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一気にASIA化!? LEE ABRAHAMがソロ6作目をリリース!

一気にASIA化!? LEE ABRAHAMがソロ6作目をリリース!_c0072376_02315726.jpgLEE ABRAHAM 「Colours」'17

第二世代UKポンプとして未だ気を吐くGALAHADに05年から09年にかけて在籍しアルバム制作にベーシストとして参加したのに、その存在をバンドに抹消された(涙)ポンプ系UKマルチミュージシャンのソロ作6thがリリースされたのを幾分遅れてGET!

まずは前作の如何にもプログレ系という淡くファンタジックな美しいジャケアートから一転、いきなりアーバンでカラフルになったジャケットに驚かされる。

そしてアルバムのサウンドを耳にした今までの彼のファンなら、その予想を上回るポップでキャッチーなモダンサウンドに愕然とするだろう。

で、この変化は製作メンツが原因かと思ったが、ソロ作ながらもドラム、ベース、ギター&キーボードの最小3ピースなバンド構成を基本に複数のヴォーカリスト等の豪華ゲスト勢を多数招くこれまでのソロ作と同じパターンに変化はなかった。

その注目のゲストの方は、ほぼ00年代デビューのUKネオプログレ・バンドのメンツばかりで殆ど前作にも参加しているメンツばかりだ。

Lee Abraham(Guitars、Keyboards)

Gerald Mulligan (CREDO:Drums)
Alistair Begg(Bass)
Rob Arnold(Piano、Electric Piano)

Dec Burke (ex-Darwin's Radio、FROST*、AUDIOPLASTIK:Vocals)
Marc Atkinson (RIVERSEA、INE STONES CLOSE、MANDALABAND:Vocals)
Simon Godfrey (TINYFISH, Shineback, Valdez:Vocals)
Robin Armstrong (COSMOGRAF:Vocals)
Gary Chandler(JADIS:Vocals)
Steve Overland(FM:Vocals)

全体的なサウンドにシンフォ系の香りが漂うものの、タイトル・トラックの『Colors』などは露骨にニュー・ウェーヴ・サウンドと80年代アリーナロック的なテイストを感じさせ、TOTO、ASIA、FM等に通じる軽快で古典的なAORサウンド要素が全面に押し出されていて、明らかにこれまでのアルバムと感触が違っている。

全楽曲が非常に旋律的で、ややもするとウェットでダークな雰囲気の強かった彼のシンフォニックな作品の中でも随一のブライトさと幅広いサウンドカラーが聞き取れ、主要なメロディーとコーラスなどは殆どラジオフレンドリーなメロディアス・ポップそのものと言っても差し支えないだろう。

無論、これまで通りにHRテイストやシンフォ・ロックなテイストを感じさせる楽曲もあるものの、これまで折衷的に微妙なバランスを取ってきたアルバムのサウンドが、本作で一気にポップな方へ傾いたのは明白だ。

とは言っても、未だに柔らかなキーボードの音色に包まれた、穏やかな叙情をたたえたドラマチックで感傷的なサウンドは健在なので、余りの変わりように落胆した、なんて事はないので旧来のファンの方々もご安心を。

前作以上に6名のゲスト・ヴォーカルが代わる代わる個性豊かな歌声を披露し、それだけでも各曲の顔つきがガラリと変わって、アルバムタイトル通りにカラフルでヴァラエティ豊かなサウンドを一層に華やかにするのに一役かっている。

前作では咽び泣くエモーショナルな哀愁のギターが、ゆったりと流れゆく楽曲を盛り上げる主導権を担っていて鍵盤系サウンドは完全に脇役であったが、本作ではハードなギターリフに負けぬ Geoff Downesスタイルのオーケストレーション・キーボードや魅力的なメロトロン、そしてハモンドなどなどセンチメンタルなメロディと繊細な叙情性を引き立てる重要な役割を果たしており、基本歌モノ中心で穏やかな曲調の多い Lee Abrahamのアルバムのメリハリを一段と強調し、サウンドに深みとウェット感を与えていると言えよう。

また、ポップな方向性のアルバムではあるもののUSA系ポッフスのような軽薄さは皆無で、多数招かれたゲスト・ヴォーカリストの中でも Steve Overlandのソウルフルでディープな歌声は本作の中でも随一に光を放っており、それ以外にも賛美歌風な合唱コーラスなど華麗にして重厚な英国的要素もしっかりと楽曲のそこかしこに散りばめられているのは流石の一言だ。

プロデュースは Lee Abraham自身で、マスタリングはお馴染みの Karl Groomという安心印なので、サウンドの品質は自主製作盤ながら折り紙付きでしょう。

個人的には大変好ましいこの一作ですが、シンフォ系という目線から見るとお薦めにはならぬだろう一品だし、ポップ系で売るには毛色が少々違う、という、余り爆売れしそうに思えないアルバムですので、ファンは勿論のことポップ目なシンフォ作が好きな方はお早めにね!



by malilion | 2018-01-01 02:21 | 音楽 | Trackback
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