コロナ騒動で去年から今年にかけて世界中の著名ミュージシャンの訃報が続いていたのでビックリでしたが、今度は二代目H.E.A.Tのヴォーカリスト Erik MagnusGronwallが病いに犯されてしまった。 どうやら今年初めに症状が発病し、病院で検査した結果急性リンパ性白血病だと判明した模様だ。スウェーデンのメロディアスHRバンドH.E.A.Tから2020年10月に Erik MagnusGronwallは脱退しているので、今回の件と脱退は無関係なハズ。 長い治療になると自身でも語っているので、しばらく彼の活動する姿は拝めそうにないけれど、どうか一日も早い回復とシーンへの復帰を祈らずにはおれません。 #
by malilion
| 2021-04-14 16:31
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![]() スウェーデン人ドラマー J.K.Imperaを中心に名うての強者を招いてのメロハー・プロジェクト通算5作目で3年ぶりとなる新譜がリリースされたのをちょい遅れてGET! 2012年デビュー以来、バンド編成で毎年1枚とコンスタンスに新作をリリースして来たが、前作『Age of Discovery』から完全ソロ・プロジェクト化し、80年代から90年代にかけて北欧HMを好んで聴いてきたHMファンなら間違いなく目を惹くメンツを曲毎に迎え、ゴージャスなラインアップが目まぐるしく入れ替わってキャッチーでブライトなモダン・メロハー・ロックを演るこの手のプロジェクトならではの一番簡単で確実な話題性と音楽性の幅広さを両立させる禁じ手をしょっぱなからブチ込んでその後どうするのか、と心配させた Johan Kihlbergですが、ちゃんと彼はその後の事も考えていた模様です(w デヴュー時は J.K.Impera(Ds)を筆頭に、ソウルフルな名シンガー Matti Alfonzetti(Vo:JAGGED EDGE、SKINTRADE、DAMNED NATION他)、北欧メロディック・ロック界随一のお助けマン Tommy Denander(G:RADIOACTIVEを筆頭にAORセッションやプロジェクト多数)、そして Mats Vassfjord(B:VINNIE VINCENT、GRAND DESIGN、220 VOLTN他)の4人でバンドらしくマイナーながら地道な活動を続けていた訳ですが、大勢のゲスト・プレイヤーを招いたプロジェクト作の後に自身がドラマーの座から退いて(!?)まで新たに豪華なメンツで再構築しスーパーバンドへと変貌を遂げた、新生北欧メロディアスHMバンドIMPERAの第一作(正確にはJohan Kihlberg's IMPERA名義でその前に映画サントラを一枚制作している)が久しぶりに国内盤でリリースされた。 注目の新メンバーは、シンガーにNOCTURNAL RITESの Jonny Lindkvist、ベーシストにEUROPEの John Leven、ドラマーにはKING DIAMOND、MERCYFUL FATE、SABATON、DREAM EVIL、THERION等多種多様なバンド&プロジェクトに参加し、現在はソロ活動をメインにしている Snowy Shawを起用、ギタリストは前作にも参加し、LION'S SHAREでの活動を始め数多くのバンドやプロジェクトのプロデュースで北欧メロディック・シーンで大活躍する Lars Chrissが参加し、Johan Kihlbergはギターとキーボードの一部をプレイするのみでアルバムの制作指揮者として本作に参加している。 また、それだけでなく前作同様にゲストプレイヤーも招かれており、LION'S SHAREの元キーボーディスト Kay Backlund、前作に参加していたベーシスト Mats VassfjordとKING DIAMONDのベーシスト Pontus Egbergが招かれており、前作に引き続き Johan Kihlbergの北欧スウエーデンHMシーンにおいての顔の広さを物語っていますね。 正にスーパー・バンドに成ったJohan Kihlberg's IMPERAだが、ライナーで Johan Kihlbergが語っているのを見るに残念ながらこの豪華メンツが長続きするようには思えず、友人である Mats Vassfjordや Lars Chrissは次作にも引き続き参加してくれるだろうが、他のメンツは甚だ怪しいのがなんとも(汗)、な状況なのが少々残念ですね… で、本作の内容ですが、これだけの北欧シーンで名を馳せた猛者達が集っての作品なので当然の如くプレイには問題なぞ欠片も無く、問題となるのは楽曲の出来やアルバムの方向性となる訳ですが、本作に参加したミュージシャンの名前を見て期待したリスナーの想いを裏切ることない仕上がりなのは間違いなく、如何にも北欧HMという透明感とキラキラしたキーボード・サウンドが特徴な、Johan KihlbergがSF作品好きと言う事でちょっとソレっぽいSFファンタジックな趣を醸し出すテイスト(シンフォニックで壮大なキーボードの演出!)が随所で香る、欧州HMバンド定番のウェットなメロディとキャッチーなヴォーカルラインが仄かにダークな雰囲気を漂わす思いの他にストレートなHMサウンドとなっている。 これだけキャリアの有る北欧ミュージシャンズが集った作品なので新人北欧インディ・バンドに特有の妙なマイナーHM風の臭みは無く、寧ろドライでカリカリにエッジの立ったギターサウンドの影響もあってか80年代LAメタルっぽい感触も覚える瞬間が多々ある、渇いた叙情を紡ぐギターとサイバー感覚を演出するシンセサウンドがミスマッチな差異を演出する所がちょっと面白い点と言えるだろう。 Lars ChrissのLION'S SHAREでの活動や参加しているメンツを思えば、もっとテクニカルでモダンな最先端HMな方向へサウンドの舵を切る事も出来たはずだろうが、そこはバンドを統べる Johan Kihlbergの好みもあってか、幾分オーセンティックな80年代から90年代にかけてのHMサウンド形態を残しつつ、北欧テイストも出しながら今風のモダンHMサウンドへアプローチしているように思えます。 確かに言える事は、前作で幾分か感じられたAOR風なアプローチは完全に姿を消し、よりオーセンティックなモダンHMサウンドへ近づいた音のアルバムだと言う事だ。 個人的にはもう少しヴォーカルメロディに甘味やキャッチーさ、楽曲構成的にももう少し経験豊富な各プレイヤーの腕前が光る派手なインタープレイなんぞ組み込んで『これぞ北欧スーパーバンドのHM作! 』な、ウェットなメロディアス・サウンドを聴かせて欲しかった所ではありますが、Johan Kihlberg的には私の望むようなサウンドは『古臭い!』とバッサリ切り捨てて、よりバランスを最重要視したプロダクションとパフォーマンスの両方の観点から非常に洗練された仕上がりを目指した結果が本作なのではないでしょうか? ただ、バランスを重視していると思しきなのだが、ヴォーカル・メロディや楽曲から漂う雰囲気は北欧らしいのに全体的に妙にドライな仕上がりのサウンドな上に、北欧北欧したマイナー調のメロディは影を潜めており、一番耳につくのが縦横無尽に弾きまくるLars Chrissのカリカリに渇いたスピーディーでエッジ立ったメタリックなギター・サウンドばかりなアルバムだなぁ、という印象で、メタリックなギター・サウンドが大好きなリスナーを除いて決して手放しで褒められるような傑作HMアルバムではないだろう。 某誌でのレビューで、本作は『DOKKENっぽい』サウンドと評されていたが、確かにDOKKENがちょっと北欧HMっぽい方向性のアルバムを制作した、みたいなイメージの“ちょっと古いけどモダンな新しいサウンドのアリーナロック風なメロディアスHMアルバム”というのが一番本作を表す正しい言葉かもしれない(汗 一時期流行ったTHERIONやAVANTASIAのようなオールスタープロジェクトは、Tobias Sammetのような主導者ミュージシャンが常に魔法のような瞬間を生み出す為尽力して自身もプレイに参加し、その背後にあるコンセプトを引き出すのに成功しているのに対し、本作は経験豊かなミュージシャン達の優れたスキルだけで構成されたアルバムにも関わらず、悪い意味で典型的な“お仕事”的サウンドしか鳴らしていない為にアルバムは終始熱狂的な盛り上がりに欠け、豪華なメンツを揃えたプロジェクトが自動的に刺激的なアルバムを生み出す訳ではない、肝心なのは腕前だけではなくミュージシャン同士の化学反応から生まれる、俗に“マジック”と呼ばれる現象なのだという事実を再確認させる一作となってしまったのは少々残念ではありますね… Johan Kihlbergが映画音楽好きな事もあり本作のボーナストラックでそれ風のインスト曲が収録されていますが、この辺りの要素をもっとバンドへ持ち込めば他の北欧HMバンドにない独自性を確立する手助けになりそうに思えるのでが、本作ではちょっとした彩りの一要素程度な扱いなのが惜しいように思えます。 本作を聴き終えて思うのは、やはりHMはソングライターが自身の作品の演奏を完全に他のミュージシャンへ任せるのに最も適していない特殊な音楽形態と言う事で、ポップスなどの他ジャンルならいざ知らず、少なくともHRやHMというプレイするミュージシャンのアティテュードが重要視され、作曲者とバンドは一体でなければならない、魂から迸るサウンドを鳴らすのがロック・アーティストだ、と認識されている現状に置いては、いくらベテラン精鋭ミュージシャンを雇ってバンドの態でアルバムを制作しようともプレイヤーでない人物が中心のバンドユニットはシリアスなバンドとはみなされないだろう、という事だ。 数十年の経験を持つベテラン・ドラマー Johan Kihlbergとは言え、この点だけはクリアするのは難しかったようですね…… 出来る事なら次作では自身がドラム・パートを担当する素晴らしい作品を届けて欲しいものであります。 Johan Kihlberg's IMPERA Line-up: Johan Kihlberg Mastermind Lars Chriss Guitars (LION'S SHARE) Jonny Lindkvist Vocals (NOCTURNAL RITES) John Leven Bass (EUROPE) Snowy Shaw Drums (ex:SABATON、ex:KING DIAMOND、ex:MERCYFUL FATE、ex:THERION、DREAM EVIL) with: Kay Backlund Keyboards (ex:LION'S SHARE) Mats Vassfjord Bass (ex:VINNIE VINCENT、ex:GRAND DESIGN、220 VOLT) Pontus Egberg Bass (KING DIAMOND) #
by malilion
| 2021-04-12 10:50
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![]() URIAH HEEPの二代目フロントマンにしてLUCIFER'S FRIENDの現フロントマンである John Lawtonが後にドイツのメロディアスHMバンド ZARで共演する英国人ギタリスト Tommy Claussと80年代初頭に極短期間だけ活動して解散したキーボード入り5人組ジャーマンHRバンドの唯一作が500枚限定のデジパック仕様でリマスター&リイシューされたので即GET! 以前、本作とZARの90年リリース作をカップリングした2in1盤や、CD-R製の劣悪なブートが出回っていたが今回は単品で初となる20年度リマスター&リイシューとなっている。 ZARファンにとっては前身バンドとして名が知れていたし、URIAH HEEPから続く John Lawton個人のファンにもマイナー・バンド(当時、フランス盤LPもリリースされクレジットがフランス語の珍盤も存在する)ながらその存在を知られていたマニアックなバンドであります。 なんでも John Lawtonは当初はプロデュースのみを担当する予定だったらしいが、若いヴォーカリストの指導をするうちに本人がマイクを握ってしまった、という顛末らしい(w まぁ、あのヴォーカリスト選眼では定評の Ritchie BlackmoreからRAINBOWに誘われたと言う John Lawton程上手くパワフルに歌えるロックシンガーなんてそうザラに居ないでしょうから、もし指導を施された無名の新人シンガーの歌声で本作が録音されていたならば、恐らくこうして39年の時を経てリイシューされる事もなく、無名のドマイナーなインディ・バンドの一作として歴史の闇へ消えたままだった事でしょう。 さて、待望のリイシューが成された本作の内容についてですが、ユーロ圏バンド特有のウェットなメロディとHRバンドらしいスピード感、そして程々のポップ感覚がミックスされた80年代当時らしいオーソドックスなユーロHRに加え、キーボードのちょっとシャレオツで華やかな使われ方にニューウェイヴの影響が窺えるサウンドで、ぶっちゃけ楽曲展開にもアレンジにも特に強烈な個性が感じられる訳でもない短命に終ったのも納得なアルバムですが、なんといっても本作の売りはHEEP二代目フロントマンであった John Lawtonの Klaus Meineや Ronnie James Dioにも決して引けを取らぬ上から下までカヴァーする幅広い音域とHEEPでお馴染みの突き抜けるハイトーン・ヴォイスや抜群のパワフルさを誇る絶妙な歌唱力で、稀代の名シンガー John Lawtonのファン達はこうして貴重な本音源がリマスターで限定とはいえ正式にリリースされ大変喜んでいる事でしょう。 斯く言う私も本作のインフォを見て即飛びついたクチであります(*´ω`*) CDも以前の古ボケたサウンドのプロデュースでしかリリースされていないので、こうしてデジタル・リマスターによってクリアで図太くパワフルに磨かれお色直しされたサウンドの本作を入手出来て大変満足しております。ハイ。 欲を言えば蔵出し音源の類、当時のLIVE音源やDemo音源や未発曲なんてのがボーナストラックで追加されてたらこの上もなく嬉しかったんですが、まぁ余りに短命過ぎてその手の音源は見当たらなかったんですかねぇ… キャリア的に John Lawtonばかり注目されてしまうだろう本作ではありますが、一応もう一人の主人公 Tommy Claussもリフにソロに頑張ってギターをプレイ(ちょっと Michael Schenkerっポイ所アルよね?)しておりますが如何せん楽曲のメロディの質が総じてB級クラスなのは否めませんね… ニューウェーブ風やプログレ風味、そして様式美HR風のキーボードサウンドをサラリと聴かせる Albert Stublerの鍵盤捌き自体にも問題は無く、むしろ本バンドのオーソドックスなユーロHR風なサウンドカラーを特徴付けている(アレンジ等でオリジナリティを出してる、一応)とも言えるのですが、Tommy Claussに遠慮してなのか終始控えめで地味なプレイだし、サウンドを古臭く聴こえさせる一因にもなっているように思えるのが残念です。 その辺りに気づいてかプレイや作曲面の助力に不満があったのか Tommy ClaussはZARでは彼を起用せず、新たなキーボーディスト Jerry Schaeferを招いている訳だが、ZARは各パートのメンバーの出入りが激しすぎるバンドだったので、仮に Albert StublerがそのままZARへスライド参加していたとしても余り長続き(Jerry SchaeferはZARに一番長居したメンツではありますが…)しなかった可能性は高かったでしょうけどね。 もし本作をチェックしてサウンドが気に入った方がいらっしゃるならば90年から16年までに5枚のアルバムをリリースしている Tommy Clauss率いるZARのアルバムの方もチェックしてもいいかもしれません。 John Lawtonファンは勿論、ドイツのマイナーなメロディアスHR作もチェックを怠らない熱心なメタルヘッドなコレクターの諸兄にもお薦めしたい本作であります。 REBEL Line-up: Tommy Clauss (Guitars) John Lawton (Vocals) Albert Stubler (Keyboards) Peter Weber (Bass) Peter Garratoni (Drums) #
by malilion
| 2021-04-11 02:16
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![]() オランダの北東部フローニンゲン州で Gert-Jan Schurer(Guitars)を中心に結成された、非常にダイナミックで冒険的でありながらスタイリッシュでモダン、そしてキャッチーで多様性に富んだユニークなサウンドが特徴の、男女ヴォーカリストとキーボーディストを含むオランダ産6人組モダン・プログレッシヴ・バンドのデヴュー作がリリースされたのを即GET! バンド名だけ見ると『HMバンド?』という印象だが、近年の Roger Dean風なジャケットを見て『ああ、プログレ系か』と、安心する本作を一聴して誰もが思うだろう事は、これが彼等のデヴュー作とはとても信じ難く、いずれの楽曲でも高いレベルの完成度と優れたパフォーマンスを披露しており『キャリア組のベテラン・ミュージシャン達が新たに結成したバンドなのでは?』と、改めてクレジットを確認してしまうくらい素晴らしい出来栄えな期待の新鋭が放つ充実作だ。 まぁ、実際各メンバーは多角的に活動しており、全くの新人プレイヤーと言う訳ではないのだが、メジャー・シーンに置いては無名な存在と考えて間違いない。 本バンドの一番の特徴はリード・シンガーの Adel Saflouと彼の伴侶である Hiske Oosterwijk嬢のツイン・ヴォーカル体制な事で、Hiske Oosterwijk嬢は主にバッキングやハーモニー等のサポート的な歌声を聴かせるが、Adel Saflouとの絶妙なデュエットはヴォーカルメロディに深みと豊かな広がり、そして楽曲にバラエティ豊かな表情を加え、歌詞をより雰囲気のあるものにしている点は見逃せないだろう。 その上、Hiske Oosterwijk嬢は只のバックシンガーとしてだけではなく、しっかりとアルバム中盤のタイトル曲『No Air』では美しく透明感ある息を呑むようなソロ・ヴォーカルを披露したり作詞でバンドへ多大な貢献をしており、公私に渡って Adel Saflouをサポートするなど本バンドに居なくてはならぬ重要メンバーな一人に違いない。 総じてクリアーでモダンなイメージのサウンドの中で意外な程にハードなリフを基調とする Gert-Jan Schurerの紡ぐエモーショナルなギター・サウンドを起点とし、目立たないがその実テクニカルなリズム隊がダイナミックでソリッドな意外性のある紆余曲折やブレイクを繰り出す上で、バッキングヴォーカルも務めつつキーボードも操る Ard Offersが、時にシンフォニック風に、時に退廃的でモダンなポスト・ロック風に、と万華鏡のように次々とカラフルに移り変わるバンドサウンドの中で繊細で幻想的な音色を鮮やかに響かせ、古き良き古典プログレッシヴ・ロックへの憧憬を見え隠れさせながら、決して弾き過ぎぬ押し引きを心得たバンドサウンドと男女ツイン・ヴォーカルが絶妙なバランスで緻密なモザイク画を描くようにドラマティックでスタイリッシュな美旋律を織り成す様は本当に新人離れしており見事の一言だ。 リードシンガーの Adel Saflouのミドルレンジ主体の伸びやかな歌声や甘い声質からの連想や、爽快コーラスが活かされた限りなくキャッチーでポップな、それでいてプログレらしいテクニカルさや複雑な楽曲構成と、シャープでスタイリッシュな展開の妙が随所で光る彼等の楽曲を聴くに、最初に脳裏に閃いたのは『90年代初頭のSI末期のキャッチーなポンプ・サウンドを21世紀型にモダンへ進化させたバンド?』というイメージでした。 メロディを生み出す両輪である Gert-Jan Schurerと Ard Offersがユニゾンしたり、キャッチーでありながらテクニカルな素晴らしいソロを披露したりするものの、ただ見せびらかすのではなく常にメロディを第一に考えたプレイを心掛けているのが分り、オランダ産バンド特有な幻想色を帯びたクラシカルな叙情感が漂う緻密なアレンジの施されたタイトで魅惑的な美旋律には、ポップス、シンフォ・ロック、AOR、オルタナティブ・ロック、ハード・ロック、JAZZ等の幅広く多様な音楽的要素が含まれているのが窺え、それら全てを男女混成トリプル・ヴォーカルの爽快なハーモニーとキャッチーなコーラスで纏め上げるフレッシュな感覚とロックバンドらしいドライヴ感に満ち溢れた21世紀型モダン・プログレッシヴ・サウンドは、さすがかってポンプの総本山SIレーベルの本拠地オランダから登場したバンドと納得しきりであります(*´ω`*) なんでも本バンドのサウンドがこんなにも多様性に富んでいるのは、中心人物であるギタリスト&ソングライターである Gert-Jan Schurer自身の経験と、彼が育った環境で得た幅広いサウンドを活用しているかららしい。 その他にもダークな透明感を帯びた陰鬱なサウンドが“第二のPINK FLOYD”と評価されたPORCUPINE TREEやPORCUPINE TREEのリーダー Steven Wilsonのようなプログレッシヴロック・アーティストや、Pat MethenyのようなJAZZからの影響に加え、Hans Zimmerのような映画音楽の作曲家、さらにAPHEX TWINのようなエレクトロ・アーティストもPERFECT STORMの音楽に影響を与えているのだと言う。 キャッチーでポップな楽曲を彩る爽快なトリプル・コーラスハーモニーとベルベットのような歌声はパワフルで、ハードエッヂでヘヴィなギターとドライブするベースとドラムはロックスピリットを叩き出し、複雑で魅惑的な音色を奏でるキーボードが織り成すサウンドは欧州バンドらしい艶やかでウェットな叙情感に満ちており、その古いようで新しいプログレとポッフスの折衷モダン・サウンドは、ひょっとすると90年代初頭のSI系バンド達がこぞって挑み果たせなかったメジャーシーンでの成功という二文字を、抗いがたい旋風を伴って今のプログレ・シーンにもたらすかもしれない。 そんな風に期待させる確かな独自性を既に彼等は発揮しておりますので、もしご興味あるようでしたら是非彼等のアルバムを一度チェックしてみて下さい!('(゚∀゚∩ PERFECT STORM Line-up: Gert-Jan Schurer (Lead Guitars) Adel Saflou (Lead Vocals、Guitars) Hiske Oosterwijk (Vocals) Ard Offers (Vocals、Keyboards) David Klompmakers (Bass) Jesse Bosman (Drums) #
by malilion
| 2021-04-10 14:44
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![]() ローマ帝国時代からの古い歴史とスペインで最もスペインらしい州と呼ばれる国内最大の面積を誇るスペイン北西部カスティーリャ・イ・レオン州から、ドラマー&ヴォーカルの女性2人に男性メンバー4人を加えた男女混成のキーボード入り6人編成メロハー・バンドTORQUE(トーク)がデヴュー作をリリースしたので即GET! 本作は今年初めにデジタル先行でリリースされ先頃やっと現物がリリースされたアルバムで、事前に公開された如何にもメタル・ミュージシャンという黒ずくめなメンバー・フォトやバンドロゴのフォント・デザインやダークなイメージっぽいアルバム・ジャケを見て思ったのは『男女ツイン・ヴォーカルのスペイン産ゴス系バンド? それともエピック系HMバンド?』が第一印象でした(汗 ![]() 強面なヴィジュアルに反して甘い声質の如何にもAORや産業ロックが似合いそうなハイトーンを聴かせる Pedro Torqueをはじめ、PVでのスタッド&レザーなゴリッゴリのメタラーな恰好というか硬質なイメージのバンドメンツが演ってる爽やかでキャッチーな音楽とのギャップにも驚かされましたけど(´∀`) ただ、女性サイド・ヴォーカリスト Marian T. Pazo嬢と長い髪を振り乱して激しくドラムを叩きまくる Miriam Torque嬢のビジュアルが与える華やかなイメージと見た目は、ゴリッゴリのアンダーグラウンドなマイナー・メタルバンドにない(それでもイモ臭い垢抜けなさが滲んでるのは否めないけど…)プラス要素ではあります。 さて、本作の内容はと言うと、91 suite系というインフォからも窺える通り、BON JOVIをはじめTYKETT等でお馴染みなキャッチーでブライトなサウンドが特徴的な80年代USAメロディアスHRや産業ロック、そしてAOR等の影響をベースにしつつ、アメリカ進出を果たした頃の80年代SCORPIONSやアメリカ進出を狙う90年代PRETTY MAIDSやTNT等のユーロ圏のバンド達、そして00年代を代表する北欧バンドSTRATOVARIUS、そして近年の北欧バンドH.E.A.T等を彷彿とさせるウェットで劇的なメロディが特徴のユーロ・テイストも感じさせ、さらにスペイン特有な哀愁タップリの濃厚な美旋律と男女ツイン・ヴォーカルのハーモニーを活かしたキャッチーなコーラス・ワークが特徴なメインストリーム寄りのモダン・サウンドが実に快い、新人バンドのデヴュー作にしてはまずまずのバランス重視なメロハー作となっている。 尚、スペイン産バンドではあるが、フロントマンの Pedro Torque率いる本バンドの歌詞は全て英語詞となっているので、インディ・スパニッシュ・バンド定番の暑苦しい巻き舌ヴォーカルではありませんから、ソレ系が苦手な方も安心であります(´ω`) アメリカン・テイストなサウンドがベースながら、スペインという地域性から生み出される独特の音楽要素と男女ツイン・ヴォーカル、そして煌びやかなキーボードを活かしたメロディックでカラフルな色合いと80後期から90年代初期北欧産メロディアスHMバンド等に特有なエレガントな美旋律が際立つサウンドは、ほぼ全ての楽曲を創作しているヴォーカリストの Pedro Torqueの伸びやかな歌唱をメインに据えた20年代デヴューの新バンドに相応しくコンテンポラリーなモダンHRサウンドとなっているので、ゴリゴリのヘヴィ・サウンドが好みの方には刺激が弱く軽過ぎるし臭みが少なく聴こえるだろうが、大部分の普遍的なロック・サウンドを好むリスナーには大きく訴求するだろうポップで秀逸な楽曲が収められた上出来なデヴュー作なのは間違いないだろう。 ただ、この手のインディ・バンドなら定番だしスペイン産バンド特有な泥臭いマイナー臭漂うメロスピお得意の畳みかける怒涛の勢いや強烈な個性が無いのが少々残念ながら、その分アップテンポの楽曲からミドルテンポ、定番のバラードまでバランス良く収められているインディらしからぬメジャー路線サウンドと言えるので、まだまだB級クラスな楽曲の完成度とサウンドなれど、何か一曲でもスマッシュ・ヒットすればスルスルと苦も無くブレイクしそうな気配さえ感じるバンドと言えるかもしれませんね。 実際、鍵盤を巧みに操りモダンなサウンドや小洒落たアレンジを効かせて楽曲の華やかなイメージアップを担っているのは、表に裏に終始奏でられる John C. Bramleyのキーボード・サウンドで、本バンドのサウンドを語る上で見逃せない重要なポイントだと思いますし、彼の持ち込む音楽性をどれくらいバンドサウンドへ反映させるかで今後のバンドサウンドがどう変化するのか大きく関わってくるように思えます。 後はせっかく Marian T. Pazo嬢がいるんだから、もっとデュエット・パートを増やすとかコーラスパート(ドラマーもフィメール・コーラス取れるのは大きい)を増やすとかしないと今の楽曲構成では少々勿体なく感じてしまうのですが、まぁLIVEでのバッキング・ヴォーカル要員をメインとして捉えているなら今の起用でも頷けますけど、そうなると遠からず Marian T. Pazo嬢の姿はバンドから消えそうで怖いなぁ… さらにどういう経緯か知りませんが、1曲だけ同郷ミュージシャンの Philipp Meier(FIRE ROSE)と Paloma Gomez(DEATH BRINGER)の2人がゲストに招かれヴォーカルを披露する4人ヴォーカル状態の、攻撃的で強力なヴォーカルをフィーチャーしたJUDAS PRIESTっポイ他の楽曲と完全にカラーの違うモダンHM曲が収録されており、ちょっと面喰わされた驚きというか戸惑いというか…親しいミュージシャンなのは分るけど、なんでこんなアルバムの完成度を下げる事をしたのか…楽曲自体は悪くない出来だけど、余りにもアルバムの他の曲と方向性が違い過ぎて(汗 それでは簡単なバンド・デヴューまでの流れを、ここでご紹介。 2017年の初めに、Pedro Torque(Vocal)と Jose American(Guitars)が、80年代ロックへの憧憬を胸にグループを結成し、後に Miriam Gonzalez嬢(Drums)と Vaiolet Rodriguez(Bass)を迎え、1年間リハーサルと作曲に費やし、自作の曲や有名曲のカヴァーを含むレパートリーを準備し、18年にバンドはレオン州で初めてのコンサートを開催し好評を得たものの2019年の初めにバンドは解散してしまう。 敢え無くバンドは解散したものの Pedro Torqueと Miriam Gonzalez嬢は引き続きのバンド活動を決意し、新メンバーを探す事に。 Israel J. Amoriz(Guitars)、Alvaro Gonzalez(Bass、Guitars)、Adrian Tucker(Keyboards)など、レオンのシーンで有名なミュージシャン達がバンドに参加し、そして去っていった。 2019年の6月、Ion Andres(Guitars)、Atractivo Hernandez(Bass)がバンドに加わり、デビューアルバム『The Deep Between Two Souls』の制作が開始される。 アルバム制作中ながらこのラインナップで、19年11月30日には親しいバンドFIRE ROSEと一緒にスイスでのイベントにも出演を果たす事に。 可憐な美声を聴かせる Marian T. Pazo嬢(Vocal)と John C. Bramley(Keyboards)が最後に加わりバンドラインナップが完成すると、2020年3月からスペインのVigo『Arold Music Studio』で Alfredo Aroldのプロデュースの元デビュー作のレコーディングが開始され、21年の1月にデジタル先行で遂にデヴュー・アルバムがリリースされる。 所で、ドラマー Miriam Gonzalez嬢のクレジットがデヴュー作では Miriam Torqueに変更されているが、これはバンド創設のオリジナル・メンバーはリーダーでフロントマンの Pedro Torqueと自分、という事で芸名的に変更した? それとも長い付き合いなので Pedroと Miriam嬢はデヴュー作制作中に結婚して苗字が変わったっていう流れ? 詳細は不明です(汗 国内盤がリリースされてもおかしくないキャッチーでメロディアスなサウンドのフレッシュな新バンドのデヴュー作ですし、余り流通せぬプレス数の少ないスペイン・バンドのアルバムなのでマニアックなアイテムもチェックする熱心なメロハー・ファンなら一度本作をチェックする事をお薦めしておきます(*´∀`*) TORQUE Line-up: Pedro Torque (Lead Vocals) Miriam Torque (Drums & Backing Vocals) Ion Andres (Lead & Rhythm Guitars、Backing Vocals) Atractivo Hernandez (Bass & Backing Vocals) Marian T. Pazo (Vocals & Backing Vocals) John C. Bramley (Keyboards) #
by malilion
| 2021-04-05 00:58
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