AXE 「Living On The Edge」'80 前身バンドBABY FACEのメンバー5人中、ギタリスト Michael Osborne以外の4人がスライドして米国Florida州で1979年に結成され、後に元LYNYRD SKYNYRDのギタリスト Ricky Medlocke率いるサザンHRバンド BLACKFOOTへの加入や、90年代に活躍したUSメロハー・バンド CAUGHT IN THE ACT (後にGUILD OF AGESへ改名)のプロデュース等も手掛けたシンガー Bobby Barth が率いていた、80年代初頭にはビルボード・チャートインする活躍も見せ、1996年からは Bob Harris (ex:EDGE OF FOREVER、ex:BOULDER、ex:Frank Zappa) も在籍したキーボード入りツインギター5人組USメロディアスHRバンドが1980年にリリースした2ndアルバムが1979年リリースの記念すべきデヴュー作『Axe』と合わせてマニア御用達レーベル 英国ROCK CANDY RECORDSから Special Deluxe Collector's Edition、 REMASTERED & RELOADEDシリーズ&2024年度最新Remasteredでリイシューされたので即GET。 以前ここでもCleopatra Records からリリースされた初期作BOX『The Albums 1979-1983 (4CD Box Set)』'22 をご紹介しましたが、今回は単品でのリマスター&リイシューとなっています。 以前ご紹介した3rd『Offering』'82 は2024年度最新リマスターを謳っていたのですが、板起こしと思しきピチパチ・ノイズが延々入っていて閉口させられる音圧だけ上げた最悪なリマスター盤で、オリジナルの日本国内盤CDや以前米国Wounded Bird Recordsからリリースされたリイシュー盤をお持ちの方や、4枚組BOXセットを購入済な方は手を出すべきでないと忠告しましたが、今回リイシューされた1st『Axe』、2nd『Living On The Edge』共にしっかりマスター・テープからリマスターされた模様で件のノイズ問題等聴き取れぬクリアーでファットなボトムサウンドが心地よい、2024年度リイシュー作に相応しいブラッシュアップの成された最新リマスターを謳うのに何の憚りも無い仕上がり具合のサウンドとなっていて一安心だ。 今回も劣悪な板起しリマスターだったら今後二度とROCK CANDY RECORDSのリマスター盤は買うまい、と覚悟して購入しただけに本当にマトモなリマスターで良かった…(´A`) ってか、それが当然なのになんでドキドキしながら購入せにゃイカンのだ! (#・ω・) 当時メジャー・レーベル MCAよりリリースされ、まずまずのヒットも記録した作品でマスター・テープの保管状況が酷いなんて事そうそう無いハズなのに…なんで『Offering』はあんな事になったのか…orz 1993年に1st『Axe』'79、2nd『Living On The Edge』'80 がアルファレコードから世界初CD化という宣伝文句で国内盤がリリースされていましたが、当然既に2枚共に廃盤で、どちらも1997年にボートラ付きでニュージーランドのレーベル Axepertise Entertainmentから再発盤がリリースされていますが、流石に今回の2024年度リマスター盤の方が抜けや音の輪郭のシャープさ、音の華やかさは断然良いのでボートラ云々気にせぬ方なら今回のROCK CANDY RECORDSからのリマスター盤2枚をお求めになるのが宜しいかと。 まぁ、折角のリマスター&リイシューなのですが、1st、2nd、どちらもボートラの類いは追加されていないオリジナル通りの曲数なのが些か残念ではありますけど…(´~`) 内容の素晴らしさについては今更私め如きがどうこう言う必要もない80年代USメロディアスHRを代表する作品で、ジャケの斧でも表現されているような力強くも切れ味鋭いストレートなアメリカンHRサウンドを高らかに轟かせており、隠し味にUSプログレハードなタッチの巧みなキーボード・ワークを配しつつも、米国バンドらしい甘さ控えめのブライトなメロディと耳に馴染みやすい適度なポップ加減が素晴らしく、80年代HMと70年代HRの中間に位置するようなハードさとメタリックさ加減が実に心地よい、時折垣間見える米国産バンドらしからぬ切なくも哀愁漂うメランコリックな音使いや叙情的でノスタルジックな美旋律を含め、70年代後期アメリカン・プログレハードが出発点だったバンドと思えぬ豪快なサウンドも相まって今改めて聴いてみても実に秀逸作だったと再認識させてくれます。 個人的にはそこはかと哀愁も感じられるURIAH HEEPやSTYXっぽい癖のあるコーラス・ワークや、産業ロック的な売れ線サウンドに走る一歩手前で持ちこたえ骨太の男らしいロックのアイデンティティを保っているギリギリなバランス具合の剛柔合わせ持つサウンドが堪りません♪ ('(゚∀゚∩ より正統派なデヴュー作よりも、さらにポップ度とキャッチーさのアップした2ndの方が個人的には好みではありますが、どちらも素晴らしいアメリカンHR作なのに違いはありませんよね (*´∀`*) 新たにアートワークを強化した12ページフルカラー・ブックレット内には3000ワードのエッセイや、新しいインタヴュー、未発表フォトが記載となっておりますので、古いマスタリングのアルバムをお持ちの方は最新のクリアーで瑞々しいサウンドへお色直しされたAXE初期作に再び耳を傾け、澄み切った冬空を眺めながら彼等の奏でる美旋律の数々を堪能してみては如何だろうか? Track List: 01. Living On the Edge 02. Fantasy Of Love 03. First Time, Last Time 04. Carry On 05. Running The Gauntlet 06. I Can't Help Myself (Sugar Pie, Honey Bunch) 07. Just Walk Away 08. Let Me Know 09. Save Our Love 10. For A Little While AXE Line-Up: Bobby Barth : Lead Vocals、Lead Guitars Michael Osborne : Lead & Rhythm Guitars、Vocals Edgar Riley Jr. : Keyboards、Vocals Michael Turpin : Bass、Vocals Ted Mueller : Drums #
by malilion
| 2024-12-11 18:58
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WAKE THE NATIONS 「Heartageddon」'24 北欧フィンランド産メロハー・バンドHUMAN TEMPLEのメンバー等が新たに立ち上げたキーボード入り4人組バンドによる3rdアルバムが約5年振りにフィンランドのインディーズ・レーベルInverse Recordsからリリースされたのをちょい遅れてGET! 前作『Heartrock』'19 では元バンドメイトの鍵盤奏者 Jori“Jorge”Tojander (Synthesizer)が参加していましたが、このインターバルの間に彼は脱退した模様で本作は専任鍵盤奏者を迎えずデヴュー作から同様にギタリストの Risto Tuominen (Guitars、Keyboards & Backing Vocals)がキーボードパートを兼任する体勢の4人組編成となって初のアルバムとなっている。 まぁ、元々が Risto Tuominenのソロアルバムに元HUMAN TEMPLEのメンバー達がゾロゾロ参加し、そのままバンドが本格始動すると同時に各自メンバーに収まった様な編成だったし、各メンバーも他のバンドに同時に在籍するなどしている模様なのでメンバーは未だに流動的なのかもしれません。 前作は国外ではドイツのAOR HEAVENより、国内盤はAnderstein Musicよりボーナストラック追加でリリースされていましたが両レーベル共に現在は廃業と相成り、本作はデヴュー作『Sign Of Heart』'15 をリリースしたのと同じインディーズ・レーベルInverse Recordsからのリリースとなっている、がどうにもここのレーベルは弱流通(涙)なので国内盤も出る見込みは無い様子ですしファンの方はフィジカル盤が手に入るうちに早急にGET(デヴュー作入手も難儀しました…)しておきましょう。 前作はHUMAN TEMPLEでも聴けた北欧産バンドらしい叙情感あるウェットな美旋律とキラキラしたシンセ・サウンドが心地よい、けれどイマイチ垢抜け切れぬ、だけどそこがマイナー作好きには嬉しいC級に片足突っ込んだB級メロディアス作な延長線上にある、適度にメタリックなエッジを保ちつつウェットな叙情を湛えたキャッチーでメロディアス、フック満載で煌びやかだった80年代風メロディアスHRをベースに一ヒネリ加え、モダンなAOR風味も程良くまぶされた、定番だけども新鮮さも感じるメインストリーム寄りでバランス重視な同郷先輩バンドH.E.A.T.やECLIPSEを彷彿とさせる極上のB級北欧メロハー作でありましたが、本作は専任鍵盤奏者が抜けた影響でかシンセのフィーチャー具合が減って主にバッキングに回り、代わって骨太なギターやタイトなリズム・ワークがフィーチャーされた、AOR&メロディアス・ロック路線を引き継ぎつつ、より洗練されコンパクトに纏まった楽曲とソリッドでメタリックなパワフルさも強調されたスケール感もあるA級まであと一歩といった仕上がり具合な新基軸の北欧メロハー・サウンドを披露している。 大まかに北欧メロハー路線なのに適度にアメリカンなテイストやタフで男臭いサウンドを鳴らし、惰弱で甘口になり勝ちなメランコリックな美旋律を奏でる北欧サウンドをピリリとエッヂあるギターとソリッドなリズム・ワークで引き締め、それでいてしっかりと随所に爽快なハーモニー・コーラスや男臭いシンガロング、そして艶やかで華やかなフィメール・バッキングヴォーカルを配するなどしてアルバム全体の雰囲気を一辺倒でないカラフルで多彩なイメージに纏め上げている手法は実にベテランらしい気の利いた手法だろう。 ただ、典型的なスピーディーでキャッチーな北欧メロハー作やウネル様なパワフルなリズムワーク主体のロックン・ロール作など幅広く多彩な音楽性を示すのは良いのだけれどちょっと焦点が絞り切れていなボヤけた印象が残り、あの手この手のアレンジや音色、小気味よいプレイを繰り広げているものの独創性という点では少々弱いのは否めず、前作でゲスト・ヴォーカルから正式メンバーへ昇格した Krister Stenbomの歌声は中域メインなマイルドなメロハー系に即した伸びやかで力強い歌声を披露しているものの本作の幅広い音楽性の楽曲を歌いこなすには幾分歌唱力が足りていない感があり、元々グランジ系HMバンドで歌っていたしAOR系を歌う幅広い歌唱法が売りな巧いヴォーカリストではなかったが、どうにも能力以上のパフォーマンスを求められてしまった為に楽曲の完成度を些か損なっている風にも聴こえ、HUMAN TEMPLEのフロントマン Janne Hurmeのヘッポコなヴォーカルに比べれば何十倍もマシ(汗)なんですが、それでも目指す方向が完成度の高いA級メロハー作な事もあってどうにも細かな点が耳についてしまうのでした… 前作はソングライティングに Soren Kronqvist (Joe-Lynn Turner、ONE DESIRE)や Thomas Vikstrom (THERION、TALK OF THE TOWN)を迎え、ミキシングとマスタリングはご存じ北欧ワーカホリックメタルマン Erik Martensson (ECLIPSE、W.E.T.etc...)、プロダクションは Ilkka Wirtanen (RECKLESS LOVE、THE NIGHTS)が行う等、楽曲制作やプロダクションを名うての北欧ミュージシャン等が全面的バックアップしていましたが、本作のプロデュースは Risto Tuominen自身の手によって行われ、さらに歌詞の殆んどのみならず、アルバム・カヴァーのデザインやグラフィックスをベーシストの Janne“Gekko”Granforsが手掛けるなど多才な大活躍を見せ、初めてバンドのみの手で制作された本当の意味でのデヴュー作であり勝負作と言えるのではないだろうか? 円満脱退したキーボーディスト Jori“Jorge”Tojanderをはじめ、1984年結成なフィンランドのベテラン・ポップバンド FINLANDERSのギタリスト Timo Pelanderや、フィンランドの恐竜着ぐるみパワメタ・バンド HEVISAURUSや同じくフィンランドのプログ・メタル・バンドSOULCAGEで叩いているドラマー Ville Siuruainen (ex:CONQUEST)の他、フィンランドのメロディアス&ゴス・HMバンドDEATHLIKE SILENCEやケルティック・パンク・バンドLORETTA PROBLEMで歌っている Maya Liittokivi嬢(ex:CRYSTAL EXTASY)とフィンランドのプログ・ゴスHMバンドCLAYSKINのギタリスト Veikko Wahlroosがバッキング・ヴォーカルで参加するなど同郷ミュージシャン達が本作でも多数ゲストに招かれ客演しアルバムに華を添えている。 アルバムの焦点と言う意味では音楽性の幅は狭かったが故に前作の方が纏まっていたのは確かだが、本作では音楽性の幅を広げ多彩なサウンドを聴かせる事に挑んだのが裏目に出てしまった感があり、更に楽曲がこじんまりとしている為かもう少しサウンドのスケール感を広げ完成度を上げたならワンランク駆け上がれるのに、というもどかしい想いが終始残ってしまうのでした… シンセベースを大胆に活用したりシンフォニックなアレンジを仕込んだり、STYXっポイ感触のあるコーラスが飛び出してきたりと、チョイチョイ他の北欧メロハー系で聴けないなかなか面白く新しいチャレンジも見え隠れするだけに、大胆なあと一押しが欲しかったなぁ…orz とまれ、北欧メロハー作の良作なのは間違いないし、曲は良く練られており、格好良いギター・サウンドやキャッチーなコーラス、そしてアレンジも実に小慣れていてクールなのは間違いなく、まだまだトップクラス・バンドには及ばぬかもしれぬが将来性は十分に期待出来る新人バンドでありますから、もし気になるようでしたらご自身の耳でチェックしてみる事をお薦め致します。 Track listing: 01. Alive 02. Don't Call Me Tonight 03. Never Say 04. Bulletproof 05. Wheel Of Fortune 06. Lifesaver 07. Seven 08. Crossroads Of Love 09. I Can Take It All 10. The Shadows 11. Cowboyz & Call Girlz 12. Hey 13. Street Of Fire WAKE THE NATIONS Line-Up: Krister Stenbom : Lead Vocals Risto Tuominen : Guitars、Keyboards、Backing Vocals Janne“Gekko”Granfors : Bass、Backing Vocals Tuomas Pelli : Drums、Backing Vocals Additional Musicians: Maya Liittokivi : Backing Vocals on Tracks 2 & 11 Veikko Wahlroos : Backing Vocals on Tracks 6 & 12 Timo Pelander : Guitar Solo on Tracks 8 & 13 Olli Rindell : Keyboards on Track 2 Jori“Jorge”Tojander : Keyboards on Track 8 Ville Siuruainen : Drums on Track 9 Produced By Risto Tuominen #
by malilion
| 2024-12-10 18:58
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VIOLET 「Mysteria」'24 2022年にリリースされたデヴュー作『Illusions』はその屈託ない80年代風ユーロ・ハードポップ・サウンドがユーロ・ロックファンやユーロ・メロハー・ファンに話題となった、2019年にドイツのStuttgartで結成されフィメール・シンガー Jamie Beckham嬢を擁するキーボード入り5人組バンドVIOLET (ヴァイオレット)が、前作から約2年ぶりとなる2ndアルバムをYellow Muffin Recordsからリリースしたので即GET! 前作は国内盤が何故かリリースされるという快挙に驚きましたが、残念ながら続く本作は Yellow Muffin Records レーベルオーナーによると日本盤リリース予定は今の所無いとの事で、若干流通の悪いレーベルからの発売なので彼等のファンは早めに本作をチェックし入手しておきましょう。 メンツに変化は無く、デヴュー作と同じ布陣で制作されている。 デヴュー作は Samantha Foxの80年代UKヒット・シングル曲のカヴァーを取り上げていた事からも察せられる様にモロに80年代風ユーロ・ハードポップ・サウンドで、敢えて狙ってかシンプルで隙間が多くデジタル風味が薄い音の隙間と広がりを感じさせる、良く言えば80年代にタイムスリップしたかの様なオールドスクールな、悪く言えば現在主流の密度の高いプロダクション作と比べるとかなり古臭く質素なプロダクションやサウンドなアルバムだった訳ですが、本作でもその路線は変わっておらず第一印象は妙に懐かしく馴染みある古き良き80年代風サウンドなれどしっかりと随所にモダンなテクノロジーが用いられたソツない創りとなっていて、本バンドの目指す音楽的な方向性と、心地よいシンガーの滑らかな歌声、こじんまりとしているが瑞々しく素敵な美旋律、アナログ風味なテクノロジーとキャッチーでソフトなポップ・サウンドを楽しむ為には最適な選択と言えるのだろう。 リード・ヴォーカルを務める Jamie Beckham嬢は元JOURNEYの Steve PerryとHEARTの Ann Wilsonからの影響を公言する24歳の若き歌姫で、少しハスキー気味でマイルドな如何にもキャッチーなポップスを歌うのにピッタリな滑らかな歌声がバンドの奏でるシンプルでオクトジェニックなユーロ・ハードポップ・サウンドにマッチしているだけでなく、バンドの頭脳でギタリストの Manuel Hellerのジェントリーで穏やかな歌声もフィーチャーし、部分的に男女混声でリードにコーラスにとフックある華やかな歌メロを構成している点が楽曲に実に良い捻りを加えていて、本作でもそれは健在でバンドをその他大勢のハードポップ・バンド達と差別化しているように思える。 前作ではまんま80年代な髪を逆立てたルックスが苦笑を誘い目一杯にキャッチーな歌声を張り上げていた Jamie Beckham嬢だが、デヴュー作をフォローアップするLIVEを経験して余裕が生まれたのか、本作では幾分か声を張り上げるのを控え、よりエモーショナルで心揺さぶる情感を表現する事に主眼を置いた大人びた歌唱法へシフト(MIXも少し引っ込められた)しており、その為か前作までの80年代ハードポップ・サウンドの焼き直しなイメージから一歩新たな領域へ踏み出した印象を受けました。 デヴュー作では80年代UK歌姫でセックスシンボルだった Samantha Foxのハードポップ風カヴァーを取り上げていたが、今回は全てオリジナル曲で占められており、デヴュー作でもフィーチャーされ楽曲にカラフルな彩りと艶やかさを生んでいたムーディーで瑞々しいサキスフォン・サウンドが本作でもしっかりとフィーチャーされていて、その点もエレクトリック・サウンドオンリーでドライに成り勝ちな事の多い他のハードホップ・バンド達が聴かせるサウンドとの差異を生んでいるのは間違いないだろう。 特筆すべきはバンドのキーマン Manuel Hellerの創作する楽曲の構成の緻密さや音使いの幅が一気に広がっていて、軽やかなクリーントーンのギターが奏でる爽快感と心地よいヴォーカルが歌い上げる歌メロのフックがより増しており、男女混声ヴォーカルの使われ方も更にモダンに複雑に進化するなど、前作で露骨だった80年代焼き直し感をかなり払拭する事に成功している点は見事だ。 まぁ、バンドの更なる進化と前進を印象付けたかったからなのでしょうけど、個人的にはもう一度くらい出自とスタンスを明らかにするのとオールド・ポップス好きにアッピールする為にも80年代歌姫のカヴァーを取り上げても良かったんじゃないかなぁ、とは思いますね。 やはり有名バンドに在籍していた元メンバーが立ち上げたとかでない全くの無名の新人な訳だし、そのサウンドをチェックしてもらう為の切っ掛けは多い方が良いですから… 他にも見逃せぬ変化として、元々ドイツ産バンドらしからぬアメリカナイズされた朗らかでオクトジェニックなハードポップ・サウンドを奏でていたが、本作ではググッと英国ハードポップ風味が増し、部分的に透明感ある北欧テイストも感じるなど、アルバムの随所で感じ取れる叙情感あるユーロ・ハードポップな美旋律が実に心地良く、キーボードの紡ぐ涼やかな音色や翳りを孕んだウェットなコーラスの使われ方、そして鮮やかに響き渡る音の深みなどに顕著な成長を感じ取れ、一人2828してしまいました (*´ω`*) 無論、未だにTOTO、HEART、STARSHIP、ROXETTE、THE BANGLES (Suzanne Vega)、SURVIVOR、VIXEN、Lita Ford、Patty Smyth等をはじめ、他バンドやアーティスト達からの影響も色濃く感じるが、Manuel Hellerをはじめメンバーは自分達自身のオリジナリティを生み出そうと懸命に試行錯誤しているのが伝わり、きっと次なる新作で更なる進化した姿と素晴らしい作品を届けてくれるに違いない。 隠し味にちょっぴりテクノポップ風味やDURAN DURANなんかもチラ見せするなど、単なるロック、ポップスのみがバックボーンでない事を伺わせている点も、次作でどのような変化を見せてくれるのか期待が高まる要因の一つであります。 ドイツ産バンドと言う事で、煌びやかな音色のキーボードをフィーチャーしたキャッチーな80年代末期~90年代初頭にかけて活躍した DOMINOEが個人的に強く思い起こされた瞬間も多く、リードとバッキングの差はあれど本バンドもDOMINOEも男女混声ヴォーカルで耳障りの良いハードポップ・サウンドを聴かせてくれているので、もし貴方がオーセンティックな80年代サウンドが好きで上記バンド達をお気に入りの1つに数えているならVIOLETは見逃すべきバンドではないし、懐かしのDOMINOEファンな方なんかにも是非お薦めしたニューカマーだ ♪ (゚∀゚) Tracklist: 01. Sex In Harmony 02. Angelina (Talk To Me) 03. Bad Dream 04. That Night 05. Only You 06. Arms Around 07. I Don't Want To Fall In Love 08. Mysteria 09. Eighteen In Love 10. If I Had You VIOLET Line-Up: Jamie Beckham : Lead Vocals Manuel Heller : Guitars、Vocals Filip Kuzanski : Keyboards Eric Hart : Bass Maurice Probst : Drums #
by malilion
| 2024-12-07 18:33
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FROST* 「Life In The Wires」'24 英国Liverpoolで結成され大成功を収めたガールズ・ポップグループATOMIC KITTENのプロデュースを務めた事で一般的には有名な、英国人プロデューサー、キーボーディスト、ソングライターの Jem Godfrey率いるUKモダン・シンフォニック・バンドの最右翼 FROST*が前作『Day And Age』'21 から約3年振りに5作目のオリジナル・スタジオアルバムをリリースしたのを少々遅れGETしたのでご紹介。 前作は David Cross Bandでも活動し、長らくリズム隊の要であった Craig Blundell (Drums)が2019年に Steve Hackett Bandの正式ドラマーに就任した為にFROST*を脱退し、後任を迎えず複数の実力派ドラマーを招いた変則作であったが、本作ではその Craig Blundellが無事バンドへ復帰し、リーダーの Jem Godfrey (Keyboards、Vocals)、ARENA、IT BITES、ASIA、その等数多くのプログレ系作でお馴染みな John Mitchell (Guitars、Vocals)、LEVEL42&IT BITES等の Nathan King(Bass、Vocals)、そして Craig のお馴染み4人組編成へ戻っているのでファンは一安心といった所だろう。 事前情報で約90分というFROST*初の2枚組作となる壮大で野心的な古典的プログレ風のSFコンセプチュアル・アルバムで、Jem Godfreyの発案で前作の続編作となり、彼等が2006年にリリースした傑作の呼び名も高いデヴュー作『Milliontown』やこれまでの作品の音像やフレーズが随所に散りばめられた楽曲が聴ける作品となるだろう等々と期待の高まるインフォばかりでワクワクが止まらなかった訳ですが、膨れ上がる予想に負けぬ力作を今回も彼等は届けてくれました。 『音楽に関してかなり視覚的に考えていて、曲を書いているとその人達が居る世界が見えてくる。前作のメガホンを持った5人の紳士が象徴的なアルバム・ジャケット、そしてその世界観などがとても映画的に感じられたんだ!』 『最初のトラックは“Day and Age”の最終曲“Repeat To Fade”の終わりから始まる。“Day and Age”を作った時に、未来の為のちょっとした布石としてこの曲を入れたのを覚えているよ』 『曲がフェードアウトして訪れる静寂の中で静電気が起こって“Can you hear me ?“という声を入れた。それが新しいアルバムの始まりで“James Bondが帰ってくる”みたいな感じかな。そういうアイデアがとても気に入ったんだ』 『ビデオゲームの“Grand Theft Auto”のような、一つの街でドライブしながら何かをするような世界が舞台になっている。でもその気になれば車に飛び乗り橋を渡って別の街に行ける、そこでは別の世界が繰り広げられている、みたいなね』 『“Day and Age”の世界と“Life in The Wires”の世界は同じ世界の別の場所なんだ。でも、物事は同時進行している』 『2枚組アルバムが正義だと思える程に十分な物語が有ったと思う。確かに怖さはあった。長くてつまらない迷走しているプログレ・バンドだと評価される事ほど最悪な事は無いからね』 『以前は60分のCDというフォーマットの枠の中で十分に語る事が出来ると思っていたけれど、このアルバムでは4面のレコードを作りたいと強く思ったんだ』 『その結果、最適な音質を得る為にヴァイナルの1ビットが約20分(片面)という制約が生まれた。不思議な事に86分と言われるととても長く感じる。けれど20分のヴァイナル盤を4面分なら、それ程大変な事だとは感じない』 『それに4面を扱う事で物語の幅も広がるんだ。前半の第1幕で登場人物を紹介し、次の第2幕で旅が始まる。第3幕で寓話が、第4幕で教訓が語られる。音楽的にもそういった形式に対応出来る十分な素材があったんだ。全曲が繋がってい組曲のようなものなんだ』 『ELECTRIC LIGHT ORCHESTRAの“Out of Blue”は名盤だが、それ以上に“Time”のような作品を作りたかった』 『ダブル・アルバムはずっとやりたいと思っていたんだ。2枚組アルバムという素晴らしいプログレのクリシェをやるのに丁度良いタイミングだと思ったんだよ!』 『このアルバムはよりプログレッシヴな雰囲気とアレンジになっているから、今回はルールを設けないのが賢明だと思ったんだ』 『前作で我々はとても具体的な事を決めていた。ソロは一切やらない、巧みなアレンジをしよう、と。その法則を楽しみはしたけれど今回はその立場を撤回するのも良いかもしれない、とね』 『ソロを弾いたり楽器的に自分を表現する能力を奪ってしまうと、86分間という時間の中で楽しみが無くなってしまう』 『このジャンルやミュージシャンの楽しみの一つは開放的になれる事だ。バンドの中でそれを許容する為に、ちょっとした光と影を持つ事は公平だと思った。味わい深いものである事を願うよ!』 『それからデヴュー作にも少し触れて置きたかった。リリースされてもうすぐ20年だし、今も誇りに思っているからね。15分間のタイトル・トラックには“Milliontown”的な瞬間が幾つか入っている。またやるのはとても楽しかったよ』 と、Jem Godfreyが語る様に当初から本作は“プログレらしい2枚組大作アルバム”という構想で制作されており、個人的にはそういった古典的な手法や前作で意図的にオミットしたテクニカルで派手なインタープレイ飛び交うサウンド形態から最も遠い所で時代の最先端を疾走しているバランス重視のモダン・バンド、と認識していただけに本作の方向性には少なからず驚かされましたね。 なにせ2020年のEP『Others』で示した方向性は、凡そプログレ勢が手を出さぬ数多くのモダン要素を組み入れさらに数歩先へ進んだ、高い演奏力は無論の事、楽曲構成や幾重にも重ねられていく緻密なアレンジの妙に Jem Godfreyのセンスが光る、重くズ太い印象が最初に来て、その後デジタリーで煌びやかな音の粒の煌めき、そして最後に奔流のように迸るリズムが躍動する、そんなパワフルな楽曲を激しくキックするエネルギッシュな熱量はHR的で、トライバルなリズムと民族音楽要素等を打ち込みで纏め上げ怒涛のリズム展開と分厚いシンガロングでグイグイ押しまくる、シンフォやプログレ系でなかなかお目にかかれぬ素晴らしくキャッチーでリズミックな楽曲等、既にシンフォやプログレ系バンドとして語るべきでは無いのかもしれぬ21世紀型シンフォの最先端バンドという呼び名に相応しい冷ややかでスムースなエレクトロニック・サウンドだった訳ですから。 キャリアの初期から現在に至るまで一貫してプログレの創造性を向上させてきたFROST*が、まさか一気に正反対の方向性、70年代プログレ・バンド達が好んだ2枚組大作へ舵を切るとは完全に予想外でした。 本作のサウンドやコンセプト以上に注目のトピックは、前作『Day and Age』では John Mitchellがリード・ヴォーカルの多くを担っていたが、今回はキーボーディストの巨匠がリード・ヴォーカリストにしっかりと復帰し、さらにシンセ・ワークも前作以上により前面に押し出されている事だろう。 『何故そうしたかと言うと、このアルバムの大半を私が書いているから。自分一人で書いた曲が多いから歌う事に意味があったんだ。私がこれを歌って Johnに何か歌って貰おう、と言うよりはね』 『彼は私よりも音域が広い。例えば“Day and Age”では私が歌っていた曲のうち、Johnが歌う事になったのが何曲かあった。“Skywards”とかね』 『けれど“Milliontown”の全曲を私が歌っていたから、こうしてある種の輪が完成したんだ。マイクの前に戻るグリーン・パスが貰えたと思ったんだ。良い機会だと思ったよ』 John Mitchellのヴォーカルの何が悪い訳ではありませんし、寧ろ声質にしろ巧みな歌唱力にしろ豊かな表現力も何もかも良い点ばかりなんですが、やはりFROST*というバンドを考えた時、デヴュー作の素晴らしいインパクトが未だにファンの脳裏に焼き付いている為か、FROST*のアルバムからは Jem Godfreyの歌声がメインで飛び出してきて欲しい、と思ってしまうファンも少なくないのではないでしょうか? さて、本作のコンセプト・ストーリーだが、主人公のNaioを中心に展開していく。 Naioは郊外に住む退屈な少年で、『オール・シーイング・アイ(全能の目、の意)』なるにA.I.に支配されたサイバースペースに入り浸り、目標も持たず、意味の無い日々を過ごすだけだった。 母親からかつて譲り受けた大昔のAMラジオから聞こえて来る年老いたDJの声を耳にし、Naioは退屈な生活から逃れようと彼を探す為に『ライヴワイヤー』の発信源を辿って東へ旅立つが、その途中でA.I.とその信奉者達の怒りを買う。 A.I.の支配から逃れるその自由な発想や思想を『オール・シーイング・アイ』が許さなかったのだ。 やがてNaioは『ライヴワイヤー』の居場所を突き止め、己の自由を見いだそうとする中、国中の憤慨した暴徒達に追われる事になって…、というややもすれば手垢にまみれた、些か退屈で独創性に欠ける(汗)古典的な近未来ディストピア物語が、インターネットやA.I.がどれ程に創造性を台無しにしているかというインスピレーションや示唆を(既にDREAM THEATERが2016年の『The Astonishing』で類似コンセプト作をリリース済だけど…)含んだ展開でスマホを見詰め過ぎな人々へ向けて語られていく━━ 一応、シンフォ系バンドとしてカテゴライズされている彼等ですが、キーボードが所謂定番のシンフォ&プログレ作のように前面に出て美旋律を奏でるシーンは少ないものの終始シンセ・サウンドは巧妙に鳴り続けており、全体的に非常にノイジーでエッヂあるギター・サウンドとダイナミックでパワフルなドラム・サウンド(全ディスコグラフィ中でも一、二を争う変拍子を交えた最高のドラミングを披露!)がソリッドで強烈なエネルギーに満ちたサウンドの根幹を構成している為かHM的音像に近似して感じられるが、Jem Godfreyが語る様に後半になると如何にもプログレらしい華麗でコンパクトなキーボード・ソロが疾走する怒涛のバンド・サウンドと相まって高速で弾き倒されるなど、従来の古典的プログレっぽいテイストも忠実に再現しつつ今風のモダンでリズミックなエレクトロニック・サウンドが構成されており、そこがこれまでのアルバムとテイストの違いを感じさせる大きな点なのは間違いない。 鍵盤が奏でる一つ一つの繊細な音色が雨粒のように弾け響き、シンバルが空気を震わし紡がれるサウンドの中を流れ落ちる様はこの上なく美しく、強烈にバンドをキックするエネルギッシュなドラムと艶やかなピアノが織り成すセクションは実にエキゾチックで、ドライヴするノイジーでヘヴィなギター・ソロから息を飲むようなドラマティックで緻密なアレンジとバラードからブルータルなものまで、様々な楽曲でそのポテンシャルをフルに発揮しプログレ・ファンが長らく待ち望んでいたインテリジェンスに満ちた圧巻のサウンドを披露するなど、全ての音色が本作に多大なインスピレーションを与えたであろう70年代プログレ作品とは一線を画すモダンな輝きを放っており、寧ろ現代のポップ・レコードのソレに近いオーバープロデュース紙一重な緻密な造り込みが成されているように感じます。 5ヶ月かけて丹念に造り込まれたと言う本作は『価値あるプログレ・バンドは皆、ダブル・アルバムを出すものだし、出すべきだよね』と語る Jem Godfreyの気合もかなり入ってたのか、音の密度が滅茶苦茶濃い為かナチュラルな楽器の鳴りや音の粒子の広がりは余り感じられず、更に2枚組な事もあってかノイジーでヘヴィな怒涛のエレクトロニック・サウンドを長時間聴いていると、音楽性、作曲、プロダクションの全てが見事なれども耳が異様に疲れ(MIXが原因?)、けれどモダンでデジタリーでありながらも英国バンドらしい叙情感と気品が感じられる小休止的な楽曲やパートがしっかりとアルバム全体に配されており、この辺りのバランス感覚やユニークな創作性、そして音楽的探求の為のスペースを残そうとする意欲に対し、ダブル・アルバムという形式が巧く機能しているように思う。 SFストーリー・コンセプト作だからと言って露骨にシンフォニックでもなくシネマチックでもない点は凡百のプログレ・コンセプト作やロック・コンセプト作とクッキリ差別化出来ているし、妙な繋ぎや展開を考慮して楽曲が弱まる事なく各楽曲毎に大変聴き易く、巧みなサウンド・テクスチャーとトーン・コントロール、さり気ないサンプリングが活かされた硬質なシンセ・ソロ、分厚いヴォーカル・コーラス、コンパクトでキャッチーなフックなど、全ての構成要素はかなり基本的だが曲を飽きさせぬ巧みなアレンジが随所に施された、彼等のファンが聴きたいトレードマークが全て揃っている点は流石は Jem Godfreyと言った所だろう。 キーボード・ソロの背後にある歪んだパワー・コードに濃厚な『Milliontown』カラーが滲むなど、過去作のファンなら誰でも入り込める仕掛けが随所に施されているのと同時に多くの新しいアイディアも提示しつつ、ポリリズムのギター・ワーク、渦巻く様な重厚なグルーヴ、浮遊感あるコーラス、終盤の軽快なブリッジ、そしてストリングスとキーボードの煌びやかな音色が艶やかに混ざり合い、吹き荒れるノイズと唸りを上げるシンセ・ファズはエキサイティング限りなく、コンパクトで軽快なソロ・パートがふんだんにミステリアス・サウンドを彩る中、テクニカルでアグレッシヴな曲から穏やかな曲への劇的な変化、緩急自在なテンポチェンジにシリアスなブレイク等々、予想外の楽曲展開とエスプリに富んだ歌詞でプログレ・ファン歓喜なめくるめく旅に連れて行ってくれる、これぞFROST*の真骨頂でプログレ&シンフォの素晴らしさを凝縮しているかの様でアドレナリンが噴出し鳥肌が立ちっぱなしだ♪ ('(゚∀゚∩ なんだかんだ書き連ねましたがメチャクチャ大雑把に言うと、これまで築き上げて来たモダンで華やかなエレクトロニック・サウンドに、幾分か古典的プログレ・テイストを織り込んで彼等らしい70年代リズペクトを感じさせるメランコリックなノスタルジー・サウンドとプログメタルやダブステップまでを独自に消化したダイナミックなパワー、そして切れ味鋭いハードで緻密なアレンジで構成された、アナログサウンドの温かみも垣間見せるレトロ・フューチャー・タッチのとてつもなく強力でスタイリッシュなモダン・シンフォ作、というのがさして音楽的知識もない私の個人的な感想であります (゚∀゚) コンセプト作のお話自体はちょっと残念に思えますが、陳腐なSFストーリーを最先端のエレクトロニック・サウンドと疾走する強烈なボトムのパワーで些細な文句などねじ伏せて怒涛の進行を魅せてくれているのでそこに不満を感じる方は少ないのではないでしょうか? 後は事前情報で伝えられて期待した程にはインタープレイの激突やソロ・パートが飛び交う様な事は無かったのが些か残念ではありますが、そこは流石にもう70年代でも無いし、デヴューしたてのエゴ丸出しな新人バンドでもないので、やはりバランスと完成度が優先された為に本作のような仕上がりに落ち着いたんだと思っとります。 『私は人々が我々について良いとか悪いとか批評するのを見ない』 『もし私がレストランを経営していたら評判をとても気にするだろうけどレストランの経営者と違って、誰かがクソだと言ったからといって慌ててスタジオに戻ってアルバムを書き直したり、リミックスしたりもしない』 『誰かが良いと言ってくれたとしても、自分の最新作を聴きながら鏡に映る己を愛おしそうに見詰め、自分に酒を注ぐような事もしないんだよ』 デヴュー作以降、いつも変わらぬ素晴らしい作品を届けてくれるFROST*には賛辞の言葉しかないのですが、Jem Godfreyは最近公開されたプロモ・クリップで、本作がFROST*として最後のリリースになる可能性について言及しており困惑させられる。 まぁ、あれだけ素晴らしいデヴュー作をリリースして大好評なのにアッサリ解散した事もありましたし、ヒョッコリ復活して2nd『Experiments in Mass Appeal』をリリースして暫くの後、2011年に再び活動休止を宣言し、けれど半年後には活動を再開と、Jem Godfreyの『もう止める』発言は俄かに信じられない(汗)のが実情ですが、これが本当に最後の作品にならぬ事を祈るばかりであります。 尚、本編終了後に日本盤のみ収録のボーナストラック『Western Atmosphere』は、以前ここでも紹介した8枚組BOXセット『13 Winters ~Limited Deluxe 8CD ARTBOOK BOX~』'20 にも収録されていなかった14年前に制作を開始したものの未完成のまま放棄されていた音源で、Frank Zappa Bandの後期ギタリストで、今やSteve Vaiの片腕としてそのステージを支える技巧派ギタリスト Mike Keneallyのギター・プレイがフィーチャーされていたにも関わらず長らく放置されていた楽曲を、FROST*のツアーでも叩いていた Nick D'Virgilio (Drums:exSPOCK'S BEARD、BIG BIG TRAIN、etc…)と Randy McStine (Vocals、Guitars:McSTINE & MINNEMANN、PORCUPINE TREE、LO-FI RESISTANCE、IN CONTINUUM、etc...)のパートを加え Jem Godfreyが完成させた、この強者揃いの凄腕メンツが制作した壮絶なインタープレイが繰りひろげられる音源がFROST*名義でリリースされるとは各プレイヤーのファンならずとも驚きだろう。 従来のプログレやシンフォ作のファンやユーロ・グロプレに優美さや叙情感を求める向きにはモダンでエレクトロニック・サウンド過ぎるきらいがあるかもしれませんが、これだけハイクオリティで洗練されたモダン・シンフォ作を聴かないなんて本当に勿体ないのでメロディアスなロック作を好む方なら是非一度は本作をチェックして欲しいものであります。 Track listing: Disc 1 01. Skywaving 02. Life In The Wires, Pt.1 03. This House Of Winter 04. The Solid State Orchestra 05. Evaporator 06. Strange World 07. Idiot Box 08. Absent Friends Disc 2 01. School (Introducing the All Seeing Eye) 02. Propergander 03. Sign Of Life 04. Moral And Consequence 05. Life In The Wires, Pt.2 06. Starting Fires 07. Western Atmosphere 【Bonus track】 FROST* Line-Up: Jem Godfrey : Keyboards、Guitars、Lead Vocals Nathan King : Bass、Vocals John Mitchell : Guitars、Vocals Craig Blundell : Drums Additional Musicians: Mike Keneally : Lead Guitars Nick D'Virgilio : Drums Randy McStine : Vocals、Guitars Produced By Jem Godfrey #
by malilion
| 2024-11-30 17:14
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BAD ATTITUDE 「Right From The Start」'24 米国California州LAのHollywoodにてシンガーでギタリストの Brian Curtisにより1988年に結成され1993年まで活動した4人組メロディアスHRバンドBAD ATTITUDEは、その他の多くの同期インディ・バンド達とレコード契約を目指して伝説のSunset Strip周辺クラブで活躍しその名を馳せたが、迫り来るシアトル・サウンドの犠牲となって姿を消した数多の80年代メインストリーム路線を受け継ぐオブスキュア・ヘア・メタル・バンドの一つで、そんな彼等が1988年から1991年にかけて録音したデモテープやレア音源、未発音源等をコンパイルした全18曲収録のアンソロジー的アルバムが、米国Tennessee州Nashvilleを拠点とするグラム、AOR、HM、そして人知れず姿を消したマイナー・メロディアス・バンド発掘再販で知られるマニア御用達インディーズ・レーベル FnA Recordsよりオフィシャル初CD化されたのを少々遅れてGETしたのでご紹介。 1991年のカセット・アルバムが2008年にSuncity RecordsよりCD化されたPennsylvania州のBAD ATTITUDEとは別バンドで、その他にも各国に同名インディ・バンドが多数存在しますが、本バンドはジャケのイメージ通りな如何にも80年代USメインストリーム路線を受け継いだFIREHOUSEやDOKKEN等を彷彿させるメロディアスな歌メロとキャッチーでフックあるブライトな音楽性、所々でSKID ROW風のヘヴィで派手なギターやポップで甘口なL.A.メタルを思わすタテ乗りサウンド、分厚く爽快なハーモニー・コーラス等もフィーチャーするだけでなくお約束の甘いバラードも忘れない、TOP40を彩るバンドやアーティスト達に通じる幅広くポピュラリティ高い楽曲を多数収録した、けれど独創性は高くなく全体的に軽めで小粒ながらコンパクトに纏められた様々なメジャー・バンド達の特徴を思わす最大公約数的サウンドの完成度は高く、インディ・バンドの未発音源と侮れぬアメリカン・メロディアスHRサウンドを聴かせる知られざる幻の80年代末期USバンドであります。 多くのバンド達と同じく初期はメンバーが不安定ながらロサンゼルスの音楽シーンで数年間活動する間にWARRANT、POISON、HURRICANEといったメジャー・バンド達のオープニング・アクトを務め多くのファンを獲得するものの、リズム隊の2人 Frank Reiche (Bass)と Ian Flanders (Drums)が抜け活動が危ぶまれたが Brian Curtis (Vocals、Guitars)と Lonny Mead (Lead Guitar)は数週間のオーディションの後に新たなリズム隊を招き活動を続行したが、90年代初頭のシーンの移り変わりの速さに翻弄されメジャー・シーンへ羽ばたく前に時代の闇に飲み込まれた、優秀なプロデューサーとメジャー契約さえ掌中にすればブレイクの可能性もワンチャン秘めていたかもしれない彼等の遺した音楽は、マスター・テープの保存状態が良かったのか妙な音ヨレや酷いノイズ等が見当たらない上質な未発音源で、元々の録音状態が良かったのもあってだろう最新録音機材を用いて音圧も上げたリマスター効果も相まって終始耳に馴染み聴き易い上々な仕上がり具合(若干のノイズとヴォリュームの上下バラつき、所々でドラムがパタついているが)となっている。 80年代メインストリームの音像に忠実に倣いつつ、よりポピュラリティ高いキャッチーでポップな甘口のヴォーカルをフィーチャーした殆んどハードポップとも言える軽めでストレートなヒット・ポテンシャル高いロック・サウンドは実に健全で楽し気な雰囲気を全曲から漂わせており、けれど彼等と同様に90年代に入って姿を消した同期インディ・バンド達と共通する個性が薄く独創性の低いサウンドではもしグランジー・ブームが来なくてもメジャー契約は難しかったかもしれないがインディ活動は十分に可能だっただろう事は容易く予想でき、せめて90年代に入る前に正式に1枚でもいいので自主制作でアルバムをリリース出来ていれば状況が変わっていたかも、とも思えなんとも言えぬ物悲しさが胸に去来しますね… まぁ、厳しい見方をすると80年代末期のフォロワーのフォロワーみたいな煮詰まったサウンド、どこかで聴いた事のあるような二番煎じ、三番煎じ的劣化コピー・サウンドとバッサリ切って捨てる事も可能ではありますが、無理なく幅広い音楽性を内包した彼等のストレートでコンパクトな楽曲の魅力は現在でも全く色褪せていないと個人的には思えます。 とまれ80年代末期から90年代初頭の80年代の残り香を纏ったポップでキャッチーなUSメロディアス・ロックがお好きな方ならば気に入る事間違いなしな、少々没個性で素直過ぎるきらいはあるものの終始心地よく気軽に楽しめる彼等が遺したフック満載なUSハードポップ・サウンドを是非一度チェックしてみて下さい。 Track List: 01. Hanging On 02. Rock In Motio 03. All I Need Tonight 04. Bad Attitude 05. What About You Girl 06. Love 'em And Leave 'em 07. Action 08. Don't Turn Your Back On Love 09. Right From The Start 10. I'm The Only One For You 11. Never Gonna Let You Go 12. Take It Or Leave It 13. Love Is A Lie 14. Give It Everything You Got 15. Fool For You 16. Second Best 17. Just A Little Bit 18. Better This Way 19. In A Flash You Were Gone BAD ATTITUDE Line-Up: Brian Curtis : Lead Vocals、Guitars Lonny Mead : Lead Guitar、Backing Vocals Frank Reiche : Bass、Backing Vocals Ian Flanders : Drums、Backing Vocals Alyx Galan : Bass Brian Lockerman : Drums #
by malilion
| 2024-11-19 17:24
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