北欧のSKID ROWなDAYNAZTYが、一気にモダン・デジタリー・ポップサウンドへ急接近な新譜をリリース!

c0072376_18090751.jpgDAYNAZTY 「Firesign」'18

北欧スウェーデン産ツインギターの5人組ツインギターHMバンドが約2年半ぶりに6thをリリースしたので、おっかなビックリしつつ即GET!

北欧のSKID ROWとでも言うような、LAメタル的華やかなアメリカンHMと北欧HM要素をMIXしたキャッチーでメロディアスなサウンドが身上の音楽性でデビューした彼等だったが、前々作で昨今の新人バンドが陥り易いモダン・ダークネス病とでも言うような鈍色USサウンドへ急接近し、持ち前の華やかだったサウンドをスポイルさせガッカリさせ、前作でいくぶん初期風なメロディアスさが戻って安心させてくれ、続く本作でどういった変化が見えるのかと興味津々だった訳ですが、今度はヘヴィな方向と真逆な方向へ進んだ模様でこれには少々驚かれました。

より北欧HM的な爽快感あるサウンド要素が強まり、さらに一時期ザクザクした疾走するソリッドでメタリックなギターリフがモダンヘヴィネスを強力に主張するサウンドへ傾倒していたにも関わらず、本作では一気にベーシスト Jonathan Olssonが奏でるキーボードサウンドの比重がググッと増え、華やかさが増すのと同時にサウンドが全体的に軽やかになって、メロハー的サウンドと言うよりもさらにポピュラリティが高い普遍的ロックサウンドへ接近するとは完全に予想外。

この方向性の急激な変化は、恐らくフロントマンの Nils Molinが17年に同郷のメロディック・デスメタル・バンド、男女3人のスクリーム・ヴォーカリスト、クリーン・ヴォーカリストを擁するモダンなエレクトロコア・スタイルが特徴的なAMARANTHEへ電撃加入した事が大きく影響しただろう事は想像に難くありません。

DAYNAZTYでは刺身のツマ状態だったキーボードのみならず、他にもSEや電子楽器やコンピューター処理したサウンドを積極的にバンドサウンドに取り込んでいるAMARANTHEでの活動を経験し、そしてDAYNAZTYより知名度がありHMファンから支持されているのを間近で見て、それらの要素をDAYNAZTYへ Nils Molinが逆に持ち込み、DAYNAZTYをよりメジャーな存在へ近づけんと画策したのは間違いないだろうし、それに加えて14年リリースの4thアルバム『Renatus』より加入した Jonathan Olssonがバンドに馴染んで作曲への貢献度が上がったか、発言力が増したかでキーボードサウンド増加へ繋がった(クレジットを見る限り、Jonathan Olsson主導の作曲ではないけど…)一因、という事もあるのかも?

ともかく昔から北欧HMはキラキラしたキーボードをフィーチャーしたサウンドが大の得意なバンドが多かったわけだし、DAYNAZTYの面々も恐らくそうした身近なサウンドを耳にして育ちミュージシャンになった訳だろうから、本作のようにキーボードがフィーチャーされた北欧HM的テイストが多々感じられるサウンドへ接近してもなんら不思議もなく、元々華やかなLAメタル的なサウンドをバンドサウンドの基軸にしていた彼等のサウンドにマッチするのも当然と言えば当然なのだろう。

さらにAMARANTHEでの活動の影響なのか、今まであまり聴かれなかったミステリアスでファンタジックな感触の歌メロや楽曲メロディ、ゴス系なダークで分厚いコーラスを多用するなど新要素の数々が本作で垣間見え、思いの外に Nils Molinは色々なモノをDAYNAZTYへ持ち込んできたのだなぁ、という印象が楽曲の端々で感じられました。

本作に至っては、初期のSKID ROW的なアメリカンHM的感触は薄れ、元々ユーロ圏のバンドなので当然だが、よりウェットでメロディアスなサウンドへバンドサウンドが傾倒しているのがハッキリ分かる楽曲で本作は構成されていて、そうなると必然的に派手でトリッキーなリフやテクを見せつけていた Love Magnussonと Mikael Laverの奏でるアメリカン寄りなソリッドなギタープレイも、より北欧HM的でメロディアスなフィーリングに特化し、さらにデジタリーでモダンなキーボード・サウンドにもマッチした、流暢な早弾きや憂いを湛えた泣きのフレージングなんぞも顔をだす美旋律プレイとサウンドへ変化し、北欧HM大好物な自分的には嬉しい変化ではありますが、初期のカラっとしたサウンドとザクザクギターを刻んで弾けんばかりに突っ走る80年代風アメリカンHMテイストを好んでいたファンにはちょっとガッカリな方向への進化と言えるかもしれない。

現代的モダンサウンドの感触が強まっている本作のサウンドは、所謂マイナー臭が強く繊細で美旋律の質は高いけれどパワーとモダン性が著しく劣る日本で根強い人気を誇る80年代風北欧HM的な感触は薄く、先に述べたようによりポピュラリティの高い普遍的なロックサウンドに近づいていて、特にデジタリーなキーボードサウンドが好みでないメタルヘッドな諸兄には、キーボード主導による売れ線的なアプローチの所々が気に触るだろう事は簡単に予想でき、より幅広いリスナーをファンに獲得出来る代わりにダイハードなメタルファンからの支持を失う危険性の高いリスクある勝負作で挑んできた、短期間でかなりサウンドの幅を拡げ貪欲に多種多用な音楽性を恐れることなく取り込んで自らの血肉にし続ける北欧期待の新鋭である彼等が、次作で一体どういう方向へ発展するのか今から目が離せません。

なんだかんだで同時期にデビューした同じ新人バンド達とは一味違う、バッドボーイズ系でも80年代アメリカンHMリバイバラーでもない独自の道を模索し、唯一無二のサウンドを確立しつつあるような彼等の、この先の活動に期待大なのであります(*´ω` *)

しかし、最近は複数のバンドをフロントマンが掛け持ちするのが当たり前になったりしてて驚かされますねぇ…ヴォーカリストって言ったら、バンドの顔とも言える存在なのに、どちらもインディ・レーベル所属ながらメジャー・シーンで精力的に活動するバンドを掛け持ちとは…時代が変わったんですねぇ…(シミジミ

と言うか、同時期にAMARANTHEも新譜をリリースとか、DAYNAZTYの活動との兼ね合いはどうするつもりなんだろうか?(汗

体力的にもかなりタフな状況(AMARANTHEのヴォーカルは分担だから負担は軽い、と踏んだのかも?)になるでしょうし、Nils Molin脱退なんていう最悪の事態が起こらなければいいんですけど…




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# by malilion | 2018-11-12 18:02 | 音楽 | Trackback

往年の名曲に迫る良曲満載な新譜を英国HR老舗バンドURIAH HEEPが新譜リリース!

c0072376_12492218.jpgURIAH HEEP 「Living The Dream」'18

LED ZEPPELIN、BLACK SABBATH、DEEP PURPLEと並び称される70年代英国クラシックロックのアイコンが、14年の『Outsider』以来4年ぶり通算25作目となる新譜をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

もはや説明不要なブリティッシュHRのパイオニア、リーダーにして唯一のオリジナルメンバー Mick Box(G:なんと71歳!)率いるURIAH HEEPは、来年19年には結成50周年を迎える、正にブリティッシュHRの生き字引と言っても過言ではない存在だ。

70年代に全盛期だった同期のバンド達が解散を迎えたり、活動を停滞させたり、当初の路線とは別方向へ進んで別バンド化してしまったりしている中、80年代初期に短期間だけ彼等も活動休止状態であったが、それ以降は絶えず世界中を巡って幅広い年齢層のファンの前で変わらぬ癖の強い独特なヘヴィサウンドを披露し続けている、未だ現役バリバリのHRバンドなのが実に素晴らしい('(゚∀゚∩

計らずも前作でリズム隊が若返る事になり、以前にも増してパワフルでソリッド、そしてフレッシュにリビルドされたHRサウンドを披露した訳だが、本作では THE WINERY DOGS、STONE SOUR、ANTHRAX、STEEL PANTHER、Paul Gilbert、そしてEUROPE等の話題のバンドを近年手がけている著名なカナダ人エンジニア Jay Rustonをミックス&プロデューサーに迎え、アルバムリリースに先駆け公開されたリーダートラック"Grazed By Heaven"は、前作から新加入したベーシスト Dave Rimmerと TALISMANやW.E.T.、そして Yngwie J,Malmsteen等の仕事でメロハー・ファンにお馴染みな Jeff Scott Sotoとのコラボレーションによる新曲(Dave Rimmerの曲、これ1曲なのが悲しい…)で、それらの情報だけでもアルバムの音を耳にする前からいつになく"攻め"な印象で期待させてくれたが、本作の素晴らしいサウンドを耳にした方ならばその期待は決して裏切られなかったと分かってもらえるだろう。

過去50年間、バンドは幾度となくメンバーを変えて新しい血を導入し、さまざまな流行の波と時代の変化を乗り越え、決して順風満帆と言えぬ活動歴の中で幾度となくサウンドのカラーや方向性を微修正しつつ強かに生き残って来た彼等の楽曲に、ワウ・ペダルを使った Mick Boxのメロディアスで粘っこい独特なギターと重厚なサウンドを刻みまくる Ken Hensleyのワイルドなハモンド・オルガン、そこへ絡む裏声の分厚いバッキング・コーラスという、70年代に確立した唯一無二のHEEPサウンドは未だにバッチリとトレードマークとして息づき、一聴しただけでURIAH HEEPと分かる典型的な特性として、昨今デビューした新人バンドのモダンでスピィーディーでテクニカルなHRサウンドを寄せ付けぬ孤高を保っているのが実に頼もしいのです(*´ω` *)

ブリティッシュHR黎明期に生み出された70年代クラシック・トラックが素晴らしければ素晴らしい程に懐メロ・バンドに成り下がるリスクが高まるのがベテランバンドの避けられぬ性ですが、往年の名曲と比べても遜色ないスリリングでキャッチーな新曲と、LIVEに継ぐLIVEで鍛え磨き上げられたタイトでソリッドな演奏能力と“今”を感じさせるベテラン英国バンドらしい気品あるモダン・サウンド、さらにリズム隊が若返って手に入れたパワフルさを十二分に活かした疾走感が前作以上に全曲に渡って漲っており、いつの間にやら歴代最長となり名実共にHEEPの"顔"と成った現ヴォーカリスト Bernie Shawの衰える事ない伸びやか且つパワフルな歌声もフレッシュ感あふれるサウンドの中で一層に輝きを増して実に素晴らしく、そんな懐メロ・バンド定説がHEEPに通用せぬのは前作を上回る傑作HRアルバムな本作を聴いた誰もが納得するに違い無い。

全編に渡って往年の名曲の雰囲気を持ったヴィンテージ感がありつつモダンなヘヴィ・サウンドとトレードマークの重厚なコーラスがフィーチャーされ、今まで以上に"HEEPらしいHEEPサウンド"なのに新しい感触を伴った極上の品質に仕上げれているのは、Mick Box曰く『HEEPに新鮮なアプローチをもたらした』と絶賛される Jay Rustonのプロデュース能力と手腕なのは間違いないだろう。

また、新人メンバーを迎えた事で『HEEPサウンドというものはこういう特徴だ』という客観的な視点を得て、そのインプットを受け入れた楽曲創作を経た事で、旧来のメンバーの意識から薄れがちな感覚をより強くHEEPサウンドへと向けさせた結果の、本作における往年の70年代を強く意識した、初期のプログレッシヴ・ロックのテイストも貪欲に取り入れていた頃の幻想的で、そしてフォーク・アコースティックな雰囲気もあるエレガントさも漂う、強烈で濃厚なブリティッシュ・ヘヴィサウンドではないだろうか?

HEEPファンなら当然迷わず即買い、70年代HRファンも勿論見逃せぬ一作であり、メロディアス・ロック好きな方も必ずチェックせねば後悔する注目作でありますので騙されたと思って宜しく御購入下さい。

なお、本作はCD(日本先行発売は紙ジャケ・ヴァージョンでボーナストラックは2曲追加)以外の発売形態で、CD+DVD・ヴァージョン、Deluxe Edition(ボーナストラック1曲追加のCD、DVD、LP)、Limited Box Set Edition(Deluxe Edition+オリジナルTシャツ)、スタンダード・ブラックワックス(アナログLP)盤、米国独占販売のブルー・ワックス盤、Frontiers EU Shop販売版のクリスタル・ワックス盤など数種リリースされる予定となっており、各種のフォーマットのみの音源が挿入されているのかは現時点で不明であり、正にコレクターズ泣かせな一品であります(つд`)


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# by malilion | 2018-11-10 12:41 | 音楽 | Trackback

USポップメタルDANGER DANGERの Ted Poleyと北欧ハイブリッドHRバンドDEGREEDがドッキングして新バンドMODERN ART作をリリース!

c0072376_18085364.jpgMODERN ART featuring TED POLEY 「Same」'18

DANGER DANGERへ04年に出戻ったフロントマンの Ted Poleyが、北欧スウェーデン新世代ハイブリッドHRバンドDEGREEDと組んだ新プロジェクト・バンドによるデビュー作がリリースされたので即GET!

そもそもが Ted Poleyがソロアルバムを制作しようとした所が本作の出発点(アルバムジャケが全てを物語ってる)なので、本来ならDEGREEDのメンツはソロアルバム制作時のバックバンドという地味な裏方的扱いであるべきなのだが、DEGREEDの創作貢献に対する敬意とそのミュージシャンシップや演奏スキルに惚れ込んだ Ted Poleyが本作をバンド作として捉え、改めて対外的にアナウンスした結果の新バンドとしてのタイトルと言う事だ。

DANGER DANGER脱退の後、ソロ・キャリアやTRIXTERのギタリスト Steve BrownとのプロジェクトバンドTOKYO MOTOR FISTなどで精力的な活動を行っていた訳だが、そんな中でテクニカルでモダンなプレイが身上の新世代北欧HRバンドの有望株DEGREEDのハイセンスなプレイを気に入り、挙げ句にバンドにまでしてしまったのは、Ted PoleyがDANGER DANGER加入前はUSプログレHMバンドPROPHETでドラマー(有名な話だけど、今の若いリスナーは知らないかも…)だったのも大いに関係しているのだろう。

大抵、ヴォーカリストって奴はインストパートを延々と演奏するプログレ系のバンドサウンドや、そういった本来バンドの顔であり主役であるヴォーカリストの立場を蔑ろにしかねない音楽形態を当然と言えば当然ですけど好まぬ傾向にありますからね。

逆にプログレ系は、定番の変拍子だったりでドラマーのテクニカルなプレイが重要視されますし腕前の見せ所なので、そういった Ted Poleyのミュージシャンとしてのバックグラウンドも大いに関係して、優秀なバックミュージシャン達(そして、恐らく無名で制作コスト的にも割安な)の手によるソロ制作という Ted Poleyの望む環境と、17年に待望の4thをリリースし、プレイヤースキル的にもアルバムの出来的にも問題なく、あと1つ足りないのはメジャーな知名度だけ、というDEGREED側の要求を満たすWINーWINな関係が築かれたのだろう。

で、内容の方ですが、Ted Poleyのソロ作が出発点なので当然ですが、ヴォーカルがメインでクローズアップされたサウンド形態で、DEGREEDの派手なインタープレイやテクニカルなプレイは控え目で目立たない、彼等の持つモダンなセンスやそつないプレイスキル、またコンポーズ能力の方がクロースアップされた造りになっているアルバムと言えましょう。

キャッチーでフック満載な溌剌ポップサウンドが売りのDANGER DANGERフロントマン Ted Poleyのソロ作に求められる“売れ線要素”は当然満たしつつ、DANGER DANGERでは聞けぬモダンでAORにも通じるコンパクトに纏め上げられたハイソで洒落た楽曲の数々は基本的にアメリカンポップス路線なのですが、そこへDEGREEDからのインプットであろう北欧的なウェットなメロディや、楽曲の根底に流れる優美さ、終始艶やかで繊細さを感じるモダン・サウンドなど聞き所は満載で、もしアメリカ人ミュージシャンの有名所を集めて制作されていたならば、恐らくさらにキャッチーでもっと明るくカラっとした爽快感ばかり耳につくドライサウンドになっていただろうアルバムにユーロ圏独特のシットリした質感と北欧HR特有の清涼感を与え、Ted Poleyの関わった作品カタログの中でも大きく趣の異なる、その他のソロ作とも差別化されたサウンドのアルバムを残した点は大いに注目されるべきポイントと言えるのではないでしょうか?

DANGER DANGERのフロントマン Ted Poley、という点に惹かれて本作を購入したファンにとっては、イマイチUSメタル的な溌剌さやドポップな感触が足りない大人びたサウンドと捉えられ不満に思われてしまうかもしれませんが、さすがに彼もデビュー当時のバブリーなご時世の若者って訳でも歳でももうありませんので、こういった落ち着いてリラックスした音楽を演る歳に相応しいミュージシャンに成ったんだと納得して戴く他ありませんね…

私のような Ted Poleyのソロ作というだけなら決して本作は購入検討にならなかっただろうDEGREEDファンにとっては、DEGREEDの新たな魅力やスキルを確認出来る、彼等のこれまでリリースしてきたオリジナルアルバムとは一味違った大人向けなサウンドの、高品質なハードポップ&AOR作と捉え楽しめる一作と言えましょう。

幾分、整合感やAOR的な完成度に重きを置いたからなのか Ted PoleyがDANGER DANGER等やこれまでとは違った魅力を見せようと意識したからなのか、楽曲のセンスの良さやエレガンドな上品さ、そしてコンパクトさとは裏腹に、分かりやすいキャッチーさやUSAロック的なフックに欠けるきらいのあるサウンドに思え、DANGER DANGERのようなサウンドを求める向きには少々厳しいサウンドといった印象なのが本作への偽らざる感想ですね。

Ted Poleyには本体バンドのDANGER DANGERや Steve BrownとのTOKYO MOTOR FIST、そして自身のソロ活動もあるわけで、実際本作の完成までに3年を費やしたと言う事だし、続くMODERN ARTの新作が果たしてリリースされるのか甚だ疑問ではありますが、もし次作があるならばもっとDEGREEDに楽曲制作のイニシアチブを譲った純然たるバンド作としてのサウンドを聴かせて欲しいものであります。



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# by malilion | 2018-11-08 18:03 | 音楽 | Trackback

活動半世紀! 遂に訪れた看板ヴォーカリスト交代後、初となるアルバムをNAZARETHがリリース!

c0072376_19363703.jpgNAZARETH 「Tatooed On My Brain」'18

前作『Rock‘N'Roll Telephone』から4年ぶりの新作であり、NAZARETHを唯一無二の存在たらしめているバンドの顔であり声であるオリジナル・シンガーで看板ヴォーカリストだった Dan McCaffertyから新ヴォーカリストへチェンジして初のアルバムをGETしたのでご紹介。

1968年結成から今年で活動50年(!)という長い長いキャリアを誇る70年代英国HRバンドの生き残りである彼等、既にオリジナルメンツはベーシスト Pete Agnewのみで、現在はドラマーも息子 Lee Agnewが務めており数年前からバンドは実質Agnew一家が仕切っていた状況だったが、遂に前作をもって看板ヴォーカリスト Dan McCaffertyが健康上の問題の為に正式に13年に脱退となり、新フロントマンに Linton Osbomeを迎え活動を継続させていた彼らだが、15年からフロントマンがチェンジするという早々に暗雲が立ち込めるような出来事があったものの、現在は Carl Sentanceが三代目ヴォーカリストとして迎えられ、その新体制4人組によって本作は制作されている。

音楽性は基本的にデビュー当時からAC/DC張りに殆ど変わりなく、ブギー中心のロックンロール・サウンドが身上の彼等だから、半世紀を超えた活動故に今さらさしたる変化(途中、産業ロックやAORへ色気見せたり、華やかでバブリーな80年代HMへ色気も見せたけど…)もないだろうと予想はしつつも、どうしたってフロントマンの交代というこれまでで最大のサウンド変革が訪れるであろう本作には、ファンならずとも興味がある音楽ファンは多いのではないだろうか?

かく言う私も、果たしてあのイブシ銀なNAZARETHのサウンドがどう変化したのか、はたまた変化しなかったのか、を楽しむ為に、先行公開されていた音源を一切耳にせず本作を購入した次第であります。

Dan McCafferty在籍時は、彼の決して耳障り良いとは言い難い独特なシャガレ声と音域の問題もあって、そうそう幅広い音楽性へバンドサウンドが変化する事が出来無かった故の不変のサウンドでもあっただけに、その看板と表裏一体で足枷ともなっていた“声”が変わる訳だから、もしかしたら今までしたくても出来無かった冒険を挑んでくるかも、とか想像してワクワクしてたんですよね(w

一聴して感じたのは、ああ、やっぱり音域が広いヴォーカルをチョイスしたんだな、と言う事。

当然、今まで楽曲の展開や幅が狭められていた弱点を、新フロントマンを得るチャンスで補おうと、 AC/DCも同様のフロントマン交代があったけれど、それとは正反対な Dan McCafferty系等のシャガレ声ではなく比較的ハイトーンを聴かせるヴォーカリストを選択した訳ね、と。

まぁ、Dan McCafferty系のヴォーカルを選んだらどうしたって比べられるし、それでなくてもどうせ比べられるんだから、だったらハナから別系等の歌声を持つフロントマンにしよう、という考えは理解出来ますし、建設的で前向きですよね。

で、内容の方ですが、定番のブリティッシュ・ブルーズHRをはじめ、シャッフル調ブギーだったり、活きのいいロックンロールだったり、枯れた味わいのあるブルーズ調バラードだったりと、おおよその予想通りなシンプルで渋いストレートなロックサウンドという方向性なものの、甲高いハイトーンを聴かせるヴォーカリストへの変化と、比較的甘めな声質の特徴を活かしてか、近年希に見る程にポップフィーリングが強く、総じてアルバム全体が明るく朗らかで若々しいイメージで染め上げられており、前作までのイブシ銀な枯れた味わいと、お爺ちゃんバンドならではの哀愁と翳りみたいなものが滲み出ていた渋い渋いサウンドがお好みであったファンは少々面食らうかもしれません。

まぁ、バンドメンツの平均年齢もググンと下がって、殆ど別バンド状態になった訳だし、さすがに70年代UKロッカーの生き残り Dan McCaffertyと同じ渋さを要求されても叶えられるはずもない、って事で、一気にサウンドを若返らせたんでしょうけどね。

それにポップな変化についても、一度80年代にバンドメンツを大幅に増やしてキーボードやコーラス等を補強し、産業ロックへ大幅に傾いたドポップでシャレオツなアルバムをリリースして初期音楽性を捨て去る暴挙に出た事もある彼等なので、古参ファンほどダメージはそれ程ないかも…(汗

とは言え、ユニットが若返った見返りにバンド最大の武器を失い、他バンドとの差別化はアルバムの音だけからはしにくくなったのは確かで、こうなると現状NAZARETHなんだけどNAZARETHじゃない、というような微妙な気分にファンはならざるおえない訳で、こればっかりは時間しか解決してくれぬとは言え、やはり新フロントマンを迎えた今の編成で一刻も早くヒット曲なり新たなバンドの顔となる代表曲が出てこないと、懐メロを歌う良く似たカヴァーバンド状態なのを払拭出来無いだろうと思いますね、個人的には。やっぱり。

心機一転作であり、重要な勝負作である事はバンドも重々承知しているだろうに、無駄な気負いが一切感じられぬこれまで通りなリラックスしきった飄々とした作風が如何にもベテランの貫禄を感じさせ、彼等らしいと言えば彼等らしいのがファンには嬉しいんですけどね(w

今しばらくは Dan McCaffertyのガサついてベシャっとツブれたあの独特の声がチラつくでしょうが、総じてポテンシャルも高くしっかりキャッチーに纏めつつコンパクトな仕上がりの、これまでのオリジナリティであるイブシ銀なNAZARETH流ブルーズHRサウンドもしっかり感じさせるこの新機軸サウンドで、どこまでも邁進して欲しいですね。



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# by malilion | 2018-11-07 19:30 | 音楽 | Trackback

80年代風USAプログハード・サウンドが絶品だったEVERSHIPが、メンツも新たに新譜をリリース!!

c0072376_15274731.jpgEVERSHIP 「Evership II」'18

ヴァイオリン入りUSA産デュオ・プロジェクトバンドが5人組ツインギター体制になって、2年ぶりに2ndをリリースしたのを即GET!

デビュー作はヴァイオリンが導入された如何にも80年代風USAプログハードなサウンドが絶品だったデュオ・プロジェクトだったが、本作では作曲家、マルチミュージシャンでありプロデューサー&エンジニアでもある Shane Atkinsonの操るシンセ、オルガン、メロトロン系等のヴィンテージ感ある多彩なキーボードサウンドを前作同様に主軸にしつつ、ツインギターでサウンドにハードエッジを生み、時にアコギ、スライド、クラッシックギターと、繊細で艶やか、土埃舞う乾いた感触といった演出を様々に加え、TRIUMPHの Rik Emmettっぽい透明感ある歌声で抜群の歌唱力なヴォーカリスト Beau Westがキャッチーな歌メロを歌い上げる、という隙無いバンドサウンドへ進化している。

前作にも参加していたギタリストの James Atkinson(Shane Atkinsonの弟)を除き他のメンバーを一新し、新たに John Roseなるギタリストをもう一人追加した新体制になって初のアルバムだが、前作同様にドラマーはおらずリーダーの Shane Atkinsonがドラムスを担当(セッションドラマーも制作には参加)しての制作となっており、恐らくLIVE時のみ助っ人ドラマーを呼んで活動を行うスタンスなのだろう。

また、ツインギター体制になった為か、前作で美しく艶やかな音色を聴かせアルバムの魅力を増す貢献をしていたヴァイオリン奏者 Nicelle Priebeの名がアルバムに無いのが個人的に非常に残念ではあるが、本作では各曲のバックにナッシュビル交響楽団の団員らによるオーケストラ・ストリングスパートが前作以上にタップリとフィーチャーされ、重厚で艶やか、幻想的で壮大、そして哀愁漂うスペイシーでメロディアスなシンフォニック・サウンドの様々な場面をドラマチックにこれでもか、と前作以上に盛り上げているので、デビュー作の艶やかなサウンドが気に入っていた方の期待を決して裏切る事ない渾身の力作なので安心して欲しい。

前作同様に、YES、GENESIS、QUEEN、KANSAS、Jimmy Hotzの影響を前面に押し出した、USA産バンドのサウンドと思えぬリリカルさとウェット感あるメロディに加え、壮大なスケールを演出する80年代初期USAプログレ風スペイシーな感触(堪らん!)と、ツインギターによるHRらしいハードエッジな感触、さらにUSA産バンドらしい爽快感とパワフルさが徹頭徹尾アルバムを貫いている点も見事の一言。

長らく音楽業界の裏方として仕事をこなし、遂に意を決して活動を始めた、本人曰く“心からプレイしたい音楽”と言うだけあって、KANSAS張りな繊細なメロディの絡みと美旋律、そして圧巻の展開を見せる凝ったアレンジの施されたドラマチックで叙情感ある楽曲の完成度に Shane Atkinsonの並々ならぬ情熱と、夢を追いかける男の純粋さと一途なロマンチックさを感じますねぇ~(*´ω` *)

勿論、狙っての事なのだろうが、Shane Atkinsonの操るヴィンテージ感満載なキーボードの音色といい、古典的なスペイシー・フレーズといい、ファンタジックな楽曲展開といい、プログレチックなのにしっかりポップでキャッチーという、どうにもノスタルジックな心をくすぐりまくる80年代USAプログレ・ハード愛好家には堪らんサウンドなんですよねぇ、ホント♪

この手のキーボーディスト主導なバンドにありがちなキーボードで音の壁を構築して壮大なスケール感を演出するのではなく、しっとりとしたアコースティックな感触や繊細にギターを爪弾く音色、そして各パートの紡ぐ音と音の隙間も活かされた、商業的なポップなキャッチーさと芸術的な美しさや独創性との折衷案と言える、所謂80年代中期風USAプログハードな柔和なオーケストレーション・サウンドが実に素晴らしく、時代が時代なら間違いなくメジャー級な扱いだったろうバンドサウンドなだけに、自主制作に甘んじている今の状況が不憫でならない…

意外にキーボードの鳴っていないパートも長尺で多く、楽曲によってはギターメインなパートばかり聞こえ、加えて Beau Westがキャッチーでフックある歌メロを歌い上げるパートなどはポップスそのもので、それが本作の重厚なサウンドにおける“押し引き”のメリハリを一層に強め、叙事詩に印象的な陰影を産みだす効果をもたらしているのは確実だろう。

いやー、それにしてもホントに Beau Westは本当に抜群に歌が上手いですねぇ♪

少しも物マネやリバイバルというサウンドではないのだけれど、イメージはまんま、80年代中期USAインディ・プログバンドに Rik Emmettが飛び入りしてKANSAS風プログ・ハードを奏ってる風ですわぁ~(*´ω` *)

本作は方向性の変化故か前作よりコンパクトさという点では少々劣るものの、代わりに前作では聞けなかった28分越えとなる一大組曲が収録されるなど、荘厳なシンフォニックサウンド、壮大なサウンドの奥行きという点では断然上回っている一作で、USAプログハード作はユーロモノと比べて重厚さや艶やかさが足りない、騒々しくて軽薄なポップさやバカっぽさが気に入らない、というインテリジェンスなユーロ・シンフォ好きな方にも訴求する一作だと思う。

まぁ、と言ってもどう聞いてもユーロ・シンフォのような仄暗い情念のような後ろ向きな感情は感じられぬ本作に対して、USAプログ・ハードのパワー圧しな所や、ポップさや爽快感に傾いてる、秘めやかさや仄暗い美しさの漂う芸術性の香るサウンドが聞けない、等々のユーロ・シンフォ好きな方の不満な気持ちも分かりますけどね…

話は変わって、なんでも既にアルバム4枚分の楽曲ストックがあるそうで、もうこれは次なる新作が楽しみでしょうがないですね!('(゚∀゚∩

80年代アメリカン・プログレ好きは勿論のこと、メロトロン、シンセにオルガンが唸りを上げるシンフォニックにしてHR的なパワーも十分感じさせるプログレHMにも通じるサウンドは、その筋を好む方には間違いなくドストライクな一枚なのは確実ですので、何はともあれチェックしてみて下さい!



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# by malilion | 2018-11-06 15:18 | 音楽 | Trackback

スケールアップして戻ってきたルクセンブルク大公国のシンフォバンドLIGHT DAMAGEが新譜をリリース!

c0072376_00463781.jpgLIGHT DAMAGE 「Numbers」'18

今は亡きポンプ系バンド NO NAMEでお馴染み(?)な欧州の中心地、ルクセンブルク大公国からデビューしたキーボード入り五人組シンフォ・バンドの待望の新作が4年ぶりにリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

ギタリスト Stephane Lecocqと共にバンドを創設したメンバーであるドラマー Thibaut Grappinのみを Christophe Szczyrkへチェンジしての本作だが、その変化の程はアルバムの音を耳にする前から、随分とモダンなデザインになったジャケットからある程度は伺える2ndアルバムだ。

2014年末に自主制作リリースされ、15年にドイツ・レーベル『Progressive Promotion Records』の手で再リリースされたデビュー作は、バランス重視な古典的プログレとポンプをMIXさせた優等生シンフォ・サウンドでバンドの独自性やサウンドの個性が薄い印象だったが、続く本作では女性ヴォーカリストをゲストに迎えたり、定番のフルート、チェロ、ヴァイオリン等のストリングス・ゲスト陣等を迎え叙情的なクラシカル・アンサンブルを効かせた定番のアレンジによってサウンドの質と艶やかさが増しただけでなく、メランコリックな雰囲気やユーロ圏バンド特有の陰鬱で気怠げなメロディ、そしてリリカルで優美な美旋律の度合いが一段と強まり、さらに前作ではフロントマンの Nicholas-JohnがギターとE-Bowを操ったが、本作ではテルミンを操るなどデジタリーで近代的なサウンド処理にも意欲的に挑んでモダンなサウンドを進化させ、精巧なアレンジを施し楽曲の表情の幅も拡げた、待たせた甲斐のある新人バンドらしい意欲作と言えよう。

特に Sebastien Perignonの操る可憐で繊細なピアノの軽やかな音色と、MARILLIONの Steve Rothery張りな哀愁と泣きの音色を聴かせる Stephane Lecocqのギターが楽曲のそこかしこで切なく咽び泣き、息をのむような哀愁で楽曲を染め上げていく様は以前には聴かれなかった表現で、実にユーロシンフォ・バンドらしいメロディアスさと、程良いスケール感もあって大仰過ぎてB級イタ公シンフォのように安っぽくならぬ、このバンドならではのバランス感でコンパクトに纏め上げられていて胃もたれせずに最後まで聞き終える事が出来るので、長尺曲が多く複雑な楽曲展開でリスナーをウンザリさせてしまう事が多々あるプログレ系が苦手な方にこそお薦め出来る、プログレ導入にもってこいなバンドではないだろうか?

癖のない歌声で Nicholas-Johnがシアトリカルな歌唱で物語を紡ぎ出すが、そのサウンドは北欧バンド群のサウンド程にミステリアスでもなく仄暗くもない、イタリアン程に騒々しく大袈裟で暑苦しくもない、丁度程良い塩梅なサウンドなのも新世代バンドならではのスタイリッシュなモダン・ユーロ・シンフォサウドと言える。

間違いなくデビュー作よりサウンドのスケールと楽曲表現の幅を拡げた着実な進歩の見える本作だが、Nicholas-Johnの音域の狭い歌唱と癖の少ない歌声も相まって、強烈な個性やサウンドの進化具合、そして他ユーロ・シンフォバンド群との差別化に成功しているとは現時点で言えないものの、この調子でオーソドックスで透明感ある欧州風シンフォサウンドにさらに磨きをかけ、次なる新作では一層のレベルアップを計ってその名とサウドをシーンに轟かせて欲しい、期待出来る新人バンドの一つだ。



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# by malilion | 2018-11-06 00:41 | 音楽 | Trackback

UK産ZEP系バンド? いいえ、イタリア産70年代指向ブルースHRバンドなSILVER HORSESデス

c0072376_16445066.jpgSILVER HORSES 「Same (Digital Remaster Version)」'16

後期BLACK SABBATHの6代目元ヴォーカリスト Tony Martinが参加した4人組イタリアン・ブルーズHRバンドのデビュー作がリマスター&ボートラ2曲+ビデオクリップ1曲追加で16年にリイシューされていたのに今頃気づき、慌てて購入したのでここでご紹介(汗

元々12年にリリースされていたデビュー作ですが、17年に2ndがリリースされるのに先駆けて再発されていたんですね…チェック不足でした…orz

BLACK SABBATH脱退以降、ソロ作だったり色々なプロジェクトにゲストに招かれたり、他アーティストのソロ作やトリビュート作等々に参加しつつも、基本的にマイペースでゆっくりした活動を続ける寡作な Tony Martinですが、本作は久しぶりにちゃんとしたバンドメンバーとして最初から参加した新バンドでした。

Tony Martin以外は、Gianluca Galli(G:イタリアンHMバンドMANTRAの元ギタリスト。TIME MACHINEの最終作『Reviviscence Liber Secundus』'04で新加入したギタリストの片割れ)、Andrea Castelli(B:イタリアのグラム系HRバンドSHABBY TRICKの元ベーシスト)、Matteo "Bona" Bonini(Ds:イタリアン・モダンHMバンドMGRBの元ドラマー)という何れも他バンドでアルバムをリリースしたキャリアを持つイタリア人ミュージシャン達でバックが固められているので、日本では知名度が殆ど無いバンドばかりながら厳密には全くの新人バンドと言う訳ではありません。

インディ・レーベルからのデビューながら、そのサウンドを聞けば駆け出しのアマチュアミュージシャンが出せるはずもない音なのは一目瞭然で、WHITESNAKEやLED ZEPPELIN、そしてDEEP PURPLE等の一連の70年代ブリティッユ・ブルーズHRバンドに影響を受けた玄人好きする典型的な枯れたサウンドを鳴らしており、虚仮威しが効かぬ実力がストレートに反映されるサウンド形態故にヴォーカリストに相応の歌唱力とバックのプレイヤーに熟練した演奏技術が求められる訳だが、派手さはないものの各プレイヤーの余裕ある演奏(ZEPやSABBATH臭っ!)が実に味わい深く、いつも以上にロートーンを中心とした Tony Martinの久しぶりの歌唱も抜群で、70年代指向のブルース・ロックなサウンド故かデビカバ風な渋く穏やかな歌声が実に艶やかで、今まで参加してきたMH作等では余り聞く事のなかった彼の歌声の新たな魅力を教えてくれる良作だ。

Ronnie James Dio的な歌声をBLACK SABBATHで求められ、脱退した後も同様の歌声を各方面から求められていた Tony Martinですので、実はこんなに渋く豊かな低音ヴォーカルも披露出来たのか、とBLACK SABBATH時代のシャウトしていた彼しか知らぬHMファンは驚かされる事請け合いな一作と言えましょう。

よく動く蠢くような太いベースラインに乗って、グルーヴィーでヘヴィなギターがカリッカリの乾いたサウンドを掻き鳴らすシンプルでストレートなZEP風ダークサウンドに噛みつくような Tony Martinの Robert Plant風な歌唱や、初期ZEP風の風変わりで奇妙なリフとメロディのブルーズサウンドに乗って、朗々とちょっとサイケっぽい鼻歌を歌いつつコーラスとか、ちょっとおどけた感じで歌う、なーんて曲は、今まで彼の参加してきたプロジェクトやゲストの仕事では聞けませんでしたから(w

ブルーズロックの記号的にハモニカやピアノ、アコギにバンジョー等の音が聞こえるものの、まんま70年代リバイバル・サウンドでなく、ちゃんと今のサウンドとしてモダンさも加味(意図的にBLACK SABBATH風なボトムのサウンドに寄せてる?)しているHRサウンドなので『古臭いロックは苦手』という最近ロックを聞き始めた若いファンの方々の耳にも十分訴求するストレートでシンプルなロックサウンドなのでご安心を。

ボーナストラックの13曲目「Me」は奇妙なオリエンタル風のリズミックな楽曲がAcoustic Versionになる事で、より一層にオリエンタル風なメロディと枯れた味わいが強まった初期ZEP風の曲で、14曲目「The Song That Never Was」はストリングスが活かされた、風変わりなZEP風の短いインスト曲で、恐らく1stのアウトテイクなのだろう。

バンドは17年に『Tick』なる2ndアルバムを5年ぶりにリリースしたが、残念な事に Tony Martinは既に脱退(あぁ、またか…)しており、新たにイタリアンHMバンドMASTERCASTLEで近年バッキングヴォーカルを聞かせた、イタリアン・パワメタ・バンドODYSSEAの元ヴォーカリスト Andrea“Ranfa”Ranfagniを後任に迎え、バンドメンツ全員がイタリア人の布陣に落ち着いた模様です。

因みにMASTERCASTLEは、元LABYRINTH、NECRODEATH、ATHLANTIS他の Pier Gonella(G)と、元SHADOWS OF STEEL、ATHLANTISの Steve Vawamas(B)等による女性ヴォーカリストをフロントに据えたイタリアン・ネオクラHMバンドなので、ご興味ある方は一度チェックしてみると宜しいかと。

また、この2ndでは2曲だけ Tony Martinがゲストで歌声を披露しており、他にも1曲SNAKES IN PARADISEのヴォーカリスト Stefan Berggrenがゲストで歌声を披露しておりますので、彼の脱退でガッカリしたファンの方も『だったらもう2ndは要らないや』と聞かずにSILVER HORSESの2ndを無視するのはお薦め出来ません。

個人的には、この2ndにSNAKES IN PARADISEの Stefan Berggrenがゲスト参加していた事が全く予想外な嬉しい驚きでした。

恐らくイタリアン・メロハー・バンド作を数多くリリースしているドイツのメロハーレーベル AVENUE OF ALLIES企画による Stefan Berggen参加のプロジェクトバンドREVOLUTION ROADの制作時にイタリア人ミュージシャンが招かれていた経緯で Stefan Berggrenとイタリア人ミュージシャンのコミュニティに繋がりが出来、その関係で元白蛇メンバー等によるバンドTHE COMPANY OF SNAKESでの活動や元URIAH HEEPのドラマー Lee KerslakeとのコラボHRバンドBERGGREN KERSLAKE BANDでの70年代ブリティッシュHRサウンドにドンピシャなイブシ銀の魅力漂う歌唱スタイルが Gianluca GalliをはじめSILVER HORSESの面々の耳にとまってゲスト参加を打診、みたいな流れなんでしょう。きっと。

もしかしたら Tony Martinの後釜に、同じように既に知名度のあるミュージシャン Stefan Berggrenを迎え“売り”にしようとしたバンド及びマネジメント側の策(実際、数曲の歌詞と歌メロが彼の手による)だったのかもしれませんけどね。

まぁ、2ndのZEPテイストが強まったサウンド(モロZEPなリフや、パーシーまんまなシャウトは如何なモノかと…)には、Robert Plant風ハイトーン・シャウトを頑張って聴かせる(地味に数種類の歌声を使い分ける器用系?) Andrea Ranfagniの方が結果的にはマッチしていると思うので、仮に Stefan Berggrenが加入していても2ndの方向性にはマッチしなかったでしょうけど…

サウンド全般のモダンさが増しているのと、オルガンが鳴る典型的70年代風の楽曲や、女性バッキングコーラスがいい味を出してる曲、お約束なオリエンタル風メロディのバナキュラー臭が香るアコースティックでミステリアスな楽曲、ゴスペル風な分厚いコーラスをバックに従えたリズミカルなブルーズ・ベースなサウンド、ムーディーで雰囲気ある古典的なブルージー・サウンド、定番のZEP風ハードブルーズ、そしてアコースティカルな楽曲等々と1st以上に幅広く様々な趣と味わい深い70年代指向サウンドを聞かせ、何より大きな変化であるフロントマンの交代がもたらした影響でか、Andrea Ranfagniの歌声は Tony Martinのようなロートンの魅力は劣るものの、逆に Tony Martinでは出せぬストレートに伸びる甲高い金属的な歌声が特徴的で、強引に例えるならばデビュー作がLED ZEPPELIN+WHITESNAKE風なら、2ndはブルーズをベースに音楽性が拡散したLED ZEPPELIN風へバンドサウンドが移行(ジャケがモロにZEP風なのはヤリ過ぎw)した、そんな風なイメージと言えば伝わりますでしょうか?

1st、2nd共にお気に入りなアルバムですが、どうにもプロモーション不足と言いましょうか、売りだった Tony Martinが既に居ないという現状や、新人バンドなんだけど派手さ皆無なサウンド、しかもイタリアお得意のプログレや臭メタルじゃなく70年代風ブルーズHRって…という状況もあってか、イマイチSILVER HORSESの存在自体がHR/HMファンに知られていないようで悲しいのが現状であります…orz

日本じゃ全く知名度皆無な彼等ですが、TIME MACHINEで披露したネオクラ早弾きプレイが嘘のように、Gianluca Galliが泣き泣きの枯れた渋いブルーズギターを切なく掻き鳴らしていて、70年代HR好きには堪らないンすよ~♪(*´ω` *)

殆どその存在と情報が日本へ伝わってこないイタリアン・ブルーズHRバンド群ですが、本作自体の出来は決して他のユーロ圏のバンドに劣る訳ではありませんので、是非ともこのまま堅実に活動を続けて欲しいものです。

それにしてもジャケデザインはオリジナルの方が雰囲気もあって格好良かったのに…なんでこんなWHITESNAKEかSNAKES IN PARADISEのBOOTかパチモンみたいな劣化激しいチープなデザインのジャケでリイシューしたんですかね…謎すぎる…

確かにオリジナルのデザインはモダン過ぎて70年代ブルーズHRっぽくないと言えばそうかもだけど、だからってコレは無いよなぁ…('A`)c0072376_16455689.jpg

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# by malilion | 2018-10-29 16:36 | 音楽 | Trackback

オランダHMバンドPICTUREの問題作の5thって、SWEETっぽくね? って実は思ってたりして

c0072376_20481443.jpgPICTURE 「Traitor +3」'85

PICTUREの『Every Story Needs Another Picture』をお薦めしたので、コレも合わせてご紹介。

既に述べたように、本作はオランダが誇る最古参の正統派HMバンドによる'85年リリースの5thアルバムな訳ですが、本作を堺に彼等のファンを止めた、というメタルヘッドな諸兄が多々居ると言われる(今から考えると、裏切り者ってタイトル、自身の変節を自覚してたって事なんですかね…)曰く尽きの一作だ。

因みにマイナーMHバンド発掘再発でその筋には有名なDivebomb Recordsによる初CD化(今までブートが出回ってましたねぇ…)で、なんとリマスター&ボーナストラック3曲追加収録での再発となっているのでオリジナル・アナログ盤をお持ちの方でも手を出しても安心な一品に仕上がっております。

『Every Story Needs Another Picture』は板起こしなのに、こっちはマスターがあったんですね…orz

初代ヴォーカリスト Ronald van Prooijenに代わって新たにフロントマンに招かれた、DIO風な野太い歌声を聞かせたイスラエル人ヴォーカリスト Shmoulik Avigalはファンに好評だったものの、マネジメントと衝突したのが原因で3rd『Diamond Dreamer』'82のみでバンドを解雇され、続く4thアルバム制作前にLIVEでのサウンドの厚みを増強する為にとセカンドギタリスト Chriz Van Jaarsveldを迎えたツインギター5人組編成となり、三代目フロントマンに Pete Lovellを新たに招き『Eternal Dark』'83 は制作される予定であったが、個人的な理由(諸説あり。追い出され説もある…)により創作面での中心人物であったギタリスト Jan Bechtumが脱退し、ツインギター体制を維持する為に新たなギタリストに Henry van Manenが加入して4thは制作される事に。

2人の新ギタリストは技術的に Jan Bechtum以上のスキルを持ち合わせていた事もあって、それまで単純明快なリフで押す無骨で男臭い垢抜けぬマイナー臭さプンプンなサウンドだったのが、よりヘヴィでテクニカル、そしてメロディアスでファストなサウンドへ大幅に音の質が変革し、結果的にPICTUREバンド史上最もウェットなメロディとスピーディさ、そしてダークでスリリングな新たなユーロHMサウンドを提示し、バンドレベルをワンランクアップさせる事に成功する。

最もHMファンに支持されるこのファストなユーロHMサウンドをさらに発展させたメタリックサウンドを披露するかと思われた彼等だが、USAを中心に盛り上がりを見せるグラム臭のするLAメタルムーブメントや、全世界を席巻するポップで華やかな産業ロックが持て囃されるバブリーな情勢を意識したのか、レーベル側からのプレッシャーがあったのか、これまで不器用ながらもひたすら真摯にハードサウンドを奏でてファンベースを拡げてきた彼等が、まさかのポップロックへ急接近し、バンドカラーを変更した軽めな産業ロック寄りのサウンドを披露したバンド史上最大の問題作であり、バンドの命運の分岐点でもあったのが本作である5thアルバムだ。

以前の荒々しくもダークでファストな彼等のサウンドを愛していた古参ファン達から総スカンを食らった本作だが、今の耳で改めて聞き直してみると、散々叩かれる程にポップでもなく、ちゃんとメタリックなエッジをサウンドに残しつつ、歌メロをよりポップで朗らかな方向性へ寄せたサウンドで、正直そこまでドポップ(てか、コレでポップって、じゃあ今までどんだけマイナーで売れ線からたハズレたサウンドだったんだ、っていう…)でも“売れ線”でもない、ぶっちゃけ『産業ロックに魂を売った!』なぁーんて罵られるのが不思議なくらいしっかりHMらしさのあるノイジーでエッジある流暢なギタープレイやタイトなボトムが響いている良作だと思えるのです…

個人的には Pete Lovellの少し荒れたストレートでパワフルな歌唱や、ポップなコーラス、ハモリを多用した流暢なギターといい、ドタバタした畳みかけるドラムといい、ちょっとSWEETっぽく聞こえたりして、本作に悪印象は全くありません。

それにしても、本作を最後に脱退した Pete Lovellが続いて加入したEMERGENCYで披露したサウンドの方がヴォーカルアプローチもバンドサウンドの完成度も断然上な産業ロック風味増し増しのキャッチーでメジャー指向なHMサウンドなのが、皮肉と言えば皮肉ではありますね。

続く一気に産業ロック&ポップHM化が加速するアルバムの完成度や華やかさに比べ、初期からのダークなHMサウンドと新たな流行のポップHMサウンドの折衷案的な中途半端さが残るサウンドで、スリリングさも今一つ、キャッチーさのキレもイマイチなのは否めないものの、やはりバンドのこれまでのファンベースに支持されていたサウンドを考えると、そんなに器用でない彼等が器用に変わり身をして時流へ乗ろうとして乗り切れなかった……簡単に言うと“タイミングが悪かった”って言葉に集約されるような気が今ならする一枚ではないでしょうか……

因みにボ-ナストラックは、Fantasies (Long Version)、Bombers (1985 Version)、Rock On Tonight、の3曲となっているので、オリジナルLPをお持ちの方でもリマスターでクッキリ鮮やかになったアルバム本編に加え、オリジナルLPには未収録の音源もありますので、以前のネガティヴな感情や記憶を今一度整理し、もう一度本作をチェックして見てもいいのでは?

この後、Rinus Vreugdenhil(B)と一緒にバンドを立ち上げ長らく活動を共にして来た Laurens Bakker(Ds)は、妻や双子の子供を抱えながらのツアースケジュールの厳しさや、レーベル側からの商業的成功に対するプレッシャーに耐えきれずバンドを脱退してしまい、オリジナルメンツは Rinus Vreugdenhil唯一人となってしまう。

Rinus Vreugdenhilのみ残ってからバンドがリリースしたアルバムには既に初期の作風は残っておらず、レーベルが指示する売れ線狙いなサウンドの要求に Rinus Vreugdenhilはウンザリしてしまい、結局7thアルバム『Marathon』を最後に残しバンドは89年に解散した。

この業界でよく耳にする、レーベルの意向でバンドの音楽性がおかしくなり、遂には活動もままならずに解散、という悲劇のバンドの典型的な流れに涙を禁じ得ませんね…(つд`)

その後のPICTUREについて少し記しておくと、実は88年に元メンバーが密かに集い、再結成を画策するのですが、この時はマネージメントの下手な仕事で再結成の話は立ち消えになり、しばしの時を経て、07年にクラシックラインナップでの再結成が再び試みられ、オリジナル・ヴォーカリストの Ronald van Prooijenが尽力するものの、マネジメントには Shmoulik Avigalか Pete Lovellでの再結成を要求さてれしまう…('A`)

翌、08年に Jan Bechtum(G)、Rinus Vreugdenhil(B)、Laurens Bakker(Ds)、Rob van Enkhuizen(G)、Pete Lovell(Vo)という以前のメンツを中心としたラインナップで再結成が成され、バンドはヨーロッパでのツアーを開始し、その時の様子が後に限定盤ライブアルバム『Live 2008』'08としてリリースされる。

09年10月1日にMarsMountainsレーベルから再結成第一弾スタジオアルバム『Old Dogs、New Tricks』がリリースされ、順調に活動が続くかに思われた矢先、09年12月に Jan Bechtumがバンドを再び脱退(!)し、後任に Peter Bourbonなる新人ギタリストが迎えられた。

こうなってくると色々と雲行きが怪しくなってきて、翌年10年初頭に Rob van Enkhuizenもバンドを脱退し、後任に Gert Nijboerなるギタリストが迎えられ、再結成バンドのツインギターがそっくり入れ替わってしまう事態に。

11年には、その Gert Nijboerがアメリカ人ギタリスト Mike Fergusonにチェンジとラインナップは一向に安定しないものの、次なるスタジオアルバムの制作に取りかかり、再結成第二弾アルバム『Warhorse』'12が無事リリースされる。

再びツアーが始められるものの Peter Bourbonが脱退し、すぐオランダ人ギタリスト Len Ruygrokが加入するものの、数ヶ月後には彼も脱退し、初期バンドメンバーであったギタリスト Andre Wullems(G)がバンドへ加入、と本当にギタリストの座が安定しない状況へ…

この状況に嫌気がさしたのか、16年3末日に Pete LovellはLOVELL'S BLADEなる新バンドを結成する為に Andre Wullemsと Mike Fergusonの二人のギタリストを引き連れてバンドを脱退。

残された Rinus Vreugdenhil(B)と Laurens Bakker(Ds)は、Ronald van Prooijen(Vo)とJan Bechtum(G)を再びバンドへ迎え入れ、加えて新人ギタリスト Appie de Gelderを加入させ、初期バンドに一人ギタリストを加えた新たなツインギター編成のバンドとして活動を今も継続させている。

因みに再結成に関わっていない二代目ドラマー Jacques“Shake”van Oevelenは、16年7月に鬼籍になってしまった…R.I.P.



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# by malilion | 2018-10-25 20:42 | 音楽 | Trackback

半年遅れで購入、PRAYING MANTISの新作『Gravity』デス

c0072376_00124433.jpgPRAYING MANTIS 「Gravity」'18

英国NWOBHMムーヴメントを代表する哀愁の叙情派ツイン・リードギターHMバンドの約3年ぶりとなる待望の新作を今頃(汗)購入したので、ご紹介。

いつでも安心安定な“マンティス節”を披露してくれる彼等の新譜、そう焦らずとも大丈夫と、後回しにしまくってたら毎度の事ながらこんな事になってしまいました(スマヌ

前作でフロントマンとドラムスが John“JayCee”Cuijpersと Hans in't Zandtのオランダ人二人へチェンジした彼等ですが、なんと久しぶりにメンバーチェンジが行われず(!)本作は前作と同じメンツでのアルバム制作となっており、一体いつ以来の快挙なのかと驚かされましたよ(汗

そして、そんな充実したメンバー間の信頼があってこそなのか、本作のサウンドはある意味でこれまでで一番の問題作とも言える変化を示した冒険作と言えましょう。

前作の紹介の時にも述べたが、IRON MAIDENのトリビュートバンドで歌っていた姿と歌声がバンド勧誘への切っ掛けになっただけあって John“JayCee”Cuijpersの如何にもHMバンドのフロントマンと言うワイルドな風貌と、その野太く朗らかな王道HMヴォーカル・スタイルに違和感が隠せなかった訳ですが、本作ではAOR要素も巧みに取り込んでさらに音楽性が進化し、ストレートな80年代風HM歌唱を活かした、よりブライトでポップ、そしてキャッチーでフック満載な本作の楽曲は、これまでのマイナー調の憂いと翳り、そして哀愁のメロディが売りだったMANTISサウンドを一気に陽気さ漂うメジャーサウンドへ塗り替えてしまった、バンド始まって以来最大の異質さとさえ言える王道HMなイメージが色濃い作品となっており、旧来からのファンにとっては前作で薄々感じていた違和感が突如として巨大な壁になって目の前に迫って来たかのように思えるのじゃないだろうか?

ただ、個人的にはこのメジャーサウンドへ接近したポップ感とAOR風味増し増しの新機軸なMANTISサウンド、嫌いじゃありません。
っていうか、大好物な甘々サウンドだー♪(*´ω` *)

再結成以降、未だ彼等の最高傑作アルバムと呼ばれ続ける3rd『A Cry For The New World』'93 で示した哀愁の美旋律サウンドと繊細でウェットなメロディアスHMの方向性にいつまでも縛られる事なく、遂にここまでバンドサウンドを変化させた勇気と、さらなる進化を恐れなかった Tino&Chris Troy兄弟の飽くなき探究心に拍手喝采を送りたい。

勿論、全く以前の音楽性が失せた訳ではなく、本作でもセンチメンタルなメロディを奏でる華麗なツイン・リードが炸裂する“マンティス節”と疾走するHRテイスト、そして美しいコーラスを特徴とする湿り気を帯びたマイナー調のブリティッシュHM的メロディアスさは健在だが、本作に置いてはメインの音楽性として表現されてはおらず、この新譜では前々作からその影響の色濃さを増しつつあったAOR風味な柔和でコンパクトな楽曲、メンバー全員がコーラスを取るキャッチーで分厚いフックある歌メロ、さらにワイルドで朗らかな John“JayCee”Cuijpersのパワフルなガナリ声とHMらしいシャウトがもたらすメジャー路線でブライトな音楽性がアルバム全体のカラーを決定づけており、以前の哀愁のMANTIS節が程良くブレンドされた徹底的にヴォーカル・ライン重視の甘口メロハー&AORサウンドがバンドサウンドの基本へと生まれ変わっていて、そこには最早マイナーで不運続きだった日陰者なイメージもNWOBHM臭も失せている。

このサウンドの変化の影の立役者なのは『Sanctuary』'09 制作時より加入しバンドに馴染んできた Andy Burgess(G、Key)の一層の音楽的貢献が大きいのは楽曲制作クレジットを見れば明らかで、John“JayCee”Cuijpersという野太い歌声のパワフルな典型的HMシンガーを得た事によって Andy Burgessのインプットが加速し、結果的にそれらの影響を Tino&Chris Troy兄弟が否定せず受け入れ、よりポップでメジャーな方向へサウンドを変化させ、突き進むのを躊躇わなかった英断がなによりも評価されるべき事だろう。

古参ファン程、この新譜の方向性には戸惑いを覚えるに違い無いが、いつまでも同じ音楽性に留まっている事は死を意味するし、守りに入ったマンネリ作品を延々ファンに買わせるなんて不誠実過ぎると Tino&Chris Troy兄弟ならずともアーティストを自覚するミュージシャンならば誰もがそう思うはずだ。

メンバーが不安定なまま日陰者のマイナー調メロハー・アルバムを息も絶え絶えに再びいつ解散するかと危機感と不安に苛まされながら活動する彼等の姿を見るより、イメージチェンジしてでもメジャー志向なサウンドでメンツを安定させてバリバリ活動して欲しい、そう応援したくなるいつもいつもアンラッキーにつきまとわれている彼等なのです。

しかし、一度目の解散の後、新バンドを立ち上げメジャーレーベルと契約する為に四苦八苦し、音楽性もメンツも幾度もブレさせてさえ欲し試行錯誤し遂に手にする事が適わず歴史の闇へ消えたと思っていたメジャー指向なサウンドが、これだけの年月と苦難を経てまさか本作で結実しその姿を現す事になろうとは…古くから彼等の活動を追うファンならば涙無しには本作を聞けませんよね…(つд`)

当然、変化の代償に失ったものの大きさはファンならば即理解するでしょうし、幾分サウンドに深みや艶やかさが薄れ、若干楽曲にメリハリが欠ける感やHRバンド的にインタープレイが少な目だったり全体的にサウンドのエッジや勢いが失せた等々の不満点を上げだしたらキリがないが、願わくばこのまま安定したメンツで一日でも長く活動を続け、早めに次作を届けて欲しい、そう切に願うバンドなのでした……



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# by malilion | 2018-10-23 00:07 | 音楽 | Trackback

北欧の夢劇場超えプログHMバンドSEVENTH WONDERの新譜をご紹介!

c0072376_21195965.jpgSEVENTH WONDER 「Tiara」'18

スウェーデン期待の新星としてその活動が注目されていた5人組プログレッシヴHMバンドの8年ぶりとなる5htアルバムがやっとリリースされたのをちょい遅れてGET!

遅ればせながら前作から彼等の活動を追いかけはじめた訳だが、ドライでゴリゴリにヘヴィなサウンドへ様変わりして幻滅させられ続きな夢劇場に2nd以降は進んで欲しかった、ユーロ圏バンド特有のウェット感と美しいメロディアスさが光るキャッチーでコンパクトな楽曲が詰め込まれ、ヘヴィなエッジもしっかり保ったHMアルバムの傑作に出会え、『このバンドが居るなら、もう夢劇場なんていらねぇ!』と、歓喜していただけに、まさかこんなに新作を待たされるとは思ってもみませんでした…orz

USパワー・メタルバンドKAMELOTのフロントマン Roy Khanが療養の為、LIVEの助っ人としてノルウェーのCIRCUS MAXIMUSのフロントマン Michael Eriksenと並んで抜擢されツアーに助っ人参加していた二代目フロントマン Tommy Karevikが、まさかの Roy Khan脱退後にKAMELOTのフロントマンとして電撃加入(!?)する事になるとは…

しかも、Tommy KarevikはSEVENTH WONDERには在籍したままでのKAMELOT加入というのが事態をややこしくする…

悲しいかな知名度的にも商業的成功的にもKAMELOTの方が上な現状、どうしたって Tommy KarevikはKAMELOTの活動を優先せざるおえぬ状況になり、SEVENTH WONDERの新譜制作が遅れに遅れて、まさかのBOSTONばりな8年の間隔が空いてしまった模様だ。

それだけ待ってでも Tommy Karevikはバンドとして手放したくない得がたい人材なのは分かるけど、SEVENTH WONDERファンとしちゃ堪ったモンじゃないよねぇ('A`)

しかも、同じ年にKAMELOTも新譜をリリースした為、既に完成に漕ぎ着けていた本作のリリースを遅らせ(られ)たなんて事まで分かってしまうと尚更でしょ?

つーか、正直このままだと、遠からず彼は脱退するんじゃないのかなぁ…とか、思ったりして…(汗

そんなリリースに至るまでのすったもんだはあったものの完成までにタップリ時間をかけられた為か、待望の新作である本アルバムは前作以上に丁寧に造り込まれた感が強く、KAMELOTでの短くない在籍期間で培った経験も活かされたのか、Tommy Karevikの一層に多彩さの増した表現力と抜群の歌唱力が光る一作と言え、お得意のコンセプトアルバムである事も手伝って、テクニカルでスリリング、それでいてコンパクトでキャッチーという複雑な要素が高次元でモザイク画のように結実した、神秘的で叙情感タップリなプログレッシヴHMサウンドが圧巻のスケール感を伴って展開され、本当に待ちに待った甲斐のある素晴らしいアルバムの一言に尽きる仕上がりだ。

人類を太古から監視していた上位の存在と、人類を救うためにつかわされた少女を軸に独自の世界観が構築され物語が展開していく本作、ある意味で定番のプログレ的SFストーリーであり、HMバンド的見ても予想外と言えぬ終末世界観的コンセプトながら、当然そこは彼等なりのオリジナルな展開や楽曲構成でもって表現していく訳だが、キャッチーでメロディアスな歌メロと重厚でテクニカルな楽曲という基本路線は変わらぬものの、本作はその壮大なコンセプトに引っ張られたのか、フロントマン不在で思うように進まぬ活動によるフラストレーションを抱えたままでの長期(過ぎる)制作期間であった事も影響したのか、それともさらなるメジャー展開を狙ってなのか、幾分かサウンドの質が変わったように思えるのです。

初期の北欧バンド特有なマイナー調な翳りというか垢抜けぬインディ臭のようなものは既に前作で姿を消し、代わって提示された高度に精錬された美旋律と隙無く紡がれる叙情詩、そしてテクニカルな演奏技術との融合は、A級バンドへ名乗りを上げても少しも違和感ない完成度だったのですが、本作はパワメタなサウンドのKAMELOTとの差別化を意識したのか、幾分軽めでスマートな耳障りの良いサウンドへ纏め上げられており、特に顕著なのが Johan Liefvendahlのプレイするギターサウンドからメタリックさとヘヴィなエッジの感触が減ったように聞こえ(意図的にMIXで引っ込めた?)るのと、代わって壮大でミステリアスな世界観を表現するのに大活躍なのが Andreas "Kyrt" Soderinの操るキーボードで、SEに情景描写にと物語の独特な雰囲気を伝える為の重要なキーポジションを占めていて、これまで以上に幻想的で華麗なサウンドメイキングへの貢献度が上がっているのが一聴して分かり、さらにメインでコンセプトを構築しメインソングライターでもある創設メンバーにしてリーダーの Andreas Blomqvistのトリッキーでタイトなベースプレイも今までに増して前面へ押し出されており、巧妙で緻密な構成が施された楽曲の上でリズムに、メロディにと、抑えきれんばかりなエネルギーを刻みつけているのがビンビン伝わってきて実に小気味良いんだなぁ~(*´ω` *)

期せずして不穏な空気を孕んだバンド内の雰囲気を反映したかのような危機感(ファン的には嬉しくないが…)の募るコンセプト作である新譜がやっとリリースされたばかりで気の早い話なのは重々承知しておりますが、前作以上に複雑さとキャッチ―さの両立を高次元で成し遂げつつ、より一層に聴き易くなるようなポピュラリティの高いメジャー寄りなサウンドへ磨き抜かれた本作の方向性が、コンセプト作の本作のみで終わるのか、それとも次作でさらにこの路線を推し進めるのか、実に興味は尽きませんね。

出来る事なら次なる新作はこんなに間を空けず、そしてフロントマン Tommy Karevikの熱い歌声が聞こえる傑作アルバムが届けられる事を祈って……

そうそう、そう言えば外盤のジャケデザが違うようですが、まぁコンセプト作としては日本盤の方が分かりやすいですよね。c0072376_21202889.jpg

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# by malilion | 2018-10-22 21:13 | 音楽 | Trackback

オランダ産幻のメロハー・バンドEMERGENCYの唯一作をご紹介。

c0072376_14460479.gifEMERGENCY 「Martial Law」'88

'86年に結成されたオランダ産キーボード入り5人組メロディアスHRバンドによる'88年リリースの唯一作(スイスにも同名別HMバンドが存在する)がPICTUREの再発でお馴染みなマニア御用達レーベルDivebomb Recordsより16年に500枚限定でリイシューされていたのを思い出してご紹介。

少数プレスの限定盤だったはずだが、実は最近でも購入する事は可能な模様で、実際はその後も幾度か追加プレスされて最終的に1000枚以上は出回っているのじゃないだろうか?
まぁ、売れると分かっている商品をたった500プレスで終わらすような愚かな商売人はいないものね。でも、限定の意味ねぇ…('A`)

本作はリマスターが施されているもののリイシュー盤の常と言えるボートラや未発曲等の類いが追加収録されていない。残念…orz

ZINATRA、DEF LEPPARD等を手掛けた Erwin Musperのプロデュースの下、メジャーレーベルARIOLAからリリースされた本作は当時からメロハー愛好家の間では有名な一枚で、北欧HM風なキラキラしたキーボード、透明感あるメロディ、青さ丸出しだが爽快感ある分厚いコーラス、そして Pete Lovellのフックある歌メロとハードエッジがありつつスピーディでキレのあるコンパクトにまとまったキャッチーな楽曲と、ウェストコースト要素の正反対なマイナー調のウェットなメロディがメインなユーロ風AOR作や、ALIEN、TREAT、TALK OF THE TOWN、初期BAD HABIT、ZINATRA、SHY、初期EUROPE等にも通じるウェット感ある甘口のメロディアスHMな作風は実に日本人好みで、80年代北欧HMとNWOBHM風な荒々しさが程良くMIXされAOR風味がまぶされた、それらの要素が他の作風要素を一切スポイルすることなく奇跡のバランスで結実したサウンドは評価が高いのも納得の出来と言え、本作だけを残して歴史の闇へ消えてしまったのが本当に残念でなりません。

PICTUREの4th『Eternal Dark』と5th『Traitor』に歌声を残して脱退した Pete Lovellが本作に参加し、そのストレートでパワフルなヴォイスを遺憾なく発揮しているが、当時PICTUREが所属するレーベルからのプレッシャーで所謂産業ロック的な“売れ線”を強要され、嫌気がさして脱退したと聞いていたのに同じようなキャッチーでメロディアスなサウンドを演るEMERGENCYへ加入!? と、驚いたものですが、そのサウンドを今になって聞き比べてみると、PICTUREの『Traitor』は些かぎこちなさの残る産業ロック路線へ接近した中途半端なメロディアスHMだったのに対して、EMERGENCYの方はキャッチーながらも未だモダン化しておらぬ荒削りなNWOBHM臭がそこかしこに漂うオブスキュアなメロディアスHRサウンド、今で言う80年代北欧B級HM群に通じるマイナー臭漂うユーロテイストなメロハー・サウンドに近く思え、まぁ、確かに方向性が違うのですが…その微妙な差が Pete Lovell的に重要だったのかも…?

実際の所はきっと創作活動における自主的か強制されてか、というポイントが重要で、メロディアスなHMサウンドの方向性自体に嫌気がさした、って訳ではなかったのは、本作でのキャッチーでメロディアスな楽曲での、PICTUREでの活動を吹っ切るかのような生き生きした歌いっぷりを耳にすれば誰もが納得するのじゃないでしょうか?

今の耳で聞くと只の欧州風ハードポップなんですが、ギターだけちょっとメタリックな音を立てているサウンド、って程度で、スピーディな楽曲もメチャ速い(そもそもスラッシュメタルが市民権を得る前だし)なんて事はなく、昨今のハードだヘヴィだ、スピード&ファスト! なーんてゴリッゴリのHMサウンドの前では軟弱極まりないサウンドに分類されちゃうんですが、当時はDEF LEPPARDの『Pyromania』'83が全米でブレイクし、シングル「Photograph」が世界中でガンガンかかるのを皮切りにキャッチーでポップな耳障り良いブライトサウンドなHMが持て囃されていたバブリーで華やかな時代だったので、EMERGENCYのサウンドでも十分にハードなHMサウンドとポップサウンドの折衷HMサウンドとして通用したんですよねぇ~(*´ω` *)イイ時代だったなぁ…

あっさり解散していなければ輸入盤で評判になって、絶対に後々で日本盤もリリースされただろうに…活動ベースがオランダでなければワンチャンあったかもしれないと思うと、本当に残念でなりません。

メジャーレーベルからリリースされたのが災いしたのか、近年までリイシューされる事がなかった名盤ですが、今なら比較的確実に入手する事が可能な一作ですので、ご興味ある方は一度チェックしてみて下さい。

精巧なリプロ盤(海賊コピー盤)も存在するようですので、Divebomb RecordsのCDかどうかチェックした上でご購入下さい。


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# by malilion | 2018-10-18 14:31 | 音楽 | Trackback

オランダ最古参HMバンドPICTUREの未CDアルバムが遂に再発!

c0072376_13191423.jpgPICTURE 「Every Story Needs Another Picture + Marathon」'86 '87

近年再結成され現在も活動中の、79年結成とオランダ初のHMバンドと言われている今やベテラン中のベテランバンドの長らくCD化が待たれていた6thアルバムが当時リアルタイムで唯一CDリリース作であった7thとカップリング2in1CD(楽曲カット無しで一枚へ完全収録!)にて待望のオフィシャル再発(!)となったので、そそくさとGET!

オフィシャル再発は目出度いのだが、残念な事にデジタルリマスターでもなく、当然リミックス等の作業も行われておらず、ピチパチノイズが入る所をみるとマスター消失からの板起こし盤な疑いが強い残念な再発盤だ…orz

まぁ、海賊盤を抜きにしてこれまでCDで聞く事が叶わなかった6thがこうしてリリースされたんだし、それだけでも良しとしましょう…

これで彼等の再結成前のオリジナルアルバム7枚は全てCD化された事になるので、ともかく今の若いHMリスナーでも彼等の音楽に気軽に触れる事が出来るようになったのは喜ばしいですね(*´ω` *)

なにせ他のオランダ産HMバンド達と比べキャリアでは一日の長がある彼等ですが、如何せん知名度が低いのです。ここ日本では特に。

オランダのHMバンドでここ日本で最も知名度があるのは、後に白蛇へ加入する Adrian Vandenberg(G)が率いていた日本人好みな哀愁のメロディと全世界的に旺盛を極めていたポップHM的キャッチーな楽曲が耳を惹くVANDENBERG、そして今やヨーロピアン・ロック・オペラプロジェクトとしてその名を轟かすAYREONを率いる Arjen Anthony Lucassen(G&Vo)が在籍していたVENGEANCEくらいで、あと幾つか有望なバンドが存在するもののさらにマイナーな扱いであった事は否めないだろう…

PICTUREはそれらのバンド達より1世代は前のキーボード入り5人組バンドで、当初は70年代風な野暮ったいチープなHRサウンドを鳴らしていたが、NWOBHMの影響を受けてか2nd以降は作を重ねる毎によりハードエッジでウェットなメロディが冴えるユーロピアンHMサウンドへサウンドが磨かれ練度が上がり、そのままHM街道を愚直にひたすらファスト&ヘヴィに突き進むのかと思いきや、'85年リリースの5thアルバム『Traitor』でサウンドが一気にメジャー指向へ激変し、ポップ度とメロディアス度が増すと言う世界的な時流である煌びやかでキャッチーな産業ロック&ポップHM的サウンドへと様変わり(今から考えるとソレ程ポップでもキャッチーでも無い音なんスけどね…)し、デビュー当時からのファンを失意のドン底(汗)へ突き落としたのも今となっては懐かしい話ですね…

6th、7thアルバムはバンドがその売れ線のアメリカナイズされたサウンドへ最も接近していた時期のアルバムなので、これ以前のアルバムはマイナー・ユーロHMサウンドでイマイチ好みでない、という方でも所謂80年代的華やかでキャッチーなメロディアスHMがお好きな方なら気に入るだろうサウンドだと言えます。

もうお気づきかと思いますが、彼等がマイナーな存在であった理由の一つはこの音楽性の変化も大きな原因であったのは間違いないでしょう。

初期の彼等のサウンドが好きなファンは、ゴリゴリなハードドライヴィンでもない甘々にドポップでもない程々にメロディアスでスピーディな楽曲、男らしい無骨さとタフさが漲る単純明快なリフ主体の、メジャーレーベルがこぞってHMバンドを売り出していたメタル全盛期であるアメリカンでバブリーなイメージの80年代直前にだけ存在した、純粋で無垢、そして不器用で実直な、アンダーグラウンド臭も漂うオールドスタイルなユーロHMサウンドに胸焦がれたんでしょうから、ソレが一気に売れ線狙いなサウンドへ変化しては目も当てられなかった事でしょうねぇ…

また彼等が今一つマイナーな存在に留まらざる終えなかった最大の要因は、バンドメンツの入れ替えが激しかった(立ち上げメンバーの Jan Bechtum(G)が追い出されたり、最終的にベーシスト Rinus Vreugdenhilだけ残る…)のに加え、アルバム毎にフロントマンが変わる、と言える程にヴォーカリストの変遷が激しいかったのが最大の要因なのは疑いようもありません。

実際、三代目ヴォーカルの Pete Lovellは『Eternal Dark』'83 『Traitor』'85に歌声を残して脱退(EMERGENCYへ加入)し、続いて四代目フロントマンとして迎え入れられたのが元VANDENBERGのリードボーカルだった Bert Heerink(6th時点では正式加入ではない…謎)で、彼の持ち込んだ音楽的影響が大きかったのか彼のブライトな歌声がそうさせたのか、『Every Story Needs Another Picture』'86からアルバムのメロディアス度がまるで別バンド(メンバーはレーベルの命令が不服で殆どのテイクをスタジオミュージシャンがプレイしたって噂、ホントなんですかねぇ?)のように一気にアップし、キャッチーでフックあるメジャーな80年代HMバンドに相応しいメロディアスHMサウンドを披露するに至ったのだが、これだけのサウンドの変化とバンドの変節についていける古参ファンは少なかったのか、さらにメジャー志向が強まった続く7th『Marathon』では、キーボードを大々的にフューチャーしたゴージャスなLAメタル風サウンドを披露したもののファンの支持は失せ、売り上げ的にも望む結果が得られなかった(そもそもレーベルがバンドに売れ線を要求しプレッシャーをかけたのが低迷の原因なのに…)のか、バンドはその活動を一端終える事に…

個人的には初期サウンドも後期サウンドも気に入っていたので、今回の再発はまさに待望、って感が強いのですが、改めてこうして本作に耳を傾けると、ZZ TOPのパクリ的なノリや、モロにDEEP PURPLEをパクったりが耳について思い出し笑いのような苦笑せざる終えませんでした(w

今になって思うのは、リフ主体の攻撃的な楽曲をベースにしつつ、女性バックコーラス等も活かし、如何にもメジャー的なアメリカンHM風要素を巧みに組み込み、ベースがマイナー・ユーロHRだったバンドがメンツを変え、フロントマンを変えして不器用ながら苦心してサウンドを流行にマッチさせ、アルバムの完成度を上げして、メジャーシーンの激流へ挑んだ作品と捉える事も出来て、実に感慨深いものがありますねぇ…

初期サウンド云々抜きにして、80年代のメジャーシーンを賑わしたポップでキャッチーなHMがお好みな方は一度チェックしてみても後悔はしないと思いますよ。

ここで述べましたように(未だに)マイナーバンドな彼等の旧作リイシューですので、そうプレス数も多くないでしょうから、入手困難になる前に素早くGETしておくのをお薦めします。

因みに三代目ヴォーカリスト Pete Lovellを擁するメンツで再結成を果たし、LIVE活動も行っていた彼等の最新のラインナップは、

Ronald van Prooijen(Lead Vocals):初代ヴォーカリスト
Rinus Vreugdenhil(Bass Guitar):唯一のオリジナル・フルメンバー
Jan Bechtum(Guitars):バンド創設者
Appie de Gelder(Guitars)
Laurens “Bakkie” Bakker(Drums):オリジナルドラマー

と、なっている。

もう皆いいお爺ちゃん、って風貌だが、気合い入りまくりでHMを今でも演奏し続けてくれているのが嬉しいですね(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-10-11 13:11 | 音楽 | Trackback

北欧メロハー SNAKES IN PARADISEが再始動作を16年ぶりにリリース!

c0072376_17564682.jpgSNAKES IN PARADISE 「Step Into The Light」'18

北欧スウェーデン産メロハー・バンドの再始動第一弾となる16年ぶりの4thアルバムがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

一度脱退したものの今回バンドへ復帰した Stefan Berggenが、さらに円熟味の増した絶品のソウルフルなディープヴォイスを期待通りに披露してくれて、もう最高デッス♪('(゚∀゚∩

キーボード入りツインギターの6人編成で94年にデビューアルバムをリリースし、キャッチーながらソウルフルな Stefan Berggenの歌唱スタイルと“軽めなデビカバ”ってな感じのディープヴォイスを活かしたメロディアスでキラキラした所謂北欧系HMなサウンドと程良くアメリカンなポップメタルをミックスしたサウンドが実に日本人好みで当初注目された彼等ですが、時代はグランジーにシーンが席巻されつつあった為に彼等の活動は順調とは言えず、同時期にデビューしたオールドスタイルなメロディアス北欧HMサウンドを演るバンド達と同様にサウンドの路線変更やダーク系サウンドを取り入れる事を余儀なくされ、いつしかシーンからその姿を消していく事に…

特に彼等の場合は同時期デビューの同郷バンド達より、よりアコースティカルでオールドスタイルなサウンドだった事と Stefan Berggenのソウルフルな歌唱を中心に据えた楽曲スタイルだった事も影響してか時流になかなか合わせる事が出来ず、挙げ句にその Stefan Berggenが3rd『Dangerous Love』'02 リリース後に脱退してしまったのが致命的でした…

まぁ、その呼び水となったのはバンドへ在籍しつつ、初期白蛇の両輪だった Bernie Marsden(G)と Micky Moody(G)によって結成されたTHE SNAKESが発展した別バンドCOMPANY OF SNAKESのフロントマンとして Robert Hart(ex:BAD COMPANY)~ Gary Barden(ex:MSG、etc)の後釜として00年に参加しファーストアルバムをリリースした事なのは間違いないしょう。

そもそも2ndリリース後に別名義(バレバレだけどw)でFOUR STICKSなるレイドバックした70年代スタイルのHRバンドでアルバム『Electric Celebration』'97をSNAKES IN PARADISEのメンバーと一緒にリリース(ジャケがモロ昔風!)しているのを見ても、1stリリース以降のバンドの音楽性の変化に不満があったのは予見できた事でしたけどね…

以降、SNAKES IN PARADISEの名前をシーンで聞く事はなくなり、代わって Stefan Berggenはそのデビカバ風な歌唱スタイルが認められ、元EMPIRE、元MAJESTYの Rolf Munkes等によって結成されたオールドスタイル北欧HMバンドRAZORBACKへ加入し、三枚のアルバムでその歌声を残したり、ドイツのメロハーレーベル AVENUE OF ALLIES企画による Stefan Berggenの歌声主導なプロジェクトバンドREVOLUTION ROADでアルバムをリリースしたり、14年の元URIAH HEEPの Lee Kerslake(Ds&Vo)とのコラボバンドによる渋いブリティッシュHR作リリースと精力的な活動を続け、そのREVOLUTION ROADへSNAKES IN PARADISEのメンバーがゲストで招かれていた事が切っ掛けになったのか、メロハー系バンド御用達レーベルFrontiers Records主導の元、再びSNAKES IN PARADISEが始動する事になり、今回のアルバムリリースと相成った模様です。

嬉しい事に活動休止前のメンツにおおよそ変化はなく、唯一キーボーディストの Thomas Janssonのみバンドメンツから外れているものの、本作でもレコーディングで2曲そのプレイを聞かせてくれている(*´ω` *)

と、言う訳で現在はツインギターの5人編成バンドになった彼等だが、休止前は作を重ねる毎にグランジーな影響がチラつき鬱陶しかったが、再始動作となった本作ではその影が綺麗サッパリなくなり、さらに各メンバーがこれまでの休止期間で培ってきた経験も加味され、初期WHITESNAKEっぽさを残しつつ、よりAOR風なポップフィールやアダルトな落ち着き、メロハー的なキャッチーさとハードエッジなフィーリング、お得意のアコースティカルな軽やかさ、そしてしっとりブルージーな味わいと豊かな楽曲の表情等々、シンプルでストレートでありつつジックリ熟成されバランスの取れた隙無いサウンドが冴え渡る、デビュー当時からの『AORやってる白蛇』というイメージなサウンドに一層に磨きが掛かり、完成度が上がった、ブルージーな北欧メロディアスHRの快作を久しぶりに届けてくれたのが本当に本当に喜ばしい!('(゚∀゚∩

北欧HM的なキラキラ感や朗らかブライト感、そして新人メロハー・バンドのような溌剌ドポッピーな所謂北欧的な透明感ある爽快サウンドを求めると肩透かしになるが、WHITESNAKEや70年代風ブルージーなモダンロック、そしてメロディアスなAORロック等がお好きな方になら是非にお薦めしたい一枚だ。

もうシーンを覆うグランジーな暗雲は晴れたのだし、出来る事ならこのまま順調に活動を続け、来たるべき新作を早く聞かせて欲しいものであります。



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# by malilion | 2018-10-10 17:48 | 音楽 | Trackback

怒濤の勢い止まるを知らず! 新世代イタリアン・プログレバンドSYNDONEが再び傑作をリリース!

c0072376_15515597.jpgSYNDONE 「Mysoginia」'18

前作で70年代の古典プログレ・バンド群と肩を並べる創作レベルへ到達した、正に破竹の勢いと言える新世代イタリアン・プログレバンドの復活後第5弾、通算7枚目となる前作より2年ぶりの新譜がリリースされたのでご紹介。

復活後メンツがイマイチ安定していなかった彼等だが、本作に置いては前作とメンツの変動がなく、Vibraphone(鉄琴)とXilophone(木琴)を操る女性Keyプレイヤー Marta嬢を含む6人組なままなのですが、前作のギターも含むトリプルキーボード編成は流石にやり過ぎと思った(今更!?)のか本作では Riccardo Ruggeriは一切ギターをプレイせず歌唱のみに集中し、従来のギターレスのツインキーボード体制に戻り、また Marta Caldara嬢は鉄琴、木琴、パーカッションのみの演奏となっている。

まぁ、前作でもストリングス・カルテットをゲストに迎えて重厚なサウンド造りに心血を注いでいましたが、本作ではそれをさらに推し進め、ブダペスト・シンフォニー・オーケストラや合唱団をフィーチャーした、如何にもイタリアン・プログレという胸焼けしそうに濃密な味わいと壮大なスケール感を誇るアルバムとなっているので、キーボードが三人も要らなかった、というか恐らく居ては邪魔になるという判断なんでしょう。

ギターレスながらハモンド、シンセ、メロトロン、ムーグ、ピアノ等々の多彩なキーボード類を今回もふんだんに織り交ぜつつ、シンフォニー・オーケストラの分厚いストリングや荘厳な美声を響かせる合唱団をフィーチャーして前作での本物の大聖堂パイプ・オルガンを使った重厚なサウンドに負けず劣らずの超弩弓に壮大で複雑、そして華麗なシンフォニック・サウンドを炸裂させるその様は、何世紀にも渡って続く女性達への性犯罪や時代や権力に翻弄され犠牲になった悲劇のヒロイン達を題材にした、重苦しい社会テーマを扱ったコンセプト・アルバムなものの、まるでオペラか映画のサントラかという圧巻の一大絵巻のようで、下卑た感触や後ろめたさを微塵も感じさせず、これでもかと暑苦しいイタ公の熱気ムンムンに豪快に、時に密やかに、繰り広げられていく。

復活後は初期のような押しまくるスピードやけたたましいパワーといったテクニカルHMバンドの如きサウンド要素が消え失せ、リーダー Nik Comoglioの創作とミュージシャン・レベルが上がった証とばかりに、引きのサウンドの美しさや優雅でアーティスティックな要素が前面に押し出されていた彼等だが、メンツが充実し安定したからなのか前作で初期曲を再録したりと初期のパワー圧しの片鱗を感じさせ、本作では初期のパワフルさも随所で感じさせる暑苦しさ(主にシアトリカルなヴォーカルが)も効かせつつ、復活してから積極的に表現していた地中海音楽や中世音楽等の古典要素も巧みに楽曲に織り込みながら、リリカルに優雅に気高く磨き抜かれた極上の美旋律が紡がれ唯一無二のSYNDONEワールドが構築されていく様からは、正に70年代の巨人達を追い抜かんばかりの熱い息吹と勢いがヒシヒシと感じられ、ホント感無量であります(*´ω` *)

NEW TROLLSの Vittorio De Scalzi(Flute)やARTI E MESTIERIの Gigi Venegoni(Electric Guitar)といった有名所がゲストで参加してアルバムに華を添えている以上に、イタリアン・ポップス歌手の Viola Nocenzi嬢(Banco del Mutuo Soccorsoと繋がりが深い)が可憐な歌声でフロントマンの Riccardo Ruggeriとデュエットしたりバックコーラスを聞かせたりとアルバムの華麗さが増すのに一役買っているのも見逃せぬポイントでしょう。

そうそう、Marta Caldara嬢がキーボードプレイを止めて鉄琴、木琴のプレイに集中したせいか、思いの外軽やかな鉄琴や木琴のサウンドがキーボードとは一味違った音色を豊かに響かせ、このバンドならではの特色になっているのに今回改めて気付かされましたね(*´ω` *)

唯一の不満は、こんなにスケールのデカイサウンドのアルバムなのに、アッサリと終わってしまう、ってトコでしょうか?
いや、長ければいいってもんでもないんで、綺麗にまとまって終わる方がいいんですけど、もっと聞きたい! っていう欲求の方が大きいのですよ…

アルバムのサウンドが重厚であればある程に、フッと訪れるピアノの軽やかな独奏やクラシカルな味わい深い音色を紡ぐ様は本当に美しく、キーボードサウンド・ファンやイタリアン・プログレファンは勿論のこと、モダン・シンフォ好きな方にも是非お薦めしたい一枚であります。



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# by malilion | 2018-10-02 15:45 | 音楽 | Trackback

80年代LEPSフォロワー? いいえ、USポップメタルの進化サウンドです。USA一人バンドDALLASが遂にアルバムデユー!!

c0072376_11405162.jpgDALLAS 「Same」'18

2012年にEP『Over The Edge』をデジタル配信オンリーながらリリースしたカリフォルニア州サンフランシスコのソロ・ロックアーテイスト Bryan Dallas(Vox&Guitar)が、今回6年ぶりにやっとフルアルバムであるデビュー作をリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

独力で製作したEPリリースの後、メンバーを募り3人組バンドDALLAS(Bryan Dallas:Vo&G、Zac Curtis:Ds、Matt Feifert:Key)を結成して活動開始した(ベーシストだけLIVだけヘルプ?)ものの、その後の活動がトント聞こえてこなかったのですが、今回やっとフルアルバムをリリースしたにも関わらず、この短くないインターバルの間に案の定でバンドメンツは誰も居なくなり、再びソロ状態に戻ってしまっている…

NEWMANもそうだけど、この手のマルチプレイヤーって、ソロバンド立ち上げるんだけど、結局全部自分でプレイしてアルバムも録音しちゃうからバンドメンツが長居しないんですよねぇ…後、エゴの問題(自身のリーダー・バンドに拘って他バンドからの加入の誘いを断り続けていたって言うし…)もあるのかも…(汗

そういう訳で本作収録の楽曲は全て Bryan Dallasの手による演奏だが、EP収録曲を今回3曲再収録していて、再録した際に以前在籍していたドラマー Zac Curtisの手によるドラムプレイでリレコーディングした音源に差し替えたものを収録し、また別名義VON HINERでリリースした2曲入りシングル音源の楽曲も1曲本作に収録しており、それら以前の音源全てをリマスタリングして本作に収録しているので、シングルやEPの音源そのままが再収録されている訳ではないのでご注意を。

因みに間もなくリリースされるUK盤にも日本盤と同じくボーナストラックが収録されおり、4曲中3曲(EP収録曲を1曲含む)が日本盤(日本盤はボートラ5曲)と違う楽曲が収録され、これによって1曲を除き全てのEP楽曲が1stに再収録される事になっているので、音源マニアの方はお見逃し無く(*´ω` *)

で、内容の方ですが、EP時点で既に濃厚な80年代テイストが香る、FIREHOUSE、DEF LEPPARD、BON JOVI、ALICE COOPERといった有名所だけでなく、CRYSTAL ROXXやBIG BAD WOLF、LOUD AND CLEAR、RESTLESS等々のマイナー所(再発の雄、MTMレーベル愛好家なら分かるよね!)や、一連の00年代北欧メロハー系やユーロ系メロハーバンドであるH.E.A.T.、FAIR WARNING、WORK OF ART、BROTHER FIRETRIBE等からの影響も窺えるエネルギッシュで朗らかキャッチー&ブライトなHRチューンが詰め込まれた魅力的なメロディアスロック・サウンドだった訳ですが、続く待望の本作でもその方向性に些かの迷いも見えず、DEF LEPPARDカラーが強く感じられる、80年代HRファンやメロハー・ファンなら間違いなく気に入るだろう分厚くオーバーダビングされたサビのコーラスが特徴的な煌びやかでフック満載な、如何にもアメリカンロックというカラッと爽快で、ほんのりスリージー・ロックンロールっぽい味わいが隠し味の、人工甘味料的メロディアスなキャッチーさが光る創り込まれたHR/HMサウンドを披露している。

コーラス処理がモロに『Hysteria』時のDEF LEPPARD風なものの音楽的にはLEPSの影響下にあるサウンドでないのは明白で、あくまでLAメタルを中心に80年代にポップメタルと言われたブライトなUSメタルがサウンドの中核になっており、それでいてUSバンドに顕著なドライ過ぎる事も無くウェットなメロディもしっかり保ちつつ、デジタリーな味付けで一ヒネリを加えてオリジナリティをちゃんと感じさせる、単なる80年代リバイバルではない新世代サウンドに仕上がっているのは流石の一言。

とは言え、まだまだ強烈なオリジナリティを確立しているとは言い難いし、Bryan Dallasのヴォーカルやギタープレイが超個性的で絶品の巧さ、と言う訳でもないものの、デビュー作にしてここまでハイレベルな完成度とバランスの取れたアルバムを独力で創作した事を見ても Bryan Dallasが只者ではない事は明白で、続く新作が早くも気になってしまう。

EP当時は26歳だったが今は32歳になっている訳だし、もう若者という年齢でもないのだから、出来るならばちゃんとバンドメンツを集めてしっかりと落ち着いた活動を継続させて欲しいなぁ~(*´ω` *)

ここ十数年USAを中心にHM界で猛威を振るったダークでファストでヘヴィな鈍色メタリックサウンドは皆無なので、ソレ系をお求めの方には全く駄目な作品と言えましょう。
まぁ、ここまで読んでおいて、このアルバムを購入するとは思いませんけどネ(w

DEF LEPPARD好きは無論、LEPSフォロワー好きや派手で軽目な80年代USロック好きに是非お薦めしたい一枚であります。


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# by malilion | 2018-10-01 11:31 | 音楽 | Trackback

UKメロハー・バンドNEWMANが未発音源満載のBEST盤第二弾をリリース!

c0072376_14574018.jpgNEWMAN 「Decade II」'18

イギリス人マルチ・プレイヤー Steve Newman(Vo,G,Key)率いる英国産メロディアスHRバンドが、10年前にリリースされたBEST盤に続く二枚組BESTの第二弾をリリースしたので即GET!

第一弾はリ・レコーディング音源を含むBEST盤であったが、今回のBEST第二弾は未発表音源12曲に加え『Under Southern Skies』の日本盤ボートラであった2曲も収録した、計17曲という大盤振る舞いだ。

Disc1には『Primitive Soul』'07、『The Art Of Balance』'10、『Under Southern Skies』'11、『Siren』'13、『The Elegance Machine』'16のスタジオ5作品(最新作『Aerial』は除外)からからそれぞれ3、4曲づつ17曲を選曲し収録、Disc2には、2011年以降の貴重な未発表曲を中心に17曲が収録されており、他アーティストの為に書かれた楽曲が3曲、日本盤オンリーのボーナストラックだった2曲、『The Elegance Machine』'16 製作中にセッション録音された未発曲6曲と、『Aerial』'17 製作中にセッション録音された未発曲が6曲収録されている。

『The Elegance Machine』時のセッション音源が多いのは『The Elegance Machine』制作時にちゃんとバンドメンツを集めて録音作業した為と思われるが、『Aerial』で何時もの如くワンマン録音体制へ戻ってしまっているので『Aerial』セッション音源は、ドラムスだけいつものお気に入りドラマー Rob McEwenが参加してデモに合わせてスタジオで録音した音源(ドラムは打ち込みかも)かもしれませんね…

Disc1の方の既発曲は、いつもの通りな英国バンドらしからぬ爽快でキャッチー、そしてフックあるメロディアスな楽曲のAOR寄りなメロハー・サウンドの詰め合わせで、さすが選りすぐりな楽曲だけあって幅広い曲調の楽曲を収録している為、毎度の弊害であるマンネリ感が薄く最後まで飽きが来ないハイレベルな一枚となっていて、近年のハードさは抑え目だがAOR的な完成度を上げたクリアーで心地よいメロディアス・サウンド(ボトムはかるぅいけど…)は、初期の勢いのあった頃のNEWMANサウンドの方が好みな自分でさえ、この10年でLIVEや創作活動で磨き抜かれた Steve Newmanのキャリアが十分に活かされたプロフェッショナルな仕事ぶりの結晶だと感心させられてしまいます。

さて、注目のDisc2の未発音源集だが、元々ワンマンバンドで作詞作曲、歌はおろか殆どの楽器演奏も Steve Newmanがこなしてしまう為、ドラムが打ち込みなデモ音源はバンド結成前から延々と造り続けてきただろうし、最近はなんでもコンピューター上で楽曲が合成出来てしまう上にそのデモのレベルもメチャ高い為か、今回収録されている未発表曲は、所謂よくアーカイヴものなどに収録される発掘音源のような“作りかけ感”は皆無なので、その点を期待していた方々にはちょっと肩透かしかもしれません。

それでも『The Elegance Machine』制作時のセッション音源が完成度の高い所謂バンドサウンドっぽい出来なのと比べ、『Aerial』セッション時の未発音源は、恐らく Steve Newmanが独力で製作したものと思われ、ギターを中心にした弾き語りをベースに楽曲を組み立てて肉付けしていったサウンド(リズムの楽曲に対する絡みが弱い)なのが伝わってきて、これはこれで興味深い発見が聞き取れ面白いですね。

ただ一つハッキリしているのは、未発音源でも徹頭徹尾メロディアスで爽やかキャッチーな楽曲だと言う事で、幾つかの楽曲はそのまま完成度を上げてアルバムに収録してもおかしくない良いメロディの楽曲なのが驚きで、どうしてコレを仕上げてアルバムに収録しなかったんだ!?と、いらぬお節介な不満が込み上げてしまいます(w

◆Disc 2
Track List:
01.Breaking the Barrier
02.Girl Found Love
03.Liar
04.One More Night With You
05.Fight No More
06.She's the Woman
07.Nightmare
08.Angel
09.World Keeps Turning
10.In Too Deep
11.The More I Love
12.Crossed My Heart
13.A Witness to Love's Decline
14.Does It Feel The Same?
15.Race of a Lifetime
16.Never Becomes Again
17.My Fantasy

なお本作は1000枚のみの限定盤なので、お求めの方はお早めにお求め下さい!

NEWMANファンのみならず、爽やかメロハー好きな方なら見逃せないアイテムですので、一度チェックしてみて下さいね(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-09-30 14:48 | 音楽 | Trackback

UKポンプ黎明期バンドIQが華麗にシンフォ・バンドへ生まれ変わった重要作が、25周年記念盤が未発音源大量追加でリリース!

c0072376_15002404.jpgIQ 「EVER 25th Anniversary Collector's Edition」'18

未だ英国シンフォ界で気を吐き続ける重鎮シンフォ・バンドの93年リリース5thが、発表25周年を記念しCD2枚+DVDの豪華3枚組、4面デジパック仕様の限定盤がリリースされたので即GET!

MARILLIONを旗頭に、英国ポンプ・ロックを代表するGENESISフォロワー・バンドの1つとしてPENDRAGON等と共に80年代初頭に唸りを上げてシーンを賑わした新鋭バンドであった彼等も、メジャー契約を果たしフロントマンの交代を挟んでメインストリームへ進出すると思いきや、短期間で趨勢が減じたシーン変化の果てにメジャーをドロップ、暫しの活動休止を挟んで自主レーベルGiant Electric Peaを立ち上げインディ活動ながら満を持して放つ、再び初代ヴォーカルの Peter Nichollsを復帰させ、初期風なバンクス風キーボードやハケット風ギターを強く意識して幻想的で優美なサウンドで綴った、これぞ英国叙情という気品とダークでミステリアスな陰鬱さ漂う、新たに高まりつつある潮流(当時)であったシンフォニック・プログレサウンド(十分ポンプなテイストを残してはいるけれど…)で、分厚く複雑、そして荘厳に、多種多様な鍵盤楽器を用いて劇的に描ききった、久しぶりのコンセプト・アルバムでありました。

今回はその5thアルバムであるDisc1を現メンバーである Neil Durant(Key)によるオーヴァーダブ(実際はマスターテープの劣化とオリジナルの24トラック音源に不具合等があり新たにキーボードの再録音が必要な箇所が多々あった為)と Mike Holmes(G)による新規Remix(本人的にはリミックスに反対だった…)を施した'18年ヴァージョン(当時とはキーボードが Martin Orfordから Neil Durantへ、ベースが John Jowittから Tim Esauへチェンジしている)へ音源をブラッシュアップし、さらに2曲のボーナス曲を追加収録、Disc2には18年2月ドイツAschaffenburg:Colos-Saalにて行われた現メンバーの手によるタイト且つダイナミックなサウンドのLIVE音源から『EVER』収録曲をピックアップして収録、DVDにはCD1&CD2の5.1 Surround Sound Mixに加え、今回初出となる28曲に及ぶ『EVER』制作時の未発表デモ、アウトテイク、未使用アイデアの断片、リハーサル音源等などを多数収録したファン垂涎の一品だ。

この手の発売ン周年記念盤って奴は大抵がデジタルリマスターされた(それすら無いのもある!)だけで、後は未発表曲が数曲オマケについてくる程度で新譜と同じ値段取ろうとするファンから金を搾取するのが目的なだけの悪辣な商品が多い中、ファンサイドに立って価値ある音源をタンマリ封入してリリースする姿勢は流石インディ活動でファンベースを拡げてきたバンドだけありますねぇ(*´ω` *)

そして、オリジナル盤と音源が違うという、今回のアニバーサリィ盤さえ所有していればいい、という訳ではなくちゃーんとオリジナル盤(マスターテープが劣化してる訳だから、この音源盤は貴重って事か…)にも価値を持たせているとこも心難いポイントであります。

また、ブックレットにはアルバム、シングル盤ジャケットやFunzine写真や販促、プライヴェートフォト、スタジオ&LIVEショット等の貴重写真及び本作発表前後の活動を追った新規バイオグラフィー、元メンバーの John Jowitt(B、Backing Vo)、Martin Orford(Key、Mellotron、Synths、flute、Backing Vo)を含むメンバーの新規回想録を掲載した豪華装丁盤となっている。

アルバム内容については今さらここで語る必要はないだろうが、GENESIS系サウンドが好きなUKポンプ~シンフォ・ファンなら見逃せないアニバーサリィ盤なのは間違いないので、限定盤と言う事なのでお求めの方はお早めにね!

Track List
◆Disc1 -Ever 2018 Remix-
01 The Darkest Hour
02 Fading Senses
03 Out Of Nowhere
04 Further Away
05 Leap Of Faith
06 Came Down
07 Came Down-The Solos That Got Away(Bonus Track)
08 Lost In Paradise(Bonus Track)

◆Disc2 -Ever Live At The Colos-Saal,Aschaffenburg,February/10/2018 Stereo Mix-
01 The Darkest Hour
02 Fading Senses
03 Leap Of Faith
04 Came Down
05 Further Away
06 Out Of Nowhere

◆DVD -Ever 2018 Remix-Dolby Digital 5.1 Surround Sound Mix-
01 The Darkest Hour
02 Fading Senses
03 Out Of Nowhere
04 Further Away
05 Leap Of Faith
06 Came Down

-Ever Live At The Colos-Saal,Aschaffenburg,2/10/2018 Dolby Digital 5.1 S Sound Mix-
07 The Darkest Hour
08 Fading Senses
09 Leap Of Faith
10 Came Down
11 Further Away
12 Out Of Nowhere

-Album Demos-
13 The Darkest Hour
14 Fading Senses
15 Unholy Cow(Out Of Nowhere)
16 Further Away(Intro)
17 Further Away(Full Demo)
18 Leap Of Faith
19 Came Down

-Studio Outtakes(Instrumental)-
20 The Darkest Hour
21 Fading Senses
22 Out Of Nowhere
23 Further Away
24 Leap Of Faith
25 Came Down

-Unused Ideas-
26 Waltzy Song
27 Echo Song
28 The Blues Riff
29 Bassy Track
30 Guitar Thing
31 Quiety Demo
32 Some Chordage
33 Monks

-Rehearsals-
34 The Darkest Hour(Part 2)
35 Fading Senses(Jamming The Riff)
36 Fading Senses(#2)
37 Unholy Cow(developed)
38 Further Away(Jamming The Riff)
39 Further Away(Arrangement)
40 Came Down(Different Intro)
41 Sad Chords

デモだとモロにポンプっぽいサウンドだったんだなぁ、とかアウトテイクだと9割同じっぽいけど細かなフレーズやタイミング、展開のズレや変化だったり、後で付け足される楽器の音色がいくつか無かったりと、色々と本編との相違を見付けて一喜一憂できるのは未発音源ならではの楽しみ方ですねぇ(*´ω` *)

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# by malilion | 2018-09-27 14:54 | 音楽 | Trackback

8年ぶりの来日! RENAISSANCEが織り成すクラシカル・シンフォサウンドが室内管弦楽団を加え一段と美しく!

c0072376_17373914.jpgRENAISSANCE 「A Symphonic Journey」'18

去る9月中旬に8年ぶりの来日公演を東京で披露した記憶もまだ新しい、英国プログレッシヴ・ロック及びクラシカル・ロックを代表するバンド RENAISSANCEの、2017年10月アメリカ・ペンシルヴァニアでの『A Symphonic Journey』ツアーの模様を収録したDVD映像+2CDの豪華3枚組、4面開きデジパック仕様盤(UK盤)をちょい遅れてGET!

ここの所アーカイヴ的な過去のLIVE作リリースが続き、スタジオアルバムは Michael Dunfordも途中まで制作に関わっていた『Symphony of Light』'13以降リリースされていない事を見ても、長らくバンドの音楽的中心であった Michael Dunford(G、Acoustic G)を失ったバンドの痛手の程がありありと分かりますね…(涙

90年代中頃に Michael DunfordがRENAISSANCEを復活させたのに呼応するように、Annie Haslam(Vo)率いるRENAISSANCEが始動し、一時2つのRENAISSANCEが存在してファンを混乱させた事がありましたが、後に和解し再び円満に活動を共にするようになった彼等、まさかその Michael Dunfordが12年に逝去し、二度と再び揃って活動する姿を見る事が叶わなくなってしまうとは……(涙

さて、ここの所続いた発掘過去LIVE音源ではなく去年のLIVEの程を納めた、久しぶりに“今の彼等”の姿を伝えてくれる本作だが、『Symphony of Light』時のメンツ(そう言えば、John Wettonも参加して Annieとデュエットたんですよね…)から変動が見られ、今や誰憚ること無く盟主の座に着いた歌姫 Annie Haslamは当然として、リズム隊がゴッソリ入れ替わっているのとツインキーボードの片割れが Jason Hartから Geoffrey Langleyへ変わり、新たに Michael Dunfordの後任ギタリストとして Mark Lambert(Guitar、Backing Vocals)が迎えられたツインキーボードの6人新編成へとなっている。

これまでにリリースした全アルバム収録曲から選曲された楽曲を、新編成バンドに加え9人編成の室内管弦楽団をゲストに迎えて一糸乱れず織り成される、アルバムタイトル通りに優美にして艶やかなストリングスをタップリとフィーチャーした豪華で重厚なシンフォニック・サウンドを従え、昔から変わらぬ5オクターヴを誇る美声を響かせ往年の名曲を熱唱する歌姫 Annie Haslamのパフォーマンスが存分に楽しめる、正に来日公演を彷彿とさせる一作に仕上がっており、久しぶりの公演に駆けつけたファンの方々も納得の出来だろう。

また、本作はLIVE音源としては初となる「KALYNDA」や、Annie Haslamと Michael Dunfordが加入する前のオリジナルRENAISSANCEで Jane Relf(Vo)が歌った「ISLAND」も披露されるなど、アーカイヴLIVE作とは一味違った選曲もなされているのも見逃せない点だ。

付属の映像DVD作は、Annie Haslamの圧巻の歌唱のみならずオープニングMCを含む開幕からアンコールまで、公演の全貌を完全収録したファンには堪らないアイテムとなっており、これまでの過去のLIVE映像作を入手して来たファンならば今すぐGETせねばならぬファン必携の1枚なのは間違いない。

まぁ、正直言うと経年でさすがに Annie Haslamの透き通る歌声も少々パワーの衰えが見えたり、テクニックで補っているもののどうしたって若かりし頃と較べて艶やかさが失われているのが分かるのですが、ファンにとっちゃそんなの些細な事でしかないのであります!(`・ω・´)

プログレ・ファンならば、そこらのポッと出のB級新人シンフォ・バンドのアルバム買うくらいなら、大本命のこのアルバムを買いましょう!



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# by malilion | 2018-09-26 17:31 | 音楽 | Trackback

残暑にはラテンフレーバーなサウンドがよく似合う♪ MATT BIANCOの初期作リイシューをご紹介。

c0072376_17455345.jpgMATT BIANCO 「Indigo: 3CD 30th Anniversary Deluxe Edition」'18

残暑と蒸し蒸しする長雨、そして連続して襲い来る台風にグッタリな最近ですが、少しでも気分良くしようと本日はコレに耳を傾けておりました。

独自のラテン・ソウル&ポップスをベースに、JAZZ、ファンク、ブラックコンテンポラリー等の要素を融合させた作風で人気を博すUKポップデュオ、だったのですが16年、その両輪の一人 Mark Fisherが死去(RIP...)してしまったが、現在は Mark Reilyのソロ・プロジェクトとして再始動し、去年17年にJAZZ色を強めた新譜『Gravity』をリリースしたばかり。

そんな彼等の初期作が15年頃からリマスター&ボートラ大量追加で順次リイシューされ始めて(Cherry Red Recordsバンザイ!)おりまして、今年6月にリリースされた88年にリリースされた3rdアルバムの発売30周年を記念した3枚組デラックスエディションが本作であります。

近年CMのテーマソングに使われたりしていたので彼等のポップでラテンフレーバーあふれる朗らかサンシャイン・サウンド(笑)を耳にした事のある方も少なくないと思いますが、初期作ではまだそこまでアダルトなラテンフレーバー色も強くなく、幾分80年代UKポップス寄り(WHAM!っぽい打ち込みとかモロに聞こえる)なアーバンでデジタリーなダンサンブル・ポップサウンドが心地よい作風でした。

で、当時はディスコ~クラブブームもあって7インチや12インチ・ヴァージョンとかダンス・リミックヴァージョンとかEDIT、USリミックス、DUBヴァージョン等々やたらと別ヴァージョンが作られていた訳ですが、その手の一体幾つあるのか判別つかないくらいシングルに収録されリリースされたアルバム未収録音源をタップリ3CDに収録した本作は、当時を知る者としてはこの上ない音源集だ(*´ω` *)

軽やかなピアノやダンサンブルな打楽器、そしてフックあるファンキーなメロディとキャッチーな歌メロ、そこへ流れるムーディーで艶やかなサックスの音色が実に心地よく、スムースなリズムを刻むUKポップサウンドが南国の風が吹き込んでくるかのように実に爽快で、このウザイ湿気たんまりな一日でダルだった気分をリフレッシュさせてくれますん♪

新規リマスタリングされたオリジナル・アルバム収録曲に加え、アルバム未収録曲、シングル・ヴァージョン、リミックス・ヴァージョン等々レアな音源満載なボーナストラックを37曲(!)も追加したお得盤ですので、彼等のファンで彼等の一連のリイシュー盤がリリースされたのを知らない方はお求めになっても決して損はしませんぜ!

ヴァージョン違いの楽曲の中には、全く別メロ、別リズムの、殆ど別曲っていうような仕上がりのオリジナルよりグンと出来が良いトラックもあったりして、嬉しい発見満載です('(゚∀゚∩

Track List
◆CD 1
01. Don’t Blame It On That Girl
02. Nervous
03. Slide
04. Say It’s Not Too Late
05. Wap Bam Boogie
06. Good Times
07. R&B
08. Hanging On
09. Jack of Clubs
10. Indigo

ここまでオリジナル盤収録曲

Bonus Tracks-Single Version & B-Sides
11. Wap Bam Boogie (7”Edit)
12. Good Times (New Version)
13. Tumbao (Edited Version)
14. Nervous (Re-Recorded Version)
15. Say It’s Not Too Late (7”Version)
16. R&B (Brad Davis 7”MIX)
17. Poolside

◆CD 2
Bonus Tracks-Additional Recordings
01. Fire In The Blood(7”Version)
02. We’ve Got The Mood (Matt's Mood'90) (7”Version)

Bonus Tracks-Remixes & Alternate Versions
03. Don’t Blame It On That Girl (Extended Mix)
04. Wap Bam Boogie (Latin Remix)
05. Good Times (New Long Version)
06. Tumbao (Long Version)
07. Nervous (Extended Re-Recorded Version)
08. R&B (Bastone 12″Mix)
09. Don’t Blame It On That Girl (Rare Groove Mix)
10. Good Times (Miami Mix)
11. Nervous (Extended US Mix)
12. Hanging On (Extended Version)
13. Indigo (Alternate Version)
14. R&B (Bastone Dub)

◆CD 3
Bonus Tracks-More Remixes & Alternate Versions
1. Don’t Blame It On That Girl (Rare Groove Mix Edit)
2. Wap Bam Boogie (The Sok It To Me Mix)
3. Nervous (Flute Version)
4. R&B (Brad Davis 12″Mix)
5. Fire In The Blood (Caliente) (Club Mix)
6. We’ve Got The Mood ?(Matt's Mood'90) (12”Version)
7. Don’t Blame It On That Girl (Rare Groove Sax Edit)
8. Wap Bam Boogie (Alternate 7″Edit)
9. Nervous (Fish Mix)
10. R&B (Bastone 7″Mix)
11. Say It’s Not Too Late (Edit)
12. Don’t Blame It On That Girl (Gail"Sky"King Edit Of 12")
13. Wap Bam Boogie (The Sok It To Me Mix Edit)
14. Nervous (US Mix)
15. Fire In The Blood (12" Version)
16. Slide (Instrumental)


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# by malilion | 2018-09-07 17:39 | 音楽 | Trackback

遂に英国プログ・バンドENGLANDの41年ぶりとなる新譜がリリース!

c0072376_14574663.jpgENGLAND 「Box Of Circles」'18

アルバム1枚とシングル1枚だけ残して消えた幻の4人組英国プログレ・バンドとしてその名が長らく囁かれ続けてきた彼等の、再結成第一弾作が遂にリリースされたので即GET!

正式なスタジオアルバムとしては77年の1stに続きこれで2作目になるが、幻の2nd用未発音源集リリースだったり、30年ぶりに再結成して06年に日本での演奏を納めた新曲を含むLIVE作や、待望の1stデジタルリマスター紙ジャケ盤や、アルバム未収録のシングルB面曲をボートラに加えた1stの大判紙ジャケ再現リマスター盤、さらにGolden EditionなるLIVE音源やシングル音源、未発音源を加えた豪華装丁1stの2枚組盤が本作リリースまでに幾度も発売(その都度、買い直したなぁ…)されていたので、未発音源集を入れても『スタジオ作はまだ3枚目だったっけ!?』と、今更ながらに驚かされました(汗

それにしても、1stリリース時に既にバンドは分解状態でLIVEを衆目に披露した事のなかった彼等が、オリジナルメンツではないものの初めてLIVEを披露し、幻のベールを脱いだのがここ日本だったというのが実に感慨深いですねぇ…

しかし、長かった…待望の再結成作が出る出ると言われ、どれだけ待たされた事か…(´・ω・)

実際、2010年に本作のプロモとして4曲入りEP(本作に同曲が収録されているがNEW MIX版だ)がリリースされたものの、それ以降一向にアルバムがリリースされる気配がなかったのだから……8年は(プロモの意味ねぇ…)いくらなんでも待たせ過ぎじゃない? ねぇ?

さて、まず注目はバンドメンツについてだが、再結成LIVE時とラインナップが変わっており、LIVE時はオリジナルメンツは Robert Webb(keyboards,Vocals,Guitar)と Martin Henderson(Bass,Vocal)の二名のみで、後は新規メンツ3名を加えた編成だったが、本作制作にあたって Franc Holland(Guitars,Vocal)と Jode Leigh(Drums,Percussion,Vibes,Vocal)の二名が復帰し、オリジナルメンツ4人揃ってのリユニオン作となっている('(゚∀゚∩

また、LIVE時の新規メンツに加え、RIVERSEAの Marc Atkinson(Acoustic Guitar)をはじめ多数のゲストプレイヤーや、Robert Webb参加の未発音源『Rare Bird In Rock』がCD化されたばかりの女性ヴォーカリストの Jenny Darren嬢等を含むバッキングヴォーカリストを多数迎えて制作されているのも、これまでの彼等の作品との違いと言えるだろう。

で、サウンドの方だが、さすがにデビュー作のような先走った様なパワーや爽快感あるキャッチーさ、如何にもプログレというテクニカルな畳みかけは影を潜めているものの、ENGLANDなるバンド名に恥じぬ英国風味香るシンフォニックで穏やか、そしてクラシカルで気品ある、紛う事なき70年代直系UK・プログレサウンドを、分厚く複雑、そして荘厳なヴォーカル&コーラスを筆頭に、多種多様な鍵盤楽器(Mellotron、Hammond、Mini-Moog、Harpsichord、Piano、etc…)が繊細に、華麗に、格調高く、甘く切ないメロディをリリカルにファンタジックに織り成してゆく美しい様は、まさに“アノ”ENGLAND節以外の何物でもなく、実に素晴らしくて、本当に本当に感無量(つд`)

まぁ、冷静になって聞き直すと、繊細な美しさは申し分ないが、やはりデビュー作で聞けたようなキャッチーさやポップさ、そして他のUKプログ・バンドには余り見受けられなかった爽快感や開放感をもっと感じさせてくれれば文句は皆無だったのになぁ、などとモダン度が増して枯れた味わい系に傾いている彼等の現状のサウンドへ無い物ネダリしたくなる訳だが、これだけ時間が経過して当時と同じ心境で創作が出来る訳もないし、プログレ終焉期に彼等が最後の輝きを放った当時と時代背景も全く違う現状に置いて、これは仕方が無いと諦める他ないでしょうね……

もし彼等の作品に触れたことのない方がおられましたら、70年代直系UK・プログレサウンドなものの、妙に難解でもなく暗くアンキャッチーでもない、ポップでカラフルな親しみやすい柔和なメロディアス作にして驚異の完成度を誇る彼等の記念すべきデビュー作を一度チェックされる事を強くお薦め致します。

そうそう、ジャケのデザインが違う、センサーシップ対応版と丸見え(って程に猥雑な画でもないけどさ…)版がある(?)ようですが、私が購入したのは対応版でした。

c0072376_14580752.jpg1stのジャケは秀逸だっただけに、本作のイマイチなイラストのジャケには苦言を呈したい所はありますが、何はともあれやっとリリースされた新譜にこれ以上なんだかんだと言うのは無粋なので止めておきます…(-_- )



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# by malilion | 2018-09-01 14:49 | 音楽 | Trackback

英国の古楽プログ・バンドGRYPHONが41年ぶりに再結成第一弾作をリリース!

c0072376_15352403.jpgGRYPHON 「ReInvention」'18

イギリス王立音楽院出身の Richard Harvey(Recorders,Soprano,Alto & Tenor Krumhorns,Organ,Harpsichord,Harmonium,Glockenspiel,Mandolin,Classical Guitar,Vocals)と Brian Gulland(Bassoon,Bass & Tenor Krumhorns,Recorders,Keyboards,Vocals)を中心に71年結成され、73年にアルバム・デビューを果たし、77年の解散までに五枚のユニークな作品を残した、宮廷風味の強い古楽スタイルのフォーク・ロックとポップス、そしてプログレ(特にYES)の影響を消化し、中世~ルネサンス音楽とプログレッシヴ・ロックを融合させ再構築した唯一無二のオリジナリティ・サウンドを誇った英国産古楽プログレ・バンドの再結成作が遂にリリースされたので即GET!

オリジナルメンツによるリユニオンは15年頃に成ったものの創作活動は遅々として進まず、結果的にオリジナルメンバーであり中心人物でもあった Richard Harveyが多忙を理由に脱退してしまったが、75年作『Raindance』を最後に脱退していたオリジナル・ギタリストの Graeme Taylor(Guitars,Acoustic Guitars,Vocals)が43年ぶり(!)にバンドに復帰しており、オリジナル・スタジオアルバムとしては41年ぶり(!!)となる本作にも参加しているのが昔からのファンには嬉しいトピックだろう。

なお、Brian Gullandと Graeme Taylor、そして Dave Oberle(Drums,Percussion,Lead Vocals)のオリジナルメンバー三名に加え、Graham Preskett(Violin,Mandolin,Keyboards,Harmonica)と Andy Findon(Flute,Piccolo,Soprano Krumhorn,Soprano Sax,Clarinet.Sweetheart Fife)、そして Rory McFarlane(Bass)の新規メンバー三名を含む6人組バンドとして本作は制作されている。

73年のデビュー作以降、75年の4th『Raindance』まで主要四名は変わらず、ベーシストだけ不安定だったのが彼等5人組バンドだと覚えているが、売りであった古楽的フォーキーさが激減し、一気にポップ度と一般的なプログ・ロック度が増したサウンドが賛否両論な最終作5th『Treason』では Richard Harveyと Brian Gulland、そして Dave Oberleの三名のオリジナルメンバー以外に、新たにベース、ギター、専任ドラマーの新規メンツ三名を迎え、初めて6人組編成で制作された経緯があったのを、41年ぶりとなる本作の制作状況もソレに似たものがあるなぁ、などとフッと思い出してしまいました。

惜しくもアルバムリリース前に中心人物が脱退したというニュースにガックリきた昔からのファンな方も多いだろうが、往年のGRYPHONを彷彿させる本作の素晴らしい出来を耳にすれば、代役の大任を担った Andy Findonのプレイは Richard Harvey不在を一切感じさせぬ軽やかで艶やかなサウンドとテクニカルさを十二分に発揮し、再結成作の出来を少しも損なう事ない見事な仕事ぶりだと理解するのに時間は要すまい。

さて、本作の内容だが、飛び出してきた軽やかで忙しないピッコロの調べに艶やかなアコギの爪弾きが絡み合い、まさに“アノ”GRYPHONサウンドが展開されていくのに耳を傾けるだけでもう十分に幸せで満足な気持ちになれる待ちに待たされたこの新譜、やはり再現されているのはポップ度とエレキのパワーを借りたロック度の増す前の初期から中期、『Midnight Mushrumps』頃の古楽をメインにして活動していた時分のサウンドで、メンバー一同何を周りから求められているかをしっかりと理解している(理解してない再結成の多い事…)流石の方向性なものの、やはりこれだけ時が経過している為か全く“まんまのサウンド”という訳でもなく、幾分かモダンなタッチがサウンドのそこかしこから感じられるのと、Richard Harveyが不在だからこそ外側から見て“GRYPHONてこういうサウンドが特徴だったよね?”的な新規メンツによる故意的な再現やインプットも関係してか“古臭いんだけど妙に聞いた事のない新しい音”というような不思議な感覚に陥ることがしばしある一作と言えよう。

個人的にも、まんまの再現ではセルフパロに陥ってしまうし、全く過去を顧みないサウンドを展開されても期待外れ作になるのは確実だったろうから、本作のような懐古趣味的な再現を果たしつつ、新しいサウンドも気付かぬ内にしたたかに組み込まれている、というような難しい顧客の要求に応える優等生なサウンドは、さすがのキャリアと英国ミュージシャンの気概を感じさせてくれて大変気に入っております(*´ω` *)

まぁ、この奇跡的なサウンドバランスに仕上がったのは Richard Harvey不在だからこそとも言え、もしオリジナルリユニオン状態のままで創作が進んでアルバムが完成していたなら、果たして一体どのような方向性だったのか、幾分か今風に変わっていたのか、どんな完成度だったのか、と尽きぬ妄想が膨らんでしまいますよね。

そうそう、本作収録の10曲目のトラックと以前リリースされていた『The Collection II』'95 収録のアルバム未収録曲と同名曲ですが作曲者が違う別曲ですので、お間違いのないように。

尚、本作は日本先行発売、紙ジャケット仕様、SHM-CD、さらにボーナス・トラックを1曲収録となっており、海外盤ではまた収録内容が変化するかもしれませんので、ファンの方は今後のリリース情報から目が離せません。

古楽器を用いた異色の編成で中世音楽を演奏するフォーク・スタイルから出発し、ポップスやロック要素を加えつつYESとの接触で一気にプログレ度を増大させ、ジェントリーなヴォーカルによる穏やかなコーラス、フォーキーだったりトラッドだったりと様々にその色を変えながらリズミカルに展開していく控え目だが着実にバンドサウンドの要所を押さえている繊細なギター、古楽風のフレーズを交え細やかに宮廷風な雅を奏でる気品ある多彩なキーボード、そして古楽で鍛えた精緻なアンサンブルの如何にもプログレらしいスリリングな演奏を披露し、独特のサウンドを展開し続けた何者にも似ていないGRYPHONサウンドを、もしまだ耳にした事が無い過多がおられるなら、これを気に一度彼等の作品に触れてみる事をお薦め致します。



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# by malilion | 2018-08-30 15:30 | 音楽 | Trackback

地味に10年超えのメロハー・プロジェクト Joe Lynn Turner率いるSUNSTORMが5thをリリース!

c0072376_21330052.jpgSUNSTORM 「The Road To Hell」'18

言わずと知れたメロハー業界の仕掛け人イタリアのFrontiers Recordsが企画した Joe Lynn Turnerを中心に据えたAOR&メロハー・プロジェクトの約2年ぶりとなる5thアルバムがリリースされていたのを今頃購入。

先行公開された新アルバムの楽曲を聴いて、安心の出来と方向性と分かったのでここまで購入が遅れてしまいました(スマヌ

前作『Edge Of Tomorrow』'16 から参加メンバーを一新し、Frontiers Recordsで数多くのプロジェクトに参加し、楽曲も提供している Alessandro Del Vecchio(Key&Vo:EDGE OF FOREVER)等を起用し、当初のAOR寄りなサウンドからよりハードタッチな楽曲を含むアルバムを制作しだした本プロジェクトだが、米国人が率いているにも関わらずウェットで愁いを帯びたメロディのユーロテイストと爽快感あるポップでキャッチーなアメリカンさも兼ね添えた叙情派メロディアスHRという方向性は本作でも変わっていない。

元々、Joe Lynn Turnerの幻の2ndソロアルバム用のAOR的な楽曲を世に出したいという動機から本プロジェクトが始まったのに、よりハードなサウンドへ変化していく流れが Joe Lynn Turnerのこれまでの活動や発言を考えると中々に興味深いですよね。ホントにHRが好きなんだなぁ(*´ω` *)

前作同様に Alessandro Del Vecchioをソングライティングのメイン・パートナー(最近バンド活動より専ら裏方作業ばっかだよなぁ…)とし、同じく前作に続きL.R.S.などFrontiers企画のプロジェクト作品にも多数参加している Nik Mazzucconi(B:EDGE OF FOREVER)と、イタリアン・プログHMの頂点と個人的に大絶賛しているDGM在籍の Simone Mularoni(G)、そして Francesco Jovinoから新たにFOLKESTONEの Edo Sala(Ds)へチェンジした布陣で制作された本作は、そんな Joe Lynn Turnerの起用に応えるべく、職人達によって緻密に創り込まれ、磨き上げられた Joeのパフォーマー、フロントマン、そしてミュージシャンとしての魅力を存分に知らしめるキャッチーでフック満載のハードでメロディアスな楽曲が目白押しな、メロハー好きなら大満足間違いなしのハイクオリティな快作と言えるだろう。

以前の紹介時も苦言を呈したと思うが、やはりどうしても予定調和的な展開やメロディの流れやフレーズ等が耳につき、新人バンドのデビュー作を聞くような新鮮な驚きは流石に無いもののよりバンド作らしい音に仕上がっており、以前感じた作り物っぽさは本作において綺麗に払拭されているのが地味に嬉しいポイントでもあります。

Joe Lynn Turnerの上から下までよく伸びるキャリアに裏打ちされた抜群の歌声とエモーショナルな熱唱もさる事ながら、Alessandro Del Vecchioの派手なオルガンソロやシンセワーク、そして名手 Simone Mularoniのテクニカルで流暢なフレージングや、ツボを心得た無駄ないコンパクトなギター・ソロも本作では楽しめ、ヴォーカリストのソロ作じゃないんだぞとばかりなスリリングに疾走するHRサウンドとバンドメンツ各員の熱演が非常に心地よいんだな~('(゚∀゚∩

以前のソフトロック路線から幾分ハードなサウンドになってはいるものの、基本は爽快にして哀愁漂う大人の魅力満載な“安定の王道メロハー・サウンド”をプロフェッショナルなソングライティングチームと有能な裏方ミュージシャンで隙無く固めているのに変化はありませんので、高品質のポップでキャッチーなメロディアスHR作をお求めの方に迷わずお薦め出来る安心安定な一品です。



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# by malilion | 2018-08-26 21:25 | 音楽 | Trackback

シンフォから一気に演劇サウンドへ?! ドイツのCENTRAL PARKが7年ぶりの新譜をリリース!

c0072376_19182745.jpgCENTRAL PARK 「At The Burial Vault」'18

ドイツ産ネオ・プログレバンドの前作から7年振り、バンド結成35年目の節目作となる3rdがリリースされたので、ちょい遅れてGET!

デビュー作はEL&PにASIAをMIXしたような(本人達的にはYES、MARILLION的UKプログレ系サウンドとSAGA、ASIA的メロディアス・ロック的サウンドをMIXさせていると考えている模様)ポップでキャッチーな歌メロやフレーズ、そしてコンパクトな楽曲なものの、キーボーディスト Jochen Scheffterの自己主張の強い古典的UKプログレ風な鍵盤の音色やその重厚なプレイとサウンドが90年代初期風なモダンさも感じさせるバンドサウンドと少々ギャップがあったけれど、83年に結成されたにも関わらずなかなかアルバムデビュ-が叶わなかった焦燥感と抑え切れぬ熱き想いが伝わってくるような力作でした。

プログレ系には珍しく濁り声のフロントマン Heiko Mockelを06年の1st『Unexpected』では起用していた彼等ですが、11年の2nd『Reflected』で Jannine Pusch嬢なるフィメール・ヴォーカリストを迎え、より繊細なタッチの活かされた20分越えのシアトリカルな組曲も披露するモダン・シンフォ系サウンドへ進化した訳でしたが、個人的には女性フロントマンになった事でデビュー作で感じられた迸るようなロック的パワフルさや、ASIA的キャッチーさがそのサウンドや歌メロから著しく減退した事もあって、Jochen Scheffterもバランスを考慮したキーボードプレイを聞かせていただけに残念で、そして退屈な一作でありました…('A`)

で、久しぶりの新作なのに『葬儀場で』なる、暗さ爆烈なアルバムタイトルでちょっと不安になる本作で再びメンツ変動があり、長らくドラマーを務めてきた Artur Silberが12年にバンドを脱退した後、Holger Roderなる新ドラマーを迎えたにも関わらず、今度は特に癖もなくソプラノ主体の典型的フィメール声なもののパワーが無く歌唱スキルにも少々問題のあった Jannine Pusch嬢が脱退、代わって初代ヴォーカルの Heiko Mockelがフロントマンとしてバンドに復帰するがバンドメンツとの住まいの距離が離れていた事(ケルン在住)が創造的な作業を続ける上で大きな障害となり最終的には脱退し、15年秋、新フロントマンに再びフィメール・ヴォーカリスト Barbel Kober嬢を迎え、本作の創作に挑む事になった模様だ。

女性ヴォーカリストながらパワフル且つ濁り声などでドスのある歌声も聞かせ幅広い表現力と歌唱法を誇る Barbel Kober嬢のエネルギッシュな歌声は前任者より癖が強く好みが分かれる所だろうが、より複雑でシンフォニック、そしてテクニカルで重厚なサウンドへ進化したCENTRAL PARKの多様な要素を含んでいるバンドサウンドを表現するには彼女の歌声の方が適しているのだろう。

個人的には Barbel Kober嬢の歌声は好みじゃありませんし、低音ダミ声を多様するヴォーカルアプローチも(オマケにオバちゃんじみたルックスも…)好きではありませんけどね…

美声で美人のフィメール・ヴォーカリストをフロントに据えて、ってのがプログレ好きには多いように思うんですが、その点では彼等の選んだアプローチは余り受けないように思うなぁ…('A`)

デビュー作当時のASIAやEL&Pを感じさせるポップさやキャッチーさは本作に置いて殆ど姿を消しているのが個人的に残念でなりませんが、どうやらコレはオーストリアの劇場の舞台俳優 Ferdinand Pregartnerと協力して"Verbal Inferno Meets Rock Music"なる演劇を2017年に行い、その音楽にCENTRAL PARKが全面的に参加してた事が影響してか、より大仰で複雑、そしてダークでミステリアスなヘヴィ・サウンドへ、大きくバンドサウンドが変化した要因と考えられます。

まぁ、本作に置いてもデジタリーなアレンジや打ち込みリズム、そしてシアトリカルで不安を煽る様なヴォーカル・アプローチ等、常に前作で見られぬ新要素を加味してバンドサウンドを進化させ新たなサウンド形態やアイデアを具現化している点を見るまでもなくバンドはしっかりと“プログレス”し続けて“今”のサウンドへ挑み続けている訳だからプログレバンドとしちゃなんら間違った事をしてる訳じゃないんですよね。

ただ、その選択し進んだサウンドが初期に較べて大きく好みじゃない、ってのがネックなだけで…orz

また Ferdinand Pregartnerと協力しての小規模な演劇ステージの為にバンドサウンドを大きく変化さた結果、今までのロック的なサウンドアプローチを捨ててジャズやスイング等の要素を加えたアコースティック・サウンドをメインとするパフォーマンスや方向性が好みで無かったのか Holger Roderは17年後半にバンドを脱退し、代わってアフリカン・ビートに精通している Arnold Zohrerなる新ドラマーをバンドは迎えている。

そして、今後バンドはこの演劇ステージで選択した凝った構成のアコースティック・サウンドをメイン(!?)とするサウンドで活動するらしい……(汗

以前のようなロック形式のLIVEには12年に脱退した Artur Silberが時間が許せばヘルプでドラムを叩いてくれるらしいが、ロックパフォーマンスより芸術的なミュージカル・サウンドに近い、ジャズとロックを融合させたサウンドをメインとするバンドの次なる新作が出るとしても…ちょっと…購入するかどうか悩みますね…

次はプログレ・フォークのカテゴリーなサウンドになるんかなぁ…?

美声のフィメール・ヴォーカルものがお好きな方や、以前のようなASIA的なポップでキャッチー、そしてEL&P的な古典的プログレなシンフォサウンドをお求めの方は本作に手を出さない方が無難でしょう。

相変わらず所々で美しいピアノやキーボードの音色は聞こえるものの、久しぶりに届けられたアルバムが大きくガッカリな方向性のアルバムでちょっと悲しいです…(つд`)




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# by malilion | 2018-08-25 19:13 | 音楽 | Trackback

ブルガリアのHMバンド?? ブルガリアン・プログHMバンドMUSIC STATIONの唯一作。

c0072376_02302026.jpgMUSIC STATION 「Shaping」'03

ラック漁っててまた転がり出てきた懐かしのアルバムをご紹介。

ブルガリア産ツインG&Keyを擁する6人組メロディアス・プログレッシヴHMバンドによる'03年リリースのデビュー・アルバムにして唯一作だ。

ブルガリア共和国はバルカン半島に位置し、北にルーマニア、西にセルビア、マケドニア共和国、南にギリシャ、トルコと隣接し、東は黒海に面している文化の交差点とも言える国で、その首都ソフィアでバンドは02年に結成されている。

一聴して分かるのが、彼等は夢劇場のフォロワー・サウンドがバンドの出発点だと言うこと。

ただ、既に夢劇場の影響から大方は脱しており、剛柔様々な声色を使い分け艶やかで見事な歌唱を披露する Pavilin Manevのヴォーカルスタイルに James LaBrieの影響が窺えるものの、バックのサウンドは所謂定番の夢劇場フォロワーではなく、特にキーボーディスト Boris Zashevの古典的ユーロ・プログレやクラッシックの影響を窺わせる軽やかでテクニカルな鍵盤捌きや、リズム隊のエスニックな香り漂わす音色やプレイ、そして一風変わったリズムパターンやJAZZっぽいプレイは本家夢劇場で聞けぬテイストで十分にオリジナリティを感じさせ、メロハーとプログHMをMIXさせたような上品さとキャッチーさのある爽快なサウンドは独特で、これ一作でバンドが終わってしまったのが実に残念でならない。

逆にリーダーでギタリストの Ventzy Velev(G)と Jordan Donov(G)のテクニカルなプレイやヘヴイなフージングが幾分か類型的プログレHM的と言え、一番夢劇場的な要素を臭わせているように思う。

ただ、彼等がデビューしたのが03年と、夢劇場症候群バンド達が触発された92年作の『Images & Words』との時間的距離が幸運にも空いている事もあってか、本家もサウンドを変化させていた事もあるし、92年以降世界中で雨後のタケノコの如く出現した露骨な夢劇場フォロワー群と同じ亜流サウンドへは成りにくかったとも予想出来る。

ブルガリアのシングルレーベルUBPからのリリースだった事や、予算の都合上で約1週間でレコーディングを終了させ、約一ヶ月でミックスダウンとマスターリングを完了させたアルバムにも関わらず、インディ・レーベルもののプログHM作品としてはかなりの上物、隠れた名作と言えるだろう。

実際、当時ディストリビュートされた日本やアメリカのローカルラジオ番組等でかなり好意的にアルバムは迎えられ、勢いバンドはプロモーションLIVEを首都ソフィアで計画したものの、残念ながら Boris Zashev(Key)と Radoslav Haralampiev(Ds)がLIVE活動を拒否した為、バンドはアルバム1枚をリリースしたのみで空中分解してしまったらしい…(つд`)

まぁ、バンドサウンドのイニシアチブを握り独特なカラーを創りだしていたその二人が居なくなっては、アルバムのサウンドの再現も難しかったでしょうから、活動継続を断念したのもむべなるかな、ですかね…

今となっては入手困難かもしれませんが、フランスのMuseaがディストリビューションに関わっていたので意外に輸入盤取り扱い店で未だにストックしていたり、中古盤で転がってる事もありますので、もしご興味あるなら一度チェックしてみて下さい。

そう言えば東京で営業中のブルガリア・レストランの音楽好きな日本人オーナーがバンドのデモを聞いてコンタクトを取り、本作の制作に尽力(プロデューサーのクレジットに注目!)したと言うのも、本作を一層に特色づけているトピックでもありますね。

以降、ブルガリアからのプログHMやプログレ系バンドのニュースは聞かないんですが、もしかしてまだ見ぬ未完の大器や、期待の新鋭インディ・バンドなんかがここ日本に全く知られる事なく精力的に活動しているのかもしれませんし、多文化が入り交じる地域的にプログレ系に有利なんじゃないかと思うので、またその日本人オーナーさんが有力バンドなんぞをガンガン紹介してくれると嬉しいなぁ(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-08-15 02:24 | 音楽 | Trackback

ドイツ産だけどアメリカンロック?  E・Martinがゲスト参加なHARTMANNの新譜がリリース!

c0072376_09401388.jpgHARTMANN 「Hands on The Wheel」'18

元AT VANCEのフロントマン&ギタリスト Oliver Hartmann率いる4人組ドイツ産AOR&メロディアス・ロックバンドの2年ぶり通算6作目がリリースされたので即GET!

ドイツ産バンドなのに如何にもアメリカンなAOR風ロックサウンドが身上の彼等だが、前作よりカントリー・テイストも取り入れる事により益々アメリカン風味が増した彼等だが、本作もその路線は変わらず、言われなければドイツ産バンドのアルバムとは決して思わぬアーシーで埃っぽい枯れたサウンドが味わい深いオールド・アメリカンスタイルが顕著なメロディアスな作品だ。

サウンドがアメリカン路線だからか、以前から白蛇のデビカバ風っぽかったりMr,BIGの Eric Martin風っぽかったりの抜群に上手い歌心に満ちた渋いヴォーカルを披露する Oliver Hartmannだが、今作では遂にそのMr,BIGの Eric Martin(!)がゲストで一曲に参加となって、一気にバンドサウンド及びヴォーカル・スタイルの焦点が絞り込まれた感が強まっている。

それにしても Eric Martinをフィーチャーしての楽曲で、堂々と対等に渡り合ってデュエットしているのを聞くと Oliver Hartmannはホントに歌が上手いんだなぁ、とハッキリ再確認させてくれました。

これでギターの腕前もリードギタリストを兼ねられる程のテクニカルな技巧派ってのが、ホントに嘘みたい(*´ω` *)

無い物ネダリなのは分かっちゃいるけど、デビュー当初のHMバンドに相応しいハイトーンのパワフルシャウトで喉を唸らせていた Oliver Hartmannの歌声が実に格好良く好きだっただけに、この激渋路線の穏やかで深みある歌声ばかり披露する路線が少々残念だが、まぁ騒々しくスピーディーなHMサウンドと決別してソロバンドを立ち上げたんだし、今さらそれを言うのは野暮ってもんでしょうね…('A`)

埃っぽくアーシーなオールドスタイルのアメリカン・ロックをベース(EAGLESみたいなサウンドが飛び出してきて苦笑)にしつつ、AOR風なヴォーカルアプローチやカントリーテイストも隠し味に、少々メロハーっぽいギターサウンドやプレイなんかでダレそうになる楽曲を程良くキリリと引き締めてエッジとフックを加味したバランス抜群なそつ無いサウンドって、一番近いのはポピュラー系ポップスなんだろうけど、こちらの方が断然にサウンドが持つ躍動感が上だし、歌メロだったりバックの演奏に隠し味的にユーロティストが漂ってキャッチーさとウェットさも忘れていない、US産ポップアーティストには無い深い味わいが実に素晴らしい欲張りなバンドサウンドを披露してくれる。

バンドメンツに変動はなく前作と同一なものの、前作は意図してかカントリーっぽい乾いたギターの音色といい、かなりアメリカン・ポップスを意識したドライな音創りが耳を惹いた訳だが、本作ではもう一度以前のアメリカン路線だけどウェットさを残した音に戻っているのは微妙ながら個人的に気になるポイントでした。

まぁ、あんまりやり過ぎると只のアメリカン・ロックの劣化コピーになってしまうので、ユーロ圏バンドとしてのアイデンティティも保ちつつな各種要素をMIXさせてモダンに仕上げた音、ってスタンスなのかもしれませんね。

バランス重視で刺激強めな音楽性って訳でもないし、前作と同じくミッドテンポとバラードな楽曲が多く、ややもすると今時の若いロックリスナーにはダレて聞こえる渋過ぎなサウンドかもしれないが、適度にアップテンポな楽曲も挟みつつ、幅広い音楽性と抜群に上手い歌声の妙で聞く者の耳を惹きつけ、最後まで飽きさせぬのはお見事と言う他ないでしょう。

これだけ見事なアルバムをリリースしているのに知名度がイマイチなのは、やっぱりモダンでシャレオツな音楽性に反してムサい鬚ズラなオッサン達の風貌(汗)なせいなのか、分かりやすい刺激に乏しい味わい深い系AOR&ロックなせいでしょうか……(´・ω・)

そうそう、前作にあったアルバム本編が終わってからの隠しトラックを今回も期待しましたが、流石に二作続けてはありませんでした(w

白蛇好きな方やMr,BIG系のアメリカン・ロック好きな方は、ドイツ産と思えぬポップでキャッチーな高品質アメリカンAORサウンドですので是非チェックしてみて下さい('(゚∀゚∩





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# by malilion | 2018-08-14 09:33 | 音楽 | Trackback

英国メロディアス・ロックバンドDAREがデビュー作30周年を記念し、リレコーディング作としてリリース

c0072376_19513461.jpgDARE 「Out Of The Silence II」'18

記念すべきデビュー作『Out Of The Silence』リリース30周年を祝し、88年作を再録音したAnniversary Special Editin盤がリリースされたのでGET!

再録とは言っても当時のメンバーはもうリーダーでフロントマン、そしてキーボーディストの Darren Whartonと復帰したオリジナルギタリストの Vinny Burnsしか居ないので当然サウンドのタッチも変わる訳だが、新曲があるわけでなし、プロダクションもプレイもオリジナル盤に及ばないという、本当に熱心なファンから集金する為だけの再録記念盤と言えよう。

オリジナルにあったメロハー的なエッジや瑞々しい清涼感、そしてロック的なダイナミクスや雄大さがすっかり失せ、どっぷりとソフトケイスされ奥行きの無いサウンドのAOR作と言っても過言ではない実に穏やかに美しいメロディが蕩々と終始流れていく…('A`)

唯一評価出来るのは Darren Whartonのヴォーカルスキルが向上している点と、オリジナルより一段と円熟味の増した深みあるプレイや絶妙な“泣き”のフレージングを Vinny Burnsが垣間見せてくれる点で、その差を聞く為だけのアルバムと断言してもいい。

あ、7曲目の“King of Spades”だけExtended Editionとなって、オリジナルは4分後半台だったが6分30秒と大きく楽曲タイムが長くなっております。

手厳しい事を述べましたが、近年のすっかり牙が抜けて惰弱なAORバンドに成り下がってしまった彼等のアルバムしか知らぬファンの方ならば十分に受け入れられる穏やかで優しいメロディが終始奏でられている内容なので、実は未だにオリジナル1stが入手出来ていない、という方にはこの記念盤は嬉しいサプライズなのかもしれない…

元THIN LIZZYの Darren Wharton率いる新鋭ハードロックバンドのデビュー作! って、売り文句で当時は紹介されてたなんて、今のサウンドからは全く想像出来ないよなぁー…

いや、その前にオリジナル盤をリイシューすればよくね? やっぱレコード会社的な契約で再発出来無い、ってヤツですか? そんなにメチャクチャ売れた訳でもあるまいし、そう版権高くもないっしょ? ああ、権利どこぞの再発レーベルが買い取ってくれないかなぁ…('A`)

80年代末期のゴージャスでバブリーなHM全盛期の残り香を纏った期待の新鋭バンドだった頃の彼等を知る身としては、今の気の抜けたコーラみたいなサウンドが唯々悲しいのですが、まぁ、長い時を経て彼等はAORバンドになったんだ、と割り切れればそう本記念盤も悪い出来ではない…のかな…?

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しかし、このいバンドって再録が好きですねぇ。

以前も3rdアルバム『Calm Before The Storm』を再録してましたが、初期のロックテイストがあった楽曲を今の軟弱AORサウンドへ改変しないと気が済まないんでしょうか?

それともデビュー作故に色々と心残りがあって、それでこの穏やかなサウンドに?? それこそ、何故に??

つーか、この内容で Vinny Burnsは納得しているの? TENよりソフトなバンドに、どうして未だに在籍するの??

……これ以上何か述べても懐古ジジィの戯言みたいにしかならないので、本作の評価についてはどうぞ各自ご自身の耳で判断して下さい。




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# by malilion | 2018-08-04 19:47 | 音楽 | Trackback

テクニカル・オセアニアン・モダン・シンフォバンドの期待の新星SOUTHERN EMPIREが待望の2ndをリリース!

c0072376_13060077.jpgSOUTHERN EMPIRE 「Civilisation」'18

解散・分裂したオーストラリアのメロディアス・シンフォニック・バンドUNITOPIAのキーボーディスト Sean Timmsが新たに結成した5人組技巧派モダン・シンフォバンドの15年デビュー作に次ぐ2ndが3年ぶりにリリースされたのをちょい遅れてGTE!

デビュー作はスタジオLIVE映像を収録したボーナスDVD付きの2枚組豪華仕様と大盤振る舞いだったが、続く本作もデジパック仕様なもののボーナスDISC等は付属していない通常の1枚ものだ。

洋上を行く帆船だったジャケデザ(KANSASっぽいサウンドかな?と期待したのは内緒だ)が、本作ではFINAL FANTASYを連想させる幻想的でSFチックな飛行船へ変更されており、その如何にもプログレ系という月夜を進む飛行船の美しくファンタジックな姿に弥が上にも期待が高まるが、そんな想いに応えるハード&テクニカル志向のスケール感抜群な上に爽快なキャッチーさ満点のプログHM&シンフォ・ロックサウンドを今回もバッチリ披露してくれている(*´ω` *)

デビュー作の触れ込みで比較されたバンドは、TRANSATLANTIC、MOON SAFARI、CIRCUS MAXIMUS、MIND'S EYE等だったが、それらのバンド群をより一段とモダンでシャープ、そしてフュージョンにも通じるテクニカル志向へシフトさせたそのサウンドは、Danny Loprestoのミドルメインでちょっと高域で掠れるけれど、ストレートで朗らか、そしてパワフルな歌声が実に魅力的で、US産バンド群より幾分ウェット感あるサウンドの上をしっかりとキャッチーな歌メロやメンバー達の流暢なコーラスがフィーチャーされていて、インディ・プログ系バンドがしでかすメロディそっちのけで無駄に展開が凝っているだけの楽曲を延々と披露するような自己満足的なアマチュア臭さは皆無な、冒頭から最後の一音に至るまでプロフェッショナルなミュージシャンシップが炸裂するメロディアス且つドラマティックな傑作でありました。

バンドを創設までしたのだから当然だが、デビュー作では華麗で煌びやかな Sean Timmsの軽快なキーボードプレイが俄然目立って耳を惹きつけていたが、シンフォ系定番のクラシカルで重厚な音の壁をキーボードが構築するような三流ポンプバンドのような無粋はせず、JAZZやAORっぽいムーディーさだったりエキゾチックなムードのフレーズやリズミカルなプレイが実に新鮮で、若干メタルテイストあるプレイやフレージングを聞かせる Cam Bloklandのテクニカル且つエモーショナルなギタープレイを筆頭に実力派インスト陣が織りなす巧みなプレイも総じてハイレベルで、歌モノ楽曲のようなヴォーカルをメインに据えたキャッチーさも兼ね添えたフュージョンチックでモダンな楽曲構成の一癖も二癖もあるスピーディーな切り返しや、バンド一丸になって畳みかける疾走感ある怒濤のアンサンブルは手に汗握るスリリングさで圧巻の一言('(゚∀゚∩

本作でもその妙は変わらず楽しめ、前作の音楽性を踏襲しつつダイナミックさと繊細さに更なる磨きを掛けたテクニックとセンス共に申し分なく聴き応え抜群なアルバムで、下手をすると前作以上に軽快で独特なファンキーでダンサンブルでさえあるリズミカルな楽曲が巧みなコーラスも配されたシャレオツなヴオーカル・オリエンデッドな作風で展開され、彼等が単なるバカテク集団なだけでない、まず第一に楽曲と歌をしっかりと聴かせる事に注力している本当の意味でプロフェッショナルなミュージシャン集団なのだと再確認させてくれる。

キャッチーでメロディアスなフックある Danny Loprestoの華やかな歌メロをメインにメンバー全員で幾重にもうっすらとコーラスを時間差で重ね織り成すポップスのような様や、デビュー作で要所要所をピリリと引き締めていたメタル・テイストなギターサウンドが減退している為か、全体的に前作よりサウンドがソフトになったかのようなイメージを一聴して受けるが、シンフォ度は本作の方が断然上で楽曲のスケールも一段と増し、所々に配されるKANSASチックなストリングスが紡ぐメロディは極上の美しさで、ハッタリ抜群のキメ技連打や高速ユニゾン・バトルも控え目ながらしっかりとフィーチャーされており、前作より引きのパートが多く感じるものの(ミステリアスなフレーズやリズムがイイ!)それがより一層にアルバムが語るストーリーのイマジネーションを掻き立て、随所で光るリーダー Sean Timmsの操る鍵盤が紡ぐシンフォ・アレンジもハイソで嫌味無く、実にモダンで優美なバンドサウンドの気品を増す一役をさり気なく担っているのは見事の一言に尽き、全てが高い次元で結実した結果、バンド2作目にして驚きの完成度を誇る爽快ドラマティック・サウンドなアルバムに仕上がったのだろう。

いやホント、これだけテクニカルでシンフォニックなサウンドなのにユーロ圏のバンドのような重厚さは程々でスタイリッシュに纏め上げられ、それでいてキャッチーな歌モノな印象が大きく残るモダン・ロックサウンド、尚且つ米国産バンドのようなドライさやポップスのような軽薄さは皆無に仕上げられているのは生半可なセンスやコンポーズ能力じゃ不可能ですよ。ええ。

ぶっちゃけ、このバンドのアルバムの国内発売が何故見送られているのか謎過ぎます(ツд`)

SPOCK'S BEARDやTRANSATLANTIC、MOON SAFARI等が国内盤リリースされているのなら、同じ客層に絶対に受けると言うのに…

近い将来、必ず国内盤がリリースされるだろう期待の新鋭バンドとして、是非皆さんも今は外盤を購入して彼等を応援してあげて下さいね。

また、前作に引き続き多国籍なメンバーが名を連ねるTHE SAMURAI OF PROGからヴァイオリン&フルートを操る Steve Unruhがゲストに招かれアルバムに華を添える、華麗にして艶やかなプレイを披露しているのもデビュー作を気に入った方には朗報ですね。




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# by malilion | 2018-08-02 13:01 | 音楽 | Trackback

3の2nd? いいえ、3.2なる新ユニットだけど、実質 Robert Berryのソロ作みたいなアルバムです。

c0072376_11211654.jpg3.2 「The Rules Have Changed」'18

米国プログレッシヴ・ロック界でも名うてのマルチ・プレイヤー、Robert Berryが Keith Emerson(Key)と Carl Palmer(Ds)とで88年に結成し短期間で消滅してしまった3を復活させて新作をリリースしたので即GET!

……したはいいけど、うーん…なんていうか、レビューするのに困ってしまう一枚なんですよね。

モヤモヤした気分を抱えて何度か繰り返し聞き続けて見たんですが…

“あの3”の続編という触れ込みで情報が飛び込んで来たものの、実際には Keith Emersonと Robert Berryのみのコラボレートで、そこに Carl Palmerは一切関わっていない、“3.2”なる新名義ユニットの作品という事実。

Robert Berryとのコラボレーション途中で Keith Emersonが自殺してしまった為に楽曲のアイディアが完成しているのは数曲のみ(Keith&Robertのクレジットからなる楽曲は全9曲中4曲のみ)で、まだまだアルバムは未完成だったという事実。

残されたアイディアや楽曲構想を Robert Berryが独力で再構築し、全ての楽器を演奏し、歌い上げ、まさに八面六臂の活躍でアルバムを完成させた、Keith Emersonのプレイは一切収録されていない、実際の所は Robert Berryのソロ作に近い状況な作品だという事実。

こういった情報を耳にすると、どうしたって感傷的な気分になるし、Keith Emerson生前最後の楽曲という価値も手伝って、本作を無下に出来かねる状況にならざる終えない訳なんですが…(汗

上記の情報を一切排除してアルバムの音だけに耳を傾けてみると、実際キーボードのフィーチャー具合もなんだかイマイチな、意図して3のデビュー作っぽいキーボードサウンドを再現しているけれどソレは結局音だけだというチグハグな部分(Keith Emersonっぽい音で他人が中途半端な再現度の演奏をしている、という印象)を感じる点や、盟友の死というヘヴィな状況を乗り越えてアルバムを完成させた疲労や苦悩からなのか Robert Berryの歌声が所々でいつになく疲れて荒れたような印象を受け、その為か肝心な歌メロも彼の他のソロ作と比べてキャッチーさや艶やかさが欠けて聞こえ、オマケにサウンドを3に近づければ近づく程 Carl Palmer不在が大きく影響したのかリズムに力強さやキレ、独自性が薄い、というなんとも煮え切らぬ完成度のアルバムに聞こえるのです。

なんて文句を垂れておいてなんですけど、冷静になって考えてみればオリジナルの3のアルバムだって、やたら大仰に鳴り響く弾きすぎなキーボードに、やたら自己主張の強いうるさいドラムスが耳につくバランス極悪なサウンド(当時はやたら Keithの大仰なキーボードイントロがTVでジングル代わりに使われてましたねぇ)であったのを、当時殆ど無名だったベースとヴォーカルの Robert Berryがそのプレイで懸命に繋ぎ止めてなんとか曲の態にしていた、と考えるとむしろ本作3.2のサウンドの方がバランスは重視されていて、よりヴォーカル・オリエンテッドで纏まってる作風と言えなくもないんですけどね(汗

とまれ本作の評価は、何を求めてこのアルバムを購入したかで大きく変わってくるのではないでしょうか?

幻の3の復活という幻影や、故 Keith Emersonの残した楽曲や、彼の残り香的なものを求めている向きには十分に本作を楽しめると思います。

3というEL&Pを現代的にブラッシュアップしたバンドが、さらに今現在のモダン・サウンドで蘇るハズ! と思っていた向きには少々不満が残る出来に思うのではないでしょうか?

GTR、3、へ参加した後、米MAGNA CARTAレーベルお抱えミュージシャンとなって多数のコラボやトリビュート作や数多くのバンドの作品への参加を知るRobert Berry個人のファンで、彼のコンポーズ能力が活かされたキャッチーでフック満載なAOR&メロハー的なサウンドを求める向きは、残念ながら殆ど愉しむ事が出来ぬ一作となってしまうのではないかと…orz

まぁ、本作を購入される殆どが、3の続きや Keith Emersonが残した最後の作品を聞きたい、という忠実なファンの方達でしょうから、これ以上何か言うのは無粋でしょうし、この辺りで終わりにしておきます。



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# by malilion | 2018-08-01 11:14 | 音楽 | Trackback

CHICAGO meet DEF LEPPARDなプロジェクトPLANET3の声、CLIF MAGNESSの約24年ぶりの2ndソロがリリース!

c0072376_19483931.jpgCLIF MAGNESS 「Lucky Dog」'18

番組テーマ曲やCMで楽曲が取り上げられ91年当時知名度がメチャクチャあった事もあってAORファンやメロディアス系のサウンドを好む方以外でもご存じかもしれない、AIRPLAYやセッション活動で有名なギタリスト Jay GraydonとMichaelJacksonの“Man in The Mirror”の作曲者としても知られる Glen Ballardと組んだメロディアス・ポップ・プロジェクトPLANET3のヴォーカル、ソングライティングを担っていた Quincy Jones、Celine Dionや Avril Lavigne 等の大物アーティストに楽曲提供やプロデュ―スを行い、グラミー賞を受賞しオスカーにも顔を出すテキサス州出身の売れっ子シンガー&ソングライター Clif Magnessの約24年ぶりとなる2ndソロアルバムがリリースされたので即GET!

彼の名前とこれまでのキャリアを考えればアルバムを聞く前から隙ない売れ線バッチリな高品質ポップアルバムであろう事は分かっている訳ですが、なんとこんな素晴らしいアルバムが彼の本国USAでは未発売で、日本とヨーロッパ圏のみでのリリースだと言う。

米国ではもうこの手の完成度の高い産業ロック&AOR作へのニーズが乏しいらしいという事のようだが、俄には信じられませんね。

つーか、クソみたいな勢いだけのチープなサウンド鳴らしてるガレージバンドばかり持て囃して、こんなプロ中のプロの高品質作を評価する余地がシーンに無いなんて、アメリカの音楽業界は大丈夫なんでしょうか? ちょっと心配になってしまいます…

さて、こんなにソロ作の間が空いたのはひとえに彼は売れっ子で、自身の活動より他のミュージシャンとのコラボレートやプロフデュース、作詞作曲等の裏方作業に引っ張りダコだった為なのはその足跡を調べれば一目瞭然な訳ですが、そんな彼が久々に届けてくれたソロアルバムのサウンドは、意外な程にハードドライヴィングでワイルドなギターがフィーチャーされた、すわVAN HALENかGIANTかという疾走感あふれるロック・チューンが多目な一枚となっており、デビューソロ作やPLANET3に近いAOR系サウンドを予想していたので正直驚かされました。

裏方作業でソフトポップや売れ線メインの制約がある“お仕事”が散々に続いたので、その反動で本作のようなハードなギターをメインに据えたサウンドの、AOR作というよりも殆どメロハー・アルバムと言っていい構成になったのかもしれませんね。

ハード目なサウンド中心とは言ってもAORマスターの名に相応しく、美旋律と爽快感抜群なコーラスが心地よいAOR風な楽曲や、彼の力強くクリアなハイトーン・ヴォイスをバッチリとフィーチャーしたメロディアス・ポップな楽曲、それに当然、切なく叙情的なメロディが映えるミディアム・バラードまで、フック満載な歌メロが最後まで途切れる事なく展開されるヴァラエティ豊かで隙ない高品質なプロダクトが施された楽曲が目一杯詰め込まれた、シンガー・ソングライターにしてマルチ・プレイヤー、さらに辣腕プロデューサーとしても腕をふるってきた職人ミュージシャンが殆ど独力で創り上げた、正にプロフェッショナルな一作と言えましょう(*´ω` *)

まぁ、なんだかんだ小難しい事を考えなくとも、このキャッチーでフック満載の歌メロが秀逸なハード目なサウンドが心地よい高品質AOR&メロハーなサウンドに耳を傾ければ、メロディアスな音楽好きならば誰だって文句なしに楽しめるのは疑いない秀作でありますので、是非メロハー・ファンで彼の事を知らない方でも、迷う事なく手を出しても後悔する事無い一枚だと断言できます。

まだ磨かれていない宝石の原石の如き名も無いインディ・バンドのアルバムを漁るのも楽しいけれど、たまにはこういうプロ中のプロが創り出すプロフェッショナルな極上の一枚を愉しむのも、実に爽快でいいものですよねぇ♪


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# by malilion | 2018-07-31 19:43 | 音楽 | Trackback

これがバンド最終作!? 結成50周年を迎えた英国プログ・フォーキーバンドSTRAWBS

c0072376_12584511.jpgSTRAWBS 「The Ferryman's Curse」'17

後にYESへ加入するキボーディスト Rick Wakemanが一時在籍した事でプログレ・ファンにお馴染みの、1968年結成、69年アルバムデビューして以来途中一時活動休止期間を挟んで今日まで50年に渡って活動継続中な5人組英国産プログ・フォークバンドの23thアルバムが去年末にリリースされていたのを今頃GETしたのでご紹介。

前作から3年ぶりとなるこの新作だが、当初レビューするつもりはありませんでした。

いえ、ちゃんとアルバムは即購入ではないにしても毎回入手してたんですが、ここ数作の出来を見るに別段誰かにお薦めする事もない、旧来からのファンだけが彼等を支えればいいか、ってな感じの穏やかで鄙びた味わい深い作品が続いていたもので(汗

まぁ、そう言う事もあって、こんなに購入が後回しにされてたんですけどね(スマヌ

ブッチャケもうプログレでもなんでもないくたびれたオッサン(てか、もうお爺ちゃんか)のリーダー Dave Cousins(Vocals、Acoustic & Electric Guitars、Electric Dulcimer、Autoharp)が朗々と歌う、木訥な英国フォーク・アルバムでしかありませんので、今のロック・リスナーには刺激の乏しい、下手をすると聞いてる最中に寝落ちしちゃうかも、ってくらい穏やかなサウンドですから…

どうせ今回もいつも通りの出来なんだろ? と高を括っていたら予想外の良い出来に驚かされまして、慌ててここで紹介せねば! と、相成った次第でして(汗

正直、新譜だからと言って、もうネタも出尽くした今さら新しい驚きなど殆ど聞けぬベテラン・バンドの彼等ですが、ここ数作でアルバム毎にキーボードプレイヤーだけが入れ替わり立ち替わり出入りしていたので、そのメンツ変動が影響を及ぼしたかと察した通り恒例のメンバーチェンジが行われた模様です。

何と John Youngから16年の英国、北米ツアーにも帯同した同郷ケルティック・プログバンドIONAの Dave Bainbridge(!!)へキーボーディストがチェンジしており、その繊細にして流麗なキーボード・プレイのみならず、ハモンド、ブズーキィ、アコギと多彩な楽器でもってバンドサウンドに多大な貢献を果たし、2つのインストゥルメンタル曲を含む全10曲のアルバム収録曲の内、5曲にその名をクレジットされているという大活躍ぶりで、全く期待していなかった彼等のアルバムに、ベテランならではの“引き”の技が光る木訥なメロディながらも深い情感が潜む楽曲と如何にも英国バンドという煌びやかで気品に富むシンフォニックな美旋律を紡ぎ出し、そのメリハリの効いた楽曲展開でドラマチックなストーリーを感じさせるアルバムの完成度にかなり驚かされました。

また、アルバムタイトル曲は、デビュー作『Dragonfly』収録の“The Vision Of The Lady Of The Lake”の続編となる楽曲で、本作が噂されるバンド最終作だからこその続編曲を収録したのでは? というトピックも注目すべき点だろう。

フォーク的な楽曲構成をベースに、ピアノとオーケストラのストリングスが華麗に絡み合い、メロトロンやフルート、軽快なアコースティック・ギターが控え目ながら楽曲をしっかりと盛り立てる、最初の音符から最後の音符まで密やかに優美、そして味わい深い、という70年代後期の典型的なSTRAWBSサウンドの再現だけでも大変に魅力的なのに、彼等が最も支持されていた頃の美しいメロディーを備えた叙事詩を今風なモダンサウンドへアップデートさせているのが実に見事で、本当にコレでバンドが終わってしまうのだとしたら有終の美を飾るに相応しい秀逸な出来映えの、英国詩人 Dave Cousinsのプライドが垣間見えるさすがの一作と言えましょう。

出来る事なら最終作というのは何の根拠も無いデマだった、と後になって笑い話になる事を祈って、バンドサイトで50周年を祝っている彼等の次なる新作がヒョッコリ届けられるのを待つ事にしましょうか……



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# by malilion | 2018-07-31 12:52 | 音楽 | Trackback