよりは、完全に音楽要素をピースごとにバラバラに分解し再びそれらをミキサーにブチ込んで混ぜ合わせ、極上のポップセンスをまぶしてデッチ上げたような、胡散臭い人工甘味料の如き妖しいケミカルな甘さが漂う一癖も二癖もある超個性的なサウンドがホント堪りません♪

SWEET的な人工感アリアリな分厚いコーラスと畳みかけるロック的な疾走感が炸裂したかと思えば、いきなり叙情的でウェットなメロディが飛び出してきたり、シットリ荘厳で重厚な宗教音楽的なシンフォニックなサウンドが殴り込んで来たかと思えば、DAFT PUNKばりなデジタリーでダンサンブルなサウンドでおちょくったり、と本当にやりたい放題で、流行や音楽のカテゴライズを嘲笑うかのように楽しそうにプレイしてるメンバー達の顔が透け見えて実に痛快だ。

これだけやりたい放題してサウンドが破綻していないのを見てもバンドメンバーはかなりの実力派なのが窺えるが、決して小難しいテクニカルなプレイをこれ見よがしにひけらかしたりせず、あくまで楽しく朗らか(前作ではGREEN DAYのカヴァーを披露してたしなぁ)爽快なポップサウンドに聞こえるように仕上げているのがホントに素晴らしいと思うのです。

スペイン産と言う事でパッション漲る情熱的なサウンド要素はほぼ無いのでソレ系を求める方には向かないが、おちゃらけた仮面の奥に息づくモダンでインテリジェンス溢れる構成力とテクニカルながらもメロディアスでキャッチーな曲想やGENTLE GIANTかSPOCK'S BEARDかと言った複雑なコーラスが織りなすヒネくれたバンドサウンドの完成度はインディ離れしていて、その無節操なポップ感覚のままに強引にテクニカルなグロプレチック・サウンドへ雪崩れ込み、陽気に駆け抜ける悪ノリな様は実にラテン的な開放感に満ちあふれている。

ユーロ系グロプレに共通する薫り立つような優雅さや美しいリリシズム、そしてスタイリッシュさは皆無なれど、旧態依然としたプログレ・サウンドのエミュレートを完全に放棄し、デジタリーなトリックや、爽快なドポップスや男臭さ満載のパワフルでヘヴィなHM、そしてダンサブルなエレクトロ・チューンやニューウェイヴ・パンクにまで接近し、様々な音楽要素をモザイク画のように交差させて美麗なサウンドを織り成していく様は、まるでYESがドーピングしてラテンパッションの熱に犯され、一夜の過ち的に乱れまくったかのようなイメージだ(w

最後に収録されている、長尺25分越えの如何にもシンフォニックさが香る楽曲を、美声の女性コーラスをフィーチャーしつつ、テクニカルに、ポップに、メタリックに、デジタリーに、ボーダーレスに多種多様な音楽要素を飛び交わせて壮大にプレイする様こそ、正に彼等の真骨頂だ。

デビュー当時から一貫してボーダーレスなミクスチャー具合の心意気と屈折しまくったユーモア感が面白い、飽くなき野心的挑戦を続ける、正に現代的プログレスを体現しえるバンドの一つと言えよう。

定番のグロプレモノに飽きた古参ユーザー程このバンドのゴッタ煮&闇鍋感覚と好き放題やらかすサウンドの面白さにすぐ気づくでしょうから、御興味あるようでしたらチェックしてね! m9(`Д´)



# by malilion | 2019-03-26 10:29 | 音楽 | Trackback

ネオ・プログレ系+80年代USプログハード系サウンド=ワンマン・シンフォ・プロジェクトNOT OTHERWISE SPECIFIEDが新譜をリリース!

c0072376_16533334.jpgNOT OTHERWISE SPECIFIED 「Deadweight」'19

08年から活動を開始し、11年5月にデビューアルバムをリリースしてからこれまでにアルバム一枚とシングル一枚(GENESISの『Dance On A Volcano』のカバー)をリリースしている Craig Kerley率いるUSA産シンフォ・バンドの自主制作3rdがリリースされたのでご紹介。

ヴォーカル、ギター、キーボード、ベースをプレイするマルチ・ミュージシャン Craig Kerleyを中心に多数のゲストを迎え制作するワンマンバンド体制に変化はなく、デビュー作から前作までギタリスト Jason Rowlandがヘルプで参加していたがその名は本作には見当たらず、複数のベーシスト、複数のドラマー、そして新たなギタリストをゲストに迎え本作は制作されている。

所謂ネオ・プログレ系サウンドとKANSAS等の80年代USプログハード系サウンドをMIXし、今風にモダンにアップデートしたサウンドを提示する Craig Kerleyではあるが、『他に分類されない』『他に特定されない』という意味の『NOS(not otherwise specified)』という大仰で孤高感タップリな中二病臭いバンド名とは裏腹に、DREAM THEATER、GENESIS、PINK FLOYD、SPOCK'S BEARD等のバンドの影響がそこかしこで見え隠れしており、やはり1人バンドだとどうしてもその手の露骨に影響を受けたバンド群のサウンドカラーが透け見える弊害は拭い切れていない。

とは言え、1人シンフォ・プロジェクトにしてはかなりバンドっぽいサウンドなのは確かで、大仰なネオプログレ風キーボードが活躍するのを始め、プログレやポンプ定番のヘタウマ・ヴォーカルではないしっかりハイトーンもカヴァーする歌唱力は自主制作盤としては、もう少し頑張れば極上のB級シンフォ・サウンドへ手が掛かる程のハイクオリティな出来なのは間違いないだろう。

ただ、USA産にしてはかなりメロディに哀愁が漂う所謂ユーロ系シンフォ指向サウンド(デビュー作当時を思えばかなりメタリックさは減退している)だが、やはりどうしても1人多重宅録な弊害かサウンドのスケールがこじんまりしているのと、サウンド全般がドライで硬く、ナチュラルな響きや、薫り立つような艶やかさは少ないのが難点と言えば難点か。

テクニカルなプレイをしっかりフィーチャーしつつ、5、6分台にコンパクトに纏め上げられた楽曲や、短いながらもSE等をイントロに使って壮大なスケール感を演出しようとしている努力は分かるし、全体的にユーロ系指向なサウンドっぽいのに、USA産特有なエネルギッシュな鍵盤弾き倒しプレイや、ヘヴィでエモーショナルなギタープレイを織り交ぜたサウンド、そして Craig Kerleyの熱唱を聞くまでも無く、どうにもパワフルでハードなサウンドの側面が勝っているのと“圧し”が強い為に“引き”が生み出す叙情感やドラマチックな楽曲展開等が弱く、アルバム全体を通して聞くとまだまだ今一つな仕上がりに思え、そういった点は少々残念だ。

Craig Kerleyのミドルレンジ主体な歌声は声質を含めて悪くないパフォーマンスだし、楽器のプレイも全て平均点以上なので、是非とも固定メンツを迎えてちゃんとしたバンド体制で次なるアルバムは制作して欲しいものであります。



# by malilion | 2019-03-20 16:47 | 音楽 | Trackback

オランダが誇るメロハー界の救世主TERRA NOVAの7thアルバムをご紹介。


c0072376_21290065.jpgTERRA NOVA 「Raise Your Voice」'18

Fred Hendrix(Vo)とRon Hendrix(Key)の兄弟率いるオランダ産メロハー・バンドの至宝、TERRA NOVAの約3年ぶりとなる通算7枚目のニュー・アルバムが去年末にリリースされたのを、ちょい遅れ今頃GET!

前作が巷では不評だった模様ですが、個人的にはAOR要素多目な味付けの楽曲に不満はなく、トラック目一杯に音を詰め込んだ軽快でスピーディでキャッチーなガッツリ造り込まれた系メロハー好きな諸兄達の失望を買っただけだったと思っとります。

で、続く本作はどうなのかと言うと、大まかに言って前作のAOR風味増し増しから初期のキンキン・メロハーっぽい作風へ一聴して戻っているように聞こえ、これはこれでデビュー当時から彼等を応援している日本人好みな哀愁の美旋律と爽快なコーラスが炸裂するキャッチーでハード・ポップなサウンド好きな方達を満足させる方向性と言えるでしょう。

ただ、以前と全く同じ、と言うわけではないようで、個人的にはちょっとそこに違和感のようなものを感じるんですよね…

前作の悪くない出来のアルバムのサウンドを聞いて、何故Frontiers Recordsが彼等と契約を見送ったのか疑問だったのですが、前作に引き続きMelodic Rock Recordsからリリースされた本作を聞いて、その理由が少し見えてきたように思えます。

のっけからSCORPIONSっぽいシンプルなリフで始まる『Raise Your Voice』にちょっと驚かされるが、その後はいつもの定番な分厚い爽快コーラスとメロディアスでキャッチーな歌メロが炸裂し、ファンならずとも一安心と言ったところ。

ただ、アルバムを聞き進めるうちに感じる、なんと言うかワイルドさ増し増しなギターのトーンのせいなのか、歌メロのせいなのか、バッキングコーラスの導入のされかた故か、楽曲全体がシンプルでストレートなイメージで、以前のようなユーロ・メロハー特有のウェットで一癖も二癖もある素晴らしい楽曲展開と際だった美しいメロディの交差が生み出すマジックのような感動が感じられない、全体がドライなサウンドに纏め上げられているのに気づき、そこが少々残念ではあります。

上手く言い表せないけれど、Frontiers Records所属時までの楽曲が上質なワインのように熟成された豊かなメロディを感じられたとしたら、今回の楽曲は熟成不足な感が否めないかな、と……

それ以外にも、FOREIGNERっぽいメロディの楽曲や、VAN HALENっぽい豪快さを感じさせる楽曲、そしてDEEP PURPLEっぽい雰囲気のある楽曲等々、80年代っぽい雰囲気が本作のそこここから感じ取れ(ちょっと古いサンプルなシンセのせい?)て、キンキンのハイトーンが炸裂する緻密に造り込まれた00年代爽快メロハー・スタイルから、どこかナチュラルなサウンドの響きを感じさせるシンプルでストレートなアメリカンHR要素多目なスタイルへ楽曲の色づけが成されている風に思えるのが違和感の原因なのかもしれない。

強引に言うと、Frontiers Records所属時までユーロ・メロハーな00年代風の方向性なウェット・サウンドだったのが、Melodic Rock Records所属になってからアメリカンな80年代風の方向性なドライ・サウンドへ移行したイメージ、と言えば伝わりますでしょうか?

勿論、そんな単純にサウンドがコロっと変わった訳ではなく、以前からUSロック風味もありましたしAOR風味も感じられた彼等のサウンドですが、本作におけるユーロテイストの減退、そして代わりに手に入れた歯切れ良さとストレートな楽曲のパワフルな躍動感は絶対に意図的だと思うのです。

総じて日本人受けするメロハー・サウンドなのは間違いないのですが、ちょっとした楽曲の色づけや方向性の違いが個人的に少々以前との差を感じて違和感を覚える、と言うだけで、コレはコレで全く問題なく受け入れられる爽快キャッチーサウンドなので良いんですけどね…

これまでのユーロ・メロハーサウンドに加え、JOURNEY、VAN HALEN、STYX、そしてCHICAGOなんかの要素までがチラチラ見え隠れするUS市場向けな本作のサウンドは、以前の造り込まれたメロハー・サウンドがお好みの方には少々ナチュラルでストレートな響きが先行して聞こえてご不満かもしれませんが、コレはコレで決して不味い出来ではないと思いますので、是非に前作で彼等に失望した方も今一度チェックしてみて損はないと思いますよ?

因みに日本盤と外盤ではボーナストラックと若干ジャケが違うので、音源マニアの方は輸入盤も見逃すこと無くチェックしましょう。


# by malilion | 2019-03-12 10:03 | 音楽 | Trackback

淡く優美な叙情派イタリアン・シンフォサウンドの職人、ERIS PLUVIAが新譜リリース!

c0072376_22215184.jpgERIS PLUVIA 「Tales From Another Time」'19

寡作で地味な存在ながら至高の叙情派イタリアン・シンフォ作をコツコツとリリースし続ける彼等の、3年ぶりとなる5th(公式には4thだろうけど…)がリリースされたので即GET!

サックス入り編成5人組でデビューしたものの一般的なユーロ・プログレ作でも定番イタリアン・シンフォ作でもなくアコースティカルで穏やかな、プログレお約束なキーボードが活躍しないサウンドが災いしたのか間もなく解散し、再結成作でフロントマンとドラムスに新メンバーを迎えたりとアルバム毎にメンツが流動的な彼等だったが、久しぶりの本作はメンツの変動は無く Alessandro Cavatori[Serri](G)と Marco Foralla(B、Key、Ds)のオリジナルメンツの2人を中核に、前作から参加の Roberta Piras(Flute)嬢と Roberto Minniti(Vo)という2人の新メンバーが本作でも名演を聞かせてくれている。

楽曲パートの殆どを Marco Forallaが一人で全てこなす体制に変化はなく、前作からダークでヘヴィなメタリック・ギターとシンフォなキーボードが活躍し、ヴォーカルの歌モノ・パートが存在する所謂一般的なユーロ・シンフォ・ロックな作風へ移行した訳だが、本作ではメタリックさが幾分弱まり初期のようなアコースティカルで穏やかな音色を紡ぐギターと淡く冷ややかなフルートが軽やかなメロディを奏で、イタ公らしからぬアッサリ目なユーロ・シンフォ風味のシンセやオルガンがバッキングで密やかな音を刻んで楽曲を飾り立てたり、GENESISチックな華やかなキーボードの音色やファンタジックなシンセサウンドが楽曲を穏やかに包み込んで所謂一般的なユーロシンフォものに近い荘厳で壮大なスケールの大きさを演出したりと、CAMELとPINK FLOYDをMIXさせてダークな情感をまぶしたような、暗闇の中で仄かな炎が揺らめく風なアンビエントな寂寞感も漂う一種独特な音世界を織り成しつつ、ジェントリーなヴォーカルが力む事なく語りかけるような歌声を聞かせる作風へさらに変化した模様だ。

初期風なアコースティカル要素と、一般的シンフォ要素をMIXしたのが前作のサウンドだったように思うが、そこへさらにゲストの女性ヴォーカルの可憐な歌声も交えて華やかも感じさせつつ、淡い霧がかかったような深いエコーと柔らかなシンセの音色で幻想風味を漂わすダークな妖しさが増したサウンドは全体的にイタリア的と言えるかもしれないが、サウンドの耳触りがダーク系イタ公雰囲気シンフォものと全く異なっていて、鄙びたノスタルジックな味わいを演出するアコースティカルな楽器の織り成す音色が彼等ならではの特徴と言えるかもしれない。

個人的には、一般的シンフォ要素が増えれば増える程に彼等の特色である土着的な香り漂うアコースティカルなサウンドの持ち味が軽減されて好ましくないように思えるのだが、本作では上手い具合にユーロシンフォ要素に初期の作風を組み込んで、さらに一歩進んだ優しげな陽だまりの隅でひっそりとダークな闇が渦巻くような、なんとも言えぬ陰鬱な毒が潜んだような東欧シンフォものっぽい妙に気になる物憂げさも醸し出すサウンドへ進化しているのが好ましく思いましたね(*´ω` *)

声質のせいなのか、英詩を歌っているからなのか、 Roberto Minnitiのヴォーカルからはイタリア臭はそれ程せず、なんだか妙に80年代UKポンプバンドで良く聞けたヘッポコヴォーカルっぽく(失礼!)聞こえるのも、モダンでありながら妙に懐かしさを感じさせるバンドサウンドとのギャップになって面白い効果を生み出しているようにも感じるのは私だけでしょうか?

PINK FLOYDっぽいロングトーンのエモーショナルなギターや、サントラ風な演出効果を生んでいる雨音や雷鳴等の各種効果音、そしてストリングスの艶やかで深みある音色など、聞き込む程に以前には聞く事の出来無かった新しい要素が浮かび上がっては消えていき最後までどこへ行くのか行き先が見えず焦らされ続けるような、実に興味深い方向へサウンドを進化させた事が分かります。

ただ、上手く言葉にして彼等のサウンドを表現出来ぬ味わい深く独特なそのサウンドは、正直一般的なシンフォ・ファンやプログレ・ファンに訴求するのは難しいように思えるのも事実でして、出来る事ならば精力的な活動を絶やさず続けて欲しいものであります。

それにしても前作といい今回の安っぽいスラッシュメタルみたいなチープなイラストのジャケはどういう事なんスかね…いくらインディでももうちょいなんとかなるやろ…('A`)

もうちょいセンスあるモダンなジャケでないと、彼等の独特なサウンドを現しているように思えないし、ぶっちゃけこの劣悪なジャケで敬遠する人も多いと思うんですが…(汗




# by malilion | 2019-03-10 22:15 | 音楽 | Trackback

英国モダン・シンフォJADISが未発音源集の第二弾をリリース!

c0072376_20362365.jpgJADIS 「Medium Rare II」'19

頑固一徹、流行に惑わされず己の道を突き進む Gary Chandler(Guitars、Lead & Backing Vocals、Keyboards、Arrangements、Production & Mixing)率いる英国メロディック・シンフォニック・バンドJADISの18年LIVE音源や、Reworked、Remixed、未発音源やカヴァー曲等を収録したレア音源集の第二弾が、『Medium Rare』'01 以来18年ぶりにリリースされたので即GET!

完全にコレクター向けアイテムながら、Gary Chandlerの爽快感あふれるクリアーでキラキラとした美旋律を紡ぐギターの圧倒的な存在感と、持ち味であるシンプルでストレートでありながら他のUKポンプ勢とは一線を画していたキャッチーでブリリアントなポップサウンドや英国叙情香るドラマティックなシンフォニック・ロックな楽曲等、フュージョンチックなモダン・サウンドに乗った軽快でスタイリッシュなサウンドセンスをタップリ堪能出来るレア音源集だ。

最新LIVE音源を聞けば旧曲も今のJADISサウンドにアップデイトされているのが分かり、それに加えて現在のベーシスト Andy Marlowのプレイだけでなく、半数はオリジナル・ベーシストの John Jowittのプレイした音源で、脱退したとは言え未だにバンドと良好な関係であるのが窺えるのが嬉しい。

既発音源のリミックスや手直し、さらにバラバラなLIVE音源をひとまとめにしたものだが一貫してモダンでハイセンス、そして高い技量が窺えるコンパクト・サウンドで、爽やかに歌い上げる歌モノ・ハードポップ・バンド的な実にポピュラリティの高いサウンドだと再認識させてくれる。

うーん、ホントに Gary Chandlerはギターと歌が抜群に上手いですねぇ♪(*´ω` *)

ともあれ、ファンは即買いなのですが、一般UKシンフォ・ロック好きな方にはちょっと敷居が高いかもしれないけれど、彼等の入門盤として本作のサウンドをチェックして、バックカタログを辿るのもよろしいのではないでしょうか?

Track List

01.There's a light
Recorded during the band's brief yet successful Return to Gigging in 2018.

02.Truth from the lies
A New Unreleased Track
オリジナル・キーボーディストである Martin Orfordが復帰(何度目!?)した16年の最新作『No Fear Of Looking Down』リリース直後に作られた未発新曲。

03.No Sacrifice
Edited & Remixed with Replayed Drums & Keyboards.

04.What kind of reason
Remixed & Edited version of the piece from Fanatic.

05.Standing still
Remixed version of the piece from Photoplay.

06.Photoplay
A completely Revamped, Reworked and extended version of this instrumental from Photoplay, which now has Drums & Bass added.

07.Daylight fades
Recorded Live in 2018.

08.Hear us - End section
Recorded Live in 2018.

09.Animated
A New & Unreleased Instrumental Track.

10.Your own special way
A cover of The GENESIS song from Wind & Wuthering.
(GENESISのカヴァーで未発スタジオ音源)

11.Comfortably numb
A cover of the PINK FLOYD classic recorded live in 2001. This is Remastered from Alive Outside CD.
(PINK FLOYDのカヴァーで既発音源ながら今回新たにリマスターを施されている)


# by malilion | 2019-03-09 20:30 | 音楽 | Trackback

ストレートなアメリカンHR作、STEELCITYのデビュー作をご紹介。

c0072376_18363550.jpgSTEELCITY 「Fortress」'18

イタリアのVIANAの新フロントマンと言う事で紹介した Bryan Cole(Vocals)がもう一つ兼業しているバンド、Mike Floros(Guitars、Backing Vocals)率いるUSA産オハイオの4人組アメリカンHRバンドのデビューアルバムもついでにご紹介。

プロデュースはメロディアスHR系愛聴リスナーならご存じな Johnny Lima、所属レーベルがKivel Recordsと言う事で、アルバムの音を耳にする前からある程度サウンドが読めてくるのではないだろうか?

しょっぱなのブライトでメロディアスな歌メロにサビの分厚いハイトーンコーラス、コンパクトで爽快なストレートにアメリカンHRな楽曲、そしてテクニカルなリードギターをピロピロ弾きまくるという、ちょっと初期STRYPER風なサウンドがUSメロハー好きな方にもきっと受けがイイに違い無いサウンドで期待値がメチャ上がったのですが、フロントマンの Bryan Coleがここぞとばかりに耳を劈くハイトーンを熱唱するスタイルを見るまでも無く、明らかに80年代風アメリカンHRをベースにしたバンドサウンドにとんでもない個性や特徴がある訳ではないが、気持ち良く最後までアルバムが聞ける彼等のサウンドはメロハーと言うよりもカラっと爽快で妙な小細工無しの豪快ストレートなUS産80年代リヴァイバルHRサウンドと言った方が近いかもしれない。

実際、分厚いコーラス多目なキャッチーな楽曲よりも、乾いた埃っぽい南部の香りするアメリカンHR風な楽曲だったり、アーシーなギターが大活躍する渋めな楽曲、さらにお約束の女性バッキングコーラス多目な鄙びた場末の酒場でローカルバンドが演奏してるかのようなゆるぅーい楽曲等々、基本的に目新しくも無い80年代に持て囃されたアリーナロックがアルバムの大半を占めていて、唯一彼等の個性とし光るのが Mike Florosの弾きまくりなリードギターの存在と言う事になるが、それにしたってテクニカルなプレイの競技会や見本市みたいになっていた80年代当時の華やかで超絶技をひけらかしていたギタリスト達と比べて地味なプレイでしかないのが何とも…('A`)

駄作ではないが凡作には違い無い、という印象しかないのが偽らざる感想ですかねぇ…

こんな事言っておいてなんですが、無愛想なアルバムジャケ(80年代風狙うならパツキンの巨乳オネイチャン登場させればイイのに…)に、これまた無味乾燥なバンド名と、ちょっとスタート時点で損している気がするし、一発シングルヒットが出ればスルスルと苦も無くメジャーシーンへ進出していけるんじゃないかと思えるような、そんなストレートなアメリカンHRサウンドは妙な嫌味や癖が無く、万人向けなロックサウンドとも言えるかもしれない。

因みにアルバム最後の楽曲『Back On The Streets』は Vinnie Vincent INVASIONのカヴァ-となっており、この選曲を見ても Mike Florosがどういった音楽的バックボーンを持っていて、バンドが目指すサウンドの方向性はどこなのか、というのが窺えると言えるだろう。

今現在は Bryan Coleの絶品な歌唱スキルのお陰でC級へ落ちていないB級ミドルクラスなアメリカンHRサウンドなのは確かだが、楽曲の質の向上や Mike Florosの意識が楽曲至上主義へ変化すれば、普通に良作メロハーや良作アメリカンHRをリリースして来そうなポテンシャルは秘めていそうなので、次なるアルバムでどういった方向へサウンドを発展させるのか興味深く見守っていたい。

ストレートでキャッチーな典型的アメリカンHR好きな方や、GIANT、SURVIVOR、PRIDE OF LIONS、Peterik&Scherer等と同様に抜群に上手いヴォーカリストの歌いっぷりを楽しみたい方にお薦めなバンドではありますので、ご興味ある方はチェックしてみてもよろしいのではないでしょうか?



# by malilion | 2019-03-05 18:28 | 音楽 | Trackback

次世代北欧メロハーの星! ARIONの2ndアルバムをご紹介。

c0072376_20103966.jpgARION 「Life Is Not Beautiful」'18

フィンランド産メロディックHMバンドの前作から4年ぶりとなる2ndアルバムがリリースされたのを、半年遅れてでGET!

正直、ここ日本では北欧メロディックHM系バンドは80年代の昔からマイナーどころからデビュー間もない新人インディ・バンドまで、ともかく『哀愁のメロディと透明感あるキャッチーささえあればOK!』という感じで『なんでコレが国内盤リリース!?』と我が目を疑うC級バンドまで青田買い状態でリリースされて来た歴史(ジャーマン系も同じ流れだなぁ…)があるのをメロハー好きな諸兄なら良くご存じな事でしょう。

ですので『有望株な北欧メロディアスHMバンドの新人がデビュー!』と、言われても北欧系メロハーHMに食傷気味な国内リスナーや昔からの耳の肥えたファンならば、なかなかSTRATOVARIUSやSONATA ARCTICA級のヒットを放つ新人の登場は難しいと予想するし、ぶっちゃけデビュー作はヴォーカリストの力量が悪くはないが特別良くもない、という没個性的な優しい歌声だった事もあって、その他大勢のマイナー北欧メロハー・バンドの新人の凡作の一つ程度にしか思っておらず記憶の彼方へ消えかけていた彼等なのですが、本作2ndで“大化け”したとの噂を小耳に挟んで(遅っ!)慌てて今頃購入した次第であります(汗

STRATOVARIUSの Matias Kupiainen(G)の実弟、Topias Kupiainen(Ds)が在籍している事でデビュー当時は注目を集め、その兄のプロデュースの元、歌詞の面で元SONATA ARCTICA、現CAIN'S OFFERINGの Jani Liimatainenの協力を得て楽曲制作を進め、新人としては恵まれ過ぎな環境で3曲入りデビューEP『NEW DAWN』'13 をリリース、それと前後してフィンランドでのバンドコンテストEurovision予選にエントリーし、この時のパフォーマンスを観たSpinefarm Recordsの創始者で、現在はRanka Kustannusレーベルを率いる Riku Paakkonenの目に止まり契約、そのままデビューアルバム『Last of Us』'14も制作と、鳴り物入りでデビューしたのも束の間、まさかの即来日決定でLOUD&METAL ATTACKへ出演と、2011年にフィンランドはヘルシンキにて Topias Kupiainen(Ds)と Arttu Vauhkonen(Key)を中心に結成され、順次 Gege Velinov(B)、Iivo Kaipainen(G)が加入し、ARIONとバンド名を決め、最後に Viljami Holopainen(Vo)が加わり編成が固まって以来、本当に新人(デビュー時にメンバー全員がティーンエイジャーだった!)としては破格の待遇と順調な活動を続けて来た彼等だが、15年の夏にフロントマン Viljami Holopainenが脱退と初めてのメンバーチェンジが勃発。

しかし、ここでも幸運に恵まれた彼等はフロントマン選びが難航する事なく、CONSTANTINEなるテクニカルHMバンドでフロントマンを務め既に三枚のアルバムをリリースしたキャリアを持つ Lassi Vaaranen(Vo:CONSTANTINEと兼業)を新たなフロントマンへ迎え入れ、バンドはLIVE活動しつつ新作へ向けての制作をスタートさせる。

前任者の幾分垢抜けぬ北欧マイナーHM風な歌声と至らぬ歌唱スキルと違い、既にキャリアを積んでいるだけあってアグレッシブでエモーショナルな堂々とした歌いっぷりの Lassi Vaaranenの歌声が起爆剤となったのか、デビュー時と同路線なエピック・スタイルのシンフォニックなメロディック・パワーHMにさらに多様な音楽要素を加えて進化させ、スケールの大きな楽曲と抜群のキャッチーさを誇る新曲をズラリと揃えた、アルバム二枚目の新人とは思えぬ圧巻の仕上がりな新作を約4年ぶりにリリースとなった。

既にアルバムをチェックされた方や北欧系マニアな方はご存じかと思いますが、まるでポップグループの如く幾度もシングル先行でデジタル配信オンリーの音源を発表するなど、アルバムオリエンテッドな作風を尊ぶメタルヘッド野郎のセオリーに囚われる事なく、ニュージェネレーションらしく時流も意識しつつ柔軟にあらゆる要素を取り込んで己の糧にし、怖い物知らずなヤングライオンの如くどこまでも貪欲に突き進む姿勢が本作で一層に浮き彫りになっていて、フロントマンの交代劇を大いなる飛躍へのチャンスに変え“次なるビックシング”だと期待させるに足る新人バンドへ生まれ変わったのは間違いありません!('(゚∀゚∩

特に今回は、新譜に先駆けてデジタル配信したシングル『At The Break Of Dawn』がAMARANTHEの Elize Ryd嬢をゲストヴォーカルに迎えた爽快でキャッチーなスピードチューンが既にダウンロードランキングで高セールスを記録と、新人バンド達が喉から手が出るほど欲しいシングルヒット曲を早くも掌中に収めたにも関わらず、さらに批判を恐れる事無くデジタル風味増し増しな『At The Break Of Dawn』のリミックスバージョンもリリースという大胆不敵な挑みっぷりは、失うモノが無い新人バンドならでは。やっぱ新人は活きが良くっちゃネ!

この目覚ましい躍進は、Matias Kupiainenをはじめ Riku Paakkonen等という優秀なブレーンがバックアップしているが大きいのだろうが、その期待に応える事が出来る高いポテンシャルを彼等が元来持っていたのと、既に名声を確立している有名所を招くという強かな(コネがないインディバンドは恨めしいだろうなぁ…)戦略を受け入れる柔軟な姿勢も彼等の成功を導いているのは間違いないでしょう。

北欧メロハーらしいキャッチーなメロディ・ラインに、北欧専売特許のキラキラしたキーボード・アレンジ、そしてハードエッジを効かせつつメロディ第一な美旋律を奏でるギター・ワークスと、メロハー好きなポイントはバッチリ押さえ、さらにシンフォニックHM系の影響も伺わすアレンジやエピカルな楽曲に相応しい壮大なスケール感を感じさせ、北欧メロハーお約束の疾走感あるチューンも健在で、それらのサウンドが総じてモダンなテイストを盛り込んだ音楽性と耳障り良いキャッチーな楽曲に無理なく収まっており、前作に引き続き裏方で Matias Kupiainenの手腕が遺憾なく発揮されているのは間違いなく、デビュー作以降のLIVEでの経験が活かされたのか Topias Kupiainen(Ds)と Iivo Kaipainen(G)による新人離れしたソングライティングのセンスとコンポーズ能力には所謂臭メロなるマイナーな北欧インディHM臭が皆無で、近年デビューした同系新人バンド群の中で間違いなくトップ・クラスのクオリティを誇る洗練されたサウンドに仕上がっている(*´ω` *)

バンドの中心人物の1人がドラマーという事もあってリズムアプローチが単調でなく、パワメタ系にしては手を変え品を変えと色々創意工夫をしている点や、もう1人の中心人物であるキーボーディストの活躍の場も大々的にフィーチャーされ、楽曲の表現を彩るキーボードの音色や煌びやかなシンセサウンドに所謂普通のシンフォ系やパワメタ系では聞けぬモダンな音色が持ち込まれている点もARIONのサウンドを独特なものにしている要因ではないかと個人的には思っとります。

とは言え総じてサウンドの完成度は高いものの独創性という点で言えばまだまだでSONATA ARCTICAやSTRATOVARIUS等の先輩バンド達からの影響や借り物的サウンドは隠しようもなく、他の誰でもない確固たるバンドサウンドを確立するには至っていないが、それでもアルバム二枚目にしてこのハイレベルなサウンドをクリエイトしている時点で彼等が非凡な存在である事は間違いないでしょう。

同郷の先輩バンドSTRATOVARIUS、NIGHTWISH、SONATA ARCTICAなどの荘厳でシンフォニック、そしてスピーディーなHMがお好きな方は勿論、今や中堅になりつつあるBATTLE BEAST、BEAST IN BLACK等がお好きな方にもお薦めな、新世代北欧メロハー・バンド最右翼候補な彼等の新作、是非にチェックしてみて下さい。



# by malilion | 2019-03-04 20:06 | 音楽 | Trackback

イタリア人ギタリスト Stefano Viana率いるVIANAが、華麗に生まれ変わってメロハーの良作をリリース!

c0072376_11502295.jpgVIANA 「Forever Free」'19

イタリア人ギタリスト Stefano Viana率いるVIANAが、アメリカ人シンガー&ギタリスト&プロデュース業の Bryan Cole(GIANT、STEEL CITY、ソロ)を新たに迎え制作した、2年ぶりとなる待望の2ndアルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

いやー、このバンド名を最初見た時、メロハー・バンドとは違う印象を持ったんですよねぇ…ヴィアナって名前を聞いて、ブラジルのサグラドを思い浮かべるのはプログレ好きだけですよね。ハイ、関係ない話スミマセン(汗

幾度も挫折しつつアルバム制作を決して諦めなかった苦労人 Stefano Vianaの念願であったデビュー作は、イタリアン・メロハー界の重鎮 Alessandro Del Vecchio全面協力の元、イタリアのトップ・ミュージシャン達により制作されたプロジェクト作であったが、本作では前作に引き続き参加となった美貌のベーシスト Anna Portalupi嬢(B:HARDLINE)とキーボーディスト Pasquale India、そしてギタリスト Francesco Marrasのイタリア人ミュージシャン達に加え、新たに Terry Brock(Vo:STRANGEWAYS、THE SIGN、ex:GIANT、etc...)の協力も得て制作されており、前作でも感じられたUSメロディアス・ロック色がより強調された爽快メロハー・サウンドとなっている。

逆に前作で感じられたウェットな叙情感や欧州的メロハー・テイストは弱まっており、これはどう考えてもSURVIVORの二代目フロントマン Jimi Jamisonっぽい雰囲気も漂わす歌唱に Mark Free(ex:KING COBRA、ex:SIGNAL、UNRULEY CHILD)のようなクリアなハイトーンがMIXされた歌唱スタイルな Bryan Coleのヴォーカルを念頭に置いて制作されたが故のサウンド変化で、粋の良いUS風のキャッチーなメロディアス・ロックと欧州風なウェット感あるメロディアスHRの良いトコ取りを目指した風な方向性は悪くなかったもののデビュー作の完成度を著しくスポイルしアルバムをB級メロハーに貶めていた濁り声シンガー Alessandro Del Vecchioが今回はヴォーカルを担当していない点(ミックスとマスタリングは今回も担当)も大きいからだろう。

まぁ、デビュー作はその Alessandro Del Vecchioの人脈フル活用で創り上げたようなものなので、何度もアルバム制作をしてリリースに至らなかった Stefano Vianaにしてみれば彼無しには完成まで漕ぎ着けなかったとの思いは強かっただろうし、プロデュースのみならず楽曲制作にも関わって無名のイタリア人ギタリストのデビュー作をあそこまでのレベルへ持って行った功績もあって Alessandro Del Vecchioのイマサンな歌声(ワイルドなHR系ならマッチしそうなんだけど…)をフィーチャーするのも致し方なかったかも知れないけど…

また、今作は前作と違って Stefano Vianaと Bryan Coleがアルバムを共同プロデュースしている点と、ベテラン・ヴォーカリストである Terry Brockをバッキングヴォーカルに迎え、その熟練した技術と経験(ヴォーカルパートのプロデュースは Terry Brock!)が活かされた為か、Bryan Coleの元々持っていたポテンシャル以上にボーカルアレンジメントやコーラスワークはデビュー作とは比べものにならぬパワフルさとキレ、そして美しく爽快なハーモニーの質が急激に上がっている大きな要因なのは間違いなく、2ndを恐ろしい程のハイレベルなメロハー作へ引き上げる事に成功している。

さらに、イタリアのインディレーベルからイギリスのEscape Musicからのリリースへ移籍と、着実な飛躍を遂げている点も見逃せないだろう。

前作は欧州風メロディアスHRをベースにUSメロディアスHR、さらにAOR要素等を巧みに取り込んだ興味深いサウンドであったものの、やはり Alessandro Del Vecchioのヴォーカル能力がその手のキャッチーでフック満載な売れ線メロハ-を歌うには十分でなかった為か Stefano Vianaのテクニカルで流暢なギターが所々で耳を惹くもののアルバムを繰り返し聞かせるレベルに達していなかった訳だが、クリアーで爽快感ある Bryan Coleのシャープな歌声を得た事によって、STARSHIP、WINGER、GIANT、BAD ENGLISH、SURVIVOR等に通じる80年代風の産業ロック&クラシックUSメロディアスHRサウンドな、如何にもアメリカンでカラッとした空気を感じさせるシンプルでストレートな美旋律が印象的な楽曲は、質、サウンド共に数段向上しており、誰が聴いても前作を遥かに超えるメロディアス作だと Stefano Vianaが自信満々に強く主張しているかのような快作で、メロハー愛好家は是非ともチェックせねばならぬ一枚と言えるでしょう。

ここまで手放しで褒めておいてなんですが、楽曲の方向性が産業ロック系に寄ったバランス重視型になった事もあって Stefano Vianaはクレバーにソツなくその方向性にマッチした実にツボを押さえた楽曲に映えるギタープレイをしているのですが、デビュー作で時折垣間見えた派手な弾きまくりというようなパートはすっかり姿を消してしまったのがちょっと残念ではあります。

ま、この方向性に進んだ方が間違いなく認知度は上がるし、活動範囲も拡がるだろうから大人な判断で賢明だと思いますけどね。

因みにスペシャルゲストで John Roth(G:WINGER、STARSHIP)が招かれ、鮮やかなソロプレイを数曲で披露している他、GIANTに関わりある Bryan Coleと Terry Brockがデュエットも披露しているのでメロハー愛好家は本作を見逃せませんね(*´ω` *)

歌詞からアレンジメントに至るまで、楽曲は美しいメロディーとブライトなハーモニーに徹頭徹尾満たされ、それでいてしっかりロック的なリズムとグルーヴのパワーも感じられる、それらが絶妙に調和したキャッチーでクラシックなAOR&USメロディアスHRの教科書的な本作は、隠し味的に若干ユーロテイストとウェットな叙情がメロディに仄かに感じられ個人的に大好物なサウンドなので、是非ともこの方向性のままメンツを変えず精力的な活動を続けて欲しいものであります。



# by malilion | 2019-02-28 11:34 | 音楽 | Trackback