まだLEPSコピーバンド丸出しだった頃のGRAND DESIGNの2ndがリイシュー!

c0072376_13360846.jpgGRAND DESIGN 「Idolizer Re-issue.ver」'18

北欧スウェーデンのLEPSコピーバンド(当時)と話題になった彼等の2ndにボートラが加えられ、今年4月末にリイシュー済と小耳に挟んだので今頃GETしてみました。

オリジナル・リリースはAOR Heavenからでしたが、今回から契約を本国レーベルSHARP Music Swedenへ移してのリイシューとなっております。

Track List
01.Get On With The Action
02.Change Me Up
03.Oughtograuph [2017]
04.Your Love's A Runaway [2017]
05.Stealin' My Love
06.Let's Rawk The Nite
07.Addiction For Love
08.Idolize Me
09.Rawk Back To The 80s
10.You're Gonna Dig On It [2017]
11.Oughtograuph [Original ver]
12.Your Love's A Runaway [Original ver]
13.You're Gonna Dig On It [Original ver]

Remastered&Remixedでのリイシューにあわせてジャケット・デザインが新たに変更されております。

オリジナルのデザインも悪くなかったんですが、まぁ、抽象的過ぎると言えばいそうなのでもっと分かりやすいイメージへ変更したのでしょう。

どうやら今後はヒョウは登場させず、SFというか宇宙的なイメージ、もしくはサイバーなイメージで以後はバンドカラーを纏めようとしているのかもしれません。

またトラッリストを見れば一目瞭然ですが、ボートラとはオリジナルバージョン音源の事で、今回のリイシューに合わせて全体のサウンドをリマスタ-、そして3曲を17年リミックスヴァージョン音源に差し替えただけのアルバムです。

オリジナルリリースからそんなに時間が経過しておらず元々音がメチャメチャ悪くもなかったので、聞き比べれば分かりますが別段驚く程にリマスターとリミックスの効果でサウンドが変わっているとか楽曲イメージがガラリと変わるって事もないので、ダイハードな彼等のファンか音源マニア以外は手を出す必要はないでしょう。

具体的な変化でいうとリミックス音源は大まかに、ギター・サウンドが少々追加され前に押し出されたMIXなのとハーモニー・ボーカルのヴォリュームが上げられている点、そして Janne Starkによる新しいギターソロが追加され、80年代のポップヒットメーカー LILI&SUSIEの Susie Paivarinta嬢によるバッキングボーカルがトラック04に追加れている点が特に大きな変化と言えるでしょうか?

勿論、彼等の2ndをまだお持ちでない方はこちらのリイシュー盤をお求めになった方がお得ではあります。

なんでも本国を中心にDEF LEPPARD懐古サウンドがユーロ圏各国で大受けしたらしく、既に1stはレーベルでも完売だとか。

まぁ、元々DL中心な今の市場を考えるとそんなに数はプレスしてなかったんでしょうけれど、それでも北欧の弱小マイナー・コピーバンドのデビュー作が完売とは恐れ入ります。

そんな好評もあってレーベルを本国へ移しての本作のリシューという運びなのでしょうが、ドイツを中心に昔からSWEETやSAGAなんかのポップでメロディアス、そしてキャッチーなバンドが好まれていた層の需要に、本家DEF LEPPARDが再現しない旧ゴージャスサウンドを臆面もなくパクりまくるという禁じ手(笑)がドンピシャでハマったって事なんでしょうかね?

とまれ本家LEPSのサウンドを下地に遂にオリジナリティある魅力的なサウンドを構築しはじめた彼等の新作が早く聞いて見たいものです。



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# by malilion | 2018-07-16 13:30 | 音楽 | Trackback

まさかの15年ぶりの復活! USシンフォバンドTEN JINNの新作は完全に別バンドの傑作だ!

c0072376_17151109.jpgTEN JINN 「Sisyphus」'17

まさかの復活を果たした4人組USA産シンフォ・バンドの、17年初頭にDL先行でリリースされていた15年ぶりとなる4thがプレスされ現物がリリースされたので即GET!

リーダーの John Paul Strauss(Vocals&Keyboards&Acoustic Guitar:有名なオーストリア作曲家の血脈に連なると自称)が3rdアルバム『Alone』'03を置き土産にスウェーデンへ移住するのに伴ってバンドは消失と思っていた訳ですが、実際は04年に米国へ戻り音楽学校で勉強を始めていたんですね…

数年後、音楽大学を無事卒業し、再びバンドを再集結させた彼が放つのは、ピアノとオーケストラの為に作曲された8つのパートから成る26分越えの交響曲『Sisyphus』の、ヴォーカル入りとインスト・ヴァージョンの2ヴァージョン、つまり楽曲としては1曲のみ、を2トラックだけ収録した変則的なアルバムだ。

ポンプの唸りも消え失せた1991年 John Paul Straussを中心に結成され、幾度かのメンバーチェンジを繰り返して97年に『Wildman』でデビューを果たすが、その1stアルバムに元HAPPY THE MANの Stanley Whitaker(G)をゲストに迎えるなど、70年代に活躍した同郷USAプログレ・バンドHAPPY THE MANの影響が、クリアーなフュージョン的サウンドを主体とするそのサウンドから色濃く窺える事は自他共に認める所だろう。

無論その他にも、GENESIS、GENTLE GIANT、JETHRO TULL、QUEEN、SAGA等といったバンドの影響も窺え、それら一連のプログレ&シンフォ系のサウンドにAORやニューウェーブ、その他にもハードロック要素や中世民族音楽等、様々な音楽要素をパズルのピースの様に組み合わせて加え、キャッチーなメロディ、緩急あるダイナミクス、巧みな楽曲構成、精巧なオーケストレーション、そして耳を惹くインストゥルメンタル・パッセージをコンパクトにまとめ上げ、アメリカ産バンドらしく鮮やかで爽快感のあるモダンでシャープな知性派シンフォ・サウンドをデビューアルバムでは披露している。

また、USA産シンフォ・バンドながらパワフルさやスピードといったサウンド要素は余り感じとれず、キーボードだけでなくMIDI Guitarも操るギタリスト Mike Matier(後にUS産YES系シンフォバンドHELIOPOLISとBOX OF SHAMANSへ参加)のプレイやChapman Stickやキーボードも操るベーシスト Matt Overholtzerのプレイもあってシンセサウンド主体なSAGAっぽいカナダ産ポップスっぽく聞こえ、その印象に拍車をかけるのがSAGAの Michael SadlerとVDGGの Peter Hammillを足して二で割ったような John Paul Straussの柔和で涼やかな歌声のイメージが大きくバンドサウンドのカラーを決定づけていたように個人的には思えます。

アッサリ気味だったデビュー作から打って変わり、Anne Riceのヴァンパイア誌『The Vampire Lestat』と『Damned of Queen』にインスパイアされた99年の2ndアルバム『As On a Darkling Plain』ではのっけから40分越えの大作を披露するなど、コンパクトなバランス重視から一気にシンフォバンドらしい大作志向へ路線変更し、JETHRO TULLとHAPPY THE MANを融合させたかのような、シャープでクリアーながら未だにポップさも保っているミステリアスなサウンドの、芝居がかったヴォーカルが好みを分ける出来には驚かされた。

バンドメンツに変動もなく、デビュー作に続き Stanley Whitaker(G)を再びゲストに迎えるなど総じて出来は悪くないものの、クリエイティビティの高まり故の大作だったのだろうが、教会オルガンやハープシコード、そして合唱団等で盛り上げているにも関わらずそのサウンドにはユーロ圏のバンド達が表現している“深み”や“艶”といったものが欠け(やっぱサウンドが軽いんだなぁ…インディ作だし仕方が無いけど)て聞こえ、また John Paul Straussのヴォーカルスキルもそういったコンセプト作的な物語を表現出来る程に高くなかった(声質はいいんだけどね…)のもあって、この手の重厚な大作に挑むのはバンドのポテンシャル的にも爽やかでスタイリッシュなサウンドが似合うバンドカラー的にも厳しいと当時感じたものです。

しばしのインターバルの後、03年に3rdアルバム『Alone』がリリースされたが、ここでアルバムデビュー以来初となる大きなメンバーチェンジが勃発し、ベーシストの Matt Overholtzerが脱退し、2ndリリース後に脱退していたギタリスト Mike Matierはバンドへ復帰、さらに新たにギタリスト Kenneth Skoglundを加え、ベースはドラマーの Mark Wickliffeが兼任でレコーディングするという変則的5人組編成になってしまう。

John Paul Straussと Robert NiemeyerのダブルキーボードにMIDIギターも操る Mike Matierがキーボード的ギターサウンドも添えるというSAGA的なキーボード偏重編成から、ツインギターに加えダブルキーボードという如何にもプログレ的な音の厚みとライヴパフォーマンスを重視したバンド編成で、しかも楽曲によってはギタリストとベーシストをゲストに迎えて制作された3rdアルバムのサウンドは、これまでのキーボード主体サウンドより明らかにワイルドでラウドなギターサウンドが活躍しているものの、けれどそれ程重厚にはなっておらず個人的にはこのツインギター編成には余り意味を見いだせませんでした…('A`)

またサウンドの方向性が今までのシットリしたウェット感とユーロテイストの色濃かったシンフォ系サウンドから様変わりし、朗らかワイルドなアメリカン・ロック要素が強く感じられる楽曲が多く、爽やかな分厚いヴォーカルコーラス等も今まで以上にフィーチャーされたり、キーボードの音色も妙にシンセシンセした明るいサウンドにアコースティックギターが絡むなど、今まで見受けられなかった要素が大きくクローズアップされた創りになっており、なんだかサウンドが散漫な3rdを最後に彼等は音信不通になる訳ですが、そのイマイチな出来を思うと当時そう寂しくもなかったように記憶しております(汗

そうそう、そんな方向性だったからなのか3rdには Stanley Whitaker(G)が客演していないのも妙に納得でしたね、当時。

さて、再始動した本作のバンドメンツですが、リーダーの John Paul Strauss(Vo&Key)は無論、 デビュー作以来ずっとリーダーを支え続けているドラマーの Mark Wickliffeも当然そこには居て、Mike Matierと Kenneth Skoglundのギタリスト2人も再び参加しているものの、キーボーディストの Robert Niemeyerの姿は既にそこには無く、未だにベーシスト不在なままの正式メンバーは4人のバンドとなっている。

当然、ベースはゲストプレイヤーが迎えられている訳だが、なんとここでも何度か紹介した事のあるドイツ人ギタリスト Derk Akkermann率いるポップ・シンフォバンドSARISの93年デビュー作『Dead End Street』にのみキーボーディストとして参加(!?)していた Stefan Kramer(まさかの同姓同名?)が本作ではベースとトロンボーンをプレイしていて驚かされた。

本当に同一人物だとしたら、一体どういった経緯でキーボーディストだった彼がベーシストとしてアルバム制作に参加したのか、ちょっと興味津々であります(w

その他にも Helena Skoglundと Evelyn Haddadなる2人の女性をバッキングヴォーカリストにゲストで招くだけでなく、メンバー全員が本作ではバッキングヴォーカルにも加わりこれまで以上にヴォーカルパートへの拘りが感じられる構成になっているが、時を経て放つ本作では再び2ndと同一路線の組曲形式の大曲を披露する方向へ軌道修正した模様で、一聴して全く別のバンドかのような華麗にして重厚な、正にENID張り(!!)のシンフォニック・サウンドになっていてこの大変貌にはファンならずとも度肝を抜かれる事だろう。

学校で音楽を学んだ成果が十分に発揮されたのか、まず最大の弱点(個人的には強みでもあると思っていたけど…)だった軽いサウンドが一気にユーロ圏のシンフォ・バンド群にも引けを取らぬ、クラシカルさとシアトリカルさが妖しくそして優雅に混ざり合った壮大な作風へと様変わりしていて、正に2nd当時に欲しかった艶やかさと深みを伴った殆どクラシック音楽と言ってもいい美旋律がど迫力のオーケストレーションで描き出されている(*´ω` *)

また John Paul Straussの歌声にも経年による変化が見て取れ、以前より幾分渋みを増したちょっとPENDRAGONの Nick Barrettっぽい歌声になっており、それがこの重厚にしてドラマチックなアルバムのサウンドに実にマッチ(お察しの通り、決して上手い訳ではない)していて、以前は聞く事のなかった優雅に軽やかに舞い踊るかのような入魂のピアノ・プレイも相まって、15年の隔絶は決して無駄ではなかったのだと証明してくれている。

ピアノやストリング中心でオーケストレーションがサウンドの根幹を成しているものの、バックのギターやリズム隊、そして女性バッキングヴォーカリスト達も目立たないながらも楽曲を適切に盛り上げる役割をしっかりとこなしており、これまでの彼等のアルバムを一切聞いたことなくとも本作だけでも十二分にその美しく幻想的なシンフォニック・サウンドを愉しむ事が出来ると言えましょう。

いや、ホントにもうコレって殆ど別バンドだから(w

ENIDファンは無論の事、クラシカルなサウンドが好きな方や重厚にして華麗なシンフォニックをお好みの方に是非お薦めしたい、そんな一枚であります!('(゚∀゚∩



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# by malilion | 2018-07-09 17:09 | 音楽 | Trackback

謎に野郎のツインヴォーカル編成へ。チェコ産シンフォHMバンドSYMPHONITYの2nd!

c0072376_15345399.jpgSYMPHONITY 「King Of Persia」'16

北欧ドゥームHMの開祖CANDLEMASSの前身バンドNEMESISと同名ながら人脈的も音楽的にも一切無関係ないHM辺境国チェコ共和国(旧チェコスロバキアのドイツ寄り側)から03年に日本盤デビューを果たした後、08年にフロントマンの交代やメンバーチェンジ、さらにレーベル移籍を経てバンド名をSYMPHONITYへ改めデビューし直したkey入り5人組バンドの、前作『Voice from the Silence』より約8年ぶりとなる2ndアルバムを今頃ご紹介。

アルバムのリリース間隔の長さもさる事ながら、バンド名の変更や音楽性の変化、そして情報の入って来難い東欧マイナーHMバンドと言う事で、既に彼等の事を忘れてしまっている方も多いかもしれないが、18年現在まだちゃーんとバンドサイトも残っている、デビュー以来地道な努力と活動をコツコツ続けるマイナーHMバンドのお手本のようなバンドであります。

NEMESISのデビュー作『Goddess of Revenge』は、HELLOWEEN風ジャーマンHMをベースに北欧シンフォニックHM風のマイナー調でメロディックな臭メロをまぶした北欧メロハーの雄 SONATA ARCTICA“っぽい(ココ重要)”スタイルで、その実にB級臭メロ映えするDARK MOORやHEAVENLYと同系統の拙い演奏&クサクサB級メロスピ定番ツーバスドコドコ疾走シンフォHMサウンドに、ここ日本の愛好家達も泣いて喜び好評を博した訳でした。

続く改名後の第一弾作では、ドイツ人の元DIONYSUSのフロントマン Olaf Hayerを迎えた事で一気にヴォーカルパートのレベルが上がり、線は細いながらも甘い声質でなかなかマイナー北欧疾走HMにマッチしていた Vilem Majtner(Vo)に無い太く力強い歌声と暑苦しい圧しの強さ(汗)が加わってバンドサウンドがさらに進化発展し、NEMESIS時代の東欧産らしい叙情感あるマイナー臭が減ってスタイリッシュでテクニカルな近年のSTRATOVARIUSサウンドへ接近した、よりメジャー志向でモダンなメロディック・パワーHMへとサウンド路線を微調整した一作で、それでも未だにクサメロスピのウェット&マイナーな残り香がそこかしこからプンプン発散され、大仰な表現と劇的展開で怒濤の如く圧しまくるマッチョな濃密さが少々鼻につく、メジャーHMバンドが失ってしまったマイナー臭を未だに漂わすが故に東欧産バンドというアイデンティティと相まってテクいモダン・ジャーマン&イタリアン・メロパワと近似サウンドだけど微妙に唯一無二のオリジナリティを保っている、A級までもうチョットな遮二無二に突っ走るB級HMアルバムを個人的に今でも大変気に入っております。

で、長らく待たされた末にやっとリリースされたこの本作ですが、この短くないインターバルも影響したのか残念な事に再びメンツに変動があった模様です。

SYMPHONITY改名と前後して、後にCRADLE OF FILTHやMASTERPLANに加入する事になる名手 Martin Skaroupka(Ds)と、DIONYSUSで活動した Olaf Hayer(Vo)、そしてやっと専任ベーシストの Tomas Celechovskyを迎え入れてバンド体制の充実とサウンドの軌道修正を図った彼等ですが、本作制作中の12年に不幸にして Tomas Celechovskyを病で亡くすアクシデントに見舞われ、替わって Ronnie Konigなる新ベーシストを迎えるゴタつきでアルバム制作が遅れたのと、なんとHELLOWEEN、そしてBLIND GUARDIANの遺伝子を継承するジャーマン・メロディック・パワーHMバンドSINBLEEDの Herbie Langhans(Vo)が新たに加わったツインヴォーカル編成(!?)の6人組となって初めて制作されたアルバムとなっている。

311やZEBRAHEADなんかの所謂ミクスチャー・ロックバンド系なら見かけるし、ゴス系なら男女ツインヴォーカル編成は定番なものの、MH系で、しかも野郎のツインヴォーカル(楽器兼任ヴォーカルでない)というのはなかなかお目にかかれないので、やはりこの点が本作の一番の話題なのは間違いないでしょう。

しかも、タイプや声質や毛色の違うフロントマンで差を出すという作戦なら分かるが、熱唱系の比較的似ているヴォーカルスタイルと声な二人をフロントに迎えた意味って、正直コレありますぅ? ってのが初めてこのアルバムに耳を傾けた時の偽らざる感想だ。

大体、それぞれが独立して歌う楽曲が殆どで、掛け合いだったりハモりを効かせたり、二人でデュエットしたり、というパートは殆ど聞かれない、またはソレを強く押した楽曲の造りではない、なんて一体なんの為のツインヴォーカル編成なのか甚だ疑問であります。

もしかして、楽曲の制作は殆ど終わっていたけど話題性を考えてレーベルと政治的な取引で Herbie Langhansが新たにバンドへ加入した、だから楽曲ではツインヴォーカルの利点は活かされていないんでしょうか? デュエットしてるはしてるけど、2曲だけじゃなぁ…しかも、殆ど効果を生み出してない構成っていう…

つーか、8年も待たせたんだし、今更多少遅くなろうとファンは気にもしないし、そもそも存在を忘れてるくらいだったんだろうから、ちゃんとツインヴォーカルを活かした構成の楽曲を収録したアルバムを届けて欲しかったなぁ…('A`)

寧ろ、ハモりやツインの構成を活かしてるのはリーダーの Libor Krivak(G)が奏でる自由奔放なリードギター・プレイだったりキメのメロディアスなフレーズばかりで、これまでに無いくらい爽快でポップなフィールの、フュージョンにも通じるクリーンでモダンなギターサウンドが飛び出してきて驚かされるばかりでした。

ギタープレイがそうだから、と言うだけの理由ではないだろうが、これまでの北欧HMスタイルを取り入れた、シンフォニックで力強く、そしてドラマティックな曲調が特徴な疾走感溢れるクサメロが仄かに香るメロディック・パワーHMな作風に変化が起こり、従来の北欧風な透明感と哀愁漂うマイナーなユーロテイストある繊細なメロディや遮二無二突き進む疾走感が大きく後退し、ググッと男臭くタフなヘヴィネス・サウンドが強まって、荒々しいダークでパワフルなサウンドが強く押し出されたドイツ産モダン・ヘヴィネス・バンドお得意のミドル&ファストな鈍色パワーHMサウンドに接近したイメージで、バンド結成以来メインとも言えた臭メロのメロスピ・タイプな楽曲は完全に脇役に押しやられてしまっている。

ただ失うモノもあれば得たモノも大きく、キャリアに裏打ちされた確かなバンドサウンドとアンサンブルの質は高く、デビュー間もない頃の殆ど差異の無い音楽性が本作においては多様になり、曲調も幅が拡がって、オペラチックな大仰なコーラスをフィーチャーした重厚なシンフォHMやポップでキャッチーなフィールあるメロ・ハーHM、そしてメインのザクザクしたリフで重く鈍く攻め立てるミッドテンポ主体なパワーHM等と、実にバラエティに富んでおり、アルバムにしっかりとした起承転結の流れと深い叙情の陰影を生み出していて、一気に最後まで聞き通させる魅力を放っている点には驚かされた。

この手のデビュー作の疾走感と勢いが売りだったマイナー・バンドがキャリアを重ね、サウンドの幅を拡げて音楽性の深みを増したサウンドを披露した時、大抵感じるガッカリ感と新しい魅力が与えてくれる喜びの差が問題な訳ですが、残念ながら彼等の場合はガッカリ感の方が少々大きかったかな、というのが正直な感想であります。

やっぱり、曲調の変化以上にパワフルに歌えるヴォーカリストを二人も備えた贅沢とも言えるツインヴォーカル編成の効果が殆ど活かされぬ楽曲への失望が大きいですね…うーん…orz

所で、『Voice from the Silence』でも聞く事が出来き、本作でもアルバムタイトルになるくらいでバッチリ楽曲中でも奏でられてもいる、アラビックなフレーズやミステリアスなメロディ展開は恐らくリーダーの Libor Krivak(G)の嗜好によるものだろうが、東欧産のメロディック・パワーHMバンドが中近東風メロディを頻繁に奏でるのって中々興味深いですよね。
デビュー当時からお手本にしてるHELLOWEENやSTRATOVARIUS、そしてSONATA ARCTICAでは余りそんなサウンド要素は聞けない事を考えると、もしかしてコレって彼の叙情味溢れる技巧派プレイスタイル的にインギーの影響を受けたって事なんじゃ、とか妄想は尽きませぬ(w

ともかく作を重ねる毎に焦点を絞り、少しづつサウンドの幅を拡げて到達地点へ愚直に邁進してきた不器用な彼等が、本作で一気にサウンドの幅を拡げた副作用でかサウンドの焦点がボヤけてしまい、なんだか迷走しているように思えて仕方がありません。

出来る事ならば、次作はそんなに待たせずに疾走感を取り戻した、まとまりある新作を届けて欲しいものであります。



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# by malilion | 2018-07-06 15:27 | 音楽 | Trackback

これが最終作なの? UNRULY CHILDの5thはメロハー・ファンには厳しい内容だ…

c0072376_16383272.jpgUNRULY CHILD 「Can't Go Home」'17

華やかな80年代アリーナロックの眩い残光に包まれ92年にデビューしたUSA産メロハー・バンドの、幾度目かの休止を経てのEP『Down The Rabbit Hole」』リリースから3年ぶりとなる、アーカイヴBOXセット『Reigning Frogs』の少し前にリリースされた、今の所最新アルバムを1年以上遅れて今頃ご紹介(汗

前アルバム『Worlds Collide』'10でオリジナルメンバーによる待望のリユニオンを果たしたものの活動は継続せず、ネットDLのみでEP『Down The Rabbit Hole」』をリリースするなどイマイチ活動が軌道に乗らぬ彼等ですが、ともかく本作でもオリジナルメンツの態は保って25周年の節目に新譜をリリースしてくれた事は、ファンならば誰もが文句無く感謝したいだろう。

まぁ、結成前からそれぞれ名の知れたバンドのメンツであり、最初の解散の後も、それぞれ新バンド結成やセッション、プロジェクト、ソロ活動等と各自精力的に活動しており、既にUNRULY CHILDでの活動はプライオリティの低い事柄なのだろうし、今後の活動継続は不透明とこの時点でコメントしている所を見ると、これがUNRULY CHILDとしての最終作と捉えてもいいかもしれない…(つд`)

そういったバンド活動の内幕の情報にも増して本作について一番の話題は、サウンドの方向性が一気にAORテイストの比重が増えた、所謂渋めなバランス重視のオーセンティックなポップロックに変わり果ててしまった事だろう。

EPのサウンドには未だにメロハー・テイストがそこかしこで感じられたのに、本作においては以前の彼等のアルバムで聞けたメロハー的な尖った部分や、ハードドライヴィングするスピーディなサウンド展開やヘヴィなボトムといったHM的要素が殆ど姿を消し、デビュー作で聞かれた造り込まれ磨き抜かれた人工的で濃密な厚みある爽快産業ロック的サウンドといった要素のみが残った、下手をすると Marcie Free(Vo:元Mark Free)のソロアルバムと言ってもいいくらい衝動に乏しい普通のロック・アルバムなのだ。

勿論、キャリアの長い名うての名手揃いな彼等のアルバムなのでプレイやプロダクション、楽曲アレンジ等に野暮ったさなど皆無でケチのつけようなんぞないハイクオリティな仕事ぶりなのだが、どこか冷めた感触さえあるアーバンな雰囲気漂うシャレオツなモダン・ポップサウンドの質は総じて高い(アレンジがアッサリ目なんだよなぁ…)ものの、最早コレは溌剌としたキャッチーでポップでフック満載なメロディアスHMサウンドをクリエイトしてくれていたUNRULY CHILDではないのが悲しい……orz

長いキャリアを誇る彼等なのだし、ましてやメンツの変動やリユニオン等あってサウンドの方向性が変化するのは当然だろうし、ソレを否定もしないけれど、UNRULY CHILDをUNRULY CHILDたらしめていたサウンド要素が殆ど姿を消した、Marcie Freeの歌声のみが残った現状には…流石に…ねぇ?(汗

Marcie FreeのソロAORアルバム、って言われた方が納得出来るサウンドなんですよね…ホントに…寧ろ、そうだったら手放しで歓迎してる質の高いAORアルバム(裏で薄っすら聞こえるコーラスがTOTOっぽかったりELOやCHICAGOっぽかったり♪)だと思いますもの…

アーカイヴBOXセットをリリースした事でもあるし、実際他での活動がメインなメンバー達からしてみたら既にUNRULY CHILDは実体のない過去のバンドなのかもしれないが、最終作かもしれぬアルバムがこの出来なのは悲しすぎる…

叶うならば次なる新作で、一連のネガティブな感情を吹き飛ばすようなキャッチーでフック満載なキンキンにド派手な懐かしのメロハーサウンドをひっさげて再び新譜を届けて欲しいものである。



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# by malilion | 2018-07-05 16:32 | 音楽 | Trackback

TWELFTH NIGHTいつもの再発盤シリーズ

c0072376_09212594.jpgTWELFTH NIGHT 「Fact And Fiction ~The Definitive Edition~」'18

UKポンプ・ロックの代表的グループの一つであるTWELFTH NIGHTのお馴染みのDIGITAL REMASTERED再販盤シリーズが届けられた。

オリジナルメンバー Rick Battersby(key)が一時的に不在だった四人編成な事も大きく影響したのか、典型的UKポンプに当時流行だったニューウェイヴテイストを加えた癖の強くパワフルでパンキッシュなサウンドが特徴の、今で言うプログレHM的な独自のハードシンフォ・サウンドを確立した彼等の代表作3rdアルバム『Fact And Fiction』'82が、今もファンを魅了し続ける亡きカリスマ・ヴォーカリスト Geoff Mannの強烈な弾けっぷりとエキセントリックに感情を迸らすLIVEパフォーマンスが楽しめる音源等を追加収録して3枚組で再発だ。

Disc1『Studio 1982』は、オリジナルアルバム『Fact And Fiction』にデジタルリマスター処理が施された音源に、以前US再発盤でも収録されていたアルバム未収シングル&未発表曲等4曲をボーナストラックとして加えた一枚で、Disc2『Live & Demos』は、今回初出となる83年の Geoff Mann脱退が決まって行われたサヨナラLIVEで録音された音源を含む未発表LIVE音源(83年11月&84年3月英国ロンドン公演、08年オランダはロッテルダム公演、既発盤『MMX』収録の2010年5月英国公演、2012年9月&12月の英国ロンドン公演)と、『Fact And Fiction』制作時の未発表DEMO音源を収録した一枚、Disc3『Cover & Interpretations 1983-2018』は、バンド自らによるセルフカヴァー等や、PENDRAGON、GALAHAD、Clive Nolan、Alan Reed & Kim Seviour等による本年度18年に録音された新しいカヴァー音源を含む既にリリース済みなコンピ盤や企画物収録の既発音源集となっている。

各バンドのカヴァーは基本的にはオリジナルに忠実な演奏だが、それぞれ自分印を感じさせる微妙なアレンジやフレーズ、ソロ等を織り込んでいるので、オリジナルとの差異やカヴァーしているバンドの個性を味わえるUKポンプアーティスト・コンピ作のように楽しめもする(*´ω` *)

なお、今回収録されている以外でも他の英国ポンプバンド等がベネフィットアルバム等に収録する為カヴァーした音源が多数存在しTWELFTH NIGHTカヴァー音源全てが収録されている訳ではない(そりゃそうだ)のでご注意を。

『Fact And Fiction ~The Definitive Edition~』Track List

◆Disc 1『STUDIO: 1982』
01.We Are Sane (10:27)
02.Human Being (7:50)
03.This City (4:04)
04.World Without End (1:54)
05.Fact and Fiction (3:59)
06.The Poet Sniffs a Flower (3:51)
07.Creepshow (11:57)
08.Love Song (5:40)
09.Being Human (3:56)
10.Paradise Locked (1:23)
11.East of Eden (3:27)
12.Eleanor Rigby (3:22)

◆Disc 2『LIVE: 1983-2012』
01.We Are Sane (12.49)
02.Human Being (7.56)
03.This City (3.59)
04.World Without End (1.26)
05.Fact and Fiction (5:53)
06.The Poet Sniffs a Flower (3.42)
07.Creepshow (13:33)
08.Love Song (6:26)
09.Fact and Fiction (4:44)

『Demos: 1982』
10.Constant [proto Fact and Fiction] (2:27)
11.Fistful of Bubbles (3:18)
12.Leader (2:41)
13.Dancing in the Dream (2:59)
14.Creepshow (After The Bomb Drops) (3.50)

◆Disc 3『COVERS AND INTERPRETATIONS: 1983-2018』
01.Dean Baker - Electro Sane (1:25)
02.Mark Spencer - We Are Sane (11:01)
03.PENDRAGON - Human Being (6:05)
04.Tim Bowness - This City (4:35)
05.COBURG - This City (5:26)
06.Clive Nolan - World Without End (2.23)
07.GALAHAD - Fact and Fiction (5:17)
08.Mark Spencer ft. Lee Abraham - The Poet Sniffs a Flower (3:48)
09.TWELFTH NIGHT - Creepyshow (11:49)
10.Alan Reed & Kim Seviour - Love Song (6:04)
11.AXE - Don’t Make Me Laugh (3:46)
12.EH! GEOFF MANN BAND - Fact and Fiction (4:21)
13.EH! GEOFF MANN BAND - Love Song (7:02)

しかし、このDIGITAL REMASTERED再販シリーズといい以前のリイシュー盤といい、どんだけTWELFTH NIGHTの未発音源やらDEMOを引っ張り出してきて飯のタネにするんだか、と少々呆れ気味(w

もういい頃未発音源もあるまいに、と思っていた所に他バンドによるカヴァー、しかも18年新録カヴァー有りという隠し球をブチ込んでくるとは…イヤハヤ、ホント商売上手ですわぁ(苦笑)

まぁ、ファンとしては耳にした事のないレア音源がオフィシャル・リリースされるのは有り難いんですけどね~

因みにカヴァーしているバンドのAXEですが、アメリカンHRバンドのAXEとは同名別バンドですのでご注意を。

と、言う訳でファンならずともUKポンプ・ファンなら手を出さざるおえないマニアックな音源を収録している一品で、いつものように限定盤ですからお求めの方はお早めにね!



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# by malilion | 2018-07-02 09:12 | 音楽 | Trackback

スイス産メロディアスHMバンドCRYSTAL BALLが久しぶりに国内盤で新譜をリリース!

c0072376_15202970.jpgCRYSTAL BALL 「Crystallizer」'18

スイス産ツインGの5人組メロディアスHMバンドの約2年ぶりとなる10thアルバムが今回久しぶりに国内盤でリリース(!)されたのを、そそくさとGET!

前作でサウンド傾向が変化し、ダークでミステリアスな要素がサウンドに色濃く反映され、時流のヘヴィ路線へ近づいたサウンドを披露されて少々ガッカリしたのを覚えているが、本作では前作のダーク・サウンド要素は隠し味程度に弱まり、以前の硬質なギター・リフで楽曲のエッジを保ちつつ、耳を惹くキャチーなメロディの上をポップなサビと分厚いゴージャスなコーラスが埋め尽くすデビュー以来からのサウンド形式へ再び軌道修正したようで、昔からのファンは一安心といった所だろう。

まぁ、99年デビューの長いキャリアを誇るバンドならではの、路線変更やサウンドの幅を拡げる試行錯誤、そして音楽的挑戦は常に起こりえる事なので、むしろ褒めこそすれ批判なんてする気はサラサラないんですけどね…
実際、分かり易いキャッチーさや爽快感、スピードというメロハー要素は薄まったものの、デビュー当時と比べると格段にサウンドはメロディアスになり、二代目フロントマン Steven Mageneyの荒れたしゃがれ声が活かされたよりタフでハードなソリッドさを増したアルバムは、現在進行形なバンドの熱い生き様をヒシヒシと感じさせますから。

また、本作は前作とメンツに変動はなく、サイドギタリストの座がいつも不安定な彼等にしては、その点を見てもバンド状況が安定しているのが窺え嬉しい限りです。

元々が奇をてらったサウンドが売りのバンドでなかっただけに、欧州的な叙情メロディを生かしたオーセンティックなユーロピアン・メロディアスHMサウンドを披露している本作は、驚きや新鮮味という点では褒めるべき所はないかもしれないが、キャリアが長いだけあって収録曲の質は総じて高く、絶妙にフックが効いた楽曲アレンジや、分厚く美麗なコーラス、耳に残る歌メロ、テクニカルではないもののツボを押さえた弾力あるリフ、さりげなく楽曲を盛り立てる職人的キーボードプレイや、ユーロHMお約束のキラキラしたキーボード・エフェクト等々、決してポッと出の新人バンドには出せぬ安定感とハードロックとヘヴィメタルが交差するかのような微妙にテイストが変化して陰影を生み出すサウンドでハードサウンド好きならではの喜びを十二分に味合わせてくれる、実に堅実でバランスの取れた創りのアルバムと言えましょう。

プロデュース、エンジニアリング、マスタリングをお馴染み元ACCEPT&元U.D.O.の Stefan Kaufmannがいつも通り出かけている安心の一品で、こういった細かいところもしっかりとした品質を担保する為に手を抜かない所がベテランらしいですね。

因みに日本盤はユーロ盤のボーナストラック2曲に加え、DIOの「Sacred Heart」カヴァーとBLACK SABBATHの「The Sign Of The Southern Cross」のカヴァー2曲を追加した計4曲が本編後に追加されておりますので、購入の際は国内盤をお求めになった方がお得ですヨ♪




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# by malilion | 2018-07-01 15:15 | 音楽 | Trackback

遂にLEPSコピーから脱却! 一段上のステージへ飛躍した北欧メロハー・バンド期待の新作!

c0072376_20350728.jpgGRAND DESIGN 「Viva La Paradise」'18

スカンジナヴィアンHMシーンの重鎮であり、元ZEELIONのヴォーカリスト&プロデューサーであった Pelle Saetherを中心に06年に結成されたスウェーデン産ツインG5人組メロハー・バンドの、レーベルを本国スウェーデンのレーベルに移して初となる前作から4年振りとなる4thアルバムが前回に引き続き今回も無事国内盤がリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

前作からモロLEPSのコピー路線から外れつつあった訳ですが、この新作では遂にLEPSサウンドはバンドサウンドの一要素(いや、半分くらいまだか…)にまで落ち着き、変わってスリージー&グラム要素やAOR的整合感、そして本家DEF LEPPARDが捨て去ってしまった人工甘味料たっぷりな造り込まれたゴージャス・ポップロックに北欧フレーバーをタップリまぶしてキャッチーさに磨きをかけた北欧メロハー要素がググッと全面に押し出された新機軸路線へサウンドが進化し、その楽曲完成度も前作より明らかに高く、これには少々驚かされました('(゚∀゚∩

まぁ、冷静になって彼等のアルバムに耳を傾けていたファンは既にご存じだったでしょうが、周囲が言うようなDEF LEPPARDの影響って、このバンドの場合サウンドのゴージャスな人工的処理だったり、確信犯的なフレーズやコーラスの盗用(汗)だったり以外では、実はバンドの音楽的な共通点(Pelle Saetherがこのバンド以前に活動していたZELLOやZEELIONのサウンドを聞けば簡単に憶測可能)は殆どなく、ベースは脈々と70年代より連なる、透明感と哀愁を湛えたキラキラしたサウンドが日本人受けする北欧叙情HMの典型的サウンドフォームだったんですよね。

ですので、オリジナリティが増す=自然と北欧HM的ウェット感だったりが表面化、と薄々感づいておりましたが、新譜のここまでの楽曲の完成度までは正直予想出来ませんでした(アッパレ!

また、この変化は北欧バンドの定番とも言えるメンバーチェンジが強く影響し、それが良い方へサウンドの発展を促した原因とも考えられます。

以前はヴォーカリスト&プロデューサーであった Pelle Saetherが殆どの楽曲を手がけていたが、本作から前作から引き続き参加している80年代前半から活動を続けている北欧HMの元祖的バンドOVERDRIVEやCONSTANCIAで活動中の Janne Stark(G)とDennis Vestman(G)も楽曲制作に関わり、さらに本作より同郷HRバンドROCKETT LOVEのギタリストでリーダーである Stefan Westerlundがベーシストとして加入し、モロに80年代に影響を受けたキャッチーでハイクオリティな、CRAZY LIXX、RECKLESS LOVE等を彷彿させるLAメタル的サウンドを聴かせた彼の持ち込んだ音楽的要素でか、相変わらずのオーバー・プロデュース気味な人工的サウンドと、過剰な分厚さと大仰なコーラスが鼻につく所もあるものの、今まであまり強く感じられなかったスリージー&グラム要素が大きく全面に押し出され、妖艶さや下品さ等のバッドボーイズ・サウンド要素も合わさり、小綺麗で人工的な作り物臭いばかりだった借り物サウンドに絶妙な化学反応を引き起こしたのではないでしょうか?

しかし、この新作の出来が良ければ良い程に心配なのが、このメンツがいつまで続くのか、って事もありますよね…

元々、デビュー以来メンバーが流動的で、特にリズム隊は常に不安定で Magnus Ulfstedt(ECLIPSE、Jimi Jamison、TALISMAN、LIONS SHARE)が前作リリース前の13年から15年辺りまで在籍していたものの、ECLIPSEを優先する(当然だわな…)と言う事で16年にはCOLDSPELLの Perra Johanssonがヘルプで叩き始め、本作の収録も担当したもののCOLDSPELLを優先する為彼はバンドを離れ(またか…)、本作リリース後に新ドラマーとして Joakim Jonsson(AXENSTAR、PSYCHOPUNCH)が加入という、これもまた掛け持ちメンバーなので不安が拭えませぬ…(汗

それにも増して、ドラッグ&セックス&ロックンロール、なんて今時恥ずかしくて口にも出来ぬフレーズを恥ずかしげも無く高らかに歌い上げ、ゴージャスで煌びやかな人工的サウンドを合成して飾り立てた甘々メロディーと爽快エネルギーが一杯な楽曲をこれでもかとプッシュしてくる、絶えて久しいド・ストレートな80年代的スリージー&グラム要素満載LAメタルサウンドと合わさって今の時代には逆に新鮮に映っちゃうのが、なんとも微笑ましいというか自分も歳を取ったんだなぁ、とちょっと寂しく感じたりして(苦笑

80年代スタイルのAOR&ハードポップサウンドにモダンなダイナミックスを加えLEPS的なサウンド路線はそのままに、DEF LEPPARD的な流暢なハーモニーとメカニカルなグルーヴに人工的処理が未だに強く感じられるものの、Janne Stark(G)が奏でるHM要素全開なギター・ソロはよりメロディアスでフックが増し、まさに北欧HM的フレーズとウェットな艶をバンドに与えてそれらのマイナス要素をいい具合にカバーし打ち消しているし、PRETTY BOY FLOYDやMOTLEY CRUEが明らかにヒントであろう彼等の表現しているグラムやスリージーのバッドボーイズ・テイストやPVイメージ等は、下品さやダーティさ、そしてバカっぽさ(笑)が本家に比べて希薄で、それが本作では上手い具合に混ざり合って独特の輝きを放つオリジナリティの確立に大きく役立っているのが個人的には大変よろしく思っております。

前作の時点ではオリジナリティの増加につれて楽曲の完成度が低くなるのではと危惧しましたが、それは杞憂に終わって一安心なのですが、本作のゴージャスで煌びやかなサウンドが派手になればなる程に、リーダーでありフロントマンである Pelle Saetherの歌声のか細さやパワー不足が浮き彫りになるという新たな問題点が浮上してきて、イヤハヤなかなかに手放しで活動を喜べないバンド、という印象は未だに覆りませんね…(汗

とまれ本家DEF LEPPARDが捨て去った&進まなかった路線が行き着く“聴けそうで聴けなかった”LEPS進化サウンドをこうしてしっかりと提示するという、数多くいるLEPSフォロワーの中でもなかなかに為し得ない偉業(大げさ過ぎかw)を果たした彼等のこの新作の頑張りと手腕には素直に喝采を送りたい。

北欧風な憂いあるウェット感の強いメロディや透明感と清涼感溢れるメロディを保ちつつ、グラム&スリージィーなダーティなロックンロール要素も加味して人工甘味料的LEPSサウンドに独自色と多様性を加えるという、実に絶妙なさじ加減が必要なこの方向性、いつまで続けられるのか…次なる新作に今から期待が高まりますね(*´ω` *)



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# by malilion | 2018-06-30 20:22 | 音楽 | Trackback

GEKKO PROJEKTが発展して生まれたUSシンフォ新バンドBOMBER GOGGLESをご紹介。

c0072376_14223563.jpgBOMBER GOGGLES 「Gyreland」'18

元SPOCK'S BEARDのドラマー Jimmy Keeganを迎えてカリフォルニアのロック・トリオが新たに結成した4人組USシンフォ・バンドのデビュー作をGET!

と、言っても全くの新人と言う訳ではなく、むしろ古参ミュージシャンを中心に元のバンドから発展して新バンドへと移行した、と言った方が正しい状況だろう。

本作の中心人物である Peter Matuchniak(Guitar&Vocals)は、MARILLION、PENDRAGON、IQ、TWELFTH NIGHT、PALLAS等と同じく80年代初期に結成され活動したUKポンプの先駆バンドの1つJANYSIUMの中心人物である英国人ミュージシャンで、そのDURAN DURAN meets GENESIS×CAMELと例えられるニューウェーブ系の影響が強いサウンドが好評を博したJANYSIUMは断続的な活動を続けるものの00年で活動を終え、その後に Peter MatuchniakはEVOLVE IVなるロックバンドを結成し1枚アルバムを残したがバンドは開店休業状態に陥り、次いでGEKKO PROJEKTなるUSシンフォ・バンドを立ち上げ12年、15年にシャープでテクニカルなアンサンブルが織り成すメロディアスで繊細な楽曲が美しい2枚のアルバムを残している。

因みにそれ以外にも Peter Matuchniakは2枚のソロアルバムをリリースしているので、本作のギターサウンドが気に入った方はチェックしてみるのもいいかもしれない。

本作はそのGEKKO PROJEKTの3rd制作時の Peter Matuchniakの構想が発展し、GEKKO PROJEKTのバンドメイト Vance Gloster(Keyboards&Vocals)はそのままに、新たに Steve Bonino(Vocals&Bass)を加え、新ロック・トリオとしてコンセプト・アルバムの制作を進めている最中、ドラマーにSPOCK'S BEARDを脱退したばかりな Jimmy Keeganを迎える事で新USシンフォ・バンドの体制が整い、デビュー作をリリースするに至る、という流れらしい。

そういう経緯もあってかGEKKO PROJEKTのサウンドに似た、US産バンドらしいカラっとした抜けの良いサウンドのシンフォ・コンセプト作で、USモノお約束のオッサン声ながら分厚いコーラス有りの、メロディアスでスピーディーな楽曲の所々にダークでミステリアスな英国的叙情風味が仄かに香る、ちょっとジャズっぽいシャレオツなサウンドや儚くロマンチックなサウンドなんぞも垣間見える、US産シンフォ・バンド作のアルバムとしては少々毛色の変わった独特なサウンドの一品と言えるだろう。

本作のコンセプトは、海に大量に浮かぶプラスチック片が造りだした架空の土地、浮遊大陸『Gyreland』と、そこへ逃れた人々が織り成す社会と訪れる危機が描かれたSFチックな物語だ。

1985年から1988年の間に発見された北太平洋中央部の海洋塵粒子の渦巻き“Gyre”や、海洋に浮遊するプラ片の量は膨大で、海流によってプラスチックが集まり、一説にはテキサス州に相当する広大な海面を帯となり、渦巻き、覆っている事実が、本作の創作インスピレーションなのは明らかだろう。

『Gyreland』の物語は、亡命者、流出者、難民がGyreとして知られる海流によって捕獲された膨大な量のプラスチック廃棄物をどのように発見したかから始まる。
人々は何とかそのプラ片で出来た大陸に家々(!?)を建て、その場を“Gyreland”と名前づけ暮らし出す。

『Gyreland』では人々が話し合う事無く知識を互いに伝達可能なテレパシー能力が発現し、人々は迅速な意思疎通のお陰もあって前例のないスピードで建築、開発が進むのだが、その事実は環太平洋周辺の国々の関心を集める事となり、特にロシア、中国、米国が強い関心を示し、遂に『Gyreland』へ三カ国の軍から成る侵略同盟軍が派遣される事になってしまう。

人々はその動きに抗議するものの『Gyreland』は軍隊や武器を持たぬため、侵略が開始されれば為す術も無いのは明白であった。
争いを避けて新天地へ集った人々なのに、三カ国は望むものを手に入れたら互いの同盟を破るつもりなのを予想し、さらなる争いが『Gyreland』を中心に起こる事を嘆き、悲しみます。

そして、侵略軍が『Gyreland』へ到着するのだが、兵士達がプラスチックの地面に足を踏み入れるにつれ、奇妙な事が起こる。
彼等も共同体の感覚と知識を得て、『Gyreland』の人々と心が通じ合い、武器を捨て、平和を望む共感力に圧倒されていく。
理由が何であれ、侵略者達は軍を放棄し、人類史上の新たな転換点である『Gyreland』の人々に加わっていく……

と、最後ちょっとご都合主義というか理想主義的ロマンチックな流れながら、しっかり深刻な海洋汚染の環境問題や不穏になりつつある世界情勢も描いてみせる、如何にもプログレっぽい小難しいテーマを中心に据えたファンタジックなSF物語だなぁ、と(*´ω` *)

コンセプト作ではあるものの映画的な大仰な楽曲やSE等の演出は行われておらず、小曲を織り成す事でコンセプトを表現する、という手法でアルバムは構成、表現されているので、その手のコンセプト作が苦手な方でも、別段コンセプトを意識せずとも楽曲を楽しめるのは良い点でしょう。

勿論、欠点がない訳ではなく、ヴォーカルのレベルが楽器演奏者の兼任レベルで、つまりポンプやプログレバンドでよく聞くヘタウマなヴォーカルより多少マシな程度に聞こえるレベルなのが、バックのサウンドがなかなか気品あって艶やかで美しく、その上モダンでシャープな完成度高いサウンドなだけに少々残念かな、とは思いましたけどね…

Peter Matuchniakのファンは勿論のこと、GEKKO PROJEKTの新譜を待ち望んでいたファンの方などにもお薦めな一作なのは間違いありませんので、ご興味あるなら一度チェックしてみてはいかがでしょうか?


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# by malilion | 2018-06-30 14:16 | 音楽 | Trackback

SPOCK'S BEARDチックなプログレ・プロジェクト CELL15が遂にバンド作をリリース!

c0072376_20163638.jpgCELL15 「River Utopia」'18

BOSTONに楽曲が採用された事もある70年代から地道な活動を続けAORファンにその名が知れていたアメリカン・メロディアス・ロックバンドHYBRID ICEでキーボードとヴォーカルを担当している(いた?)USAペンシルバニア州レノボ出身 Robert Scott Richardsonが11年から新たに立ち上げたプログレ・プロジェクトの14年デビュー作『Chapter One」』に続く待望の2ndがリリースされたので即GET!

デビュー作時点ではヴォーカルを含め全ての楽器を Robert Scott Richardsonが演奏していたナンチャンッテ・バンドだった訳だが、デビュー作が好評な事を受けてメンバーを募り、数多くのオーディションを経て15年に Robert Scott Richardson(Vocals&Keyboards)を中心に、Shane Jones(Guitar&Vocals)、スコットランドのバンド Elephantsの元メンバー Dan MacDonald(Bass&Vocals)、USAフュージョン・プログレバンド CIRCULLINEの Andrew Colyer(Keys&Vocals)、Bill Brasso(Drums&Vocals)の5人のフルメンバーから成るツイン・キーボード体制の本物のバンドとして本格始動し、満を持して放つアルバムが本作だ。

2ndアルバムを制作しつつ17年はニュージャージー州でのショーや、RahwayでのProgStock Festivalへ参加し演奏を披露するなど精力的な活動を続けていたが、18年アルバムが完成したのと前後してメンバーチェンジが勃発し、Bob Richardsonなるヴォーカリストを新たなフロントマンに迎え、ボスの Robert Scott Richardson(Keyboards&Vocals)は当然として、Dan MacDonald(Bass&Drums&Keyboards&Vocals)、Andrew Colyer(Keyboards&Vocals)、Shane Jones(Guitar&Vocals)の5人を正式メンバーに、Ornan McLeanをゲストドラマーとして迎え、現在は活動を継続中な模様。

本作での歌声も悪くないものの、Bob Richardsonなるヴォーカリストを迎え入れた所を見ると、やはり自身のヴォーカルスキルではA級バンドへは難しいと冷静な判断を下した Robert Scott Richardsonの賢明にしてプロフェッショナルな英断を歓迎したい。
エゴなのか、耳の病気なのか、それとも自分の歌声に間違った自信を持っているのか、この手の冷静な判断の出来ぬミュージシャンの多いこと多いこと、特にプログレ系はホントに下手クソなリーダー・ヴォーカリストが多くて辟易させられますからねぇ~('A`)

さて、この新譜の内容の方ですが、1stと同路線の所謂最近のUSAモダン・グレなサウンド…ぶっちゃけて言うとモロにSPOCK'S BEARDなテクニカル・シンフォサウンドがさらにスタイリッシュでコンパクトになったイメージ、と予想通りな内容となっておりました。

デビュー作はそれに加えて当初の予定通り、KING CRIMSON、GENTLE GIANT、YES、GENESIS、PINK FLOYD、そしてKANSASの影響を受けたサウンド、というかそれらのお手本バンドのフレーズやサウンドパーツがそこかしこに散見しておりましたが、今回は流石に熟達したミュージシャン等によるラインナップを揃えたのが功を奏したのか、そういったモロという感触が薄れて安っぽいアマチュア臭さを払拭する事に成功(未だにキーボードのフレーズだったりに残り香があるけどね…)したのは着実な進歩と言えましょう。

ただ、良いことばかりでもなく、US産らしいスピーディな展開とドライなサウンド、派手でテクニカルなキーボード、スリリングに切り込むギター、アメリカらしいキャッチーな歌メロ、そしてプログレチックで巧みな曲展開等々、バランスのとれた実に優等生なUSシンフォ・サウンドと言え、余りに引っかかりの少ない素直で小綺麗過ぎる、無菌培養された無個性なサウンドというようなイメージがなきにしもあらずなのは少々問題かも…

勿論、そこらのアメリカン・シンフォがよくしでかすパワー一辺倒なアホさは皆無だし、予想以上にドラマチックな展開だったり、所々でジャズっぽい香りのするキーボードプレイや鍵盤の音色だったり使い方だったりにシャレオツなセンスが光る点など、リーダーがAOR系ミュージシャンだった故なのかモダンなサウンドの感触はその他大勢のUSシンフォ・バンドに無いこのバンドならではの特色とも言えるが、既に同一路線のバンドとしてSPOCK'S BEARDが存在し、似たサウンドを先んじて披露している訳なので、これから先どういった方向へサウンドを発展させるかがこのバンドが生き残れるかどうかの大きなポイントとなってくるような気がします。

USモノにありがちなちょっとリズムが単調な気がする点と、まだまだ強烈な個性が確立されていない点が気にはなりますが、自主制作のシンフォ・バンドの実質的なデビュー作と捉えれば十分以上の出来なのは間違いありませんので、その筋のサウンドがお好みの方は青田買いのつもりで今からアルバムをチェックして購入しておくのもありかもしれませんね。




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# by malilion | 2018-06-29 20:11 | 音楽 | Trackback

北欧HMの雄 TNT、試行錯誤の00年代低迷は無駄じゃなかった! 新作が示す新たな可能性!

c0072376_13514820.jpgTNT 「ⅩⅢ」'18

かつて『北欧メタル』を代表するバンドの一角に数えられここ日本で絶大な人気を誇った、ノルウェーが誇る北欧HMの雄 TNTが2010年の『A Farewell to Arms』以来8年ぶりとなるスタジオ・アルバム13thをリリースしたのを、ちょい遅れてGET!

本作の最大の話題は、なんと言っても再結成して以来フロントマンが常に定まらず二代目ヴォーカリスト Tony Harnellが出たり入ったりな状況だった問題が解消され、無名のスペイン人新人ヴォーカリスト Baol Bardot Bulsaraを四代目フロントマンに迎えた新体制による第一弾作である事だろう。

そもそものバンド解散の引き金となった Tony Harnellの脱退を経て、96年に再び彼を迎えての再結成を果たしたものの、89年の4th『INTUITION』を筆頭に北欧HMかくあるべしと言わんばかりの透明感あるキャッチーでホップ、それでいてハードエッジも保ったテクニカルなサウンドを再現する道を捨て、時流を強く意識したヘヴィでダークなグランジー要素入りのUSAナイズなサウンドが大方の予想通りファンに受け入れられずに人気が低迷し、80年代に人気を博したバンド群と同じく世界的トレンドに翻弄されて迷走した90年代のバンド活動に追い打ちをかけるように、近年 Tony Harnellが脱退を繰り返したのが、どう考えても再結成以降このバンドが長らく飛躍出来無ず終いだった原因なのはファンならば皆ご承知のはずですよね…('A`)

06年に Tony Harnellの後任として加入し三枚のアルバムで見事な歌声を披露した三代目ヴォーカリスト Tony Mills(元SHY、SIAM)が鈍い活動状況のバンドに業を煮やして13年に脱退した後、再び Tony Harnellが加入して来日公演を行なったまではいいものの、まさかのSKID ROW(!?)に加入する為に15年に再び脱退、しかし6カ月足らずでSKID ROWも脱退して再びTNTへ加入(!?!?)という熱心なファンでさえも愛想を尽かす謎過ぎる脱退劇を経て新作の制作に取りかかるものの、新譜創作途中の17年10月に再びバンドを脱退し、今回のスペイン人新シンガー Baol Bardot Bulsaraが迎えられた次第で、その為か新譜のそこここに Tony Harnell的な歌メロが散見する訳だが、最終的な仕上げやアレンジを Tony Harnell抜きで行った事や声質や歌唱方法が違う Baol Bardot Bulsaraが恐らく前任者を意識して歌い上げた事によって微妙なズレが生まれ、今までのTNTの音像っぽいけど決定的に違うという絶妙な変化を生む効果となったのは本作の一番面白い点と言えるでしょう。

注目の新フロントマン Baol Bardot Bulsaraの歌声ですが、中低域では Tony Harnell的な甘さを感じさせる爽やかな優しい歌声で、新人ですから仕方が無いのですがハイトーンになると少々線の細さと不安定さを露呈してしまい三代目ヴォーカリスト Tony Millsのような堂々とした歌いっぷりやシャープな高域での歌声を披露するに至っていないものの、これまでのどのアルバムよりもソフトケイスされAOR要素が強くなった本作においては実に良くマッチしていて、もし Tony Harnellが脱退せず歌っていたならば暑苦しさやクドさを感じたであろう楽曲でも柔和さと温かみ、そして爽快さを感じさせてくれる見事な歌いっぷりで、結果的に彼の涼やかな歌声がもたらした新鮮な風が、再結成以来ずっと彼等に期待され(周囲からも強いられていた?)ていた“INTUITION”時代の輝かしいメロディアスHRサウンドを再現する“焼き直し行為”にならず、それでいてリーダーの Ronnie Le Tekroが常々口にしている“変化を恐れぬ姿勢”を保ったニュー・バンドサウンドを確立する足がかりとなったように思えます。

所謂“CLASSIC TNT”的な往年の80年代北欧メロハー・サウンドの復活を多くのファンが待ち望んでいるのは重々承知しておりますが、再結成以降の音楽的方向性や以前からの Ronnie Le Tekroの発言を鑑みると、80年代サウンド再現をTNTが果たす事はないと誰もが容易く予想出来ますよね?

実際、バンドメンツも世界中で約500万枚のアルバム売り上げを誇った“CLASSIC TNT”時代とは大きく違い、再結成(オリジナル・ドラマー Diesel Dahlは居るけど)バンドとは言え既に当時のメンバーは Ronnie Le Tekroしか残っていない状況ですので、そもそもソレを求め強いるのも少々酷ではないかと…

また本作においては三代目ヴォーカリスト Tony Millsと時を同じくして迎えられ長らく在籍した二代目ベーシスト Victor Borgeの姿もなく、新たに Ronnie Le Tekroのソロバンドでプレイしていた Ove Husemoenが三代目ベーシストとして迎えられた体制での初作品であるという点も地味ながら見逃せない変化ではないでしょうか?

新譜のサウントが前作よりハードさやヘヴィさに置いては大きく後退したのは否めませんが、Ronni Le Tekroの少し聞けば彼だと即分かる癖の強い独特で驚異的な、そして燃えるようなフレットワークは依然としてダイナミックで、テクニカルで屈折したギター・リフも未だに聞かせてくれるし、80年代より幾分落ち着いたナチュラル志向なサウンドは今でも十分に躍動感と透明感に溢れたメロディック・ロックサウンドであり、90年代からの音楽的実験や試行錯誤を経たのが無駄でなかった証明のように、多様なフォームの音楽的要素を奇妙に組み合わせて幾つかの味わいを加える為の音楽的ニュアンスを体現しており、加えて魔法のコードを奏でるエネルギッシュで奇妙なギター・サウンドとハーモナイズされた分厚く爽やかなヴォーカルというお馴染みのTNT印もしっかりと新譜サウンドには刻まれているのが聞き取れ、個人的には中途半端に“CLASSIC TNT”的なサウンドへ近づけていた Tony Mills時代の三枚のどのアルバムよりも本作の方が新鮮味を感じられ、アップテンポのバラードからキャッチーでライトなロックや果てはアリーナ・ロックに至るまで実に幅広いタイプの楽曲が詰め込まれた、洗練されたモダン・ハードポップ・アルバムで大変好ましく思えます。

以前のようなキンキンな煌びやかさや造り込まれたゴージャスなポップさ、ヘヴィさやスピードは無いものの、フックある魅力的なメロディーと美旋律が甘美な楽曲のアレンジにおいては近年作では随一と言える本作は、Ronnie Le Tekro(G)、Diesel Dahl(Ds)、Ove Husemoen(B)の組み合わせが生み出すマジックと新たなバンドの音楽的方向性に未だに未知の可能性が潜んでいる事を強く示唆しており、図らずも旧来のイメージを保つ事になった歌声を披露した Baol Bardot Bulsara(Vo)が最初から制作に参加するであろう次作で果たしてどのようなヴォーカル・パフォーマンスを示すのか、またソレが一体どのようにバンドサウンドと反応をするのか興味が尽きません。

最近デビューしてきているバンドが演っている80年代的リバイバル北欧HM好きな方には少々スリリングさやパワーに欠ける残念で軟弱なサウンドに聞こえ、旧来からのファンの期待に応えた汚名返上作とはなっていないかもしれないが、美しいメロディ愛聴家や北欧メロハー好き、そして朗らかで穏やかなサウンドをお好みのAORファンな方などにお薦めなメジャー志向なサウンドなので、幅広い音楽ファンにきっと受け入れられるだろうこの新譜、チェックしてみる価値があるのは確かですよ(*´ω` *)


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# by malilion | 2018-06-29 13:46 | 音楽 | Trackback

フレンチ・シンフォ・デュオ SEVEN REIZHが待望の続編となる新譜をリリース!

c0072376_12152094.jpgSEVEN REIZH 「L'Albatros」'18

フランスはブルターニュのシンフォニック&プログレッシヴ・デュオプロジェクトの三年ぶりとなる4thがリリースされたので即GET!

16年に発表されていた野心的な前作“La Barque Ailee”の続編となる本作だが、デビュー作以来恒例のLPサイズな分厚いハードカバーなブックレット(200Pって、もう絵本!)付きのみならず、今回は前作も一緒に収納出来るハードケース付き(二作収納すると辞書みたいな分厚さに…)というこだわりようだ。

19世紀中期にブルトンの船乗りから初めて空を駆けた航空の先駆者であるフランス人ジャン=マリー・ル・ブリスの生涯を綴ったコンセプト・アルバムで、前作“翼のあるボート”の続編である本作“アルバトロス”で物語は圧巻の完結を迎える。

SEVEN REIZHは Claude Mignon(作曲家、ギター&キーボード)と GerardLe Dortz(作曲家、ヴォーカル)二人が中心となって率いているシンフォニック&プログレッシヴ・プロジェクトで、01年のデビュー以来一貫してコンセプト作を多数のゲストを迎え、寡作ながら独特な美旋律で綴り続けている。

彼等が他のシンフォ・バンドやプロジェクトと大きく違っている点は、Mike Oldfield、PINK FLOYD、GENESIS、CAMEL、MARILLION、XII ALFONSO、ENYA、CLANNAD等の影響を受け、フォーク、ゴシック、ネオ・プログレ、ケルト、ワールドミュージックを融合させた独自のシンフォニック・サウンドを提示しただけでなく、LPサイズのCDブックレットで音楽と読書をMIXさせて物語を綴り、さらに英語、フランス語、ブルトン語、ゲール語、時にはカバイ語などの多言語で歌われ、劇的で旋律的なインスピレーションをコンセプト・サウンドに与えている事だろう。

また、それ故にメジャーに成りえない、マイナーでアンダーグランドな存在であるとも言える。

複数のフィメール・ヴォーカリストをはじめ、チェロやヴァイオリンや、サックス、トロンボーン、フルート、バグパイプやケルティックハープ等々の多数のゲスト・ミュージシャンを招いているものの、アルバムは必要以上に壮大な音の壁を構築するような事もなく、どちらかと言うとアコースティック風味が強いシンプル寄りなサウンドで、オリエンタルなワールドミュージック・テイストを全編から漂わす、エネルギッシュさより華やかで繊細なサウンドを優先したシンフォ&プログレ・サウンドと言え、奇をてらうような事もなくゆったり展開していくメロディアスなサウンドは非常に旋律的であり、けれど、時折シンプルなサウンドが複雑に絡み合ってエネルギーが爆発する瞬間が希にある、そのスリリングさがホント堪りません(*´ω` *)

実際、クラシカルなテイストはあるもののEL&Pのようなパワフルさはなく、GENESISを手本としたポンプサウンドよりも現代的なサウンドで、個々のプレイヤーのエゴはYESのように現れず、KING CRIMSONのように過度にテクニカルで複雑になる事こともない、それでいてネオプログレ・テイストもそこかしこから感じられ、メロゥでセンチメンタルなCAMELのようなテイストが一番大きく、全体的には感傷的でしっとりとした艶やかで儚げなサウンドで、それらは大きなオリジナリティや画期的なものではないものの、クリアーで神秘的な美声の女性ヴォーカリスト達が紡ぐ物語とひたすらメロディアスなギターとキーボードが渾然一体となって構築する叙情が際立つシンフォニック・サウンドに導かれ、古典的なプログレッシヴ・ロックから美しいアコースティック・サウンドへ突然に移行する、その差異と押しと引きの妙や、木訥でシンプルなメロディが、美しさ、繊細さを引き立てる非常に巧く細工の凝らされた作品だ。

テクニカルさやスピード、そして壮大なシンフォニックサウンドと言ったものは見当たらず、多様な楽器の様々なサウンドとマルチパートの構造にも関わらずアルバムは非常にシンプルなメロディが流れ、けれど幅広い音楽的影響から生み出されたエスニック&ワールドミュージックの皮をかぶったケルティック・シンフォサウンドが精緻で魅力的なサウンド・タペストリーを織り成していく様は、まさに絶品の美しさと言えよう。

その多言語で綴られるサウンドや、毎度分厚くクソ重いブックレット同封なアルバムの為か流通状況が悪く、彼等の作品はメジャーシーンどころかプログレ系のアンダーグラウンドな界隈でも余り話題にならないものの、緩やかな美旋律がお好きなシンフォ・ファンはもちろん、美声のフィメール・ヴォーカル・ファンや、ケルト・ミュージック、及びエスニック&ワールド・ミュージック好きな方へお薦めな、一風毛色の違った野心的でインテリジェンス漂うアルバムですので、是非一度ご自身の耳でチェックしてみて下さい。

因みに本作は2種類のアートワークが用意されていて、古地図のブラウン・カヴァーと空のブルー・カヴァーの2つからお好みの方をチョイス(ブックレット中&音源は同じ)出来る仕様となっております。

c0072376_12154058.jpg豪華装丁なので少々お値段がお高いですが、毎度の事ながら自主盤なのでお求めの方はお早めにね!




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# by malilion | 2018-06-12 12:10 | 音楽 | Trackback

古典とモダンを融合させ進化を加速させる! SPOCK'S BEARDが新譜をリリース!

c0072376_18083187.jpgSPOCK'S BEARD 「Noise Floor」'18

90年代北米Progressive Rockを代表するバンドと言っても誰も異論はないだろう盤石の地位を築いている彼等の、前作『The Oblivion Particle』より3年ぶりとなる2枚組13thスタジオアルバムがリリースされたので即GET!

いや~、良作目白押しで嬉しい悲鳴が止まりません♪(*´ω` *) ヒャッハー

度重なるオリジナル・メンバー脱退の危機を乗り越え、ここ数作は三代目フロントマンにENCHANTの Ted Leonard(Lead & Backing Vocals、Guitar)を、ドラムスに長らくツアーのサポートメンバーであった Jimmy Keegan(Drums、Percussion、Backing Vocals)をメンバーに迎えて万全の5人体制に戻り新たなバンドサウンドの構築へ邁進していた彼等だが、その Jimmy Keeganが16年に自身のソロキャリアや他のセッションワークが忙しいとの理由でアッサリ脱退してしまい、現在の所バンドは正式ドラムメンバー不在状態の4人組となっている。

普通ならその事前情報だけで嫌な気分になる所なのだが、本作に置いては Jimmy Keeganに代わって元オリジナル・ドラマーにして二代目フロントマンであった Nick D'Virgilio(現BIG BIG TRAIN)をサポート(飽くまでヘルプで正式復帰ではない)に迎えてアルバム製作をすると発表し、逆に興味をそそられる状況であったのは面白いトピックだろう。

さて、その新作だが、ここ数作で顕著になったのが Ted Leonardのブライトな歌声を得た事でバンドサウンド全体にキャッチーな爽快さが増した変化であったが、本作ではその Ted Leonardの歌唱に軸を置いたソリッド且つキャッチーな80年代中期以降のアメリカン・プログレ・ハードなテイスト(そもそもENCHANTがモロKANSASの影響大だしね!)が更に増し、よりコンパクトでダイナミックでありながらハード且つテクニカル、それでいて軽やかさやポップさは損なわぬモダン・シンフォロックをさらに進化させたサウンドなのが、ファンならずとも本作に耳を傾ければすぐ分かる傑作だ!('(゚∀゚∩

初期のGENTLE GIANT張りな分厚いヴォーカル・ハーモニーによる畳みかけは姿を消したが、基本的にヴォーカル・オリエンテッドなスタンスを守りつつ、繊細なメロディを奏でるギターにはじまって、ハードドライヴィングなリフの畳みかけや、重厚でミステリアスなメロトロンの多用、ジャージィなオルガンの弾き倒し、未来的な感触のデジタリーなシンセワーク、流麗なピアノも交えた複雑なアレンジ(キーボードの奥本亮がホント大活躍!)をはじめ、ちょっと聞き簡素に思えるがその実は難易度のクソ高いプレイヤースキルをさり気なく短いインタープレイやソロで披露しつつ、濃厚なドラマ性も巧みに組み合わせて融合させた、ここ数作より確実にサウンドの完成度とプログレッシヴ・パワーを増した、まさにこのバンドの持ち味と魅力が凝縮された一品に仕上がっている。

個人的には Ted Leonardがバンドに馴染んできた為か、彼が持ち込むKANSAS風味をはじめ80年代アメリカン・プログレ・ハードな抜けの良い爽快なテイストや雰囲気、そして懐かしい柔和なサウンドの既視感が、最先端のモダン・シンフォロック・サウンドを怒涛の勢いで進化させてきた彼等のサウンドに、いっそうの奥行きと温かさ、そしてドライになりがちなUS産バンドのサウンドに“艶”を加えたように思えて大変嬉しく思っております(*´ω` *)

また例の如く、KANSASやSTYX、BOSTON等の古典的USプログ・ハードバンドの影響や、初期のJETHRO TULLを思い起こさせるメロディアスなフォークギターや、美しいハーモニー・リードパートと David Gilmourの影響あるギターソロが聞けるPINK FLOYDとTHE BEATLESが1つに融合したような独特の雰囲気を持つ怠惰なバラードに、THE WHOに似た複雑でメロディアスなビートの効いたパワー・ロックや、スパイ映画のサントラ的なサウンドなど様々なオマージュ的サウンドピースもまぶされていて、シリアスなだけでない遊び心ある彼等のサウンドには思わずニヤリとさせられる。

プログレ・バンドの定番でもありこのバンドもこれまで20分や15分越えの幾多の大曲や組曲等を披露してきたが、本作の楽曲は総じてコンパクトに纏め上げられており残念ながら長尺曲は無いものの、魅力的なハーモニー、劇的なアレンジ、メロディッアスな楽曲、テクニカルでセンセーショナルなインストゥルメンタル・サウンド、そしてそれらが明快さと深み、攻撃性と繊細さ、を兼ね添えた心温まるメロディやユニークなフックで彩られるだけでなく、怒濤のパワー、洒落たアクセント、リアルなストリング等々の、プログレ・ファンが求めるだろう全ての要素が満載されていて、ポピュラリティあるモダン・サウンドなのを堅持しつつ、爽快さと大衆性の高いサウンドを披露する彼等の絶妙なバランス感覚が活かされたこの方向性は抜群に素晴らしいので、是非ともこのままこの路線を続けて欲しいですね。

惜しくもアルバム本編から漏れてしまった楽曲はディスク2の『CUTTING ROOM FLOOR』に収録されていて、欧州盤ボーナスの4曲に加え、日本盤のみの貴重なデモ・トラックを7曲も追加収録しているので、ちょっとお値段高いけどソレでも内容を考えればお買い得ですよ!

KANSAS風味漂う爽やかでキャッチー、それでいて重厚にしてテクニカルなSPOCK'S BEARD節をたっぷり堪能出来る、正にハズレ無しの彼等の新作は、ファンならずともUS産モダン・シンフォ好きな方にマジでお薦めな一枚です。是非チェックしてお買い求め下さい!




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# by malilion | 2018-05-28 18:03 | 音楽 | Trackback

UKネオプログレ界の雄ARENAが、ダークでシアトリカルな続編コンセプトアルバムをリリース!

c0072376_14200135.jpgARENA 「Double Vision」'18

Mick Pointer(ex:MARILLION)と Clive Nolan(SHADOWLAND、PENDRAGON、etc...)率いるUKネオプログレ界の雄ARENAの、前作『The Unquiet Sky』以来3年ぶりとなる、異様なジャケが物語るようなシアトリカルでダークなイメージを漂わす9th(LIVEとか変則アルバム多数を含まず)がリリースされたので即GET!!

前々作で三代目フロントマンに Paul Manziを迎え、前作で三代目ベーシストに Kylan Amos迎え創作体制がバタついた彼等だが、本作ではメンツ変動はないようで一安心だ。

バンドは今年18年に3rdアルバム『The Visitor』リリース20周年を記念してアルバム再現ツアーを行う予定(既にツアーは開始済)で、同時にこの新作のプロモーションLIVEも行うと言う。

新譜タイトルが告知された時から本アルバム名と同名ル曲を含む『The Visitor』との繋がりが予想されていたが、本作収録の大曲『The Legend Of Elijah Shade』のコンセプト&テーマと関連する20年前のアルバムの続編的意味合いを持ち、その為か初期風なエピカルで壮大なネオプログレ・サウンドで彩られていて、近年のダークでヘヴィな要素の強い進化したモダン・シンフォサウンドに辟易していた初期ファンにこそ、是非耳を傾けて欲しいポンプならではの柔和で甘味あるメロディが随所で光るシンフォニックで叙事詩的な一作に仕上がっている。

“他人を踏みつけのし上がり、持っているモノを自慢げにひけらかす…それはただの紙の王冠だ”

“利害の衝突と翻弄される人々”をテーマにしたコンセプトアルバムとなっており、ここ数作のコンパクト路線から再び壮大なスケール感を漂わす初期スタイルへ回帰したサウンドがメインなものの単なる懐古サウンドの再現な訳もなく、近作に共通するソリッドで硬質なHM色を保ちつつ、このバンドらしいモダン・シンフォサウンドとディープなドラマティックさが光る音楽性なままに、『The Visitor』のダークな世界観と雰囲気(以前の爽やかさは見当たらないケド…)を継承した“動”と“静”の対比を活かす劇的な手法で重厚なコンセプトとシリアスなテーマを描ききる意欲作だ。

プログレ&シンフォのみならず幅広いジャンルで活躍するだけあって Paul Manziのヴォーカルはパワフルかつダイナミックな上にレンジも広く表現力豊かで、コンセプトアルバムに相応しく実に感情的なその歌声は『The Visitor』時のフロントマン Paul Wrightsonのシアトリカルな歌唱以上に楽曲を次のレベルに引き上げているし、『The Visitor』時以上にバンドへ貢献する John Mitchellのテクニカルなギター・プレイは、目まぐるしく展開するテーマを描き出さんとして、時にヘヴィにエレクトリック・サウンドをハードドライブさせ、時に叙情美漂わす繊細なアコギを爪弾く等々、幅広いスタイルで実に多彩なサウンドを響かせ、物語を克明にイメージさせる重要な要素としてアルバムの随所で強烈な気を吐いている。

そして、Clive Nolanは22分を越えるドラマティックなラストの長尺曲で一気にそのプレイヤースキルを開放し、ミステリアスで不穏な導入部分から始まり、息を呑む美しく優雅なキーボード・パッセージや流麗なテクニカル・プレイは勿論のこと、無限のテンポシフトでタイト且つハードに展開される壮大なスケールの物語を描き出すキーボードサウンドは怒濤の如く渦巻き、雄大でメロディアスなキーボード・ラインと長く複雑なインストゥルメンタル・セクションの果てに Richard Wakeman風な教会オルガン・サウンドを荘厳に鳴り響かせ、一転ハードになってからミステリアスな導入部分のテーマへ戻って締めくくる流れが個人的には気に入っております(*´ω` *)

うーん、ソロ活動や他バンド、そして幾つかのプロジェクトに裏方作業等で多忙(John Mitchellを余り待たせないで!)であろう Clive Nolanですが、やはり Mick Pointerと組んでいるだけあってARENAだけは別格なのか気合いの入りようが違いますねぇ♪

UKネオプログレ&シンフォ界のトップバンドたる面目躍如な強力作となった本アルバムを是非チェックしてみて下さい。



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# by malilion | 2018-05-27 14:14 | 音楽 | Trackback

オセアニアン・シンフォの美を極めんとするANUBISが、ピュアなリアレンジ再録アルバムをリリース!

c0072376_07091981.jpgANUBIS 「Different Stories」'18

オーストラリアというプログレ&シンフォ不毛の地からデビューした期待の新星で、key入りツインG&ツインVo編成6人組の、LIVE作を挟んで前作より1年ぶりとなる新譜がリリースされたので即GET!

思いの外早い新譜発売の情報に小躍りしたが、その内容は既発スタジオ・アルバム4枚から7曲をセレクトし、デビュー以前の未発表曲を新録で1曲加えた所謂コンピレーション・アルバムでした。

『なぁ~んだ』と、普通なら興味が失せる所(イヤ、未発音源は気になる…)ですが、流石コンセプト・アルバム大好きグレ・バンドの彼等です、そんな単純な編集盤でお茶を濁すような無様はしでかしません。

既発曲は全て新録(!)で、しかも只の再録ではなく、本来のディストーションが効いたエレクトリック・ギターを一切使わぬアコースティカル・ヴァージョンに仕上げられて(!!)おり、それに合わせてリズム隊やキーボードもイメージを一新した繊細で叙情感タップリなプレイを聞かせ、さらにメンツ全員によるヴォーカル・ハーモニー(ちょいYESっぽい?)も新たに、楽曲が持つメロディの美しさに磨きをかけ、メランコリックな美旋律をエスプレッソの如く濃密に再構成した、パワーとソリッドさを捨て去ったピュアなリアレンジ版で、既に彼等のアルバムを全て入手しているファンでも安心して手を出して戴ける似非BEST(笑)だ。

1stから2曲、2ndから2曲、3rdから2曲、4thから1曲をチョイスし、残りは新録の未発曲1曲の計8曲から成るアルバムだが、2nd以降一気にHRテイストが増して音楽性が変化した彼等が、まさかマイナー映画のサントラの出来損ないみたいだった1stから2曲もチョイスするとは予想外でした。

どちらかと言うと彼等はHRサイドからのプログレへのアプローチを身上としている新世代ハード・シンフォ・バンドだと思っていたし、シンフォ系の枠に収まりきらぬHRテイストあるスリリングでパワフル&ストレートなプレイが彼等なりの個性と思っていただけに、その内に秘めたリリカルでエモーショナルな美旋律が再録盤とは言えこうして浮き彫りにされる形となるリアレンジ作リリースの意図とは、自身の音楽スタンスを内外に再確認させる為のアコースティック・アプローチなのだろうか? それともアルバム毎にシンフォ度が深まるバンド内で、キーボーディスト David Eatonの発言力が増しているだけなのか…?

ともかくHR的な彼等の音楽テイストに面白味を感じていたファンにとっては軟弱で鄙びたサウンドに聞こえるかもしれないが、彼等のプログレ的サウンドやシンフォニックなサウンドの美しさに惹かれていたファンにとっては、その流麗でシットリとした叙情が薫る、正に“オセアニアのそよ風”とも言うべき透明感あるエレガントな楽の調べをタップリと堪能出来る一作なのは間違いない('(゚∀゚∩

バンドメンツに変化はなく、

Robert James Moulding (Lead Vocals、Acoustic Guitar、Percussion)
David Eaton (Piano、Organs、Keyboards、Acoustic Guitars、Laud、Strings、Melodica、Voice)
Dean Bennison (Acoustic Guitars、Slide Guitars、Clarinet、Voice)
Douglas Skene (Acoustic Guitar、Jazz Guitar、Voice)
Anthony Stewart (Bass Guitars、Vocals)
Steve Eaton (Drums、Percussion、Voice)

の、6人がアコースティカルな作風に合わせて、常と違う楽器などもプレイ(アコギ多っ!)しているのも本作の聞き所だろう。

いやー、しかし今回の宝石のように透明感ある美しいサウンドの中だと、改めて Robert James Mouldingの甘い声質のヴォーカルが非常に良く映えますなぁ~(*´ω` *)

隙間の多いシンプル風なサウンドの中で、まるで水を得た魚のように、時に切ないファルセットを聞かせ、時にミドルレンジで優しく語りかけ、時にセンチメンタルなサウンドに溶け込むように囁いたりと八面六臂の大活躍で、普段シンフォサウンドに隠れがちな彼のウットリするような繊細な声の使い方を堪能出来るのも本作だけの楽しみだ。

そうそう、個人的に彼等のアルバムの中でも随一に駄作だと思う1st収録曲も、本作でアコギアレンジされるとアラ不思議♪ 意外と聞けるじゃーあぁーりませんか♪ と、いう嬉しいサプライズがありましたとさ(w

因みに未発曲は、アコースティカルな本作の方向性もあってかマッタリ穏やかミッドテンポの、なんだか夕暮れをイメージさせるエンディングに相応しい曲で、1st以前の所謂未だにバンドの方向性が不確かだった頃の普通の曲、というイメージで可も無く不可も無くと言う所でしょうか?

また、スペシャルゲストでデビュー作以来アディショナルメンバーとして長らく製作に参加していた管楽器奏者の Martyn Cookが本作でもTenor Saxを客演してアルバムにムーディーな風味と華を添えている。

本作の現物は500枚限定(!?)の見開き紙ジャケット仕様で、例によって例の如く自主盤ですので、お求めの方はお早めにね!




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# by malilion | 2018-05-25 07:03 | 音楽 | Trackback

ベテランながら未だにB級の壁を越えあぐねる北欧フィンランド産メロパワ・バンドDREAMTALE…

c0072376_08331210.jpgDREAMTALE 「Seventhian... Memories of Time」'16

HELLOWEENを源流に北欧で発展してきたSTRATOVARIUS & SONATA ARCTICA直系バンドであるフィンランド産メロパワ・バンドの前作『World Changed Forever』から3年半ぶりとなる、通算7枚目のアルバムを今頃ご紹介。

いや、CARDIANTの4th聞いてたら同郷バンドの彼等の事を思い出して、そういえばレビューを放置してたなと気がついたので…(汗

デビューから4thまで毎作シンガーが異なるなどアルバム毎に顔触れが変わるメンバーチェンジの激し過ぎたバンドだったが、近年は安定した布陣で順調な活動が続いていたのに、再び本作でデビュー前のデモからの付き合いだったドラマー Petteri Rosenbomから新人ドラマー Janne Juutinenへ交代している。

フロントマンの交代劇はもう勘弁と言うファンの声が聞こえて来そうな中、ドラマーの交代ならサウンドへの影響は最小限で抑えられそうなのでファンはともかく安心だろう。

三作続けて同じメンツでの製作とは成らなかったものの創作体勢は安定している模様で、キャリア初の2枚組スタジオ・アルバムとなった本作でも、北欧バンドならではの叙情性と疾走感を湛えたメロディアスなユーロピアンHMサウンドを余すところなく披露していて、デジタリーでモダンなキーボードの音色、前作でも比重を増してきた勇壮な雰囲気、そしてジャーマン系HM的なスピードとタイトでヘヴィなサウンドがバランス良くMIXされた楽曲は、デビュー以来変わらぬマイナーな臭気を放ちまくるB級メロパワ・サウンドな音楽的方向性のままに、そのサウンドスケールとメロディーの魅力がいっそうに磨かれ輝きを増しているのが分かる('(゚∀゚∩

ただ、本作のサウンドが02年デビューとキャリア15年を超えるベテランになりつつあるバンドの作品と考えると、手放しで褒め称えるような状況ではないのはファンならずともこの新譜のサウンドを耳にした方なら誰しもが思う事だろう。

曲作りやアレンジ、プレイスキルやソロの聞かせ方等々アルバムを重ねてる毎に着実に成長しているのだが、そのキャリアに相応しいレベルに達していないというか、イマイチ垢抜け無いと言うか…う~ん…本作も悪くない出来なんだけど、やっぱりB級マイナーな殻を打ち破れていないという感想に落ち着いてしまうのがなんとも悲しい(つд`)

メロパワというジャンルとしてはイマイチ音が軽いからか、派手で軽めなキーボード・サウンドが原因なのか、未だに線の細さを隠せずパワー不足で不安定なヴォーカリスト Erkki Seppanenの歌声がマイナー臭さを助長する為か、はたまたその全てが複合的に絡み合ってなのか…(汗

個人的に彼等のマイナー臭いツーバスドコドコな北欧メロパワ・サウンドが身を捩る程(笑)に大好物なだけになんとも歯がゆいのですが、やはり聞き終えての感想は『やっぱB級なんだよなぁ、ソコがイイトコでもあるけど。……でも、このキャリアでこのサウンドはヤバくね?』と、いう毎度の感想に落ち着いてしまう。

前作は Akseli Kaasalainenが操るキーボード・サウンドがリーダーの Rami Keranenがプレイするギターよりややもすると目立っていたのが特徴であり、その派手で煌びやかな音色を多用するセンスの良いシンセ・サウンドが大々的にフィーチャーされ、音数多く流暢なキーボード・ソロ等のサウンドがエピカルな雰囲気を阻害している原因かとも思ったが、本作ではギターがサウンドのイニシアチブをしっかりと握りキーボードは控え目な扱いになっているにも関わらず“軽い”という印象が変わらぬ点を見ても戦犯はキーボードではないと断言出来る。

むしろ派手にギターとキーボードがバトルを繰り広げる方がメロスピ的にもアピールポイントになるし、個人的には4th『PHOENIX』から加入したキーボーディスト Akseli Kaasalainenは今やこのバンドサウンドの両輪と言っても過言ではない貢献をしていると思うので、彼だけは今後も抜けないで欲しいなぁ…ホントに…

それと毎度の事ながらアルバムの音質もソレ程良い…いや、寧ろ悪いと言った方が正しいだろうし、もしかしたらスタジオにおいての録音技術や環境にサウンドの軽さの要因があるのかもしれない…後は誰か良いプロデューサーに巡り会えたならこのサウンドの問題が解消されるのかも?

ツーバス疾走曲やアップテンポなノリのいい曲、派手なギターとキーボードのソロ、どの曲もフックあるリフや耳を惹くメロディーがあって、しっかりとキャッチーな歌メロと盛り上がるコーラスもフィーチャーされている、と箇条書きにするとコレで受けない訳がない、ってくらい日本人好みなクサメロの欧州型メロパワ・サウンドな模範的サウンドなんですけどねぇ…

ただ、無理矢理に今風のヘヴィサウンドへ進化したとしたならば、この日本人好みなオールド・スタイルなB級メロパワ・サウンドが壊れてしまうのも容易に予想出来るだけに、なんとも悩ましい…('A`)

もう一枚の方の現メンバーによる1st~4thまでのアルバムから選曲した過去曲再録アルバムは、オマケ的な扱いとは言えバラバラなフロントマンによる歌声だった楽曲を Erkki Seppanenの歌声でイメージも新たに纏まっていて旧作を全て持っているコアなファンも新鮮な感覚で再び以前の楽曲を楽しめるし、新規ファンへ向けてはバンドの歴史の手引きとも言える風に仕上がっていて、本作のオマケ的な扱いにするのが惜しいくらいだ。

メンバーチェンジは激しいもののコンスタントにアルバムをリリースしてきたお陰でか未だに国内盤がリリースされ、デビュー当時のSONATA ARCTICA系の北欧HMバンドと言うイメージがどれだけ大きく国内市場で有利に働いているのか分かると言うものですが、今となっては若いHMファンへの訴求力がイマイチなバンドだと言われても返す言葉がない状況(そもそも本家のSONATA ARCTICAの人気が…)だとファンながらに同意だし、この新譜も『大好評でプレス追加!』なーんて事になってないのは重々承知しておりますが、次作も国内盤リリースされるとイイなぁ…

月並みですが、次回作こそはもう1ステップ上へ駆け上がる飛躍と奮起を期待したい所ですね。



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# by malilion | 2018-05-24 08:27 | 音楽 | Trackback

疾走感が蘇った北欧フィンランド・バンド CARDIANTの4thを今頃ご紹介!

c0072376_19062227.jpgCARDIANT 「Mirrors」'17

北欧フィンランドから登場し、デビュー当時はメロディック・スピードHMの期待の新鋭だった彼等の、毎度恒例となった4年サイクルでの新譜4thがリリースされたのを半年遅れでGET!

まぁ、彼等の新譜は2ndから一気に評判悪くなったのもあって、即購入リストから外れてしまってたんで…(汗

デビュー当時はモロに初期SONATA ARCTICA風なB級北欧メロスピHMサウンドが話題になった彼等も、前作『Verge』'13でバンド・コンセプトにも関わる大変革を迎えて音楽性やバンド構成(5人組から男女ツイン・ヴォーカルの6人組へ)まで一気に大きく変化させた結果、国内の大方のファンの失望を買った訳ですよね…orz

北欧スピードHMが急に男女ツイン・ヴォーカルのゴス風味ありなロックポップへ様変わりしちゃ、マイナー北欧メロスピ好きなコアなメタルヘッド野郎共に顰蹙買うのは目に見えてましたし、結果的に批判的な意見が多かったのもしかりと思っておりましたが、個人的には彼等の前作での大英断を少々没個性なサウンドではあるものの好意的に捉えておりました。

さて、この新譜ですが、アルバム毎に(デビュー前からアルバム間にアルバム未収録曲を多数含むデモテープやらEP、シングルを挟んで)着実に音楽性の幅を拡げサウンドも変化させて来た彼等ですが、本作でもさらに音楽性の変化と幅を推し拡げたのが一目瞭然な挑戦的アルバムで、前作で彼等を見限った旧来のファンにこそこの新譜を聴いて欲しい、そんな快作に仕上がっております!('(゚∀゚∩

また、バンド結成以来メンツが常に流動的(特にフロントマンは出たり入ったりと落ち着かない)で活動を妨げていた不安定な要因が遂に前作から解決され、2作続けて同じメンツで初めて(!?)アルバムが製作されたという事実が、今も彼等を支持する忠実なファンにとっては何よりの安心を与える事でしょう(汗

そんなメンツの安定が良い効果をもたらしたのか、嬉しい事に初期のメロスピ風HMサウンドな疾走する楽曲が戻ってきた(!)のと、ツイン・ヴォーカル体制でのアルバム製作にも慣れたのか、借り物臭い没個性なゴス風味なサウンドは隠し味になって目立たなくなり、男女混声の分厚いヴォーカル・ハーモニーと華麗なキーボードサウンド(サンプリングやプレイが古臭くなくなった!)の使われ方が大幅にシンフォニックな要素として楽曲をスケールアップするアクセントに使われ、またゲスト・ヴォーカルで同郷フィンランドのHMバンドTHUNDERSTONEの Pasi Rantanenや元BATTLE BEASTにして現BURNING POINTの Nitte Valoが招かれて歌声を披露しているだけでなく Outi Jokinen嬢がソロでヴォーカルパートを担い艶やかな美声を聞かせる楽曲もあったりで、実に多彩な収録曲が総じてコンパクトにまとめられ(3rdの経験が活きてるね!)磨き上げられた、キャッチーながら初期のマイナー感を払拭した叙情感とHMバンドらしいスリリングさを兼ね添えた完成度の高いドラマチックでメロディアスな楽曲が目白押しなのに驚かされました。

1stアルバムにシンガーとして参加した Janne Saksaがバンドと共同プロデュースを行い、全作曲をリーダーの Antti Hanninen(G)が手がけ、前作のように各メンバーで作詞を手分けせずに1st後に脱退した初代ベーシストの Vesa Aholaが殆ど手がけている点も、初期から前作までのバンドの持つ音楽要素を全て含んだ多彩で鮮やかなアレンジメントが全編に効いた楽曲(Marko Lindroosのキーボードワークが大幅にモダンで華麗になったのがデカイ)を収録しつつもビシっと一本筋が通った纏まり有る高品質なアルバムに仕上がるのを手助けしたようにも思えます。

バンドに関わった人々総出演的な上にまるでバンドの音楽要素の集大成的な快作で、もうホントに拍手喝采を送りたいんですが、唯一苦言を呈するとすれば、何故こんなイケてないジャケットのデザインにしたのか、と言う事だけでしょうか…これが1stや2nd風のセンスあるジャケならもっと売れると思うんだよなぁ~(つд`)

イケてないジャケに目をつぶり、前作の不評を忘れ、騙されたと思って北欧メロディアスHM好きは本作を絶対チェックしてみるべきですよ!

ここまでの良作と知ってれば、もっと早く購入したのに、と今さらながら反省しきりです(汗

なんか本作の売れ行きイマイチっぽい(涙)けど、聞かず嫌いはいけません! こんなにキャッチーでメロディアスでメロスピ風味もある北欧メロディアスHMアルバム、聞かないのは損ですぜ!


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# by malilion | 2018-05-22 18:59 | 音楽 | Trackback

北欧メロハーのニューカマー PERFECT PLANがデビュー作をリリース!

c0072376_17535332.jpgPERFECT PLAN 「All Rise」'18

北欧スウェーデン産5人組メロハー・バンドのデビュー作を少々遅れてGET!

某B誌でこのデビュー・アルバムが絶賛されていて気になった方も多いハズな彼等ですが、key入り北欧スウェーデン出身のメロディックHRバンドのニューカマーで、お馴染みFrontiers Recordsからのリリースと来て、H.E.A.TやECLIPSEなどの影響ありの、キャッチーなメロディに歯切れ良いギター満載でハードポップ要素もタップリな上、新人らしからぬ完成度のアルバム、なーんて前情報ときてはメロハー好きなら誰でも気にならざるおえないですよねぇ?(w

スウェーデン中部の港町Ornskoldsvikで2014年後半に、古典的スカンジナビアンAORにメロディアスでキャッチーなハードロック要素をブレンドする音楽的方向性で結成されたと言うだけあって、時代を問わず偉大な先人達のサウンドを巧みに自身のサウンドへ取り込んで血肉とし、本作の楽曲創りに活かしているのは確かだ。

影響を受けているというバンドが、TREAT、BLOOD RED SAINTS、ECLIPSE、W.E.T.、WORK OF ART、FM、GIANT、FOREIGNER、JOURNEY、初期EUROPE、等々という事なので、このバンド名をみてピン、と来た方ならチェックしても惜しくはないだろう。

個人的には、同郷のH.E.A.TやECLIPSEらから感じられた北欧メロハー的な溌剌さやキラキラしたブライトな感触は少なく、むしろUSA産AORやUSAハードポップ的バランス優先な80年代産業ロック的サウンドに通じる楽曲構成で、適度にギターのエッジの効いたメロディスHRサウンドなのは確かなのだが、新人バンドらしいエネルギッシュさやエキサイティングな感触はちょっと乏しい安定安心型サウンドなのが些か残念な点かと思いましたね。

でも考えようによっちゃ、勢いや躍動感に物を言わせて突っ走りがちな“フレッシュさが肝デス!”みたいな新人バンドが殆どな中で、大物バンドの元メンバーが結成した訳でもない新人バンドがベテランのような奇をてらわぬ落ち着いたサウンド創りでデビューしたという事を考えれば、彼等が並のバンドでないのが分かると言うものです。

またフロントマンの Kent Hilliのフェバリット・ヴォーカリストが元FOREIGNERの Lou Grammなのも影響しているのか、まるでUK産ハードポップのようにちょっと煮え切らぬ歌メロが産業ロック的なバンドサウンドとのギャップを生み出していて、北欧メロハー定番な突き抜けるハイトーン・ヴォーカルを聴かせるタイプでない所も独特で面白い所だと思います。

逆に北欧メロハー特有の突き抜ける朗らかハイトーンと分厚いバッキングコーラス、という定番な要素は殆ど感じられないので、H.E.A.TやECLIPSE的なキャッチーでフック満載なキンキンのドポップなメロハー・サウンドって奴が大好物な方からすると少々物足りない、って事になるかもしれません。

乱暴な印象で例えちゃうと、彼等は北欧スウェーデン産バンドではありますが、むしろUSAの産業ロック・バンドが北欧的ウェットなメロディをバンドサウンドに取り込んでプレイし、ヴォーカルはUSA的な脳天気になり切れぬUK的ヴォーカルメロディを歌い上げている、って言えば伝わりますでしょうか?

現時点では未だ“コレ!”と、いう強烈な個性は感じさせないバランス優先な優等生サウンドなのが弱点と言えば弱点ですが、それでも凡百のマイナー・メロハーバンドに比べれば上出来なデビュー作なのは間違い有りません。

とまれメロディアスロック愛好家はチェックしておいても損はない期待の新人メロハー・バンドの1つだと確実に言えるでしょう。

続く次作で一体どういった発展の仕方をするのか今から愉しみで仕方が無いニューバンドなので、是非コンスタントな活動(北欧バンドは短命なの多くて…)を続けて欲しいものです。



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# by malilion | 2018-05-21 17:49 | 音楽 | Trackback

久しぶりのPEO新譜。溌剌北欧ハードポップを期待したら、届いたのは枯れた味わいブルーズ作だった…

c0072376_10151684.jpgPEO 「Orbit Of Dreams」'18

古くは北欧HRバンド AXIAのヴォーカリストとしてマニアには知られた存在な、スウェーデン・ソロアーティスト Peo Petterssonの10thソロアルバムが2年ぶりにリリースされたのでそそくさとGET!

ここの所、他アーティストとのコラボ作だったり北欧ミュージシャンによるプロジェクトバンドや蔵出し音源等のリリースが続いたが、今回は純然たるソロ新作だ。

例によって例の如く詳しい情報は皆無ですが、恐らくは全て自身がプレイした音源(もしかしてPALのメンツが参加してる?)を使用していると思われます。

毎度お馴染みとなったPeoお手製のCD-Rとラミネート加工されたペーパースリーブには楽曲名のみクレジットされていて、参加メンツ等の詳細な情報は一切記されておりませんので録音時期を含め全く確認のしようが…(汗

これまでアコースティカルなポップ路線やキャッチーな北欧ハードポップ路線、またはポピュラーミュージック寄りのAOR路線や、レイドバックした70年代風味な渋いHR路線等々とソロ作毎にサウンドの方向性を変えた作品をリリースしてきた訳だが、本作はベーシックなHR路線とブルージーなクラシック・ロック路線の楽曲が混在したアルバムとなっており、個人的に彼のアルバムで大のお気に入りな初期ソロ作の放つキャッチーでメロディアスで溌剌とした爽快感や疾走感は楽曲から全く感じられないのが残念で仕方が無いが、変わって落ち着いた大人のロックとも言うアーシーで渋めなサウンドが終始リラックスして繰り広げられ、年を経て一層に成熟したその歌声はブルーズフィール漂うロックを歌うに相応しい渋みと説得力を持っていて、コレはコレで十分に愉しむ事が出来ました。

まぁ、この渋ぅ~いブルーズ路線とインディ丸出しの薄ッペラな打ち込みサウンドでは当然の事ながら国内盤なんて夢また夢ですね。

自主製作盤だしR盤なんだし細かい事言いだしたらキリ無いとは分かってるものの、所々でノイズが入ってるのもマイナスポイントですわ…orz

終盤にちょとだけ初期風なポップフィールが心地よいメロハー・サウンドな楽曲が飛び出してきて、出来ればこの路線でいって欲しかったなぁ…(つд`)

正直、ソロになる前に彼が参加したAXIAやLEVITICUSや彼の初期ソロ作のサウンドでファンになったメロハー・ファンには殆ど訴求せぬサウンドのアルバム(涙)ではありますが、彼個人のファンは見逃せぬ新譜ですし、リラックスしたブルーズAOR作が楽しめる方にならお薦めは出来る一品です。

しかし“夢の軌跡”なるちょっとトキメキを感じさせるセンチなタイトルなアルバムなのに、この無愛想なPeoの顔ドアップな灰色のジャケデザインは如何なものかと…まぁ、ブルージーなサウンドをイメージしての渋めなデザインとも言えなくも無いんですけど…ちょっとなー('A`)

例の如く少数生産な自主製作盤の模様なので、お求めの方はお早めにね!



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# by malilion | 2018-05-14 10:06 | 音楽 | Trackback

先行き不安な北欧メロハー・プロジェクト W.E.T.の3rdアルバムが酷評されてるけど、本当に?

c0072376_11545272.jpgW.E.T. 「Earthrage」'18

ご存じメロハー・レーベルFRONTIER RECORDSが音頭を取り、Jeff Scott Soto(Vo TALISMAN,etc...)、Erik Martensson(G,B,Key,Vo ECLIPSE)、Robert Sall(G,Key WORK OF ART)という北欧HM好きならずともその筋では実力者として知られる彼等が組んだ北欧メロハー・プロジェクト・バンドによる、前作『Rise Up』から約5年振り(14年にLIVE作『One Live-in Stockholm』をリリース済み)となる3rdアルバムをちょい遅れて今頃GET!

例によって例の如く、彼等の事だから慌てて購入せずとも当然良作をリリースするさ、と楽観視して他のバンドのアルバムをチェックしていた訳ですが、この新譜…なんか巷の評判が宜しくないっぽい…(マジスカー

北欧らしい透明感ある甘口のメロディアスさ、そしてエモーショナルなプレイとAOR風味バッチリな整合性ある高品質でキャッチーな楽曲、全編に配されたフックに富む湿り気ある北欧メロハーの極上チューンが隙無く詰め込まれたデビュー作の出来が余りにも素晴らしかったが為か、彼等のこれまで所属していたバンドのキャリアやそれぞれクリエイトしてきたアルバムのクオリティを思えばどうしたって期待値が高めに設定されてしまうのは分かっていましたが、今回も2nd『RISE UP』同様ファースト作の衝撃を超えられなかった、だとか、ECLIPSEの曲を Jeff Scott Sotoが歌っているだけ、とか、3人プロジェクトなハズなのに Robert Sallが作曲で全く関わっていない『W』抜き残念作、等々の散々な酷評の嵐でちょっと手を出すのが躊躇われてしまいました('A`)

まぁ、Jeff Scott Sotoは念願叶って、ドラムにMike Portnoy、キーボードにDerek Sherinianという元DREAM THEATER組に加え、ギターに元GUNS N' ROSESの Ron "Bumblefoot" Thal、ベースに Billy Sheehan(MR.BIG)という、泣く子も黙るスーパー・プレイヤー達が集結したUSプログHMバンドSONS OF APOLLOのフロントマンに収まった事もあってインディ同然な北欧HM系プロジェクトをもう重要視する必要も無く(涙)創作意欲高くなかったんかなぁ、とか、散々FRONTIER RECORDSの圧力で色々な所へ引っ張り出されてワーカホリック気味な Erik Martenssonの作曲能力も流石にもうネタ切れかな、とか、Robert Sall(WORK OF ARTは現在新作の準備中!('(゚∀゚∩ヤター)は米国AOR系へ楽曲提供がメインへ移行してこのプロジェクトにもう情熱注いでくれなくなったんかなぁ、とか色々ネガティヴな情報多くてアルバムを聞く前に勝手に納得してしまいがちだった訳ですが、実際アルバムのサウンドに耳を傾けてみると『え? コレ、そんなに酷評する程に駄作か!?』って、のが第一印象の良質なメロディアス・ハード作でした(笑

本作にキーボードプレイや少々のヴォーカルで僅かに加わるだけの Robert Sallが語る所によると1stと2ndの中間のような音楽的方向性を目指したらしい本作ですが、確かに酷評が溢れかえる巷の評価通り、北欧バンドらしい叙情的な美旋律のメロディアスな楽曲、というポイントは満たしているもののイマイチ楽曲が持つフックが乏しく感じたり、北欧独特の透明感の減退や、全体のAOR風味が強まった為かHMというよりHRカラーが強く感じられ、適度なメタリック度はあるものの総じて楽曲は非常に聴き易く、彼等の作品としては最も万人受けする作品と言えるかもしれないが、ソレが没個性に繋がってしまいファンが期待している彼等が放つ独特の北欧HM風味というか“臭み”のようなものが薄れて感じる一作とは言えるだろう。

要は1st路線の再現を強く望むファンにとっては、ポピュラー寄りになった少々お洒落に成りすぎたサウンド、って事なのかもしれない。

まぁ、個人的にも2ndで聞こえた力み過ぎの空回り感はいただけないと思っていたので、1st路線を当然自分も期待していた口ですけどね。

本作で感じる“アクの弱さ”の最大の要因は、勝手な想像だがソロバンドだったりソロアルバムだったりで硬柔使い分けて必死に売り上げを求めてあがいていた Jeff Scott SotoがSONS OF APOLLOという安住の地を得た結果、W.E.T.のアルバムの完成度をスポイルしがちだったインプットが減退し、只の歌い手という存在(汗)に落ち着いた(実際は作詞でこれまで以上に参加しているが、サウンド的なスポイルはなかったという事?)為と、多くの方が指摘しているように Robert Sallが1st、2ndのように Erik Martenssonとがっつりコラボレートしなくなったのが大きく影響しているように感じます。

Jeff Scott Sotoの放つソウルフルな要素や Robert Sallの磨き抜かれたAOR的職人芸のコンポーズ能力が消え、Erik Martenssonの持つ要素ばかりが目立つアルバムと言うとW.E.T.ならではの3人による濃密なコラボレーションを期待していた方々には少々3人が生み出すマジックやエネルギッシュさが不足して感じるのも十分に理解出来るが、そういったマイナス要素を踏まえてさえ本作が良質なメロディアス・アルバムである事には些かの疑いもないと言える。

これまでの Jeff Scott Sotoの発言や Robert Sallの本作への関わりようを見ると、本プロジェクトが次なる新作をリリースしてくれるのか少々疑問に感じるものの、駄作と評されるのは明らかに間違いな本作が最終作となるような悲しい顛末だけは避けて欲しいですね。



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# by malilion | 2018-05-13 11:47 | 音楽 | Trackback

地味で目立たないけどソロキャリア25年超えなPENDRAGONベーシスト PETER GEEがソロ作をリリース!

c0072376_15350288.jpgPETER GEE 「The Bible」'18

英国ポンプバンドの雄PENDRAGONのベーシスト Peter Geeの7作目となるソロアルバムがリリースされたのを、ちょい遅れてGET!

PENDRAGONというとリーダーの Nick Barrett(Vocals、Guitars)やポンプ界のみならずHM界まで幅広く活躍し、自身のメインバンドやサイドバンド、さらにプロデュース業も盛んな Clive Nolan(Keyboards)の活動がやたら目に付くわけだが、その二人に比べて地味ながら Peter Geeのソロキャリアも93年デビュー作リリースから数えて25年になるのです。

本作はタイトルが示す通り「聖書」をテーマにした自身初となるコンセプト・アルバムで、イングランド教会の牧師の息子で敬虔なクリスチャン(キリスト教信仰について2冊の本まで出版している)である Peter Geeとしては避けては通れぬ創作題材という事もあってか、サウンドの方もこれまでのソロ作の集大成的な多様性と真摯な信仰を現すかのようなクオリティを誇る良作だ。

これまでのソロ作同様、Peter GeeはBass、Guitar、Keyboards、Piano、Percussion、Programmingとほぼ全てのインストゥルパートを手がけ、さらにComposer、Arranger、そしてco-producerも担っている。

また、数作前から自身の歌声を披露するのは止めたようだが、まぁ、コレは専任ヴォーカリストをゲストで迎えた方が作品全体の質が上がるからという賢明な判断だろう。

で、今回招かれているのは、まずお馴染みのドラマー Steve Christy(John Wetton、JADIS)と、メインで歌声を聞かせるのは USAクリスチャン・ロックバンドのヴォーカリスト Josh Brown(DAY OF FIRE、ex-THE VOODOO HIPPIES、ex-FULL DEVIL JACKET)で、その他数曲で透き通る美声によるハミングやスキャットを聞かせるBecky Brannigan嬢、そして英国カントリーミュージック・ソロアーティストでヴォーカリストの Hayley Oliver嬢がバッキングヴォーカルで全面的に参加し、ややもすると真面目過ぎて重苦しくなりがちなコンセプトのサウンドに女性の美しい歌声が華を添えている。

その他にも、厳かで渋い語り口のナレーター、優美で艶やかなヴァイオリン、高らかに鳴り響くトランペット等のプレイヤーをゲストに迎え、英国叙情漂うメランコリックでメロディアス、そして荘厳な美しさを感じさせる、一大歴史絵巻を忠実にサウンドへ置き換えたシンフォニック・ロック作となったと言えよう。

PENDRAGONの『The World』『The Window Of Life』『The Masquerade Overture』等のファンタジックなジャケットを手がけたイラストレーター Simon Williams氏による聖書の有名な場面を散りばめた美しいジャケットに包まれた本作のプロデュースはIQ、BIG BIG TRAIN等を手掛ける Rob Aubreyで、如何にも英国産といった湿り気を帯びた気品あるサウンドに仕上げられている。

テクニカルなインタープレイやスリリングでハイテンションなリードプレイの応酬なんて影も形も見当たらない、心安らかになれる癒やしに満ちたサウンドは、“ド”シンフォニック・ロック好きには少々たるく感じるかもしれないが、音楽に美しさや癒やしを求める向きならばきっと気に入る事受けあいな一作ですので、クリスチャン系ロックと毛嫌いせず是非一度お試しあれ。


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# by malilion | 2018-04-28 15:28 | 音楽 | Trackback

イタリアン・フォーキー・シンフォ・プログレ・デュオANCIENT VEILのデビュー作がREMIX&REMASTERでリイシュー!

c0072376_20082522.jpgANCIENT VEIL 「New ~The Ancient Veil Remastered~」'18

叙情派イタリアン・シンフォバンドERIS PLUVIAの Alessandro Cavatori[Serri]((G&Vo)によるソロ・プロジェクト作で、フォーキー・シンフォ・プログレ・デュオによる95年デビュー作が、REMIX&REMASTERに加え新装ジャケットにてリイシューされたのを、ちょい遅れてGET!

オリジナルはプレス数少なく即廃盤行きで有名(汗)なMELLOWレコードリリースだったので、地味なジャケ(個人的には新ジャケより元の方が好きだ)も相まって、余り話題にならずその存在さえ知られていない隠れた名盤であった本作だが、装いも新たにリイシューされ再びファンの方々が手に取るチャンスを得られた事がなにより喜ばしい(*´ω` *)

オリジナル盤を所有の方も、本作はオリジナルサウンドに新たな録音とアレンジが施され、さらにREMIX&REMASTERが成されているので見逃せぬリイシュー作と言えましょう。

また、オリジナルの95年盤から4曲カット(!?)され、ラストに新たな未収曲が1曲追加(厳密には未発曲ではなく、カットした4曲を順番を変えてメドレーで繋ぎ新録部分も加えた組曲)されているので、音源マニアとしても外せぬ一品であります。

しかし、リイシューしても同一内容じゃないのでオリジナル盤の価値(個人的には今回の組曲風な4曲の再編はイマイチな印象デス)は相変わらず高いまま、ってトコが如何にもプログレ系って感じですねぇ('(゚∀゚∩

こうして再び磨かれた旧作のサウンドを耳にして、内省的で民族音楽やジャズ、そしてクラッシック要素の多いアコースティカル過ぎる内容や、余りにも繊細で美しく儚げな珠玉の楽曲の数々が納められた絶品(オーボエとサックスの絡みGRYPHONっぽくて最高!)の一作という感想がいっそうに強まりました。

最近ではイタリアの映画監督 Vittorio De Sistiやジェノヴァ出身のコンポーザーでありベーシストでもある Fabio Zuffanti Biography等との創作活動も知られる管楽器奏者のEdmondo Romano(Sax)をフィーチャーしつつ、フルート、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロを配し、ギター、シンセ、ピアノ、ハモンド、ムーグの音色がモザイク画のように緻密に絡み合い朗々と優美なメロディが奏でられていく、壊れ物のようなデリケートなサウンドに格調高いクラシカルさが薫る正に絶品のフォーキー・シンフォ・プログレ作となっているので、もし彼等のサウンドを耳にした事がない方で、ひたすら美しく繊細なメロディと古音楽風サウンドがお好きな方なら是非この機会にチェックしてみて下さい!


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# by malilion | 2018-04-27 20:01 | 音楽 | Trackback

ベテラン・ブリティッシュHRバンドMAGNUMが新譜をリリース('(゚∀゚∩

c0072376_02041113.jpgMAGNUM 「Lost On The Road To Eternity」'18

レコーディング・デビュー40周年を迎えたベテラン中のベテランHRバンドにして大英帝国の誇り、ブリティッシュHRの生ける伝説と謳われるMAGNUMの、通算20枚目のアルバム(19thオリジナル・アルバム)がリリースされたので速やかにGET!

コンピレーションやBEST、EPやレア音源集、そしてLIVEアルバムなんかも多数(日本未発多数)あるので実際のところ彼等のオリジナルアルバムが何枚目なのかちょっと判断尽きかねましたけど…(汗

毎回MAGNUMは、アルバム未収録音源を多数収録しているシングルをリリースしてくるので音源マニア泣かせなバンドなんですよねぇ…あ、コレは今は関係ない話でしたね(汗

ここ数年、少々マンネリ気味だった彼等が久しぶりに放った渾身の快作であった前作『Sacred Blood ”Divine”Lies』'16 に続く約2年振り(17年1月に新録4曲を含む日本未発売のバラード・コンピレーション・アルバム『The Valley of Tears』をリリース済みだが)の新作は『永遠への道に迷って』と彼等らしい意味深なタイトルだが、音楽性はもはや変わりようもない安定安心のメロディアスなブリティッシュHRで、本作もいつものように Bob Catley(Vocals)の絶品の歌唱と Tony Clarkin(Guitars)の熟練のソングライティングから成る鉄壁のコンビネーションに些かの揺るぎも無く、いつにも増してエモーショナルなギター・サウンドが冴え渡る充実の一品に仕上がっている。

再結成して活動再開してからベテランとは思えぬハイペースで新譜をリリースし、各アルバムが一定以上の水準をしっかり保っている上に、未だにLIVE活動も疎かにしていないという、彼等のプロフェッショナルな志の高さには本当に恐れ入りますね。

さて、そんな風にいつも安定した高クオリティの楽曲を提供し我々ファンを愉しませてくれている彼等ですが、長く彼等のファンをしている者ならばバンドロゴが商業的ビッグヒットを記録する以前の、3rd『Chase The Dragon』'82 時の初期デザインに戻っている事に気がついて、何かしらの変化をアルバムを聞く前から予想したのではないだろうか?

残念な事に長く安定していたメンバー構成に変化が起きた模様で、バンド結成以来不動のコンビ、Bob Catley(Vocals)と Tony Clarkin(Guitars)、そして01年から在籍するAl Barrow(Bass)は引き続き参加だが、82年から長きに渡りMAGNUMサウンドを支えて来た職人キーボードプレイヤー Mark StanwayとTHUNDERに在籍しながら、その力強いドラミングでバンドの屋台骨を支えて来た Harry JamesがTHUNDERへ離脱した為に失い、代わって今作から新たに加入した Rick Benton(Keyboards)と Lee Morris(Drums ex:MARSHALL LAW ex:PARADISE LOST ex:TEN)の二人を迎えた新体制で製作されている。

ファンならずとも長きに渡って堅実にMAGNUMの音像を盛り立てて来た Mark Stanway離脱の影響が一番の気がかりだろうが、セッション作業やミュージカルディレクターとして幅広く活躍してきたキャリア30年超えの Rick Bentonの軽やかで華やかなキーボードワークとHM畑出身の Lee Morrisのヘヴィでソリッドなドラミングがバンドを刺激したのか、常に幅広い音楽性の楽曲をバランス良く収録したアルバムをリリースしてきた彼等にして、予期せぬファンキーなリズムだったりダンサンブルでヘヴィなリズムだったりと今まで耳にしなかった毛色の楽曲アプローチや80年代頃を思わせるキャッチーな懐かしいブライト・サウンドだったりといつになく楽曲のバラエティが豊かで、古き良きMAGNUMワールドを維持しつつ(長めの曲が多いのもイイ!)新たに躍動するパワフルでタイトなHRサウンドにリフレッシュされたアルバムに仕上がっているのが嬉しい(*´ω` *)

新メンバーのプレイに触発されてか Tony Clarkinのギター・プレイにも控えめなブルーズ・フィール漂うハードロック・スピリットがいつにも増して溢れており、Bob Catleyの憂いに満ちた説得力ある歌声はハードロッキンな楽曲でもバラードでもシンフォニックな楽曲でも相変わらず絶品で非の打ち所が無く、Rick Bentonの操るカラフルなキーボードの音色は控え目ながら実にそつなく楽曲を飾り立て、効果的なアレンジでもってバンドサウンドのレベルを引き上げ Mark Stanwayの不在を忘れさせ、若返ったリズム隊は驚くほど激しくドライビングする揺らめくボトムを分厚くタイトに固めた、全MAGNUMファンの期待に応えるフック満載なキャッチーでドラマチックなHRサウンド成分を満たすさすがはベテランという充実した仕事振りだ('(゚∀゚∩

今作のゲストに Tobias Sammet(EDGUY、AVANTASIA)と Lee Small(ex:SHY、LIONHEART、etc)のヴォーカリスト二人が、それぞれデュエットとバッキング・ヴォーカルで参加しているのもファンには見逃せない情報だろう。

なお、日本盤ボーナス・トラックとして、17年リリースのバラード・アルバム『The Valley Of Tears』収録の「Back In Your Arms Again」と「Broken Wheel」の2曲のリ・レコーディング・ヴァージョンを追加収録している。

MAGNUMのジャケでは定番となっている、ファンタジーと伝説的な生き物の神秘的な世界を反映したアートワークを担当しているのは、お馴染みイングランドが誇るイラストレーター Rodney Matthewsだ。

ベタ褒めでまるでどこかの回し者みたいだが(笑)、典型的なMAGNUMのサウンドを求める古参ファンもきっと納得するであろう、素晴らしいメロディーとフックが渦巻く美旋律と幻想的で華麗なファンタジー・サウンドが力強く生まれ変わったその程を、是非ともチェックして見て下さい!



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# by malilion | 2018-03-28 01:55 | 音楽 | Trackback

UKシンフォ界のスーパー・グループ KINOが13年ぶりに復活!!

c0072376_00231892.jpgKINO 「Radio Voltaire ~Limited Special Edition~」'18

幻の如くアッという間にその姿を消したUK産モダン・ポンプ&メロディアスロック・バンドKINOが、まさかの13年ぶりとなる2ndをリリースしたので即GET!!

各メンバー達は有名バンドに所属しているし、常々本人達から『KINOを復活させることは考えていない』と語られていただけに、長い長い空白期間の後のまさかの復活に欣喜雀躍なポンプ&シンフォ・ファンは多いのではないでしょうか?

ただ念願の新作なのですが、残念な事に完全なるリユニオンは叶わず John Mitchell(G,Vo)と Pete Trewavas(B,Vo)は前作に引き続き参加し中心的な役割を担っているものの、John Beck(Key,Vo)はFISHとの仕事の為にゲスト参加扱い(本作のキーボードパートの大部分はJohn Mitchellがプレイ…なので、残念ながら1stのような華麗なプレイは少ない)となり、ドラマーの Chris Maitland は不参加で、本作では Craig Blundell(Ds:FROST*、Steven Wilson、ex:PENDRAGON)が新たに迎えられているが、サウンドの方はファンの皆が待ち焦がれていたアノのKINOサウンドに間違いないのでご安心を!('(゚∀゚∩

04年、John Mitchell(G,Vo:ARENA、FROST*、IT BITES、etc)、John Beck(Key,Vo:IT BITES)、Pete Trewavas(B,Vo:MARILLION、TRANSATLANTIC)、Chris Maitland(Ds:PORCUPINE TREE)等によって突如として結成されたUKシンフォ界のスーパー・グループKINOは、名うての猛者揃いというインフォに恥じぬ、そのコンパクトでキャッチーながらインテリジェンスで洗練されたテクニカル・メロディアス・サウンドが大絶賛されながらも、たった一枚のアルバム『Picture』'05 とデモや未発音源、そしてLIVE音源を収録したコンピレーション・アルバム『Cutting Room Floor』'05 を残して呆気なく姿を消してしまう。

で、久しぶりの2ndとなる本作だが、“私は君の意見に反対だ。しかし、君がそれをいう権利は生命をかけて守って見せる。”とか“男がありとあらゆる理屈を並べても、女の一滴の涙には勝てない。”なんていう名言が有名なフランスの哲学者、文学者、歴史家であるヴォルテール(Voltaire)こと、本名フランソワ=マリー・アルエ(Francois-Marie Arouet)の、言論の自由と宗教の自由を支持した思想やヴォルテール自身が死に魅了されていたという逸話にインスピレーションを受け製作され、さらに政治全般のような見える虚偽を切り取って人々へ伝える、人生観を反映したラジオ局というコンセプトに導かれてアルバムは幕を開ける。

因みにドイツ人文学者フーゴー・バルによって1916年にスイスで開店したキャバレーの名前は、キャバレー・ヴォルテール(Cabaret Voltaire)で、作家や各国から亡命者が多く集い、反芸術運動(ダダイスム)の発祥の地となった事で有名。

さらにさらに、その名前をまんまバンド名にしたのが、70年代の英国産インダストリアル・ミュージック・グループCABARET VOLTAIREで、後にエレクトロニック・ダンス・ミュージックユニットへ転じた。

本作の『ラジオ局ヴォルテール』なるアルバムタイトルには、この辺りの事も当然関係していると John Mitchellがインタビューで語っております。

そういったコンセプチャルな要素を含みつつ、デビュー作でのコンパクトでキャッチー、そしてスタイリッシュなテクニカル・メロディアス路線を踏襲しながら、ハートフルなヴォーカルをフィーチャーしたメランコリックでミステリアスな浮遊感と壮大なスケールを感じさせる、複雑な構築美が活かされた英国叙情漂うシンフォ・サウンドをしっかり聴かせ、さらにタイトなギターを前面に押し出したシャープ且つ洗練されたギター・オリエンテッドな作風に幾分か変化していて、John Beckが本格的に参加していない事も大きく影響してか、かなり John Mitchellのカラーが大きくフィーチャーされた(楽曲クレジットも殆ど John Mitchell)サウンドだと一聴してすぐ分かるだろう。

たた、それでも John Mitchellの関わる他のバンドやソロ作のサウンドとは明らかな差異があって、このユニット独特のカラーとも言える、クリア且つスタイリッシュなメロディアスさにハードエッジなエネルギッシュさとマジカルでモダンなブリティッシュ・ポップサウンドが奇妙に交錯する唯一無二な陰影がクッキリとサウンドに浮かび上がり、ダイナミックでスケールの大きなサウンドや独特の浮遊感あるデジタリーなアンビエント具合も相まって、焦がれ続けたKINOサウンドがタップリと味わえる、待たされたファンの期待を裏切らぬ復活作に相応しい一作に仕上がっていると言えましょう。

デビュー作からしてそうだから当然だが、この手のスーパー・バンドが陥りがちな各メンツの腕前を見せつけるような稚拙さは微塵もなく、当初のネオ・プログサウンドを00年代に相応しくモダンにアップデートさせるというポイントをしっかり堅持しつつ、より音楽性の幅とクオリティを上げたテクニカルでスタイリッシュなサウンドの完成度はかなりなものながら、耳に残るのはどこか懐かしく親しみやすいキーボードの音色やエモーショナルなギターのメロディー、そして John Mitchellのハートウォームで深みあるボーカルとコーラス、それら全てのハーモニーが織り成すロマンチックで繊細な美旋律には英国バンドらしい気品が漂う、という80年代黎明期から続く第二世代ポンプ・ミュージシャン達の才能と手腕が遺憾無く発揮された“洗練の極み”とも言える渾身の一品なのは間違いない。

まぁ、ポップさで言うと前作の方がキャッチーだったし細かなアレンジも効いていたのは確かですが、新作は新作でまた違ったティストとストレートな勢いを感じさせ実に小気味良いサウンドが堪らんのですよ。ええ。

なんだかんだと小難しく考えずとも、この心地よいメロディに身を任せて素晴らしい楽曲を愉しめばいいのです(*´ω` *)

3面開きデジパック仕様の限定盤にはBonus Tracksが4曲追加収録されているので、音源マニアは当然こちらをGETしましょう。

因みにBonus Tracksは、Temple Tudor(Piano Mix)、The Dead Club(Berlin Headquarter Mix)、Keep The Faith(Orchestral Mix)、そしてThe Kino Funfairの4曲となっております。

『13年したら、また再結成するよ』と、冗談めかして John Mitchellが語るように、今後本ユニットが継続して活動するのか甚だ不透明ではありますが、出来る事なら John Beckを早く呼び戻してLIVE活動や次なるスタジオ・アルバムの製作をしてもらいたいものです。



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# by malilion | 2018-03-26 00:17 | 音楽 | Trackback

フランス産コンテンポラリー寄りシンフォバンドDELUSION SQUARED、待望の新作は大変化!?

c0072376_01432390.jpgDELUSION SQUARED 「Anthropocene」'18

ゴシック系要素も多分に含むクロスオーバ系ながらシンフォニックタッチなプログレッシヴ・ロックを聴かせるフランス産ユニットの4年振りとなる4thがリリースされたので即GET!

前作でデビュー作から続いていた三部作構成のコンセプト作が完結した訳だが、続く新作も再びコンセプト・アルバム(汗)となっている。

アルバムタイトルはノーベル化学賞受賞のドイツ人大気化学者、パウル・クルッツェンによって提案された造語で、人類が地球の生態系や気候に大きな影響を及ぼすようになった近年の地質学的な時代(人新世:ひとしんせい、という意味)を表している。

まぁ大雑把に言っちゃうと、タイトルが物語るように近年の物質主義な人類に警鐘を鳴らす的(人類の黄昏をイメージしてのジャケデザイン?)な如何にも彼等らしいコンセプト作、という事だ。

デビュー以来、複数の組曲から構成されるコンセプチュアルな大作志向のアルバムばかりリリースしてきた彼等なので本作がコンセプト作なのに驚きはないが、一番のトピックはデビュー作からこれまで物憂げでアンニュイな美声でフロントを務めてきた Lorraine Young嬢(Vo,G)が、17年に自身のプロジェクトを追求する為に脱退し、本作から Emmanuel de Saint Meen(Bass,Keyboards,Backing Vocals)と Steven Francis(Vocals,Guitars,Drums)の二人だけによるユニットになってしまった事だろう。

前作で三部作が完結したから、って事なんでしょうかね?
まさか、ここに来て三人ユニットにヒビが入るとは思いも寄りませんでした……

看板だった Lorraine Young嬢を失ってからの初のアルバムと言う事で、ある意味で本作は彼等の勝負作(バンドロゴも変わってるしね)でもあると言えましょう。

その勝負作っぽさを一層際立たせているのが、メンバーの補充を行わなかった、これを機にメンツを固めて正式なバンド体制へも移行しなかった事で、フィメール・ヴォーカル・トリオから男性ヴォーカル・ユニットへ移行した為にサウンドイメージが大きく変化し、可憐で物憂げなフィメール・ヴォーカル好きだったファンにとっては少々いただけない状況かもしれない。

自分的には余りフィメール・ヴォーカルは好みではないんですが、穏やかな歌声なものの Steven Francisが全編で少々抑揚の少ないヴォーカルを聴かせている点は、大きなマイナス要素だとは思いますけど……

一応、フルートとバッキングヴォーカルを担当する Emilie De Neef嬢がゲスト参加してサウンドに華を添えているので、以前のようなフィメール・ヴォーカルが完全に消え失せてしまった訳ではないのがフィメール・ヴォーカル好きなファンにとっては救いかも?(汗

そういった外的要因の変化があったものの、サウンドの方は従来通りにアコースティック・サウンドとメタリック・サウンドを活かした優美で技巧的なギターが楽曲を主導し、ダークでミステリアスなゴシック系のアンサンブルや叙情的でロマンチックな香りたっぷりのシンフォ系キーボードが控え目に、しかししっかりと活躍する、随所でデジタリーなアンビエント・サウンド要素も交錯させつつ前作より接近したポスト・ロック的な感触が初期の作風よりさらに大きくなった、イギリスのPORCUPINE TREEからメタリックっぽさを薄めたメランコリックなモダン・サウンドを聴かせてくれている。

フィメール・ヴォーカル好きなファンには悪いですが、今回の脱退劇で耳に心地よく響く可憐なフィメール・ヴォイスが消え失せた事によって、これまで裏方になりがちだったアコギの陰鬱なアルペジオやメロディアスなフレージングに彩られたゴシック・ハード調のアンサンブルやギターのナチュラルな味わいが浮き彫りになり、インストゥル・パッセージの繊細さや、楽曲構成の妙などがよりストレートに伝わりやすくなったとも言えるのじゃないだろうか?

まぁ、あのままだとずーっとPORCUPINE TREEが引き合いに出されただろうし、オリジナリティ確立の強化という意味では、このユニット化の選択は正解…なのかな…?

ただ、バンドサウンドとして見ると総合的な表現力の幅は確実に低下したと思うので、早急にメンツを補充した方が良いとは思うんですけどね…

海外では、PORCUPINE TREE、ANATHEMA、PINEAPPLE THIEF、AYREON、PHIDEAUXのファンにもお薦め、と紹介されておりますので、このバンド名でピピッと来た方は一度チェックしてみてもいいかもしれません。



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# by malilion | 2018-03-25 01:36 | 音楽 | Trackback

ベテラン英国キーボーディスト PHIL LANZONが初ソロ作をリリース!

c0072376_14561459.jpgPHIL LANZON 「If You Think I'm Crazy」'17

GRAND PRIX、Grant&Forsyth、SAD CAFE、John Lawton、LIONHEART、Mick Ronson、Chris Spedding、SWEET等のセッションやサイドメンバーとして幾多の英国バンドを渡り歩いて来た現URIAH HEEP(87年加入)のキーボーディストの初のソロ・アルバムがリリースされたのでGET!

70年代後半から活動してきたその長いキャリアの割に今回初めてのソロアルバムという事実に驚かされが、裏方作業が長かった事もあって多種多様な音楽作業に携わってきたベテラン中のベテラン(実際、もうかなりのお爺ちゃんだ…)が放つ処女作は、ハートフルな自身のヴォーカルもフィーチャーしつつ、複数のシンガーと数多くのミュージシャンを招いて織り成されたゆったり穏やかな楽曲に英国情緒が色濃く漂うドラマチックなシンフォニック・ポップロック作で、そのキャリアに裏打ちされた楽曲やプレイは自主製作盤と思えぬ良い音と高い完成度で流石の一言。

まず Phil Lanzonのヴォーカルだが、本ソロ作では2曲でその歌声を披露している。

URIAH HEEPで長らくコーラスを担当して喉が鍛えられている事もあってか中音域中心なマイルドでジェントリーな歌声で、穏やかな楽曲に実に良くマッチしたなかなかの歌唱力だ。

キーボーディストのソロ作なので当然、ハモンドB3、ピアノ、ローズ、シンセ等を駆使した鍵盤モノが中心のサウンドになり、他にもオーケストラ、ストリングスセクション、混声合唱団を導入したシンフォニック・ロックなども聞けるものの基本は歌モノ的楽曲が殆どで、無駄にキーボードを弾き倒してテクをひけらかすようなみっともない真似をしでかさないのも楽曲中心な考えのベテランらしい余裕を感じさせる(*´ω` *)

注目のゲスト陣だが、まずギターと2曲のリード・ヴォーカルで英国シンフォ界きってのオタスケマン John Mitchell(ARENA、FROST*、IT BITES、KINO、LONELY ROBOT、THE URBANE)が参加し、4曲でリード・ヴォーカルを取っているのはAdrian Smith's PSYCHO MOTELの2ndで歌った Andy Makinが参加、さらにドラムスに Craig Blundell(FROST*、ex:PENDRAGON)を迎えるなど長いキャリアに相応しく多数の凄腕ミュージシャンが招かれている。

アルバム中盤からGRAND PRIX時代を彷彿させる畳みかけるようなスリリングなキーボード・プレイとダイナミックに楽曲が展開するのが楽しめ、その一方でAORテイストやプログレ・テイストも垣間見せるスケールが大きくリリカルでドラマチックな気品漂うメロディアスなサウンドには、JADISやARENA、そしてIT BITES等のポンプサウンドや、MAGNUMや当然の如くURIAH HEEPといったブリティッシュHRサウンドの面影も感じられ、ポンプ、シンフォ・ロック、メロハー等のファンも満足するだろうバランスの取れた充実の作品で、英国ロック好きに是非お薦めしたいアダルティックな一品です。

Musicians:

Phil Lanzon:Hammond B3、Piano、Electric Piano[Rhodes]、Programmed & Lead Vocals(tracks4,10)

James Graydon:Acoustic Guitar
Laurence Cottle:Bass
Craig Blundell:Drums

John Mitchell:Lead Guitar & Lead Vocals(tracks1,3)
Andy Caine:Lead Vocals(tracks8)
Andy Makin:Lead Vocals(tracks2,6,7,9)

Sarah Jory:Pedal Steel Guitar、Banjo
Joe Atkins:Piccolo Trumpet

Andy Caine、Andy Playfoot、Miriam Grey、Phoebe Street:Backing Vocals

The London Telefilmonic Orchestra:
Bozidar Vukotic:Cello
Richard Harwood:Cello
Levine Andrade:Viola
Roger Chase:Viola
Patrick Savage:Violin [Leader]
Adam Hill:Violin
John Mills:Violin
Matthew Scrivener:Violin
Oli Langford:Violin
Peter Fisher:Violin
Richard Smith:Violin
Robert Gibbs:Violin

Andrew Playfoot、Annie Skates、CJ Neale、Kate Graham、Lance Ellington、Lucy Potterton、Mary Carewe、Phoebe Street:Choirs
Annie Skates:Chorus Master
Richard Cottle:Conductor
Levine Andrade:Contractor




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# by malilion | 2018-03-24 14:46 | 音楽 | Trackback

生まれ変わった豪快アメリカンHMバンドSTEELHEART

c0072376_01203147.jpgSTEELHEART 「Through Worlds of Stardust」'17

アメリカはコネチカット州出身のHMバンドの、復活第一弾作となった『GOOD 2B ALIVE』以来、9年ぶりの新作となる通算5作目が去年夏頃に出ていたのを今頃にGETしたのでご紹介。

例によって例の如く、どうにも巷の評判がイマイチっぽいので購入を後回しにしていたのです…(スマヌ

HMファンなら良くご存じだろうがメンバー全員が新人バンドらしからぬ凄腕ミュージシャン揃いな上、その中でも飛び抜けて個性的な驚異のハイトーンヴォーカルを誇る Miljenko Matijevic(旧名マイケル・マティアヴィッチ Michael Matijevic)の歌声が話題をさらい、まさに鳴り物入りでデビューしたSTEELHEARTであったが、2ndアルバムリリースに伴う1992年のツアー中に舞台事故が起き、看板だった Miljenkoが大怪我を負った為にバンドは活動休止に追い込まれ、時を同じくして全米で吹き荒れたグランジ旋風の為にいつしか彼等の活躍する場はなくなってしまう…

人気バンドが解散し、その後に復活した際リリースする作品は大抵2パターンで、解散前のイメージなままの作風か、新しい今の時代に合わせた作風な訳だが、彼等が選んだのは後者だった。

で、プライドの為か集金目的の懐メロバンドじゃねぇぞ! という気概でかチャレンジングな後者を選択するベテラン勢は実際かなり多い訳だが、まぁ、大抵の場合は届けられた新譜によって熱心に復活を待ち望んでいた古参ファン達が失望のドン底へ突き落とされるんスよね('A`)

復活と言っても彼等の場合はリユニオンではなく、残念な事に今や完全にメンツの違う Miljenko Matijevic(Lead Vocals、Acoustic Guitar、Guitars、Ebow Guitars)率いるSTEELHEARTというソロ・プロジェクトという態なのが実際のところなのが少々寂しい限りではあります。

まぁ、08年リリースの再々始動作である『GOOD 2B ALIVE』より前の96年リリースの再始動作である3rdアルバム『Wait』時点で既にメンバーは Miljenko Matijevic以外全く変わっていた訳だし、その内容自体もグランジー風味な、1st、2ndで聞かせたタフで豪快なアメリカンHMというサウンドから大きく様変わりしたZEPPELIN臭のするダークで内省的なモノだった事を考えれば、本作においては幾分か初期の作風を感じさせてくれるのは嬉しいポイントと言えるだろう。

で、本作だが Uros Raskovski(Guitars)、James "Rev" Jones(Bass)、Sigve Sjursen(Bass)、Mike Humbert(Drums)は前作『GOOD 2B ALIVE』から引き続き参加し、本作から Jesse Stern(Bass)、Randy Cooke(Drums)が新たに制作に加わっている。

また前作でもゲスト参加したキーボーディスト Edward Harris Rothが、新たに加わったキーボーディスト Daniel Foucheと一緒にピアノとシンセをプレイし目立たないながらもしっかりとアルバムを盛り立てている。

再々始動作である『GOOD 2B ALIVE』は『Wait』の後遺症か、ダークなグランシジー路線を引きずったままのZEPPELIN臭がするヘヴィ&ドライ・サウンドだった訳だが、本作においてはヘヴィさはそれ以上に、けれど幾分かウェットなメロディを感じさせつつ、より骨太でグルーヴィ、そしてハードエッジなサウンドがタフにマッチョにひたすら突き進む、初期のストレートなアメリカンHMサウンドを望んでいるファンには前作同様に少々キツい内容かもしれないが個人的には十分に豪快なアメリカンHMの快作と言えると思う。

特に注目したいのは、以前は太く高く良く伸びる力強い歌声と強靱なハイトーンシャウトばかり取り沙汰され、けれど少々一本調子になりがちだった Miljenko Matijevicの歌唱力も本作に至っては、低い唸りや囁き、ダーティーなロートンや一転優しげで儚く甘い呟き等々と、まさに変幻自在に七色の歌声を操り、アルバムの方も初期のキャッチーなものの圧し一辺倒気味でメタリックだったサウンドから一層にLED ZEPPELIN化を強め、その為か幅広く様々な音楽性を感じさせる深みあるサウンドへと進化を遂げていて、衰えを全く感じさぬ Miljenkoのマルチオクターブの歌声を遺憾なく発揮するに相応しいサウンドへ生まれ変わっているのが良く分かるだろう。

今やSTEELHEART=Miljenko Matijevicな訳で、メジャーデビュー前からLED ZEPPELINの楽曲をカヴァーしていたと言う話だから、『Wait』から『GOOD 2B ALIVE』でまたメンツが総入れ替えされたのに未だにZEPPELIN風味なサウンドがアルバムで聞けるという事は、つまり全て Miljenkoの嗜好という事になるんでしょうね。

個人的にはZEPPELIN風味は隠し味的な扱いだった初期サウンドの方が断然好みではありますが、もう時代が当時とかなり違いますし、かえってこのZEPPELIN風味なサウンドを漂わせる方がオリジナリティ(ZEPクローンって、もう古臭い部類に入るか?)を感じさせて今となってはいいのかもしれません…

そう言えば、最近は何故か韓国(!?)での活動がお盛んらしい Miljenko Matijevicですが、去年久しぶりの来日を果たしたものの旧譜のリイシュー等はなかったのが少々寂しい限りであります…

国内発売はあったものの弱小インディ扱いで殆どプロモーションしてもらえなかった『Wait』や国内盤未発の自主製作盤『GOOD 2B ALIVE』を今こそ国内リイシューしてもいい頃合いなんじゃないんですかねぇ?

そうそう、アルバムタイトルの『星屑の世界を通って』と美しい夜景のジャケをひっかけたアイディアは、大人の魅力を加味して深みと渋みの増した今のSTEELHEARTサウンドのイメージにピッタリあっていて、以前の無骨でストレート過ぎるアルバムジャケを思うとなかなかモダンでお洒落で宜しいと思います。

初期の彼等のサウンドを求める人は手を出すのは間違いなく危険なアルバムだが、より逞しく幅広い嗜好のサウンドを表現出来る驚異の音域を誇る抜群に上手いヴォーカリストの歌声を求めている方にはもってこいの一作ではないでしょうか?


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# by malilion | 2018-03-20 01:12 | 音楽 | Trackback

QUEENSRYCHE+FATES WARNING×イタ公プログレ÷DREAM THEATER=TIME MACHINE

c0072376_19442935.jpgTIME MACHINE 「Eternity Ends」'98

今やイタリアのインディ・レーベル LUCRETIA Recordsのオーナーとしての方が有名かもしれない Lorenzo Dehoがかって率いていた5人組イタリア産プログレッシヴHMバンドをご紹介。

90年代初めに Lorenzo Deho(Bass、Keyboards、Vocals)を中心に Ivan Oggioni(Rhythm Guitar)と Andrea Ruggeri(Lead Vocals)の3人で結成され、以降常に流動的なメンバー構成でシングルやEP、企画盤、そして旧譜リイシューやアルバムを多数発表していく事になる。

上記の3名にセッションプレイヤーとゲストプレイヤーを迎え、自主製作EP『Project:Time Scanning』で93年にデビューを果たす。

デビュー作ながら組曲を含む大仰なキーボードをフィーチャーしたテクニカルで忙しないリズムチェンジを繰り返す楽曲は、如何にもユーロ・プログHMの典型と言うダークで難解なサウンドで、レンジの狭い劣悪な音質の自主製作盤ながらこの時点で既に後の片鱗を伺わせる一作であったと言えよう。

まぁ、安っぽい打ち込みドラムみたいな軽いボトムの音や、歌メロのイマサン具合やトッ散らかった展開の楽曲構成はいただけないけど…

また、バンドがプレイしている音楽がプログレッシヴHMでデビューが93年となると、92年から世界で吹き荒れた夢劇場症候群の一派と思われるかもしれないが、そのサウンドは明らかにQUEENSRYCHEやFATES WARNINGといった一連のUSテクニカルHMの影響が顕著で、この時点ではまだ彼等は夢劇場サウンドの洗礼を受けていないのは明白であった。

因みにこのデビューEP、Lorenzo Deho的に記念作だしお気に入りなのか、この後97年に1曲ボートラ付きでジャケをカラフルにしてリイシューし、再び99年にもデビュー当時のドイツ盤アナログEPにのみ収録されていたトラックをさらに1曲追加してデジタルリマスターを施し、ジャケデザインも新たにスタイリッシュに手直しされリイシューされている。

1994年、『Dungeons of the Vatican』なるEPを限定500枚で自主リリースする。

EPと言っても1曲を除きデビューEP収録曲を再度収録した3曲入り盤で、「Dungeons of the Vatican」はバンドが最初に作曲した楽曲で、蔵出し的に旧曲を再録リリースしたマニア向けアイテムと言え、デビュー前の彼等の姿を伺い知る事が出来る興味深い一枚と言えよう。

因みにこのEPも後に大量のLIVEテイクを追加されてリイシューされている。

この時のメンツは Lorenzo Deho(B、Key)、Ivan Oggioni(Rhythm G)のみ残留でフロントマンに Jonathan Lavino(Vo)、Mirko Criscione(Key)、Fabio Brigliadoro(Ds)、Joe Taccone(G)のキーボード入りツインギターの6人編成となっている。

1995年、バンドメンツを整え満を持して初のフルアルバム『Act II:Galileo』をリリース。

この時のメンツは Lorenzo Deho(B、Key)、Ivan Oggioni(G)、Joe Taccone(G)のみ残留で、新たなフロントマンに Folco Orlandini(Lead & Backing Vocals)、Antonio Rotta(Ds)のツインギター編成5人組となりゲストにテナーサックス・プレイヤーとキーボーディストを招いて製作されている。

ただ、私の所有しているオリジナル・イタリア盤のブックレットにはメンバー直筆サインが入っているのだがドラムスだけサイン(メンバーフォトはある)が無く、さらに本作には Mark Allegriなるドラマーがヘルプで参加している所をみると、製作途中でドラマーが抜けたのかもしれない。

この後、このファーストアルバムもボーナスディスク付きでリイシューされるのだが、そこでは Nicola Rossetiなるドラマーの名前とメンバーフォトがあるので、アルバム完成後に新ドラマーが迎えられたと言う事なのだろう。

タイトルが示す通り地動説で有名なイタリアの天文学者ガリレオをテーマにしたコンセプト・アルバムで、SEやナレーション等を導入した映画的なスケールの大きいサウンド造りになっており、デビューEPの暗さやテンションが消え、唐突なリズム展開やテクニカルで長尺なリード・ソロが控えられた、よりコンパクトでメロディアスな歌メロもキャッチーになって大幅に楽曲の質が向上した、オペラティックなヴォーカルをはじめイタリア的な叙情感や艶やかな美旋律が随所で光る、ある意味でストレートなユーロHM的サウンドのアルバムと言えるかもしれない。

本作に置いては明らかに夢劇場の影響(みんなサックス使いたがるよねぇ…)が伺え、以前のQUEENSRYCHEやFATES WARNINGといった一連のUSテクニカルHMのカラーが薄れ、ドライ気味なサウンドだったのがウェットなユーロ系HMサウンドへシフトしている点が大きな変化だろう。

本作で、彼等は晴れて日本盤デビューを果たし、アルバムの高評価を受けてバンドはイタリア国外での初LIVEを体験する。

1997年、再びメンツに変動が起こり、編成も新たにEP『Shades Of Time』をリリースする。

まず『Act II:Galileo』製作時にゲストプレヤーだった Stefano Della Giustina(Tenor Sax)が正式メンバーに迎え入れられ、新たなフロントマンに Morbyなる人物が迎え入れられている。

Morbyはこの後にイタリアン・プログHMバンドLABYRINTHへ加入する事になるが、デビュー後すぐに脱退した Joe Terry(Fabio Lione)から二代目フロントマン Rob Tyrant(ex:NEW TROLLS ex:VANIXA)へチェンジするまでに2nd製作のリハーサルに参加していたヴォーカリスト Giacomo Jeanflancinの事と思われる。

本作のみで脱退した Morbyの歌声は Joe Terry(Fabio Lione)的なハイトーンも歌いこなす如何にもユーロHM系メタルシンガーというイメージで、個人的にはカバーする音域も広いしなかなか上手いヴォーカリストでバンドにもマッチしていたと思うだけに残念ではあります。

まぁ、TIME MACHINEとLABYRINTH天秤にかけて、よりストレートなHMサウンドのLABYRINTHが自分の好みだと脱退したんでしょうね…

サックスプレイヤーを正式メンバーに加えた事で彼等の作品中で唯一といっていい程にサックスの音色とプレイがフィーチャーされたEP作であるのと、新曲とデビューEP曲の97年Version、そしてBLACK SABBATHのちょいプログ風カバー“Heaven And Hell”で構成された、よりメロディアスでストレートなHMサウンドを披露する異色作で、そう言う事もあってか本作の音源はボーナストラック等で他のアルバムへ収録される事はなく、この後リリースされる二枚組レア音源集である『Hidden Secrets』にしか収録されていない。

因みに本作もREMIX&REMASTERされボーナストラックを追加されて後にリイシューされている。

98年、恒例のメンバーチェンジが起き、編成も新たにシングル『Secrets Oceans Part 1』をリリースする。

まずフロントマンを Nick Fortarezzaへチェンジし、創設メンバーであったギタリスト Ivan Oggioniが抜けてシングルギターの5人組編成バンドとなる。

元よりキーボードを弾いていた Lorenzo Deho(Bass、Aditional Keyboards)に加えサックスプレイヤーの Stefano della Guistina(Keyboards、Tenor sax)もキーボードを奏でるツインキーボード体制となったのが影響したのか、以前にも増して非常に良いキーボード・パッセージがフィーチャーされたバンドサウンドとなり、リード楽器としてサックスのプレイも十分にフィーチャーされていて、シングル収録の“Behind the Cross(Ocean version)”と“Never-ending Love(1998 version)”で巷に溢れる夢劇場フォロワー達とは一味違う演奏を聴かせてくれる。

この時点で既にかなりテクニカルなインタープレイを見せつけるプログレ的テイストは希薄になりつつあり、出発点であったQUEENSRYCHEやFATES WARNINGといった一連のUSテクニカルHMの影響は消え、代わってDREAM THEATER的なヘヴィさとイタリアンバンドならではの艶やかさと大仰さの表現にバランスが傾いているように思える。

シングル発表のメンツ編成のまま、待望の2ndフルアルバム『Eternity Ends』が98年にリリースされる。

1stアルバムに続き本作もコンセプトアルバムで、題材はイタリアン・バンドらしく“イエス・キリストの生涯”で、特にイエスの人生の様々な瞬間やその後の思いについて厳かに艶やかにサウンドで綴られていく。

本作のサウンドはコンセプトに引っ張られたのか、今まで一番艶やかで壮大なスケールを感じさせるバンドサウンドとなっており、ヘヴィさやテクニカルさ、そしてスピードやパワーなどよりも如何にそのイエスの生涯を克明に描き出すかに情熱が注がれており、アコースティックギターや厳かなコーラス、そして情景を描き出す重厚にしてリリカルなキーボードワーク等の全てが実に古典プログレ的な繊細な表現がなされていて、彼等の作品中最もHM的サウンドから遠いアルバムなのは確かだろう。

この題材の為ならダブルキーボード体制も必然と言える程にサウンドのスケールが実に雄大で、ゆったりと美しいメロディを新フロントマン Nick Fortarezzaがその美声でしっとりとオペラティックに歌い上げ一大歴史絵巻を描ききっている本作は、個人的に彼等の最高傑作ではないかと思う。

同じプログHMバンドと言っても、聖書という題材をここまで優美に雄大にサウンドで綴ることはユーロ圏のバンド、特にイタリアのバンドにしか出来ぬように思え、事ここに至っては夢劇場の影響など些細でしかないと言えよう。

またイタリアでLUCRETIA Recordsがディストリビューションしている関係でかANGRAのヴォーカリスト Andre Matosが一曲でその伸びやかな歌声を披露しているのと、脱退したギタリスト Ivan Oggioniも一曲でギターを客演しているのもファンには嬉しいサプライズだろう。

アルバムリリース後、Andre Matosをフィーチャーしたシングル『Secrets Oceans Part 2』'98 がリリースされる。

“I Believe Again (Ocean version)”なるキーボード増量MIX版と“Behind the Cross (Radio edit)”の二曲が収録されていて、共にアルバムに未収録曲なのでTIME MACHINEファンはチェックし忘れないようご用心を。

次に2000年にリリースされたのは『Hidden Secrets』なる二枚組編集盤であった。

この作品はフォーラムでバンド・ファンが選んだレア・ソングやデモ、未発表曲、そして旧曲を収録したコンピレーション・アルバムで、TIME MACHINEファンには外す事の出来ぬマストアイテムと言えよう。

バンドの1992年から1999年までの9種類あるラインナップの音源を全て収録しているアンソロジー作であり、これまでにリリースされた楽曲や、または未リリースのレコーディングされたトラックのデモ、LIVEトラック、既発曲のアンプラグド・ヴァージョン等のレアトラックを数多く収録した内容は質、量、共に充実していて、なかでも聞き所は"1000 Rainy Nights"のオリジナルバージョンである "Will You Remember"なる楽曲や“I hold the key”と“Prisoner of dreams”のアンプラグド・ヴァージョン、そして録音状況は劣悪なものの、スタジオ作では聞く事の出来ぬ激しくクランチーなギターがワイルドに暴れまくる"Never Ending Love"のオフィシャル・ブートレッグ等、スタジオ作では決して聞けない彼等の新たな一面を知る事が出来る非常に興味深い一作だ。

しばしのインターバルの後、アルバムリリースに先駆けて5曲入りEP『Aliger Daemon』を2001年にリリースする。

恒例のメンバーチェンジが勃発し、ボスの Lorenzo Deho(Bass、Keyboards)は当然として Joe Taccone(G)のみ残留し、新フロントマンに Pino Tozzi(Vo)、ギタリストにGianluca Ferro(G)、ドラムスにCludio Riotti(Ds)とほぼバンドメンツが一新されている。

5曲中2曲のみが新曲で、それ以外は既発曲だが、リードトラックの“Eyes of Fire(Daemon mix)”と“Army of the dead(Daemon mix)”は後にリリースされるアルバム収録曲とミックス違いなのと、アルバム裏面では“Eyes of Fire”が“Kiss of Fire”とタイトルが変更されている。

ただ、ブックレットの歌詞とタイトルは未だに“Eyes of Fire”と明記されているので、初回限定の縦長デジパック盤(Underground Symphonyお得意のアレ!)だけタイトルを表記ミスしたと言う事だろう(笑

因みに本EPと次のフルアルバムのみ同郷のインディレーベル Underground Symphonyとレーベル提携した為かUnderground SymphonyのCD番号とレーベルロゴが見受けられる面白盤です。

たった2曲の新曲ではあるが、この時点で既にかなりバンドサウンドが変化している事が見て取れ、『Eternity Ends』'98の影響が大きかったのか巷の流行を意識したのか一気にシンフォHMへ接近した音像に様変わりしている。

続く02年、満を持して3rdフルアルバム『Evil』がリリースされる。

毎度同じくコンセプト・アルバムで、今回の題材は『Bone Chilling』なるイタリアの人気小説に基づいたアルバムだ。

メンツはEPリリース時と変更なしのツインギター5人組編成ながら、EPの時に予感出来た通り大々的にキーボードをフィーチャーした壮大なシンフォニック・サウンドがスピーディーに高らかに突き進み、夢劇場の呪縛から解き放たれイタリアン・バンドらしい濃密なオリジナリティを確立したと思ったら今度はオペラティックな分厚い男女混声合唱まで披露する北欧シンフォHMな呪縛に囚われる事になるなんて…と、いうのが初めて本作を耳にした時の印象でした(汗

新フロントマンの Pino Tozziの歌声はしっとり系で典型的なメタル系シンガーのようにダーティにガナったり金切り声でシャウトしたりするタイプではないので旧曲を歌うには少々苦しいかもしれないが、『Eternity Ends』以降のバンドが目指す叙情感あるダークなユーロピアン・シンフォHMには実に良くマッチした伸びやかな歌声と甘い声質だと思う。

しかし、ここまで分厚いキーボードサウンドをフィーチャーするのにツインギター編成のキーボードレスって、ちょっと編成に無理あるよなぁ…と、思いつつブックレットを見ると、ゲストに同郷臭メタルのシンフォ・バンドSKYLARKのキーボーディスト Eddy Antonini(!)が参加し、他にも Roberto Gramegnaなるキーボーディストにオーケストレーションまで任せているのを知って、成る程ソレでこんなにシンフォに急接近した臭メタルチックなサウンドになったのかと納得しきりでした('A`)

まぁ、初期から大仰なキーボードはフィーチャーしていたバンドサウンドでしたので、それがシンフォへ発展したと考えれば当然の流れなのかもしれませんね…でも、ここまで全面にキーボードサウンドを押し出すなら何故専任キーボーディストをメンバーにしないの?(汗

因みにこの後 Pino Tozzi(Vo)は当然のように脱退し、以前ここでもご紹介した ORA NOMBROなるイタリアン・シンフォ・グレHMバンドで2008年にデビューを飾ることになるのだが、サウンドのモダンさや完成度は断然こちらの方が上なもののそのサウンドの原点はTIME MACHINEの『EVIL』にあると言えるかもしれない。

しばしのインターバルの後、現在の所の最新作にして最終作(?)と思われる4thアルバム『Revivi Scence(Liber Secundus)』を04年にリリースする。

4thフルアルバムは、今日における世界の悪(テロ)にメインにしつつユダヤとパレスチナの紛争を含む中東の終わりなき闘争をテーマにしたコンセプト・アルバムでない(!)普通のアルバムだ。

まぁ、大きく見れば中東がコンセプトとも言えるけど、一応今までのようなコンセプト・アルバムじゃない、って事で。

そして恒例のメンバーチェンジで、ボスの Lorenzo Deho(B、Key、programming)は当然として Gianluca Ferro(G、Key、programming)のみ残留し、新フロントマンに Marco Sivo(Vo)、ギタリストにGianluca Galli(G)、ドラムスにSigfrido Percich(Ds)と再びほぼバンドメンツが一新されている。

まず一聴して即分かるのが、前作でのキーボードの過剰な登用で活躍する場を奪われたギタリスト達への贖罪なのか反省なのか、本作では若い二人のギタリストがこれでもかと所狭しとアルバム全編に渡って目一杯に流暢な早弾きプレイを披露し、キーボーディスト不要を高らかに叫ぶかの如く音符の嵐を怒濤の如く詰め込んでいて、シンフォHMから一気にスピードHMへバンドサウンドが変化している。

新フロントマンの Marco Sivoはマイルドな声質で良く伸びる歌声を披露しながらも、ダーティなガナりやシャウトも織り交ぜてメタルソングもしっかりと歌えるスキルを持っている、タイプとして元HELLOWEENの Michael Kiskeっぽいタイプに近いかもしれない。

また、テーマが中東という事でかこれまで彼等のアルバムで聞く事がなかったオリエンタルなフレーズやメロディが所々で顔を出すのと、二人のギタリストの過去のバンドイメージを一切考慮しない自由奔放でトリッキーなプレイの影響でか、これまでダークで硬質なイメージだったバンド・サウンドに今までになくブライトでクリアーなイメージが加わって、良い意味でキャッチーでメロディアスになったように思える。

ただ、多くの新要素がバンドサウンドに持ち込まれフレッシュなサウンドへリメイクされたのと、シンセサイザーが控え目になって添え物的な扱いになった事もあって、これまで良くも悪くもユーロ系のテイストをプンプンと漂わしていたバンドサウンドが、一気にドライなテクニカル・スピードHMやシンフォ・スピードHMの類型的サウンドに接近してしまったのは間違いなく大きなデメリットだろう。

まぁ、テクニカルでスピーディなプレイが効いたモダン・サウンドってヤツと、艶やで優美なサウンドってのはなかなか両立させるのは難しいですから、思い切って古臭いサウンドを捨てて新しいサウンド創りへ挑んだ、って事なんでしょうね…

以前のサウンドアプローチの方が好きか、新たなモダン・スピードHMサウンドの方がしっくりくるか、はリスナー側の受け取り方次第って事でしょうから、後は実際耳にして是非の判断をして頂くのがいいだろう。

はじめにギターだらけのアルバムだと申しましたが、本作にもゲストでキーボーディストが二名参加しており、そつなく短い時間で印象的なプレイやパッセージを聞かせ、実は歴代一番のシャレオツでモダンなキーボードサウンドとセンス抜群なプレイを聞かせているという事実に少々驚かされます。

また、再びANGRAのメンバーが本作にゲストで招かれていて、Rafael Bittencourt(G)と Kiko Loureiro(G)の2人のリードギタリストの華麗なプレイがフィーチャーされているので彼等のファンの方は一度チェックしてみて下さい。

正直、デビュー当初からメンツが変わりまくりだし音楽性も変化しまくりでイマイチこのバンドならでは、という個性が掴みにくい事やリイシュー作の多さや再録多目なEP等々もあってファンを混乱させ、どうにもマイナーな知名度のインディ・バンドではありますが、その時々で高品質なサウンド創りへ挑み続けて来た Lorenzo Dehoのクリエイトする音楽、決して嫌いじゃありません。

大雑把に夢劇場フォロワーと捉えられがちな彼等ですが、ちゃんとアルバムを聞けばその影響から早い段階で脱している(そもそもフォロワーじゃないし)恐れず変化し続ける事が個性とも言えるオリジナリティのあるバンドですので、ご興味ありましたら一度チェックしてみても決して損にはならない、そんなイタリアン・プログHMバンドなのです。

所で一度2007年に次なるフル・アルバムのレコーディングが開始されるとアナウンスされたが、その後一向に情報がないまま、バンドサイトも消滅して現在に至るんですが…やっぱりもう解散して、バンドは存在していないんですかね?

まぁ、Lorenzo Dehoさえ居ればいつでも活動再開出来るんでしょうけど…


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# by malilion | 2018-03-12 19:40 | Trackback

早すぎたオランダ産ポンプ・バンドYWIS

c0072376_23013937.jpgYWIS 「Leonardo's Dream」'95

MARATHON、FOR ABSENT FRIENDS、TIMELOCKと来たらこのオランダ産バンドを紹介せぬわけにいかないでしょう。

バンドのルーツは1975年まで遡る古参のバンドであったが Julian Driessen(Key)を除くメンツが流動的でバンド名も常に変化していて、82年にやっとメンツが固定されYWISが創設される。

83年に自主製作デビューアルバム『Ywis』をリリースした当時のメンバーは、

Geert van de Burg (Lead Vocals、Keyboards)
Rinus Hollenberg (Guitars、Vocals)
Herman Ruijters (Drums、Vocals)
Eric Stap (Bass)
Julian Driessen (Keyboards)

の5人で、Julian Driessenと Rinus Hollenbergはこの後、バンド分裂の後再びTIMELOCKで合流する訳ですね。

デビュー作のサウンドは、基本はポップロックなものの Julian DriessenのSAGAの影響モロなキーボードプレイとキーボードサンプルの音色と、Rinus HollenbergのRUSHの Alex Lifsonの影響モロなギタープレイとギタートーンのせいでか、SAGAとRUSHの影響を強く受けたオランダ産ポンプ・バンドの草分け的な扱いを受けてしまう。

実際、SAGA+RUSH×ポンプ+STYXばりの分厚いバッキングコーラス、というなかなかメジャー路線な方向性のサウンドなんですが、John Wettonと Greg Lakeを足して二で割ったようなマイルドな声質でミドルレンジ中心な歌声の Geert van der Burgの歌唱スキルがイマイチで、どうにも淡泊な上に一本調子な歌メロがバンドサウンドの足を大きく引っ張っていた感は否めないんですよね…

英国でポンプ・ムーブメントが盛り上がり始めたばかりの時期に既にポンプを予見するかのような先見性のあるバンドサウンドだった事もあってかオランダを中心にユーロ圏で好評を博したものの、1985年にメンバー間の音楽性の違いを理由に解散してしまう。

その後、各メンツは銘々に音楽活動を続けていたが、1993年にSI Musicが彼等のデビューアルバムを発掘し、Remix&Remasterしてリイシューする事を記念して十年ぶりにメンバーが集まり、そのまま再結成、そして新譜製作の流れになる。

そうして製作されたのが本作である2ndアルバムな訳だが、残念な事に既にTIMELOCKとして交わしている契約に縛られ Julian Driessenのみがこのリユニオンへ参加出来ず、代わって Rene van Spanjeなるキーボーディストが迎えられ、元々のバンドリーダーが居ない状況で製作される事になってしまう。

ただ、そのメンツ変動が影響したのか、それとも解散後の各自の経験が活きたのか、この2ndは1stの今一つ煮え切らぬ出来が嘘のような快作に仕上がっている。

その理由としては、まずイマイチの歌唱力だった Geert van de Burgの歌唱スキルが大幅に向上し、ダーティーにガナったり、吐き捨てるように歌うワイルドさを感じさせるHR的な歌唱法を取り入れた為に大きく歌メロの質と幅が改善されたのが一点。

続いて、若干古臭いHR的なプレイを聴かせ(時代的に当然なんだけど…)ていた Julian Driessenに代わって Rene van Spanjeが奏でるキーボードが所謂典型的なポンプ&シンフォ・スタイルな為に、1st時に感じられたSAGA臭が消え去って一気にスタイリッシュでモダンなサウンドに変化し、サウンド全体のクオリティを引き上げる助けになったのが一点。

そして、十年のバンド外活動で歌唱力に自信をつけたのか、Rinus Hollenbergと Herman Ruijtersが本作ではそれぞれ一曲づつリードヴォーカルを担当していて、そのせいもあってか1stを凌ぐ分厚くキャッチーなバッキングコーラスを披露して新たにAORテイストも加味されたサウンドの華やかさを倍増させている点が、2ndの質を一気にレベルアップさせた理由だろう。

なかでもギタリスト Rinus Hollenbergの歌が予想以上に上手く、歌唱力が問われるバラードでその歌声を聞かせている事からも自身のヴォーカルスキルにかなりの自信があるのが窺えるし、Geert van de Burgより高いキーの歌声を堂々と披露しているのに驚かされました。

相変わらずRUSH臭いギタープレイとトーンなんですが、まぁソレが消えちゃうとYWIS印が皆無になっちゃうとも言えるので、コレはコレで残しておかないと折角の再結成作の意味が昔からのファンにとってなくなってしまうしね…

所で、Geert van der Burgの歌声がちょっと Clive Nolan(PENDRAGON、SHADOWLAND、etc...)の歌声に似て聞こえるのって私だけ? いや、勿論 こっちの方が本職のヴォーカリストなんで上手い…かな?(汗

バンドのサウンドの方向性は1stと同路線のポップでキャッチーながら、しっかりとポンプテイストを感じさせるメロディアスなギターとシンフォニックなキーボードの音色がフィーチャーされつつ分厚いコーラスも活かされた楽曲にもフックがありコンパクトに纏め上げられた隙無いアルバムだが、時期的に考えてもう少しメタリックなテイストやサウンドが聞こえた方がよりメジャーなサウンド(夢劇場のブレイクは92年)に近かったんでしょうが、元々HMバンドでもないし、プレイヤー的にもそちら側のサウンドをクリエイトしていた訳でもなかったので、まぁ頑張ってHR要素を感じさせている程度が精一杯だったのかもしれません。

そもそもメンバー自身がYWISのサウンドをポンプとしてプレイしはじめた訳ではないのは時期的に明白ですから、そう考えるとHRサイドからプログレへ接近したポップロック、というスタンスが一番バンドサウンドを現す言葉に近いだろうから、再結成作であるこの2ndも多分にそのマインドを引き継いでいると考えれば、この2ndの方向性も当然なのでしょうね。

元リーダーの Julian Driessenがこのリユニオン作の製作に関わっていたなら、TIMELOCKで聴かせてくれたより進化したポンプテイストを感じさせるまた違ったサウンドになっていたかもしれませんけど……

かなり出来の良いアルバムが仕上がったものの、残念なことに既にバンドに実体は無く、バンドによる有力なプロモーションもないまま『Leonardo's Dream』は1995年にリリースされてしまう。

解放パーティーと解散ライブが予定されたが、これらの計画も諸般の事情によって全て中止されYWISはすぐに解散してしまった。

せっかくいいアルバムを残してきたYWISですが、どうにも運が無かったようです…

もしデビューがあと数年遅れていたなら、ポンプ・ムーブメントにのってYWISはどんな活動を見せたのか、とか再結成作にちゃんと Julian Driessenが参加出来ていたなら、とか色々と妄想してしまいます…

もし彼等のサウンドに興味を持たれた方がいるなら、どちらのアルバムも国内盤がリリースされていますので、中古盤店をチェックしてみれば比較的簡単に入手出来るハズです。

まぁ、もっとお手軽にDLすれば音源は入手出来ますけどね。



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# by malilion | 2018-03-08 22:53 | 音楽 | Trackback

SHOOTING STARの中心人物 Van McLainが死去…


ガーン! なに!? なんなのこの連続の訃報は!?

なんで自分のお気に入りのアーティストが続々と鬼籍になっちゃうんだよぉ…orz

KANSASフォロワーとして80年代にメジャーデビューして以来、そのメロディアスでキャッチーなサウンドが個人的に大のお気に入りであった米カンザス・シティ出身のメロディアスHRバンドSHOOTING STARの中心人物にして唯一のオリジナルメンバーでありギタリストである Van McLainが死去してしまった…

なんでも2015年にウエストナイル熱に感染し、以後、闘病生活を送っていらしいが…まさか、こんな最悪な結末になるとは…

最近はフロントマンだった Ronnie Platt(Vo&Key)が本家KANSASのフロントマンへ大抜擢されるなど余り良い情報を耳にしていなかったが、すぐ次なるヴォーカリスト Todd Pettygroveを迎えてこれまで通り地道に活動を続けているものだとばかり思っておりました…

これをもって1980年1月デビューから今日まで、長きに渡って活動してきたSHOOTING STARは解散する事に相成った模様です。
まぁ、リーダーが居なくなっては致し方が無いですかね…

期待の新フロントマン Todd Pettygroveを迎えての第一弾アルバム『Into The Night』を15年に発表したのが最後になってしまうなんて…

今夜はSHOOTING STARのアルバムでも聞きますかね…


R.I.P Van McLain





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# by malilion | 2018-03-05 22:51 | 音楽 | Trackback

凡作の前作からの沈黙、そして華麗に蘇った北欧メロハーIMPERAがソロ・プロジェクトとして再始動!

c0072376_16354869.jpgJohan Kihlberg's IMPERA 「Age of Discovery」'18

スウェーデン人ドラマー J.K.Imperaを中心に名うての強者が揃ってしっかりとしたバンド編成で活動してきたメロハー・バンドの3年ぶりとなる新譜がリリースされたので即GET!

2012年デビュー以来、毎年1枚とコンスタンスに新作をリリースして来た彼等だが、前作から日本盤リリースは見送られ、続く新譜の報も無いままで少々心配しておりましたが、届けられた新譜のタイトルを見て何があったか納得という4thを、どうせ国内盤リリースはないだろうと予想して早々に買い込んでみました(汗

前作まで J.K.Impera(Ds)を筆頭に、ソウルフルな名シンガー Matti Alfonzetti(Vo:JAGGED EDGE、SKINTRADE、DAMNED NATION他)、北欧メロディック・ロック界随一のお助けマン Tommy Denander(G:RADIOACTIVEを筆頭にAORセッションやプロジェクト多数)、そして Mats Vassfjord(B:VINNIE VINCENT、GRAND DESIGN他)の4人でガッチリとメンツを固めバンドらしくマイナーながら地道な活動を続けていた訳ですが、まぁ、売れっ子のメンバーが売れないマイナーバンドに何時までも在籍してくれるはずもなく、残念な事に本作から Johan Kihlberg名義のソロ・プロジェクトとなってしまった…(つд`)

で、ソロ・プロジェクトになったからか心機一転、多彩なゲストを招いた各メンツのファンならずとも俄然興味を持たれるだろう、実にゴージャスなラインアップからなるメロハー・アルバムとなっております。

基本構成は、

Johan Kihlberg (Drums、Keyboards)
Lars Chriss (LION'S SHARE:Guitars)
Mats Vassfjord (220 VOLT:Bass)

という、80年代から90年代にかけて北欧HMを好んで聴いてきたHMファンなら間違いなく目を惹くメンツを基本バンドにし、曲毎にメロディアスHMファンやメロディアス・ハードポップ・ファンにお馴染みな実力派メンツが目まぐるしく入れ替わってキャッチーでブライトなモダン・メロハー・ロックを演っていて、ソロ・プロジェクトならではの賑やかで華やかなサウンドが実に素晴らしい♪('(゚∀゚∩

で、その注目のゲスト陣ですが、
Michael Sadler(SAGA:Lead & Backing Vocalss on Track.8)
Goran Edman (ex-Yngwie Malmsteen、ex-John Norum、etc:Lead & Backing Vocals on Track.6)
Nils Patrik Johansson (ex-LION'S SHARE、ASTRAL DOORS:Lead & Backing Vocals on Track.2、3)
Mick Devine (SEVEN:Lead Vocals on Track.3、5、9 Backing Vocals on Track.3、7、9)
Nigel Bailey (BAILEY:Lead Vocals on Track.7、10 Backing Vocals on Track.5、10)

Mattias IA Eklundh (FREAK KITCHEN:Guitar solo on Track.9)
Kay Backlund (LION'S SHARE:Keyboards on Track.1、3、6)
Anders Rybank (COASTLAND RID:Keyboards on Track.8)
Michael J. Scott :Lead & Backing Vocals on Track.4

プロデュースは、Johan KihlbergとLION'S SHAREのギタリスト、Lars Chrissが担当、という事で全面的に北欧プログHMバンドLION'S SHAREのメンツがバックアップしているのが見て取れる。

2ndまで80年代後期~90年代初期フィール漂う叙情的なメロディー重視のキャッチーでコンパクトでメロディアスなAOR&メロハーといった優等生サウンドだったが、前作はギターが前面に押し出されたダークでハードなテイストを強く感じさせる硬質なHMサウンドへ接近し、メロディの質やキャッチーさが後退した凡作なのが残念であったが、ソロ・プロジェクト化しJohan Kihlbergの奏りたいサウンドを100%クリエイト出来るようになったからか本作では再び初期で顕著だった北欧バンド特有の叙情性と湿り気を帯びた美旋律が眩いメロハー・サウンドな方向へ軌道修正し、前作のダークネス要素は気の迷いであったかのように影を潜め以前のドストレートなポップフィーリングが戻ってきていて、これには初期ファンも欣喜雀躍だろう(*´ω` *)

Johan Kihlberg曰く、KISSやQUEEN、ABBAやTHE BEATLESのような多様で幅広い音楽性のバンドに習って本作の幅広く華やかなサウンドのアルバムを製作したそうですが、その目論みはバッチリと果たされたと言えましょう。

前作で問題点だった印象に残らない凡庸なメロディや楽曲構成も、豪華ゲスト陣を迎える事で各キャリアの持つテクやスキル、そして際立つ個性でもって難なく払拭し、万華鏡のように華やかに変わる歌声やソロプレイヤーのサウンドでもって音楽性の幅も一気に押し広げるという禁じ手を早々に使って新作のレベルをドーピング気味に一気に爆上げ(w)した Johan Kihlbergですが、こうなると心配なのはLIVEと次作はどうするのか、って事ですよね…

出来る事ならちゃんとメンツを固めて再びバンドとして活動して欲しいですが、今後もこのゲストを迎えるパターンで行くんですかねぇ?

AYREONやTHERIONは別として、この手の豪華ゲストゾロゾロ参加な北欧ソロ・プロジェクトって、昔からなかなか長続きしないんだよなぁ…(汗

次作が早く届けられる事を祈って、今は音楽性の幅が一気に拡がったこの賑やで彩り豊かな新譜のサウンドに耳を傾けますか…



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# by malilion | 2018-03-04 16:27 | 音楽 | Trackback