MAXOPHONE 「La Fabbrica Delle Nuvole」'17 時代背景やお国柄という事情があるにしても、イタリアン・プログレバンドにはたった一枚不屈の傑作アルバムを残して解散してしまうという不運な名バンドがやたら多く、彼等もそんなバンドの一つとしてその名を長らく語り継がれてきた訳だが、この度目出度く42年振り(!!)の(14年に日本で再結成LIVEを披露し、同年にLIVE作もリリース済み)オリジナル・スタジオアルバムである2ndアルバムをリリースしてくれた。 Sergio Lattuada(Piano,Key,Vo)と Alberto Ravasini(G,Key,Lead Vo)のキーボーディストとヴォーカリストのみオリジナルメンツで、他メンツが一新されている(LIVE作の時と同じメンツ構成)のが少々残念ではあるが、何はともあれこうして再結成作を届けてくれた事を喜びたい。 まぁ、彼等のサウンドを特徴づけていたフルート奏者やホルン奏者が今回の再結成メンツに含まれていないのは、今のテクノロジーならばシンセ等で十分に再現可能と思ったからなのかどうかは定かではないが…(汗 再結成前の唯一作(英語Vo版もあったけど)では、当時のイタ公の定番ともいえる重厚なオーケストレーションやオペラチックな要素は薄めで、どちらかと言うと軽やかな管弦楽器の響きをメインに、リリカルなピアノが絡むという繊細にして優美な叙情的サウンドがどう変化しているのか興味津々だった訳ですが、あの当時彼等が届けてくれた繊細で優美なサウンドのまんま!('(゚∀゚∩ 勿論、テクノロジーの進化も関係しているのか幾分モダンなサウンドになっておりますが、彼等の音のファンだった方ならば決して期待を裏切られる事のない、巧みな職人芸が活きる緻密なアンサンブルとじっくりと練り上げられた楽曲構成に、仄かに地中海風なイタリアンな歌メロが乗っかる“あの”柔和で軽やかなプログレッシブ・サウンドです♪ しかし、下手に当時を体験していない今の懐古思想の強い新バンドより、実体験している彼等の方が妙なヴィンテージサウンドへの拘りがなくてモダンでスマートなサウンドを届けてくれていると言うのがなんとも面白いですね(苦笑 フルート奏者やホルン奏者の奏でるリリカルなサウンドは聞こえてこないのは残念だけれど、代わりにヴァイオリンやアコギを効果的にフィーチャーして旧来のMAXOPHONE節を残しつつモダンでスマートさに磨きをかけた事によって、近年のPFMにも通じるモダン・シンフォサウンドへ進化したように聞こえるのは予想していなかった面白い効果といえましょう。 ところで、アルバムタイトルの『雲の工場』と、工場の煙突から排出される煙が描かれたジャケがなんともシニカルさを感じさせるが、もしかしたら1stの美しい水辺のジャケと現在の世界を表した対比なのだろうか? また、その排出される煙には「声、川、単語、水、道路、風、毛、月、火、恐怖、海、女、季節、夢、手、夏、巨人、中庭、思考、雷、凧、刀…」等々の抽象的な単語が連ねられてたなびいており、この古ぼけた工場自体がバンドの象徴という意味なのかもしれない。 何はともあれ、70年代イタリアン・ロック・ファンは勿論、モダン・イタリアンシンフォ・ファンにもお薦めな一枚です(*´ω` *)
by malilion
| 2017-03-06 22:04
| 音楽
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