CLARITY 「The X」'99
北欧フィンランド産キーボード入り4人組プログHMの自主製作デビュー・ミニアルバムをご紹介。 実は、余りこのバンドの仔細は良く分かってません(ゴメン 1stミニの他にデモCDが2枚ある、という事くらいしか音源に関しては不明です。 最初、Deimas(G&Vo)とMikko(Ds)の二人でDECOYなるデュオバンドを1996年に結成し、1998年1月「Ready at Last」なるデモCDをリリースした。 二人はさらにメンツを集めて99年にCLARITYへ改名し、次いで7曲入り1stミニ・デモアルバム「The X」をインターネット販売のみでリリースする。 派手なキーボードプレイがバッチリとフィチャーされた疾走する楽曲に、ハードエッジなギターがリフにリードにと活躍し、各楽器奏者がテクニカルなインタープレイを交差させ、メロディアスな叙情感ある楽曲をドラマティックに盛り上げるパワーメタル寄りのプログHMで、USAのSYMPHONY Xの楽曲をコンパクトに纏めて70年代UK産HRっぽい(北欧バンドだし、やっぱりね)レイドバックさせたちょっと古めな感触もあるサウンド、と言えば想像がつくだろうか? ただ、バンドの狙い所はなかなか良いし総じて楽曲の出来も良いものの、Deimasが兼任しているヴォーカル・パートがC級クラスの駄目駄目さ加減で、折角の楽曲の格好良さをブチ壊してしまっているのが残念でならない。 格好良く疾走する楽曲の随所でハッとする美メロ(Sammy Poimalaの華麗なキーボードプレイは見事!)で切り返したり、意表をつくリズムチェンジや楽曲展開、そして北欧MH臭プンプンなギターのスリリングなソロパートなどは、巷に溢れる夢劇場症候群フォロワー達と違う明らかなオリジナリティを感じさせ、これでヴォーカルがまともだったなら間違いなく輸入盤店で話題作になっていた事だろう…(つд`) で、さすがにバンドも自身の弱点を理解していたのか、01年リリースの次なる7曲入りデモCD「Empty X Space」ではゲスト・ヴォーカリストを招いている。 このデモでも音楽の方向性に変化はなく、よりスケールと完成度の増したテクニカルHMサウンドは実にスピーディーで格好良く、二大曲「PartI:Empty Space(3曲)」「PartⅡ:X Revisited(3曲)」+ボートラ1曲という如何にもプログレチックな構成のデモで、よりコンパクトでキャッチー、そしてメロディアスでスリリングなプレイを繰り広げていた。 ただ、残念な事にゲストで招かれたヴォーカリスト Cazy Caprの歌唱力、音域、声質など全てがバンドの楽曲とテクニカルなプレイに釣り合っておらず、C級からB級へレベルが上がった程度の改善しかなされていない…orz Sammy Poimalaのキーボードがさらに格好良く、優美にして繊細なプレイを繰り広げている点だけ見ても確実に前作を上回っており、もっと上手いヴォーカリストをゲストに招けていれば…と、返す返すも惜しい出来になっている。 その後、Timo Heinonen(Vo ex:Smash)なる専任ヴォーカリストを加入させ、遂にバンドのメンツを固めた彼等は02年に2曲入りデモCD「Lost in Reveries」(現物未確認)を発表したものの以降は何の音源もリリースしていないので、バンドはその後のいづれかの時点で解散したのだろう。 光るモノを持っていた良質なインディ・プログHMバンドだったのに、良いフロントマンに出会えなかった不幸で未来が潰えてしまった、という悲しい一例ですね…その後のバンドメンツの動向は不明です。
by malilion
| 2017-06-01 15:37
| 音楽
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