ATLANTIS 「Same」'97
まだ5月だというのに連日の30度超え猛暑でグデってたら、流氷の涼やかなジャケが目に飛び込んできたのでラックから引っ張り出して聞いておりました…('A`) カリフォルニア州ロサンゼルス・ベースで活動をしていたUSA産モダン・シンフォ・ロックバンドの自主製作デビュー盤をご紹介。 デビュー時は、キーボーディストの Teknobudd X(別名Jorge Vasquez)とベーシスト Ken Jaquess(この時はVoとGも兼任)、そしてドラムの3人組で、続く2ndでドラムスをチェンジし、さらに専任ヴォーカリストとギタリストを迎えてkey入り5人組バンドになりました。 デビューの後、3年ほどLAで活動を続け自主製作で2ndアルバム「Pray For Rain」も2002年にリリースしたが、その後は各自メンバーが別プロジェクト等に参加するなどして現在までバンドは休止状態のままな模様だ。 海外ではSTYX風のメロディアスなプログ・ポップ要素とDREAM THEATER風のハードでテクニカルな要素がMIXされたバンドと評されているようだが、このデビュー作では軽めなシンセが楽曲の主体になっているのとハードなギターサウンドも聞こえず派手なインタープレイも無い為か、特に80年代後期のUSAプログレハード的な感触が強く聞こえるように思える。 また Ken Jaquessの音域の狭い平坦なヴォーカルはお世辞にも上手いとは言えず、メンバー自身もそれを自覚してかメロディアスなインストパートが主体で、それ故に余計に歌メロのキャッチーさやフックがアルバムに乏しくなり、メンバー曰くモダン・シンフォニックロック作らしいのだが、録音状態と平坦なMIXの悪さも手伝って古典的USプログ・サウンドに近く聞こえ(ぶっちゃけこの時点では退屈なC級ポンプ)るのがちょっと悲しい… 続く2ndでは少なくとも歌えるフロントマンを得てメンツが固まった事で軌道修正がなされ、DREAM THEATERを筆頭にMAGELLAN、CAIRO、SPOCK'S BEARD等の90年代プログHM要素と70年代プログレ要素、特にYES風の複雑なサウンド要素、EL&P風な壮大なサウンド要素、GENESIS風の豪華なオーケストレーション要素等をMIXさせたサウンドへと大幅にバンドサウンドが変貌している……と言ったら褒めすぎか(w ただ、中心メンバーである Teknobudd Xがこの手のシンフォ系で定番なアナログキーボードにこだわらずシンセや打ち込みを多用した為か所謂プログレ的なキーボード・プレイ要素がかなり弱く、どちらかと言うとモダンなキーボードサウンド主体なHRバンド的でさえあるように聞こえ(だからなのかASIAやGTRっぽく聞こえる時がある)るのを、面白いと感じるかシンフォ系にしては物足りないと感じるかで2ndの評価は分かれるかもしれない。 デビュー作ではキーボードがシンフォ要素の殆どを担っていた訳だが、2ndでは新加入メンツの貢献でクラシックなテクスチャーとメロディアスなトーンを備えたインストゥルメンタルパートの補完が成され、キャッチーな歌メロも加わってヴォーカルパートの起伏が生まれ、さらにベースに専念出来るようになった Ken Jaquessがスクワイア張りな自己主張の強いベースプレイを聴かせたりと、プログHM的な派手で劇的な要素と、EL&Pや夢劇場的なパワフルでテクニカルな要素がチグハグ感なく上手くMIXされたサウンドになったのは、キーボードがプログレ的な派手な主張をせず一歩引いた事で纏まったとも取れるのが面白いと言えば面白いのかも。 まぁ、このバンドのアルバムを聞こうと思われる方がいらっしゃるならば、まずはA級未満な2ndを聞いて自分の好みに合うかチェックするのが間違いないと思います。 そうそう、2ndには“アノ”天才ギタリスト Allan Holdsworth(!)が一曲参加して華麗なソロをプレイしているので、彼のファンはチェックしてもいいかもしれませんね。
by malilion
| 2017-05-22 21:48
| 音楽
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